Category:テストステロンと女性
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IVF施行女性における血清テストステロンレベルと卵巣反応性および累積生存児率
2023年03月01日
<目的>
体外受精(IVF)を受けた不妊症女性の卵巣反応および累積生存児率に及ぼす基礎血清テストステロン(T)値の影響を調査した。
<方法>
香港の大学付属生殖補助医療センターにおけるレトロスペクティブ研究である。2012年12月から2016年11月の間に同センターで最初のIVFサイクルを受けた不妊女性で、血清サンプルが保存され、累積生存児数に関する情報が入手可能な患者を解析対象とした。
<結果>
・ 計1122名の女性が解析の対象となり、基礎血清Tの中央値は0.53(25-75パーセンタイル:0.40-0.67)nmol/Lであった。
・ テストステロン値が高い女性ほど、ゴナドトロピン総投与量が少なく、刺激期間が短く、回収卵子数が多かった。
・ 累積生存児誕生率は、血清テストステロンの四分位群間で差はなかった。
・ 血清テストステロン値は、二値ロジスティック回帰において年齢および正常受精卵数で調整後、累積生存児誕生数の有意な独立した予測因子ではなかった。
・ 卵巣反応の高低と累積出生数の予測におけるROC曲線下面積は、すべて0.6以下であった。
<結論>
高い血清テストステロン値は卵巣反応の良好性に関連するが、体外受精を受けた不妊症女性の累積生児率には影響を及ぼさなかった。
【原著】
J Assist Reprod Genet. 2023 Mar 1
Wan RSF, Ko JKY, Yung SSF, Ng EHY, Li RHW.
Department of Obstetrics and Gynaecology, The University of Hong Kong, Pokfulam Road, Hong Kong, China.
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テストステロンは男性の女性に対する魅力性判断に早期に影響する
2022年04月23日
男性からみた女性の魅力性判断は、恋愛関係の開始と維持の欲求に影響を与える。テストステロンもまた、恋愛関係の開始と維持を予測する。このような効果は、ホルモンによる魅力性判断の調整によってもたらされると考えられるが、ホルモンがこれらの判断に及ぼす因果的(かつ状況依存的)効果については、これまで研究されていない。
プラセボ対照クロスオーバーデザインを用いた事前登録分析により、順序および関係依存的な効果が明らかになった:
独身男性(ヘテロセクシャル)は、テストステロンが先に(そしてプラセボが後に)投与された場合、女性をより魅力的と判断したが、プラセボが先に(そしてテストステロンが後に)投与された場合は、余り魅力的ではないと判断した。
しかし、女性の魅力(独立した観察者による評価)を組み込んだより複雑なモデルでは、テストステロンが女性の魅力を高める効果は男性の交際状況と女性の魅力に依存する事を示した。
パートナーを持つ男性(n = 53)では、魅力的な対象を軽視する(魅力が低いと評価する)傾向があり、テストステロンはこの効果に対抗して、これらの魅力的な対象の魅力を高めた。
独身男性(n = 53)では、逆に、テストステロンは、魅力の低い女性の魅力を増加させた。
このような効果の違いは、テストステロンが、パートナーがいるときはグレーディングを下げるよりも高め、独身のときは対象の選択性を低下させるという、関係性の状態によって異なるルートで男性の生殖能を促進するという、新たなメカニズムの可能性を明らかにしている。
さらに、このような作用は比較的早く(85(±5)分以内)発現し、非ゲノム的な作用機序の可能性が示唆された。
Geniole SN, Proietti V, Robinson BA, Bird BM, Watson NV, Bonin PL, Goldfarb B, Carré JM.
Department of Psychology, Nipissing University, 100 College Drive, North Bay, Ontario P1B8L7, Canada; Department of Basic Psychological Research and Research Methods, Faculty of Psychology, University of Vienna, Liebiggasse 5, 1160 Vienna, Austria; Department of Psychology, University of the Fraser Valley, 33844 King Road, Abbotsford, British Columbia V2S 7M8, Canada.
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2020年03月17日
【 目的 】
アンドロゲンは、少なくとも部分的にエストロゲンへの変換とは無関係に、膣の生理機能に有益な効果を発揮することが示されている。膣および他の泌尿生殖器組織におけるアンドロゲン欠乏症は、外陰膣萎縮および閉経期のGSM(閉経関連泌尿性器症候群)発症の原因となり、性的興奮および潤滑障害および性交疼痛症をもたらす。
そこで、膣の構造および機能の調節におけるテストステロンの役割を要約した。
【 方法 】
この問題に関する関連文献の定性的レビューを、PubMedデータベースを使用して行った。膣の生理病態におけるテストステロンの関与をサポートする前臨床的および臨床的エビデンスの概要を提示し、女性の性的反応における膣の役割の観点からテストステロンの関与を検討した。
【 結果 】
・アンドロゲンは、アンドロゲン受容体およびアンドロゲン合成に関与するキー酵素の検出により示唆されるように、膣の分化および出生後の栄養および機能的作用の維持に重要である。
・テストステロンは、膣組織構造の完全性(非血管平滑筋の厚さおよび収縮性、コラーゲン線維の緻密性)、および性的興奮および潤滑を制御する複雑な神経血管プロセス(NO / cGMP / PDE5経路による血管平滑筋弛緩、神経線維密度および神経伝達)に不可欠である。
・テストステロンはまた、膣内の侵害受容、炎症、およびムチン分泌を調節すると報告されている。
・外陰膣萎縮/GSM、および性的興奮障害と性交疼痛症につながる他の状態に対する、アンドロゲンベースの治療法を提示した。
【 結論 】
膣はアンドロゲンの標的であり合成器官でもある。前臨床および臨床データは一貫してテストステロンが膣の健康と生殖器の性機能の維持に重要な役割を果たしていることを示唆している。
【 原著 】
Testosterone and Vaginal Function
Elisa Maseroli, Linda Vignozzi
Andrology, Women’s Endocrinology and Gender Incongruence Unit, Department of Experimental and Clinical Biomedical Sciences “Mario Serio”, University of Florence, Florence, Italy
Review Sex Med Rev. 2020 May 17;S2050-0521(20)30033-0. doi: 10.1016/j.sxmr.2020.03.003.
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2014年11月05日
テストステロン療法は男性に対しては急速に増加しているが、女性におけるテストステロンおよびテストステロン療法に関しては多くの疑問および懸念が残っている。その背景について文献的に解明を行った。
本論は10の通説および誤解について反証し、何が生理学的に妥当かつ科学的に確かであるかをサポートするエビデンスを提示した。
すなわち、テストステロンは
1. 女性で最も豊富な生物学的に活性なホルモンである。
2. 女性の身体的および精神的健康に必須である。
3. 男性化を起こさない。
4. 嗄声を起こさない。
5. 頭髪の成長を促進する。
6. 心臓に防御的である。
7. 非経口投与では肝障害起こさないあるいは凝固因子を増加しない。
8. 気分を安定化する。
9. 乳房に防御的である。
10. テストステロン療法の安全性は検討中であり、確立しつつある。女性におけるテストステロンおよびテストステロン療法につての通説、誤解および事実無根の懸念を棄却する事により医師に対してエビデンスに基づいたリコメンデーションおよび適正な治療法を提供できる。
【原著】
Maturitas. 2013 Mar;74(3):230-4.. Epub 2013 Feb 4.(A-973)
Testosterone therapy in women: myths and misconceptions.
Glaser R, Dimitrakakis C.【弊社コメント】
女性におけるテストステロン療法の問題点、懸念が整理されています。 また、女性の年齢別のテストステロンおよびE2(卵胞ホルモン)レベルが図示されおり貴重です。 原著はフリーです。(野)テストステロンは「男性専用ホルモン」でなく、女性も分泌しており、様々な役割を果たしています。 更年期から閉経を機にテストステロンの分泌が減り、それにともない体調の変化を来すと考えられていますが、元々分泌していた正常域内の補充であれば、リスクを極小化しながら改善することが期待できるのではないでしょうか。(福)
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2014年11月05日
【目的】
内分泌系の生化学的測定値の正常範囲は一般的にキットの製造メーカーにより提示されたものを用いている。しかしこれは各メーカー独自の正常範囲である。
当施設および一般的に適正な血清TおよびSHBGの正常範囲を測定し、高アンドロゲン血症の判定に及ぼす影響を検討した。
SHBGおよびテストステロンを測定し遊離および生物学的Tは計算により求めた。対象は高アンドロゲン血症ではないことが確認され選ばれた女性30例(a群)、健康女性血液提供者87例(b群)、高アンドロゲン血症の女性53例(c群)およびキットメーカーの正常範囲では生化学的高アンドロゲン血症ではないが高アンドロゲン性の異常を示す女性38例(d群)である。【結果】
・平均SHBGは4群間で有意に異なっていた。
・SHBGは高アンドロゲン血症ではないことが確認され選ばれたa群で有意に高かった。
・新たな正常範囲としてこのa群の値を用いると、明らかなアンドロゲン血症ではないが高アンドロゲン性の異常を示す女性38例中12例(31.6%)が高アンドロゲン血症と判定される。
・同様に健康女性血液提供者(b群)63例中4例が高アンドロゲン血症と判定された。【結論】
高アンドロゲン血症の診断はSHBGの正常範囲に関してメーカーのものではなくカスタマイズされたものを用いることで正確さが改善される。【原著】
Medicina (B Aires). 2014;74(5):359-362.
Female hyperandrogenemia and normal serum levels of testosterone and sex hormone binding globulin.
Danilowicz K, Bruno OD, Mana D, Serra HA, Cross G, Rey JA.【弊社コメント】
女性のテストステロンの男性と異なり正常値は学会等で定められたものがありません。 (野)続きを読む
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IVF/ICSI(体外受精・顕微授精)のプア・レスポンダーに対する経皮テストステロ前処置療法のメタ解析
2014年06月26日
■ 目的
IVF/ICSIにおける卵巣反応低下患者に対する経皮T前処置の有効性についてメタ解析を行った。■ 方法
MEDLINE, EMBASE, コクランライブラリーおよび中国の生化学データベースを用いて無作為化コントロール試験(RCT)の調査を行った。
IVF/ICSI(体外受精・顕微授精)の前に経皮T投与を行いコントロール群と転帰を比較した3つのRCTについてメタ解析を行った。■ 結果
- 3つのRCTの症例数は221例であった。
- メタ解析の結果、IVF/ICSIの前処置に経皮T投与を受けた患者は生存児誕生率[RR=2.01, 95% CI 1.03-3.91],および臨床的妊娠率(RR=2.09, 95% CI 1.14-3.81)が2倍高く、卵子回収率が有意に高かった[mean difference (MD)=1.36, 95% CI 0.82-1.90]。
■ 結論
現況の知見は、経皮Tの前投与がIVF/ICSIに対する卵巣反応低下患者の臨床的転帰を改善する可能性を示している。しかし、研究の対象数が少なく、一様でない事に注意しなければならない。正確な結論に達するためにはより質の高いRCTが必要である。■ 原著
Exp Ther Med. 2014 Jul;8(1):187-194. Epub 2014 Apr 14.(A-935)
Effect of pretreatment with transdermal testosterone on poor ovarian responders undergoing IVF/ICSI: A meta-analysis.
Luo S, Li S, Li X, Qin L, Jin S.続きを読む
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テストステロンの変化は積極的行動に対する勝利の影響に介在する
2013年04月19日
【 目的 ・ 方法 】
テストステロンは競争の中で上昇し、勝者は敗者に比してその上昇が維持される。 この神経内分泌学的反応は将来の支配的行動に影響する事が理論的モデルにより提唱されている。 動物モデルの研究ではこのモデルが支持されるが、ヒトの社会的行動に適用できるというエビデンスは少ない。
今回の研究は、勝利あるいは敗北の経験を無作為に得た男性および女性において、その後の積極的な行動をバリデートした行動評価法により測定した。【 結 果 】
- 男性において勝者は敗者に比してテストステロンが上昇したが、女性では異なっていた。
- より重要な事は、男性では競合によるテストステロンの反応性が競合後の積極的な行動に対する勝利の効果をメディエイトする事である。 しかし女性ではこのような事はなかった。
【 考 察 】
現在の研究の限界(ステータスの影響の可能性)、また積極的な行動に対するテストステロンの影響に関する神経学的機序について議論した。【 原 著 】
Psychoneuroendocrinology. 2013 Apr 12.
Changes in testosterone mediate the effect of winning on subsequent aggressive behaviour.
Carre JM, Campbell JA, Lozoya E, Goetz SM, Welker KM.
Wayne State University, United States.続きを読む
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2012年11月30日
【 背景 】
世界の先進国において、男性は女性よりも早期に心血管疾患(CVD)を発症し、寿命が5~10年短い。 男性において低総テストステロン(TT)が新たなCVDリスク因子として提示されているが、その影響の性差については研究が非常に少ない。【 方法 】
縦断的研究 Study of Health in Pomerania, Germany. のコホートから年齢20~79歳の4152例(男性2113例および女性2039例)のデータを用いた。
多変量ポアソンおよびCox比例ハザードモデルを用い、心血管疾患(フォローアップ期間5年間)、全原因死亡およびCVD死亡(フォローアップ期間10年間)リスクを解析した。加えて、男性において低TT(<10th percentile)に起因するリスクを評価した。【 結果 】
- 男性は女性に比して、過体重、高血圧、脂質異常、メタボリック・シンドロームおよび2型糖尿病を含め血管疾患のリスクが一様に高かった。
- 男性は女性に比して全原因死亡(hazard ratio = 2.05; 95% CI, 1.61-2.60)および10年CVDリスクが上昇していた。
- サブグループ解析において、低TTの男性は残りの高TTの男性および女性に比して10年CVDおよび死亡リスクが高かった。
- TTはフラミンガム・リスク・スコアによる心血管リスクとネガティブに関連していた(P < 0.001)。
【 結論 】
大規模集団の解析において、男性は全般的に心血管疾患罹患および死亡のリスクが高かった。さらに低TTの男性は10年CVDおよび死亡リスクが高かった。【 原著 】
Gend Med. 2012 Nov 19. pii: S1550-8579(12)00189-1.
Low Testosterone Concentrations in Men Contribute to the Gender Gap in Cardiovascular Morbidity and Mortality.
Haring R, John U, Völzke H, Nauck M, Dörr M, Felix SB, Wallaschofski H.
Institute of Clinical Chemistry and Laboratory Medicine, University Medicine Greifswald, Greifswald, Germany続きを読む