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更年期や性機能についての学術情報、最新研究などを紹介いたします。更年期や性機能についての学術情報、最新研究などを紹介いたします。

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Category:男性ホルモン(アンドロゲン・ テストステロン)

  • 大量のエアロビクス運動は性機能、テストステロン、体重、ウェスト周囲径および脂肪量を著明に改善する

    2013年05月13日


    【 目 的 】
    肥満男性の性機能、テストステロン、下部尿路症状(LUTS)、内皮機能およびQOLに対する少量(LV)および大量(HV)の中等度運動の影響を検討した。

    【 調査項目 】
    開始時および24週後に以下の測定を行った。体重、ウェスト周囲径(WC)、体組成、IIEF-5、IPSSスコア、SF-36スコア、血清テストステロン、SHBG、血糖、インスリンおよび脂質、および内皮機能(反応性充血指数[RHI] using finger plethysmography)。

    反応性充血指数:RHI
    血流依存性血管拡張反応検査の一種。 両手の指先の爪の下の血管を15分ほど観察することにより、血管内皮細胞の働きを検知する。

    【 方 法 】
    90例の肥満(BMI>27.5kg/m2 , WC>90cm)、および座りがちな生活スタイル(運動 80分/週)のアジア人男性(平均年齢43.6、レンジ30~60)に対して1日必要カロリーより400kcal少ない食事療法および中等度の運動をLV(<150分/週) あるいは HV(200~300分/週)(n=45 each)のいずれかを無作為に24週間処方した。75例の男性(83.3%)が試験を完了した。

    【 結 果 】

    • 週間運動量はHV群 236±9分で、LV群105±9分より多かった。
    • HV群はLV群よりIIEFスコアおよびテストステロンが有意に増加し、体重、WCおよび脂肪量が有意に減少した。すなわち、IIEFスコアが2.6±0.5points vs 1.8±0.5points、テストステロンが 2.06±0.46nmol/L vs 0.79±0.46nmol/L、体重が-5.9±0.7kg, -6.2% vs -2.9±0.7kg, -3.0% 、WCが-4.9±0.8cm, -4.9% vs -2.7±0.7cm, -2.5% および脂肪量が-4.7±1.0kg, -14.5% vs  -1.1±0.8kg, -3.2%であった。
    • IPSSおよびSF-36スコアおよびRHIの改善は、両群で同様であった。

    【 結 論 】
    中等度の大量のエアロビクス運動(週200分以上)は少量の運動より性機能、テストステロン、体重、WCおよび脂肪量を著明に改善する。

    【 原 著 】
    J Sex Med. 2013 May 1. doi: 10.1111/jsm.12154.
    Comparing Effects of Low- and High-Volume Moderate-Intensity Exercise on Sexual Function and Testosterone in Obese Men.
    Khoo J, Tian HH, Tan B, Chew K, Ng CS, Leong D, Teo RC, Chen RY.
    Department of Endocrinology, Changi General Hospital, Singapore, Singapore.

     

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  • 2型糖尿病男性の性機能およびQOLに対するテストステロン補充療法

    2013年04月25日


    【 目 的 】
    2型糖尿病男性では性機能障害、特に勃起不全(ED)が多く認められる。性腺機能低下症の発現率も糖尿病男性では高く、低テストステロンが性機能障害と関連し、EDに対する経口療法の反応性を減じている。
    長時間作用型テストステロンアンデカノエイト(TU)によるテストステロン補充療法の性機能、ムードおよびQOLに対する効果をプラセボと比較検討した。試験は30週間にわたって行い、さらに52週オープンラベルにてフォローした。

    【 方 法 】
    対象として一般診療所の総テストステロン12nmol/L以下または遊離テストステロン250pmol/L以下の男性糖尿病患者211例をスリーニングした。 2型糖尿病および性腺機能低下男性199例にてニ重盲検プラセボ比較試験を行い、TU1000mgまたはプラセボを30週間投与し、さらに52週オープンラベルにてフォローした。
    一次評価項目としてIIEFによる性機能の調査を行い、二次評価項目としてAMS、Hospital
    Anxiety and Depression Scale、 および Global Efficacy Questionを用い、ムードおよび自己報告QOLの調査を行った。

    【 結 果 】

    • テストステロン補充療法は6週後より有用性が認められ、30週後の評価で性機能の全ドメインを改善した(勃起機能, P=0.005; 性交満足度, P=0.015; 性欲, P=0.001; 全体的満足度, P=0.05; およびオーガズム, P=0.04)。
    • AMSスコアの改善は抑うつのない男性有意であり(P=0.02)、ベースラインでの抑うつの存在は性機能および精神的スコアの反応の著明な減少と関連していた。
    • 性機能の全反応は18カ月まで有意にな改善が続き勃起機能スコアがベースラインより4.31改善した。
    • PDE5阻害剤使用の35例の小集団においてはニ重盲検フェースでは変化が認められなかったが、52週のオープンフェーズで勃起機能の改善が認められた。
    • 治療が健康を改善したと感じたのは30週後TU群48%に対してプラセボ群17%で、オープンラベルによる治療後は70%に達した。
    • 肥満が少ないおよび高齢の患者はテストステロン療法に対する反応が良好であった。
    • 有意な有害事象はなかった。

    【 結 論 】
    TUはIIEFの全ドメインおよび患者報告QOLを改善し、52週のオープンラベルでの延長後さらに有意に改善した。 改善は肥満の無い患者および抑うつのない患者で顕著であった。

    【 原 著 】
    J Sex Med. 2013 Apr 3. doi: 10.1111/jsm.12146.
    Testosterone Replacement Therapy with Long-Acting Testosterone Undecanoate Improves Sexual Function and Quality-of-Life Parameters vs. Placebo in a Population of Men with Type 2 Diabetes.
    Hackett G, Cole N, Bhartia M, Kennedy D, Raju J, Wilkinson P.
    Good Hope Hospital, Sutton Coldfield, UK.

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    カテゴリマーク男性ホルモン
    (アンドロゲン・テストステロン)

    男性ホルモン(アンドロゲン・ テストステロン)

    テストステロンの変化は積極的行動に対する勝利の影響に介在する

    2013年04月19日


    【 目的 ・ 方法 】
    テストステロンは競争の中で上昇し、勝者は敗者に比してその上昇が維持される。 この神経内分泌学的反応は将来の支配的行動に影響する事が理論的モデルにより提唱されている。 動物モデルの研究ではこのモデルが支持されるが、ヒトの社会的行動に適用できるというエビデンスは少ない。
    今回の研究は、勝利あるいは敗北の経験を無作為に得た男性および女性において、その後の積極的な行動をバリデートした行動評価法により測定した。

    【 結 果 】

    • 男性において勝者は敗者に比してテストステロンが上昇したが、女性では異なっていた。
    • より重要な事は、男性では競合によるテストステロンの反応性が競合後の積極的な行動に対する勝利の効果をメディエイトする事である。 しかし女性ではこのような事はなかった。

    【 考 察 】
    現在の研究の限界(ステータスの影響の可能性)、また積極的な行動に対するテストステロンの影響に関する神経学的機序について議論した。

    【 原 著 】
    Psychoneuroendocrinology. 2013 Apr 12.
    Changes in testosterone mediate the effect of winning on subsequent aggressive behaviour.
    Carre JM, Campbell JA, Lozoya E, Goetz SM, Welker KM.
    Wayne State University, United States.

     

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  • 高血圧患者における心血管疾患発現とテストステロン

    2013年02月14日


    【 目的 】
    アンドロゲン欠乏は心血管イベントおよび総死亡の独立したリスクである。高血圧は心血管疾患発現の重要な寄与因子であり、また低テストステロンの増加と関連している。
    臨床的なアテローム性動脈硬化がない中高年の非糖尿病高血圧患者において、低アンドロゲンが重篤な心血管イベント(MACE)の発現を予測しうるか否かを検討した。

    【 方法 】
    228例の男性患者(平均年齢56歳)における総テストステロン(TT)とMACEの関係を比例ハザードモデルにより解析した。

    【 結果 】

    • 平均調査期間44カ月間に、228例中19例(8.3%)の MACEの発現が認められた。
    • MACEを発現しなかった患者に比較して、MACE発現患者のTTは低く( 3.9±0.7ng/ml vs. 4.6±1.5ng/ml, P < 0.01 )、性腺機能低下症の発現率は高かった(36% vs. 16%, P < 0.05)。
    • 多変量コックスモデル解析において、年齢、収縮期血圧およびリスク因子で調整後TTの最低三分位群(<4.0ng/ml)は最高三分位群(>4.9ng/ml) に比してMACEのリスクが有意に高かった。
    • TT 5.04ng/mlがMACEを97.2%除外できるネガティブな予測値であった。
    • 標準的なリスク因子にTTを加えることにより、リスク予測が38.8%有意に改善した(P < 0.05)。

    【 結論 】
    低テストステロンは高血圧患者におけるMACEのリスク上昇と関連している。標準的リスク因子にTTを加える事によりリスク予測は改善し、これら患者における心血管疾患リスクの有用なバイオマーカーであると思われる。

    【 原著 】
    Am J Hypertens. 2013 Mar;26(3):373-81. doi: 10.1093/ajh/hps056. Epub 2013 Jan 7.
    Plasma total testosterone and incident cardiovascular events in hypertensive patients.
    Vlachopoulos C, Ioakeimidis N, Terentes-Printzios D, Aznaouridis K, Rokkas K, Aggelis A, Synodinos A, Lazaros G, Stefanadis C.
    Peripheral Vessels Unit, First Department of Cardiology, Hippokration Hospital, Athens Medical School, Athens, Greece.

    【 弊社コメント 】
    重篤な心血管疾患の発現を防ぐため総テストステロン504ng/dl以上が必要です。(野)

     

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  • テストステロンによる赤血球増加作用のメカニズム

    2013年02月14日


    【 目的・方法 】
    テストステロンの赤血球増加作用はよく知られているが、しかしその機序は不明である。雌雄マウスにおいて、テストステロンと鉄の赤血球内移行の関連性を検討した。

    【 結果 】

    • 雌雄マウスに対するテストステロン投与はヘモグロビンおよびヘマトクリット、網状赤血球数、網状赤血球ヘモグロビンおよび血清鉄および転送飽和度をプラセボーより大きく高めた。
    • テストステロンは肝臓のヘプシジンmRNA発現をダウンレギュレートし、腎臓のエリスロポイエチンmRNA発現をアップレギュレートし、そしてエリスロポイエチン・レベルを上げた。
    • テストステロンによるヘプシジン発現の抑制はエリスロポイエチンあるいは低酸素感受性機序とは無関係であった。
    • 肝臓特異性ヘプシジンを過剰発現するトランスジェニックマウスにおいてはテストステロンによるヘモグロビンの増加反応が認められなかった。
    • テストステロンは脾臓のフェロポチン発現をアップレギュレートし、脾臓の鉄滞留を抑えた。
    • トランスフェリン結合(58) Feの静脈内投与後の(58) Feの赤血球細胞内への移行はテストステロン投与マウスにおいて有意に高かった。
    • テストステロン投与マウスの血清は赤白血病K562細胞のヘモグロビン合成を刺激した。
    • テストステロン投与はSmad1 および Smad4とアンドロゲン受容体(AR)の関連性を促進し、肝臓におけるヘプシジンプロモーターのBMP結合を抑制した。
    • 肝細胞におけるARの異所性発現はヘプシジンの転写を抑制し、この作用はAR拮抗剤フルタミドにより用量依存的にブロックされた。
    • テストステロンはヘプシジンmRNA の安定性には影響しなかった。.

    【 結論 】
    テストステロンはBMP-Smadシグナリングの相互作用を介してヘプシジンの転写を阻害する。テストステロン投与は赤血球細胞内への鉄移行の増加と関連している。

    【 原著 】
    Testosterone Administration Inhibits Hepcidin Transcription and is Associated with Increased Iron Incorporation into Red Blood Cells.
    Guo W, Bachman E, Li M, Roy CN, Blusztajn J, Wong S, Chan SY, Serra C, Jasuja R, Travison TG, Muckenthaler MU, Nemeth E, Bhasin S.
    Section of Endocrinology, Diabetes, and Nutrition, Boston University School of Medicine, Boston, USA.

    【 弊社コメント 】
    以下の鉄の赤血球内移行に関する解説を読むとよく理解できます。

    • 体内における鉄の動態

    (ヘプシジン、フェロポーティン、肝細胞を中心とした鉄の動態)

    • SMAD

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  • 慢性心不全男性患者における運動療法中のテストステロン補充

    2012年12月04日


    【 目的 】
    慢性心不全(CHF)に低テストステロンを伴う男性患者における12週間運動プログラムとテストステロン(筋注)補充および非補充の有用性を検討した。

    【 方法 】
    男性CHF患者41例、平均年齢67.2歳( 51~84歳 )、総テストステロン10.7 ± 2.6 nmol/L (309 ± 76 ng/dL) を運動+テストステロン(T)または+プラセボ群に無作為に割り付けた。評価項目は往復歩行テストおyび筋力の増分、心エコー検査、N末端プロBNP、うつ症状(Beck Depression Inventory)、および健康関連QOL (Minnesota Living with Heart Failure Questionnaire and Medical Outcomes Study Short-Form)。

    【 結果 】

    • 試験脱落率は30%であったが、試験を完了した患者における運動および注射のコンプライアンスは100%であった。
    • T併用および非併用群間に往復歩行テスト (18% vs 19%)、身体容量(-1.3 kg vs -1.0 kg), および握力(2.1 kg vs 2.5 kg) の変化に差異はなかった。
    • T+運動併用群は開始時から最大酸素摂取量(P < .01), うつ症状(P < .05), 足の強度 (P < .05), および Medical Outcomes Study Short-Form quality of life の数ドメイン(P < .05)が有意に改善した。 これらはプラセボ+運動群では変化見られなかった。
    • 心エコー検査、N末端プロBNPおよび炎症マーカーには殆ど変化がなかった。

    【 結論 】
    この報告は、低テストステロンの慢性心不全患者における運動療法中のテストステロン補充が可能であり、健康アウトカムに好影響を及ぼす事を示す最初のものである。

    【 原著 】
    Am Heart J. 2012 Dec;164(6):893-901.. Epub 2012 Oct 30.
    Testosterone
    therapy during exercise rehabilitation in male patients with chronic
    heart failure who have low testosterone status: A double-blind
    randomized controlled feasibility study.

    Stout M, Tew GA, Doll H, Zwierska I, Woodroofe N, Channer KS, Saxton JM.
    Department of Cardiology, University Hospital of South Manchester, Manchester, United Kingdom.

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  • シルデナフィルに対するテストステロンの上乗せ効果

    2012年12月04日


    【 目的 】

    勃起不全(ED)および低テストステロンの頻度は高い。EDと低テストステロンを合併す男性に対するシルデナフィル療法へのテストステロンの付加が勃起反応を改善するか否か検討した。

     

    【 方法 】

    対象は年齢40~70歳、IIEFEFドメインスコア25点以下、総テストステロン(TT)11.45 nmol/L (<330 ng/dL)以下または遊離テストステロン(FT)173.35 pmol/L (<50pg/mL)以下の男性。シルデナフィルの用量を適正化した後、140例の被験者を10gテストステロン・ゲル群70例およびプラセボー群70例、各14週間投与に無作為に割り付けた。

     テストステロン群10例、プラセボー群12例が試験を完了しなかったが、一次解析は全例を対象とした。

    【 結果 】

    • 開始時、両群は同様のEFDスコアであった。
    • シルデナフィル単独投与はEFDスコアを上昇したが(mean, 7.7 [95% CI, 6.5 to 8.8])、無作為化後の両群のEFDスコアの変化率に差異はなかった(difference, 2.2 [CI, -0.8 to 5.1]; P = 0.150)
    • 若年者、肥満者、開始時低テストステロン、シルデナフィル単独効果不十分例においても性機能ドメインは同様であった。
    • 有害事象は両群で差異がなかった。
    • テストステロンが単独で勃起機能を改善するか否かは検討しなかった。

    【 結論 】

    シルデナフィル+テストステロンは、シルデナフィル+プラセボ以上に勃起機能を改善しなかった。

     

    【 原著 】

    Ann Intern Med. 2012 Nov
    20;157(10):681-91.

    Effect of testosterone replacement on
    response to sildenafil citrate in men with erectile dysfunction: a parallel,
    randomized trial.

    Spitzer M, Basaria S, Travison TG, Davda
    MN, Paley A, Cohen B, Mazer NA, Knapp PE, Hanka S, Lakshman KM, Ulloor J, Zhang
    A, Orwoll K, Eder R, Collins L, Mohammed N, Rosen RC, Derogatis L, Bhasin S.

    Boston University School of Medicine, 670 Albany Street, Boston, MA 02118, USA.

    シルデナフィルにテストステロンを加えてもEDのさらなる改善なし (日経メディカルオンライン)

    【 弊社コメント 】

    併用による効果の増強が認められなかったという報告です。これまでの報告では併用の意義を認めるものが殆どでした。原因の一つとして対象の選び方にあります。これまでの多くはPDE5阻害剤単独では効果が不十分な例を対象としていました。今回はシルデナフィルで用量を適正化したのちに、テストステロンを上乗せし、効果が増強されるかみています。この違いが大きいかと思います。
    但し、この試験でもサブグループ解析でシルデナフィル単独効果不十分群を取り上げていますが、やはりテストステロン上乗せ効果がなかったとしています。(野)

    EDの原因は多岐に及び、複数の原因が合併して、PDE5阻害剤と男性ホルモンの補充だけでは単純に治らない場合があると考えております。
    また、低テストステロン状態とEDが長期化している人は、勃起に必要な筋肉や諸々の組織が萎縮・線維化して勃起しにくい状態に陥っているため、相応の期間をかけてリハビリが必要と思われます。
    足や腕を骨折や捻挫でギブスで長く固定していた後、ギブスが取れて直ちに元の通り運動が出来るでしょうか?壮年期を過ぎて高齢になるほど丁寧なリハビリを少しずつ行うことになるのではないでしょうか?
    本報は「テストステロン低値のED患者140人を対象とした無作為化試験」ということで、エビデンス・レベルの高い研究デザインですが、もし短期間の内に効果の有無を評価していたとすれば、男性ホルモンの補充を受けた上でのリハビリ効果が発現する前に「効果なし」と判定される症例もあると思われます。PDE5阻害剤と男性ホルモン補充の併用でより効果的に治せる場合があることも過去の研究報告から事実と考えておりますが、シルデナフィルにテストステロンを加えてもEDのさらなる改善なし」とバッサリ斬り捨てるのは乱暴だと思うのです。(福)

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  • 動脈硬化形成に対するアンドロゲンの影響

    2012年12月03日


    【 目的 】
    男性の低テストステロンは心血管疾患と関連している。臨床試験はテストステロン補充(TRT)が心血管疾患の症状を改善し、動脈硬化形成の原因となる炎症を低下することを示している。 動物モデルにおいて、動脈硬化形成に対する有用な効果の一部である血管性炎症メディエイターに対するテストステロンの影響を検討した。

    【 方法 】
    低内因性テストステロンおよび非機能アンドロゲン受容体(AR)を呈する睾丸性女性化マウス(TFM)を用いアンドロゲン状況の動脈硬化形成、血清脂質、および炎症メディエイターに体する影響を検討した。TMFは高コレステロール食で飼育し、生理学的TRTまたは生食水の投与を行い、生殖投与XY同胞マウスと比較した。

    【 結果 】

    • 高コレステロール食28週飼育はXY同胞およびTMFマウスの大動脈起始部における脂肪線条形成を起こし、この効果はTMFマウスにおいて有意に増強されていた。
    • 正常食のTFMマウスはXY同胞に比してTFN-αおよびIL-6の上昇を示した。
    • 高コレステロール食はTFMマウスのMCP-1およびXY同胞のTFN-αおよびMCP-1の上昇を誘発した。
    • TRTはTFMマウスの脂肪線条形成および血清IL-6を減少したが、血清脂質には影響しなかった。
    • 単球/マクロファージ染色の結果、全マウスにおいて大動脈起始部脂肪線条部分に局所性炎症を認め、TRTはTFMマウスにおいてプラークの減少とともに局所性炎症を低下した。
    • Fractalkine (CX(3)CL1) およびその受容体(CX(3)CR1)はアンドロゲン状態とは独立して高コレステロール食の全マウスの脂肪線条に存在した。

    【 結論 】
    この結果は粥腫防御におけるテストステロンのアンドロゲン受容体依存性および非依存性の抗炎症作用を示している。 しかし局所性炎症に関わるテストステロンの機序は不明である。

    【 原著 】
    Endocr Res. 2012 Nov 20.
    Effect of Testosterone on Inflammatory Markers in the Development of Early Atherogenesis in the Testicular-Feminized Mouse Model.
    Kelly DM, Sellers DJ, Woodroofe MN, Jones TH, Channer KS.
    Biomedical Research Centre, Sheffield Hallam University , Sheffield , UK.

     

    (さらに…)

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