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Tag:男性ホルモン

  • 生理学的レベルのテストステロン投与は心筋の酸化ストレスを抑制する

    2011年08月17日


    【 目 的 】
    酸化ストレスが心臓疾患の病態に有意な影響を及ぼすことは、これまでの研究で明らかである。一方、アンドロゲン(男性ホルモン)が心機能、心筋傷害および心臓の酸化還元状態の調整に生理学的役割を果たしている事から哺乳類の心筋にはアンドロゲン受容体(AR)が存在すると考えられる。本研究は心筋細胞の酸化ストレスに及ぼすテストステロン欠乏、生理学的レベルのテストステロン療法およびARの影響を睾丸女性化(Tfm)および去勢マウスにて検討した。

    【 方 法 】
    Tfmマウスは非機能的ARを有し血清テストステロンが低下していた。雄性同腹子およびTfmマウスを5群に分けた。即ち、コントロールとして非去勢同腹子、去勢同腹子、偽手術Tfm、テストステロン投与去勢同腹子、およびテストステロン投与偽手術Tfmである。
    左室より分離した心筋細胞を用い、superoxide
    dismutase (SOD), glutathione peroxidase (GSH-Px)酵素活性、およびmalondialdehyde (MDA) レベルを測定した。加えてミトコンドリアDNA (mtDNA)の欠失変異をnested
    PCR.により検出した。

    【 結 果 】

    • 去勢および偽手術Tfm群ではコントロール群に比して心筋のSODおよびGSH-Px酵素活性が低下し、MDAレベルおよびmtDNA変異が増加していた。
    • テストステロン投与群ではSODおよびGSH-Px酵素活性が上昇し、MDAレベルおよびmtDNA変異が減少していた。
    • これらの変化はテストステロン投与の去勢および偽手術Tfm群で統計学的に同様であった。

    【 結 論 】
    心筋の酸化ストレスを誘導するのはテストステロン欠乏である。生理学的レベルのテストステロン投与はアンドロゲン受容体を介して酸化ストレスを抑制する。

    【 原 著 】
    Mol Med Report. 2011 Jul 22. doi: 10.3892/mmr.2011.539.
    Testosterone suppresses oxidative stress via androgen
    receptor-independent pathway in murine cardiomyocytes.

    Zhang L, Wu S,
    Ruan Y, Hong L, Xing X, Lai W.
    Department of Cardiology, Nanfang Hospital,
    Southern Medical University, Guangzhou, China.

    【 弊社注釈 】

    superoxide dismutase
    (SOD)

    Superoxide(O2-)は、白血球の一つである顆粒球や単球が外来性の感染に対しての貪食作用や殺菌作用に不可欠なfree
    radicalの一つですが、一方では様々な生物反応や外的ストレスで過剰に産生されたsuperoxideはDNAに障害を与えるため、生体内では速やかに消去する機構が必要とされています。生体に備わった唯一のsuperoxideを消去する機構として考えられているのがSuperoxide
    dismutase (SOD)です。(野)

    malondialdehyde
    (MDA)

    MDAは脂質過酸化分解生成物の一つであり、脂質過酸化の主要なマーカーとしてよく用いられます。 (野)

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  • 2D:4D比は成人の陰茎長と関連する

    2011年08月01日


    【 目的 】
    2D:4D比は胎生期テストステロン濃度を推定するものであり、アンドロゲン受容体(AR)の感受性と関連すると位置づけられている。胎生期テストステロンとARは陰茎の成長に中心的役割を果たしている。そこで、2D:4D比と陰茎長の関係を調査した。

    【 方法 】
    対象は泌尿器科手術のために入院した20歳以上の男性144例である。陰茎長の測定の前に、右手の2D:4D 比を一人の研究者により測定した。麻酔下で弛緩した状態および伸展した状態の陰茎長を別の研究者により測定した。この研究者は2D:4D比に関する情報を全く知らされていない。

    【 結果 】

    • 直線回帰モデルを用いた単変量および多変量解析の結果、身長のみが弛緩した陰茎長(flaccid penile length)の有意な予測因子であった(単変量: r=0.185, P=0.026; 多変量: r=0.172, P=0.038)。
    • 2D:4D比は伸展した陰茎長(stretched penile length)に対してのみ有意な予測因子であった(単変量:r=-0.216, P=0.009; 多変量: r=-0.201, P=0.024; stretched penile length=-9.201×digit ratio +  20.577).

    【 結論 】
    2D4D比により成人の陰茎長を予測できる。胎生期のテストステロンレベルは成人の陰茎長の差異を部分的に説明するものである。

    【 原著 】
    Asian J Androl. 2011 Jul 4. doi: 10.1038/aja.2011.75.
    Second to fourth digit ratio: a predictor of adult penile
    length.

    Choi IH, Kim KH, Jung H, Yoon SJ, Kim SW, Kim TB.
    Department of Urology, Gachon University Gil Hospital, Incheon, Korea.

    【 コメント 】
    弛緩した陰茎長(flaccid penile length)および伸展した陰茎長(stretched penile length)の訳につきましては、適切でないかも知れませんので、お含みおき下さい。

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  • 女性では低2D:4D比は拒食症と関連し、高2D:4D比は過食症と関連する

    2011年07月29日


    【 目的・方法 】
    摂食障害は男性よりも女性に多く、原因は部分的に生物学的およびホルモン因子によるものと信じられている。2D:4D比は胎生期のテストステロン(PT)およびエストロゲン(PE)暴露を反映している。しかし、2D:4D比が摂食病理のタイプに関連しているかは分かっていない。
    2D:4D比と摂食障害の関係を摂食障害の回復および現行症例31例(女性)およびコントロール女性99例にて検討した。

    【 結果 】

    • 拒食症の女性は過食症の女性に比して2D:4D比が有意に低かった(PTが高く、PEが低い)。対してコントロールはその中間であった。
    • 摂食障害の女性では2D:4D比が現在の体重、最低体重、現在のBMIと有意に比例していた。特に右手の2D:4D比と強い関連性があった。

    【 結論 】
    女性では低2D4Dは拒食症と関連し、高2D4Dは過食症と関連していた。これは出生後の摂食病理に対する胎生期の性ホルモンの異なった作用を示唆するものである。

    【 原著 】
    Pers Individ Dif. 2011 Sep;51(4):402-405.
    The 2 to 4 digit ratio (2D:4D) and
    eating disorder diagnosis in women.

    Quinton SJ, Smith AR, Joiner T.
    School
    of Psychology, Charles Stuart University, Bathurst, NSW 2795,
    Australia

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  • テストステロン補充療法の効果に関するタイムコース

    2011年07月28日


    【 目 的 】
    テストステロンは男性の諸臓器で様々な作用を有している。このレビューはテストステロン補充療法の効果に関するタイムコース、最初の効果の発現から最大効果の到達までを出版されたデータから検討した。

    【 方 法 】
    タイムコースに関するデータが記載されているテストステロン補充療法の論文をPubMedにて検討した。

    【 結 果 】

    • 性的関心に対する効果は3週後より発現し6週後にプラトー(≒最大)に達し、それ以上は上昇しない。
    • 勃起/射精の変化は6ヶ月以上を要する。
    • QOL(生活の質)に対する効果は3~4週より現れ、最大効果は長期間を要する。
    • 抑うつムード(≒気分)に対する効果は3~6週後に現れ、18~30週後に最大となる。
    • 赤血球産生に対する最初の効果は3ヶ月後に現れ、9~12ヶ月後に最大となる。
    • PSAおよび前立腺容積の上昇は僅かであるが、12ヶ月後にプラトー(≒最大)になり、その後の上昇は治療よりも加齢が関連する。
    • 脂質に対する効果は4週後に現れ、6~12ヶ月後に最大となる。
    • インスリン感受性は数日以内に改善すると思われるが、血糖コントロールの改善は3~12ヶ月後でないと認められない。
    • 脂肪容量、非脂肪容量および筋力に対する効果は12~16週後に現れ、6~12ヶ月後に安定化し、1年以上継続しても改善は僅かである。
    • 炎症に対する効果は3~12週以内に現れる。
    • 骨に対する効果は6ヶ月後には認められ、少なくとも3年間は持続する。

    【 結 論 】
    テストステロンの各種作用のタイムコースは非常にバリエーションがある。これはおそらくテストステロン製剤の薬物動態が関係していると思われる。また遺伝的および非遺伝的アンドロゲン受容体多型および細胞内ステロイド代謝がこのような差異に関連していると推定される。

    【 原 著 】
    Eur J Endocrinol. 2011 Jul 13.
    ONSET OF EFFECTS OF
    TESTOSTERONE TREATMENT AND TIME SPAN UNTIL MAXIMUM EFFECTS ARE
    ACHIEVED.

    Saad F, Aversa A, Isidori AM, Zafalon L, Zitzmann M, Gooren
    LJ.
    Scientific Affairs Men’s Healthcare, Bayer Schering Pharma, Berlin,
    Germany.

    PMID:
    21753068

    【 弊社コメント 】
    各種効果の発現時期および最大効果がかなりクリアに示されていますが、そう割り切っていいものか問題もあります。なぜなら、元となる各臨床試験がそういう事を目的にしていないからです。
    殆どの臨床試験は3~6カ月の投与で、評価は0時点(開始時)、3ヶ月、および6ヶ月後に行う場合が多いので、そのような前提を踏まる必要があります。(野)

    「男性ホルモンの補充を始めてから、どれくらいの期間で効果が出るの?」というご質問は多く、当事者にとって切実な関心事ですが、上記コメントの通り臨床研究では3ヶ月毎に評価を行う場合が多く、日・週単位では正確に把握できないのが現状です。なお、エビデンス・レベルは乏しいのですが、弊社製品「グローミン」と「ヘヤーグロン」のモニター調査で最初の1本分(2週間~1ヶ月程度)までの印象をアンケートで調べた経緯があります。(福)

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  • 第4指(薬指)に対する第2指(人差し指)の比(2D:4D)と学術的能力の関連性

    2011年04月14日


    【 目的・方法 】
    胎生期のアンドロゲンは脳の発達と将来の行動に対して重要な影響を有している。第4指に対する第2指の比(2D:4D)は胎生期のアンドロゲン作用のマーカーであり、長い第4指は高い胎生期アンドロゲン作用を示す。
    2D:4Dはスポーツや投機をする男性の成功を予測している。しかし、学術的能力に対する胎生期アンドロゲンの影響については殆ど分かっていない。
    イタリアのカタニア医学校の男子学生48名の2D4D比に関する研究の所見を報告する。

    【 結果 】
    2D4D比は医学校への入学試験の結果、唾液中テストステロンおよびと攻撃性・積極性と相関していた、しかし大学のコースにおける試験点数とは相関がなかった。

    【 結論 】
    胎生期および誕生後のアンドロゲンは、意思決定およびリスクの許容を求められる状況における遂行能力を高めるが、分析的および計画的能力には影響しない。

    【 原著 】
    Mol Med Report. 2011 May;4(3):471-6..2011.456. Epub 2011 Mar 15.
    The
    second-to-fourth digit ratio correlates with the rate of academic
    performance in medical school students.

    Coco M, Perciavalle V, Maci T,
    Nicoletti F, Di Corrado D, Perciavalle V.
    Department of Physiological
    Sciences, University of Catania, I-95125 Catania, Italy.

    【 弊社コメント 】
    胎児の間に男性ホルモンの影響を強く受けて育った男性は、薬指が長く発達するようです。そして、男性ホルモンがもたらすアグレッシブな精神作用から、意思決定や遂行力が求められる、例えばスポーツ選手や投機ビジネスに向いているようです。個人的にはスポーツや投機に限らず、棋士や起業家、野心的な政治家や管理職など、男性的なアグレッシブさが求められる分野での活躍が期待できると思います。ただし、学力には関係しないようです。思わず、自身の両手を見てしまいました。(福)

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  • 低テストステロン患者は前立腺癌リスクが高い

    2011年01月25日


    【 目的 】
    前立腺癌リスクの予測におけるテストステロンの役割、およびその高グリソン・スコアとの関連性を、前立腺生検を行った患者において検討した。

    【 方法 】
    対象は前立腺生検を行った568例の患者。患者をテストステロン3.85
    ng/mlを境に高テストステロン群(n=285、高T群)
    および低テストステロン群(n=283、低T群)に分けた。
    多変量回帰分析により、年齢、前立腺容積、PSA、およびPSADの影響、および前立腺癌リスクおよび高グリソン・スコアに対するテストステロンの影響を調査した。

    【 結果 】

    • 低T群は高T群に比して前立腺癌の発症率が有意に高かった(38.9%
      vs. 29.5%, p=0.018)。
    • 前立腺癌のリスクの上昇に関連する因子は年齢([OR]=1.08, 95%
      [CI]=1.25-3.16,p=0.001), 高PSA(OR=3.35, 95% CI=2.63-4.25, p=0.001),
      低前立腺容積(OR=0.183,95% CI=0.11-0.30, p=0.001), および低テストステロン(OR=1.99,
      95%CI=1.25-3.16, p=0.001)であった。
    • PSAのみが高グレード前立腺癌(グリソン・スコア≧7)の強い予測因子であった(OR=2.19, 95% CI=1.57-2.95,
      p=0.001)。

    【 結論 】
    低テストステロンの患者は高テストステロンの患者よりも前立腺癌のリスクが高い。低テストステロンは前立腺癌リスクの予測因子であるが、高グレード前立腺癌へのリスクの上昇とは関連がない。

    【 原著 】
    Korean J Urol. 2010 Dec;51(12):819-23. Epub 2010 Dec 21.
    Is a decreased serum
    testosterone level a risk factor for prostate cancer? A cohort study of
    korean men.

    Shin BS, Hwang EC, Im CM, Kim SO, Jung SI, Kang TW, Kwon DD, Park
    K, Ryu SB.
    Department of Urology, Chonnam National University Medical School,
    Gwangju, Korea.

    【 弊社コメント 】
    テストステロンが多過ぎると前立腺癌になるのでは?」ひいては「男性ホルモン剤を投与すると前立腺癌になるのでは?」という指摘は、今や古い迷信になりつつあり、むしろテストステロンの分泌不足が前立腺癌のリスク要因と考えざるを得ない検討結果が出揃いつつあります。

    前立腺癌は10~20年かけて進行するとはいえ、加齢にともない特に50歳代から発症する人が多くなる一方、テストステロンの分泌が旺盛な20歳代では極めて少ないわけですから、テストステロンが多過ぎることよりも、40歳前後の頃からテストステロンの分泌が衰え「テストステロンの不足」になることが発症の原因と考える方が自然ではないでしょうか。発症してから顕在化するまで10~20年かかるという話にも符合すると思います。

    そうなりますと、自ずと30歳代・40歳代にかけてテストステロンが不足しないような生活習慣(バランスの取れた食生活・適度な運動・ストレスの発散)を維持することがますます重要となり、それでも加齢にともないテストステロンの分泌が低下する状況に対しては、早めに生理的範囲のテストステロン補充をする事こそ「前立腺癌の予防」になるのではないかと考えられ、今後の検討が期待されます。(福)

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