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更年期や性機能についての学術情報、最新研究などを紹介いたします。更年期や性機能についての学術情報、最新研究などを紹介いたします。

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Category:加齢とQOLの低下・生活習慣病

  • 若年男性における肥満のテストステロンおよび性機能に及ぼす影響

    2014年07月01日


    ■ 目的
    若年男性において体重の増加が血清Tの減少および性機能の低下と関連するか否か検討した。

    ■ 目的
    年齢20~49歳の男性136例から全般的健康、薬物療法、うつ症状および性生活に関するデータを収集した。 血清LH、総テストステロン、DHEAS、E2、SHBG、総コレステロール、LDLおよびHDLコレステロールおよび中性脂肪を測定し、BMI、ウェスト・ヒップ比(WHR)および遊離テストステロン指数(FTI)を計算により求めた。

    ■ 結果

    • 性的空想の想起、早朝勃起および勃起機能は最高齢群において最若年群に比して有意に低下していたが、オーガズムには差異がなかった。
    • 肥満の30歳男性は正常なBMIの男性に比して総テストステロンが有意に低かった。いっぽう、肥満の40歳男性においてはLHおよびSHBGの低下も認められた。
    • 脂質レベルおよび性行為の実行に関してはBMIによる差異は認められなかった。
    • 勃起機能および早朝勃起は年齢、BMIおよびWHIと負相関し、FTIと正相関した。しかし検討した他のホルモンおよび脂質とは相関性がなかった。

    ■ 結論
    若年男性において肥満はテストステロン・レベルの低下を原因として勃起機能の悪化をもたらす。

    ■ 原著
    Endokrynol Pol. 2014;65(3):203-9. doi: 10.5603/EP.2014.0028.
    Relationship between sexual function, body mass index and levels of sex steroid hormones in young men.
    Jastrzębska S1, Walczak-Jędrzejowska R, Kramek E, Marchlewska K, Oszukowska E, Filipiak E, Kula K, Słowikowska-Hilczer J.

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  • テストステロンの心血管系に及ぼす有用性とリスク

    2014年06月30日


    ■ 要約
    テストステロンの欠乏は心血管疾患(CVD)を有する男性において高率に認められ、死亡率の上昇と関連している。低テストステロンはインスリン抵抗性、糖尿病、脂質異常、内臓肥満および内皮機能異常等の心血管リスク因子に対し悪影響をもたらす。

    男性という性は早期のCVDおよび死亡率に対するリスク因子としてよく知られている。 テストステロンの欠乏はアテローム形成の寄与因子か、あるいは単に病態のバイオマーカーに過ぎないか否かという疑問が挙がっている。

    動物実験および in vitro での研究結果はアテローム形成に関する機序がテストステロンによって抑制的に調整されている事を示している。

    疫学的研究は中等度~正常上限内の内因性テストステロン・レベルの男性は低テストステロンおよび高テストステロンの男性に比して心血管イベントが減少していた事を示した。

    性腺機能低下男性に対する正常レベルのテストステロン補充は心臓虚血、機能的運動容量等の幾つかの心血管リスク因子に対し有用効果を示し、死亡率を改善した。

    しかし、未治療あるいは高用量のテストステロンの研究では心血管関連イベントのリスク上昇と関連していた。

    それゆえ、臨床的モニターおよびテストステロン用量の適正化が非常に重要である。

    ■ 原著
    Front Horm Res. 2014;43:1-20. Epub 2014 Jun 10.
    Testosterone and cardiovascular risk in men.
    Kelly DM, Jones TH.

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  • テストステロン療法と血栓形成および心血管イベント

    2014年06月24日


    ■ 要旨
    テストステロン療法(TT)の開始と血栓(~4.5months)および心血管(CVD)イベント(~3months)の発症までの期間は類似しており、病態生理学的に同様の基盤があると推定される。
    我々は男性38例および女性4例においてテストステロン療法開始5カ月後(中央値)に発症した血栓イベントを報告した。 このうち27例は深部静脈血栓-肺塞栓症、12例は骨壊死、1例は中心網脈血栓症、1例は一過性黒内障および1例は脊椎梗塞を呈した。
    テストステロン療法を続行した8例の男性において、適正な抗凝固療法にも拘らず2回目の血栓イベントを発症し、うち3例では3回目の血栓イベントを発症した。
    これら42例中40例は血栓形成素因-線溶系低下の測定がなされ、39例はテストステロン療法開始前に診断がなされていなかった。
    テストステロン療法を開始する前、特に血栓イベントの病歴のある男性では最低限、第5因子ライデンおよびプロスロンビン変異、第8および11因子およびホモステインを測定する事を提案する。
    血栓症の病歴あるいは遺伝性の血栓形成傾向の全患者に対してテストステロン療法のスクリーニングがなされるべきか否かに関して焦点を当てたプロスペクチブなデータが必要である。
    テストステロン療法および全原因および心血管死亡および死亡率および血栓症についての疑問を解決するため、WHI研究のような長期的、前向きの無作為盲検化試験が必要とされる。
    前向きのプラセボー比較のテストステロン療法の結果が出るまで、テストステロン療法は厳密にアンドロゲン欠乏症が確認された男性に制限されるべきである。

    ■ 原著
    Metabolism. 2014 May 15. pii: S0026-0495(14)00145-0.
    Testosterone therapy, thrombosis, thrombophilia, cardiovascular events.
    Glueck CJ, Wang P

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  • 「もしかして LOH症候群では?」小冊子のご案内

    2013年09月10日


    このたび辻村 晃先生(大阪大学医学部 泌尿器科 准教授)にご監修いただき、LOH症候群へのご理解と啓蒙をめざして表題の小冊子を作成いたしました。

     

    入手ご希望の方は、「LOH小冊子希望」と記載のうえ、お名前・ご住所・年齢を明記して、弊社宛にメールでお申込み下さいませ。ご示しいただきましたお名前・ご住所宛に郵送させていただきます。

     

    お葉書でのお申込みをご希望の際も、弊社・甲府工場宛に下記をご記入のうえ、お送りくださいませ。

     

    • お名前
    • ご住所
    • 年齢
    • 件名: LOH小冊子希望
    • その他 (ご質問・ご要望など)

     

    宛先: 大東製薬工業株式会社 甲府工場 お客様相談室

    〒400-0811  山梨県甲府市川田町アリア207

     

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  • テストステロンの使用は前立腺癌の発症と関連しない

    2013年05月29日


    【 目的 】
    前立腺癌を発症した男性のテストステロン補充療法の使用状況およびその影響を調査した。

    【 方法 】
    Surveillance, Epidemiology, and End Results-Medicareデータにリンクし、1992~2007年に前立腺癌と診断された149,354例の男性を同定した。このうち 2,237例(1.5%) が前立腺癌の診断前にテストステロン補充療法を行っていた。傾向スコア法を用いテストステロン補充療法 vs 非補充療法の癌の転帰を評価した。

    【 結果 】

    • テストステロン補充は癌診断時の高齢、非白人および多数の合併症の存在と関連していた(P <.001)。
    • 前立腺癌診断前の非テストステロンvsテストステロンは腫瘍のグレード(34% vs 30%, P <.0001) および T4(6.5% vs 4.3%, P <.0001)に有意差が認められた。
    • 死亡率は前立腺癌診断前年の≧2 PSAの男性で低かった。
    • 全体の生存率、癌患者の生存率、あるいはアンドロゲン枯渇療法の使用は群間で有意差がなかった。

    【 結論 】
    この観察研究期間にけるテストステロンの使用頻度は低かった。テストステロンは悪性前立腺癌とは関連がなく、全体あるいは疾患特異的死亡率に影響していなかった。この結果はテストステロン補充が前立腺癌に関して安全である事を示すが、確定するための前向きの研究が必要である。

    【 原著 】
    Urology. 2013 May 24.
    Use of Testosterone Replacement Therapy in the United States and Its Effect on Subsequent Prostate Cancer Outcomes.
    Kaplan AL, Hu JC.
    Department of Urology, David Geffen School of Medicine, University of California, Los Angeles, Los Angeles, CA.

    【 弊社コメント 】
    「傾向スコア」は、実験ができない場合(調査観察データなど)における交絡の調整方法です。潜在的な交絡要因となる様々な共変量を傾向スコアという一つの合成変数に縮約(一次元化)して、その傾向スコアを基準としてマッチングや層別化を行います。近年医療分野を中心にとても使われてきています(野)。

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  • ラット前立腺は血清テストステロンの低下に対して組織濃度を機能的レベルに維持するように働く

    2013年05月29日


    【 目的 】
    前立腺癌(PC)は加齢およびアンドロゲン依存性疾患である。加齢に伴うアンドロゲンレベルの低下とは逆説的に、PCのリスクは上昇する。全身性のアンドロゲンレベルとPCリスクの間に相関性はないが、全身性のアンドロゲンレベルは前立腺組織のアンドロゲンレベルを反映していない。転移性PCにおいて、ホルモン療法中のアンドロゲン生合成経路の変化は癌組織のアンドロゲンレベルを高め、アンドロゲン受容体(AR)シグナリングの持続の原因となっている。加齢に伴うアンドロゲンの低下と共に正常前立腺組織において同様の変化がおき腫瘍発生の原因となっている可能性がある。
    ラット前立腺が血清テストステロン(T)の低下にも関わらず組織濃度を機能的レベルに維持するか否かを検討した。

    【 方法 】
    ラットを去勢し、Tを去勢レベル、正常レベル、正常下限レベルおよび非生理的レベルに維持するカプセルを移植した。6週後にLC-MS/MSにて血清および前立腺のTおよびDHTを測定した。QRT-PCRにてアンドロゲン/ARシグナリングに関連する遺伝子の発現を測定した。

    【 結果 】

    • 有意に差異がある血清TおよびDHTレベルいにも関わらず、各群の前立腺のTおよびDHT濃度は同様であった。
    • 前立腺のアンドロゲン調整遺伝子の発現は全群で同様であり、ラット前立腺は、血清Tの低下にも拘らず機能的レベルのアンドロゲンを維持していた。

    【 結論 】
    テストステロンの低下はアンドロゲン生合成遺伝子の発現を有意に変えた。

    【 原著 】
    J Mol Endocrinol. 2013 May 24.
    Low systemic testosterone levels induce androgen maintenance in benign rat prostate tissue.
    Zhou Y, Otto-Duessel M, He M, Markel S, Synold T, Jones JO.

    Y Zhou, Molecular Pharmacology, City of Hope Beckman Research Institute, Duarte, United States.

    【 弊社コメント 】
    以前から言われていたと思いますが、アンドロゲン(男性ホルモン)のレベルは血清と前立腺組織では異なる事に加え、血清レベルが低下すれば前立腺組織だけはそれを維持しようと反応するという現象です。生殖能を維持しようとする仕組みかもしれません(野)。

    古来より前立腺癌に対するテストステロン悪玉説が指摘されて来ましたが、皮肉なことに、研究が進むほど「テストステロンの欠乏が前立腺癌の発症リスクにつながる」という機序が示唆されつつあります。
    テストステロンが多過ぎても、少な過ぎても、様々な健康リスクになることが判りつつあります。 そして、加齢で少な過ぎる分は、健康的な生活習慣(適度な食事と運動、睡眠)をベースに、それでも不足し過ぎない程度のテストステロンを少しずつ補充するのが最善と思うのです(福)。

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