Category:エストロゲンと骨密度
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2011年08月11日
【 背 景 】
エストロゲン補充のリスクに関する懸念は、大豆の有効性が証明されていないにもかかわらず、更年期のホルモン療法に代わるものとして、閉経後の女性に大豆製品の使用が大幅に増加していることである。
今回、イソフラボン錠剤を用いて骨量低下や更年期症状などの有効性の検討を行った。【 方 法 】
研究は単一施設で、無作為化、2004年7月1日から2009年3月31日まで実施されたプラセボ対照、二重盲検比較試験。
閉経5年以内で腰椎や股関節の骨密度Tスコア-2.0以上の女性(45~60歳)を対象に、大豆イソフラボンの錠剤を 200mg/日、またはプラセボを投与した。
主なアウトカム(評価項目)は、2年後のフォローアップ時における腰椎、股関節、大腿骨頸部の骨密度変化であり、副次的なアウトカムは、更年期症状、腟細胞、Ⅰ型骨コラーゲンN-テロペプチド、脂質、および甲状腺機能の変化である。【 結 果 】
2年後、投与者群(n=122)とプラセボ群(n=126)の間に、脊椎の骨密度(投与者:-2.0%、プラセボ:-2.3%)、股関節(投与者:-1.2%、プラセボ:-1.4%)、大腿骨頸部(投与者:-2.2%、プラセボ:-2.1%)と有意差は認められなかった。
イソフラボン投与者の大部分は、プラスミド群と比較して、ほてりや便秘を経験した。他の測定結果では両群間に有意差を認めなかった。【 結 論 】
2年間・200mg/日の大豆イソフラボンを投与した女性において、骨量低下や更年期症状を予防できなかった。【 付 記 】
骨密度 (bone mineral density: BMD)
単位体積あたりの骨量。骨に含まれるミネラル(無機物: カルシウムやマグネシウム)の密度。Tスコア
若年齢の平均BMD値(基準値)を0、標準偏差を1SDとして、指標を規定した値。WHO(世界保健機関)が定めた骨粗鬆症診断基準に用いられる。Ⅰ型骨コラーゲンN-テロペプチド
骨基質の主要構成蛋白であるⅠ型コラーゲンの分解産物。骨吸収が起こると、分解生成されるⅠ型コラーゲンのペプチド断片は、N-末端側由来の産物であるN-テロペプチドも含まれている。これが骨組織から血中に放出されるため、骨粗鬆症、原発性副甲状腺機能亢進症、悪性腫瘍の骨転移など、骨吸収が亢進する疾患の経過観察に用いられる。【 原 著 】
Archives of internal medicine. 2011 Aug 8;171(15):1363-9.
Soy Isoflavones in the Prevention of Menopausal Bone Loss and Menopausal Symptoms: A Randomized, Double-blind Trial.
Levis S, Strickman-Stein N続きを読む
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2006年07月18日
【方法】
対象:子宮切除のない60~80歳の閉経後の女性、417例。
投与:無作為に実薬群208例、プラセボー群209例に割付、実薬群にMenostar(17-beta estradiol 14mcg/日)を24ヶ月間投与した。加えて全例に、Ca 800mg及びビタミンD 400IUを投与した。
調査項目:投与前及び24ヶ月後に腰椎及び全身のBMD、骨回転マーカー及び子宮内膜の厚さ。【結果】
終了時点において、エストラジオール群はプラセボー群に比して腰椎及び全身のBMDが有意に増加し、骨回転マーカーが有意に減少した。有意差は全パラメーターで強度(p<0.001)であった。腰椎のBMDの増加は最初のBMD及び骨粗鬆症リスクファクターの存在とは無関係であった。
重篤な副作用イベントはエストラジオール群で24例に、プラセボー群で23例に認め、各群で10%の患者が副作用イベントのため中止した。代表的な副作用イベントはエストラジオール群で、上部気道感染、事故による傷害、関節痛、白帯下および適用部位の反応であった。これらはプラセボー群でも同様にみられた。【結論】
この併用療法は腰椎及び全身のBMDを増加できる。【原著】
Ultra-Low Dose Menostar (Estradiol Transdermal System) Increases Bone Mineral Density: Presented at NAMS
2005年9月29日 16th annual meeting of the North American Menopause Society (NAMS)における Laslo B.Tanko.MD,PhD の発表【引用】Doctor’s Guide
【担当者コメント】
学会発表であり、抄録ではなく第三者の報告なので不明なところはありますが、Ca及びビタミンD補給下、24ヶ月という長期間の治療ながら、14mcg/日という低用量で経皮的投与によるエストラジオールの効果が確認された、という報告です。(野)続きを読む