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Category:テストステロンと前立腺

  • 腸内細菌叢(そう)と前立腺がん及びアンドロゲンとの関連性~レビュー

    2022年04月06日


    腸内細菌は、アルツハイマー病、関節リウマチ、大腸がんなど、いくつかの病気と関連している。また、腸内細菌は免疫機能の調節にも関連しており、その結果、免疫チェックポイント療法に対する反応が異なることが分かっている。腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)は、ライフスタイル、食事、性別、人種、遺伝的背景、国によって異なる。生活習慣、特に食事は、前立腺がんの発症と進行に重要な役割を果たしている。

    最近の研究により、腸内細菌と前立腺がんの関係が明らかになっている。高脂肪食は腸内細菌の異常を引き起こし、短鎖脂肪酸やリン脂質などの腸内細菌代謝産物が全身循環に入り、結果として前立腺がんの増殖を促進する。

    さらに、腸内細菌叢は、前立腺がんの進行に影響を与えるテストステロンの供給源として機能可能である。去勢抵抗性前立腺がんの男性では、アンドロゲン機能を持つ腸内細菌が増加している。高リスクの前立腺がんの男性は、特定の腸内細菌プロファイルを共有しており、腸内細菌叢のプロファイリングは、高リスクの前立腺がんの男性をスクリーニングするための有効なツールとなる可能性がある。

    生活習慣の修正により、腸内細菌叢を改善することができる。さらに、プレバイオティックやプロバイオティックの介入により腸内細菌叢を変化させることで、前立腺がんの発生を予防または遅延させることができるかもしれない。「腸-前立腺軸」に関する研究の進展は、前立腺がんの予防、スクリーニング、治療に関する新たな戦略の発見につながるであろう。

     


     

    Gut microbiome and prostate cancer.

    Fujita K, Matsushita M, Banno E, De Velasco MA, Hatano K, Nonomura N, Uemura H.

    Department of Urology, Kindai University Faculty of Medicine, Osakasayama, Japan.

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  • 限局性前立腺がんの根治的治療後のテストステロン補充の安全性

    2020年08月12日


    <目的>

    限局性前立腺がんの根治的治療後のテストステロン補充療法(TRT)の安全性は確認されていない。そこで、限局性前立腺がんの治療後にTRTを受けた男性の生化学的再発および死亡リスクを分析した。

    <方法>

    全米退役軍人情報およびコンピューティングインフラストラクチャを使用してコホート分析を行た。 2001年から2015年に手術または放射線治療を受けた限局性前立腺がん患者69,984人を特定した。

    治療後のTTの処方を時間依存共変量としてコードし、National Death Indexを使用して死因を特定した。生化学的再発は、手術後PSA> 0.2 ng / mLおよび放射線療法後の最低値+ 2 ng / mLと定義した。 累積発生率曲線、Fine-Gray競合リスク回帰、Cox回帰を使用して、再発および死亡率を分析した。

    <結果>

    ・コホートには、手術患者28,651人および放射線患者41,333人が含まれ、うち469人(1.64%)および543人(1.31%)が、TRTを6.95年間(中央値)を受けた。

    ・TRT群を非TRT群を比較すると、生化学的再発、前立腺癌特異的死亡率、または手術後の全死亡率に差異は認められなかった [生化学的再発ハザード比(HR):1.07; 前立腺癌特異的死亡率HR:0.72(p = 0.43); および手術後の全死亡率HR:1.11(p = 0.43)]。または放射線療法後のHRはそれぞれHR:1.07; HR:1.02(p = 0.95); およびHR:1.02(p = 0.86)であった。

    ・制限として、TRTの期間とおよび血清T濃度に関する詳細なデータが欠如している。

    <結論>

    多民族全米コホートにおいて、TRTは、手術および放射線療法後の生化学的再発、あるいは前立腺癌特異的または全体的死亡率のリスクを増加しなかった。これらのデータは、限局性前立腺癌の根治的治療後のTRTが安全であることを示唆している。

     

    Prostate Cancer Prostatic Dis. 2020 Jun 8.

    Testosterone therapy does not increase the risks of prostate cancer recurrence or death after definitive treatment for localized disease.

    Sarkar RR, Patel SH, Parsons JK, Deka R, Kumar A, Einck JP, Mundt AJ, Kader AK, Kane CJ, Riviere P, McKay R, Murphy JD, Rose BS Department of Radiation Medicine and Applied Sciences, University of California San Diego, La Jolla, CA, 92093, USA

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  • テストステロン補充療法と前立腺癌の関連性

    2018年07月24日


     

    <目的>

    低テストステロン(T)男性のテストステロン(T)療法は一般的であるが、前立腺癌(PC)リスク上昇に関する関心が高まっている。そこで比較的短期間のT療法と悪性PC発症との間の関連性を検討した。

    <方法>

    2002年~2011年の間に低Tが確認され、近い期間にPSA検査が行われた40~89歳の男性退役軍人に関する後ろ向きの起始コホート研究を行った。近い期間のT療法施行、前立腺あるいは乳癌、高PSAあるいは前立腺生検施行患者は除外した。

    組織学的に確認された悪性PCを主要アウトカム、その他の全てのPCを二次アウトカムとした。

    *起始コホート

    特定の健康問題が進行するまえの早い時期(すなわち,推定される原因に最初に曝露される時,または最初の診断の時)に集められ,登録された人々で,そのあと追跡されることになっているグループのこと。

    <結果>

    ・登録例数147,93名、その内8,617名がT療法を受けた。

    ・313例が悪性PCと診断され、うち190例がT療法を受けず (発症頻度 (IR) 0.7 per 1000 person years, 9% CI 0.49-0.6) 、123例がT療法を受けていた(IR 0.8 per 1000 person years; 9% CI 0.48-0.69)。

    ・年齢、人種、コホート登録前の入院年数、地域、BMI、合併症、T療法の繰り返し、およびPSAテストで調整後、T療法は悪性PC (HR 0.89; 9% CI 0.70-1.13) あるいはすべてのPC (HR 0.90; 9% CI 0.81-1.01)と関連していなかった。

    ・累積T投与量あるいはT製剤の種類とPCの間に関連性は見られなかった。

    <結論>

    低Tおよび正常PSAの男性においてT療法は悪性PCあるいはいかなるPCとも関連していなかった。 T療法の臨床的リスクおよびベネフィットは大規模、長期無作為比較試験によって完全に明らかにされる。

     

    【原著】

    PLoS One. 2018 Jun 22;13(6):e0199194. doi: 10.1371/journal.pone.0199194. eCollection 2018.

    Testosterone treatment and the risk of aggressive prostate cancer in men with low testosterone levels.

    Walsh TJ, Shores MM, Krakauer CA, Forsberg CW, Fox AE, Moore KP, Korpak A, Heckbert SR,, Zeliadt SB, Kinsey CE, Thompson ML, Smith NL, Matsumoto AM

     

    【弊社コメント】

    決定的な根拠となる、大規模で長期的な研究は未だありませんが、これまでの結果からはテストステロンの補充療法と前立腺癌の発症に関連性はないという所見です。(福)

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  • 肥満男性における低PSAの原因

    2018年07月20日


    <目的>
    肥満男性は同年代の痩せた男性よりも血清PSAが低い。しかし、この機序は不明のままである。そこでPSAに対する肥満の影響および関与する機序を検討した。

    <方法>
    リクルート時に35歳以上の男性1,195名を対象に人口動態的背景、身体計測(BMIおよびウェスト周囲径(WC))および血清ホルモン(T、E2)、PSAおよび血液学的検査を2回にわたって行った。
    前立腺がんの病歴あるいはPSA測定データ欠損の男性は除外し、最終的分析は970名で行った。ホルモンおよび容積因子で調整した混合効果回帰および媒介分析にてPSAに影響する肥満の機序を探索した。

    <結果>
    ・年齢で調整後、PSAレベルはWCの高い男性で有意に低かった (p=0.001)。

    ・予測因子としてWC、年齢、E2/TおよびPlasVを含む多変量モデルにおいて、PSAとWC(p=0.36) あるいは PlasV (p=0.49)の間に有意な関連性は見られなかった。一方、PSAとE2/T(p<0.001) 及び年齢(p<0.001)との間に強い関連性が見られた。

    ・媒介変数をPlasVとした媒介分析において、平均因果媒介効果(ACME)はPSAに対するWCの総効果の0.2であった(p=0.31)。一方、媒介変数をE2/Tとしたとき、ACME は効果の0.5であった(p<0.001)。

    <結論>
    肥満男性の低PSAはホルモンの変化(E2/T比の上昇)および血液希釈の両者により説明される。 ホルモン因子は大きな影響をもっているが正しく評価されていない介在経路である。

    【原著】
    Endocr Relat Cancer. 2018 Jun 25. pii: ERC-17-0438. doi: 10.1530/ERC-17-0438.
    The inverse relationship between prostate-specific antigen (PSA) and obesity.
    Aref A, Vincent AD, O’Callaghan M, Martin S, Sutherland P, Hoy A, Butler LM, Wittert G

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  • 飽和モデルからみたテストステロン・フレアのリスク

    2017年08月08日


    <目的>
    性腺刺激ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニストが1980年代に導入されたとき、Tフレアと言われる最初の一過性のテストステロン(以下、T)上昇が前立腺癌(PC)の成長、および疾患の進展、合併症および死亡を招くと一般的に信じられた。これらのリスクを防御するため抗アンドロゲン剤を併用する事がルーチンとなった。

    しかしながら、近10年間、アンドロゲンはPC成長の刺激に限定的に作用することが認識されるようになり、Tフレアのリスクに対して理論的検証がなされている。そこでTフレアと関連したリスクをレビューした。
    <方法>
    LHRHアゴニストに関連したTフレア、疾患フレアに関係する論文をMEDLINEにてサーチした。1980年5月1日から2016年5月1日の間、luteinizing hormone-releasing hormone, gonadotropin-releasing hormone, および antiandrogensのタームにて検索した。
    <結果>

    ・最初のLHRHアゴニストの投与は一様に2-3日間の血清Tを40~100%上昇し、その後Tレベルは7~8日目にベースラインレベルに戻り、約2~3週間去勢レベルに低下した。

    ・Tフレアの間にPSAを測定した6つのLHRHアゴニストの研究のうち5つは、ベースラインのPSAが≥500ng/ml の進行がんが存在するにも関わらずPSAに有意な上昇を認めなかった。

    ・疾患フレアのエビデンスはLHRHアゴニスト単独投与とLHRHアゴニスト+抗アンドロゲン剤併用を比較した骨疼痛に関する1報告に限られた。他の3つのRCTは疾患フレアを報告していない。

    ・脊髄圧迫の割合は去勢あるいはエストロゲン療法に比してLHRHアゴニスト単独で多くなかった。

    ・LHRHアゴニストの影響を進行性PCの自然経過と比較するためLHRHアゴニスト対プラセボ/無治療の比較試験はなかった。

    <結論>
    30年間、Tフレアはリスキーであると考えられてきたが、1980~1990年に収集したエビデンスのレビューはこの見解を支持しなかった。特に、Tフレアは広範な転移性疾患の男性においてさえ有意なPSA上昇、疾患の進展あるいは有害作用と関連しなかった。これらの結果は2006年に最初に紹介された飽和モデルと一致する。

    LHRHアゴニストに抗アンドロゲン剤を併用する価値は、広範囲な脊髄転移があり血清Tが飽和ポイント約250ng/dl以下である男性を除いて殆どない。

    【原著】
    Eur Urol Focus. 2017 Jul 1. pii: S2405-4569(17)30159-1. doi: 10.1016/j.euf.2017.06.008.
    Risk of Testosterone Flare in the Era of the Saturation Model: One More Historical Myth.
    Krakowsky Y, Morgentaler A
    Men’s Health Boston, Beth Israel Deaconess Medical Center, Harvard Medical School, Chestnut Hill, MA, USA.

     

    【弊社コメント】

    飽和モデルは高いテストステロンが前立腺癌や肥大を促進しない事を理論づけたものです。今回の報告はTフレアという急激なテストステロンの上昇が有害作用を及ぼさす、飽和モデルと一致したものです。TRTが前立腺に対して危険なものではない事を示す典拠になることが期待されます。今後、関連学会において、ガイドラインや指針にこの考え方が取り入れられるか、注目しています。(野)

    高濃度のテストステロンが前立腺癌のリスクを高めるというのは、Huggins医師が前立腺癌と男性ホルモンの関連性を公表(1941年)して以来、75年以上にわたり信じられて来た医学知識ですが、高濃度のテストステロンが前立腺癌発症のリスク上昇に関係があるという考えを支持する科学的データは実は多くありません。例えて言えば、テストステロンの濃度が高い人ほど前立腺癌になり易く、低い人ほど前立腺がんになりにくいというはっきりとしたデータがないのが現状です。

    逆に、重度の性腺機能低下症(LOH 症候群)の男性において、前立腺癌の発症率が有意に高かったという報告もあり、このようなパラドックスは、現在、議論の対象になっています。
    前立腺の疾患と男性ホルモンの関係は複雑でよくわかっていない点が多く残っていますが、このような中、米国ハーバード大学のMorgentaler医師は、「前立腺飽和モデル」という新しい概念を提唱しています。 このモデルでは、飽和ポイントよりもテストステロン濃度が高ければ、血清テストステロン濃度に変化が起きても前立腺の成⻑は悪性または良性問わず、ほとんど影響を与えないというモデルです。 なぜテストステロン濃度を生理範囲よりも数回上昇させても、癌のない男性ではPSAレベルや前立腺の大きさに変化がないのかこのモデルで説明できるとしています。

    このモデルの正否はいまだ議論の真っ最中ですが、将来的には男性ホルモン補充療法の安全性に対する見方が変わり、LOH症候群の男性には前立腺疾患を防ぐ目的で男性ホルモンのコントロールが行われるようになるかもしれません。 そのような背景から、本報を踏まえた今後の動向に注目しています。  (福)

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  • 糖尿病のPSAレベルに及ぼす影響

    2017年02月01日


    <目的>
    最近の研究は糖尿病とPSAの間に負の関係を示している。そこで、糖尿病および正常(非糖尿病)モロッコ人男性におけるPSAレベルを調査した。

    <方法>
    モロッコのパスツール研究所において470名の糖尿病男性および869名の非糖尿病男性を検査し、断面調査を行った。
    HbA1cおよび空腹時血糖を高速液クロおよびドライケミストリーにより測定した。血清TおよびPSAは化学発光微粒子免疫法 により測定した。

    ドライケミストリー
    特定の化学反応を起こす試薬が乾燥状態で用意されていて、そこに液体状の検体が添加されると、検体中の水分を溶媒として、試薬が含まれているマトリックスの中で反応が進行するもの。

    <結果>
    ・全体で、PSAレベルは糖尿病および非糖尿病男性間で有意な差異がなかった (1.31 ± 0.04ng/mL vs.1.36 ± 0.03ng/mL, p = 0.380)。

    ・PSAレベルは両群ともに年齢とともに上昇したが、糖尿病男性では年齢に対する依存が非糖尿病男性より低かった (糖尿病男性;p =0.002、非糖尿病男性; p amplt; 0.0001)。

    ・層別分析の結果、50~59歳の男性ではPSAが糖尿病男性において非糖尿病男性より有意に低かった(p= 0.0004)。

    ・T(テストステロン)濃度には糖尿病の有無による差異が認められなかった (p= 0.904)。

    <結論>
    PSAレベルは糖尿病および非糖尿病男性において年齢依存的であったが、PSAレベルは年齢50~59歳の男性においてのみ糖尿病状態の影響を受けた。

    ■ 原著
    Curr Diabetes Rev. 2017 Jan 17.
    Prostate-Specific Antigen levels in Moroccan diabetic males: A cross-sectional study.
    Ainahi A, Barakat A, Wakrim L, Mohammadi H, Mdaghri NE, Ezzikouri S

    【弊社コメント】
    中高年男性は加齢と共に前立腺(肥大・腫瘍)のリスクが高まることが知られていて、これらの目安にPSA(前立腺特異抗原、prostate-specific antigenの略)値が用いられます。 本報では50歳代の糖尿病男性は、糖尿病でない人よりもPSAが有意に低かったとのことです。 とはいえ、糖尿病なら前立腺肥大や前立腺腫瘍のリスクが低くなると安易に考えるべきでないと思います。(福)

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  • 長期テストステロン療法における前立腺癌発症率

    2014年07月18日


    ■ 目的
    テストステロン療法が前立腺癌(PC)のリスクを上げるというエビデンスはないが、長期的データは欠如している。 そこで長期間テストステロン療法を受けている性腺機能低下男性においてPCの頻度が増加するか否か調査した。

    ■ 方法
    3つの平行、前向き、継続、蓄積登録研究において1,023例の性腺機能低下男性がテストステロン療法を受けていた。 2つの研究は泌尿器専門医により行われ(2004年以降)、1つはアカデミックなアンドロロジー・センターにより行われた(1996年以降)。 治療は総テストステロン≤12.1 nmol/L (350 ng/dL)および性腺機能低下症が存在するときに行われた。
    調査期間の最高は17年(1996~2013)、中央値は5年である。 開始時の平均年齢は泌尿器科では58歳、アンドロロジーでは41歳であった。
    テストステロン療法はテストステロン・アンデカノエイト注射を12週間隔で行われた。 前立腺の治療前の検査および治療中のモニターが行われた。 前立腺生検はEAUガイドラインに沿って行われた。
    生検の陽性および陰性者の数を調査した。 PCの頻度および前立腺切除後の転帰を検討した。

    ■ 結果

    • 泌尿器科で行われた2つの研究で計11例のPCが診断され、発現率はそれぞれ2.3%および1.5%であった。10,000例あたりの年間の頻度はそれぞれ54.4および 30.7例である。
    • アンドロロジー・センターではPCは報告されなかった。
    • コントロール群がない登録デザインであるという限界性が存在する。

    ■ 結論
    テストステロン療法はPCのリスクを上げなかった。 テストステロン療法のガイドラインにそって適正に行われれば、テストステロン療法は性腺機能低下男性において安全である。

    ■ 原著
    J Urol. 2014 Jun 26. pii: S0022-5347(14)03885-3.
    Incidence of Prostate Cancer in Hypogonadal Men Receiving Testosterone Therapy: Observations from Five Year-median Follow-up of Three Registries.
    Haider A, Zitzmann M, Doros G, Isbarn H, Hammerer P, Yassin A

    (さらに…)

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  • テストステロンの使用は前立腺癌の発症と関連しない

    2013年05月29日


    【 目的 】
    前立腺癌を発症した男性のテストステロン補充療法の使用状況およびその影響を調査した。

    【 方法 】
    Surveillance, Epidemiology, and End Results-Medicareデータにリンクし、1992~2007年に前立腺癌と診断された149,354例の男性を同定した。このうち 2,237例(1.5%) が前立腺癌の診断前にテストステロン補充療法を行っていた。傾向スコア法を用いテストステロン補充療法 vs 非補充療法の癌の転帰を評価した。

    【 結果 】

    • テストステロン補充は癌診断時の高齢、非白人および多数の合併症の存在と関連していた(P <.001)。
    • 前立腺癌診断前の非テストステロンvsテストステロンは腫瘍のグレード(34% vs 30%, P <.0001) および T4(6.5% vs 4.3%, P <.0001)に有意差が認められた。
    • 死亡率は前立腺癌診断前年の≧2 PSAの男性で低かった。
    • 全体の生存率、癌患者の生存率、あるいはアンドロゲン枯渇療法の使用は群間で有意差がなかった。

    【 結論 】
    この観察研究期間にけるテストステロンの使用頻度は低かった。テストステロンは悪性前立腺癌とは関連がなく、全体あるいは疾患特異的死亡率に影響していなかった。この結果はテストステロン補充が前立腺癌に関して安全である事を示すが、確定するための前向きの研究が必要である。

    【 原著 】
    Urology. 2013 May 24.
    Use of Testosterone Replacement Therapy in the United States and Its Effect on Subsequent Prostate Cancer Outcomes.
    Kaplan AL, Hu JC.
    Department of Urology, David Geffen School of Medicine, University of California, Los Angeles, Los Angeles, CA.

    【 弊社コメント 】
    「傾向スコア」は、実験ができない場合(調査観察データなど)における交絡の調整方法です。潜在的な交絡要因となる様々な共変量を傾向スコアという一つの合成変数に縮約(一次元化)して、その傾向スコアを基準としてマッチングや層別化を行います。近年医療分野を中心にとても使われてきています(野)。

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