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テストステロンによる赤血球増加作用のメカニズム

2013年02月14日


【 目的・方法 】
テストステロンの赤血球増加作用はよく知られているが、しかしその機序は不明である。雌雄マウスにおいて、テストステロンと鉄の赤血球内移行の関連性を検討した。

【 結果 】

  • 雌雄マウスに対するテストステロン投与はヘモグロビンおよびヘマトクリット、網状赤血球数、網状赤血球ヘモグロビンおよび血清鉄および転送飽和度をプラセボーより大きく高めた。
  • テストステロンは肝臓のヘプシジンmRNA発現をダウンレギュレートし、腎臓のエリスロポイエチンmRNA発現をアップレギュレートし、そしてエリスロポイエチン・レベルを上げた。
  • テストステロンによるヘプシジン発現の抑制はエリスロポイエチンあるいは低酸素感受性機序とは無関係であった。
  • 肝臓特異性ヘプシジンを過剰発現するトランスジェニックマウスにおいてはテストステロンによるヘモグロビンの増加反応が認められなかった。
  • テストステロンは脾臓のフェロポチン発現をアップレギュレートし、脾臓の鉄滞留を抑えた。
  • トランスフェリン結合(58) Feの静脈内投与後の(58) Feの赤血球細胞内への移行はテストステロン投与マウスにおいて有意に高かった。
  • テストステロン投与マウスの血清は赤白血病K562細胞のヘモグロビン合成を刺激した。
  • テストステロン投与はSmad1 および Smad4とアンドロゲン受容体(AR)の関連性を促進し、肝臓におけるヘプシジンプロモーターのBMP結合を抑制した。
  • 肝細胞におけるARの異所性発現はヘプシジンの転写を抑制し、この作用はAR拮抗剤フルタミドにより用量依存的にブロックされた。
  • テストステロンはヘプシジンmRNA の安定性には影響しなかった。.

【 結論 】
テストステロンはBMP-Smadシグナリングの相互作用を介してヘプシジンの転写を阻害する。テストステロン投与は赤血球細胞内への鉄移行の増加と関連している。

【 原著 】
Testosterone Administration Inhibits Hepcidin Transcription and is Associated with Increased Iron Incorporation into Red Blood Cells.
Guo W, Bachman E, Li M, Roy CN, Blusztajn J, Wong S, Chan SY, Serra C, Jasuja R, Travison TG, Muckenthaler MU, Nemeth E, Bhasin S.
Section of Endocrinology, Diabetes, and Nutrition, Boston University School of Medicine, Boston, USA.

【 弊社コメント 】
以下の鉄の赤血球内移行に関する解説を読むとよく理解できます。

  • 体内における鉄の動態

(ヘプシジン、フェロポーティン、肝細胞を中心とした鉄の動態)

  • SMAD

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