Category:男性更年期障害・LOH症候群
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2020年10月01日
内分泌系は、ホメオスタシスの元に正または負の刺激に応答して動的に調節されている。テストステロン療法のモダリティは、投与間隔を延長し、持続的な「定常状態」のテストステロンレベルを維持するように進化してきた。長時間作用型テストステロン療法は、視床下部-下垂体-性腺軸を阻害し、下垂体のLHおよびFSH分泌を抑制し、LHおよびFSHの循環レベルおよび内因性テストステロン産生を低下する。
これらの内分泌変化は、精子形成の抑制および不妊、さらに他の副作用をもたらす。これらの長時間作用型テストステロン療法による精子産生への悪影響は、多くの適応外製品の使用につながっている。ゴナドトロピン産生を刺激し、その結果テストステロンレベルを上昇させるクエン酸クロミフェンが性腺機能低下症の治療および同時に生殖能力の維持のために用いられている。
半減期が短いテストステロンを数回投与する短時間作用型テストステロン療法は、視床下部-下垂体-性腺軸の阻害を最小限に抑え、精子形成の障害を軽減する。FDAが承認した、より短時間作用型のテストステロン療法製剤は、正常な生理機能をより厳密に反映する恒常性を維持し、性腺機能低下症の治療に大きな期待をもたらす。これは、長時間作用型製剤よりも利点を有している。
この治療法は、適応外治療製剤の使用ではなく、FDA承認のテストステロン補充を可能にし、治療対象患者の生殖能力を維持する。この仮説の支持には、短時間作用型テストステロンを用いたより長期間の研究が必要である。しかし、これまでに実施された研究は仮説を支持する傾向を示している。長時間作用型テストステロンが視床下部-下垂体-性腺の抑制をもたらし、生理学変化をもたらすという報告は多い。短時間作用型テストステロン療法は、テストステロン欠乏症の治療のパラダイムを変える可能性がある。
Short-Acting Testosterone: More Physiologic?
Affiliations- PMID: 33117287
- PMCID: PMC7561367
- DOI: 10.3389/fendo.2020.572465
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2018年08月06日
<目的>
アンドロゲンおよびコルチゾール等のステロイドホルモンのレベルは日内変動を示し、その変動は睡眠‐覚醒サイクルと関係している。現在、ステロイドホルモンの分泌における睡眠の各ステージの機能的役割は不明のままである。
そこで、コルチゾールおよびアンドロゲンの早朝レベルに対する徐波睡眠(SWS)抑制の影響を調査した。
<方法>
12名の健康男性ボランティアが2つの実験セッションに参加した。すなわち、夜間睡眠中の選択的SWS抑制セッションおよび通常夜間睡眠セッション(コントロール)である。
SWS抑制は音響トーンを用いた刺激により行った。起床直後および40分後に唾液を採取した。LCタンデム質量分析計により採取した唾液中のテストステロン(T)、アンドロスタンジオン(Ad)、DHEA 、17α-hydroxyprogesterone (17-OHP)およびコルチゾールを測定した。
<結果>
・SWS抑制は総睡眠時間および睡眠効率に影響することなく全体のSWS時間を54.2%減少した。
・選択的SWS抑制セッションにおいて、早朝Tの平均レベルはコントロールセッションより低かった(p = 0.017)。
・同様に、17-OHPはSWS抑制において低かった(p = 0.011)、ところがDHEA/Ad比は高かった(p = 0.025).。
・コルチゾール、Ad、あるいはDHEA濃度にはセッション間で有意な差異が無かった。
<結論>
Tおよび17-OHPの早朝レベルに対する選択的SWS抑制の影響はアンドロゲンの合成および分泌に対するSWSの重要性を示している。
この結果は、SWSの減少による慢性的睡眠障害は長期的にアンドロゲン欠乏のリスク増加を示唆している。
徐波睡眠(slow wave sleep:SWS):2Hz以下の徐波が連続する睡眠状態。 急速眼球運動を伴わない睡眠。ノンレム睡眠。
【原著】
Sleep Med. 2018 May 12;48:117-126. doi: 10.1016/j.sleep.2018.04.012.
Ukraintseva YV, Liaukovich KM, Polishchuk АA, Martynova ОV, Belov DA, Simenel ES, Meira E Cruz М, Nizhnik АN.
【弊社コメント】
良質の健康な睡眠は、いわゆる「深い眠り(ノンレム睡眠)」と「浅い眠り(レム睡眠)」を約90分のサイクルで繰り返していると言われていますが、深い眠りを減少させると、男性ホルモンの不足に陥るリスクがあるとのことです。
男性ホルモンの不足がもたらす健康リスクが明らかになるなか、男性ホルモンの分泌を維持し、ひいては様々な健康リスクを避けるためにも、質の良い睡眠をとる生活をお勧めします。(福)
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2018年05月14日
- テストステロン(T)欠乏は心血管疾患(CVD)の男性で一般的であり、無作為プラセボ比較試験(RCT)は慢性安定性狭心症患者の労作性心虚血、慢性心不全(CHF)患者の運動耐容能、運動時最大酸素消費量(VO2max)および筋力、Q-T間隔の短縮および幾つかの心血管リスク因子の改善に対するTの有用性を報告している。
- T欠乏は有害なCVリスクプロフィルおよび死亡と関連している。
- 臨床的および科学的研究はRCTの結果を支持し、それを説明する機序的エビデンスを提供している。
- Tは冠動脈循環および肺血管を含む他の血管床における急速な動脈拡張作用を有し、全身の末梢血管抵抗を下げる可能性がある。
- Tは直接的な非ゲノム的機序によりCaチャネルのブロック(L-Caチャネル)を介して血管反応性に対する作用を媒介し、Kチャネルの開口を刺激する事をエビデンスは示している。
- Tはまた超高速Kチャネル電流を刺激する事により心筋細胞の脱分極を刺激する。
- TはCHF患者の心拍出量、運動耐容能、VO2maxおよび迷走神経を介した動脈圧受容器心臓反射感受性を改善する。
- 心機能に対するTの有用性とは別に、T補充は骨格筋糖代謝を増やし、筋力を高める。運動耐容能の改善に寄与する因子が糖代謝および筋力の完全に関わっている可能性がある。
- Tは体組成、ゲノムおよび非ゲノム的な作用の両者による糖利用および脂質代謝の改善によりインスリン抵抗性及び高脂血症を含むメタボリックなCVリスク因子を改善する。それには糖取り込みおよびインスリン受容体の発現、グルコース・トランスポーターおよびキー代謝経路の調整蛋白の発現が関わっている。
- HDL-Cに対する作用はスタディにより、下降、上昇あるいは変化しないと異なっている。
- T補充はCVD男性患者において血清催炎症サイトカインレベルを抑制し、抗炎症および抗動脈硬化作用を有するIL-10の産生を刺激すると思われる。CRPに対する影響は観察されていない。
- 凝固因子に対する有害作用は認められていない。
- Tが頸動脈内膜中膜厚あるいは冠動脈Ca沈着のような動脈硬化の代理マーカーを改善するあるいは悪化するという有意なエビデンスをRCTは明確に示していない。
- 動脈硬化の予防あるいは改善に関するTの影響はスタチン療法で認められると同様に数年を経過して現れると思われ、TのRCTで使用されている数カ月では生じないと思われる。
- 長期的な疫学的研究からの重要なエビデンスは、T欠乏男性の臨床試験において示された主要心血管イベント(MACE)および死亡の減少といった防御作用を支持している。
- 正常健康レベルにTを補充したRCTはMACEに関して有意な有用性あるいは有害作用を報告していない。また最近のメタ解析も同様である。
Asian J Androl. 2018 Mar-Apr;20(2):120-130. doi: 10.4103/aja.aja_6_18.
Randomized controlled trials – mechanistic studies of testosterone and the cardiovascular system. (原著フリー)
Jones TH, Kelly DM
Robert Hague Centre for Diabetes and Endocrinology, Barnsley Hospital NHS Foundation Trust, Barnsley, UK.続きを読む
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低カロリー食事療法実施肥満男性の脂肪および非脂肪量に対するテストステロン補充療法の影響
2016年10月20日
<目的>
T(テストステロン)療法がカロリー制限以上に体組成に対して有用であるか否かは不明である。そこで、T療法はダイエットによる脂肪の減少を増強し、筋肉喪失を防御するかを検討した。<方法>
三次医療センターにおいて無作為、二重盲検、平行、プラセボ比較試験を行った。対象はTTが12 nmol/L以下の肥満男性 (BMI ≥ 30 kg/m2) 100例で、年齢の中央値は 53 歳 (四分位範囲 47-60)である。10週間の高度低エネルギーダイエット(VLED)に続き46週間の体重維持を行った。開始時から56週の間、無作為にT群(10週に1回Tアンデカノエイト筋注、n = 49, cases))またはプラセボ群(n = 51, controls)に割り付けた。
主要評価項目はDEXAによる脂肪および非脂肪量、およびCTによる内臓脂肪面積の群間差異である。<結果>
・計82例が試験を完了した。
・試験終了時、P群に比してT群の脂肪量の減少は大きく、平均群間差異(MAD)は -2.9 kg (-5.7 to -0.2; P = 0.04), であり、また内臓脂肪面積のMADは-2678 mm2(-5180 to -176; P = 0.04)であった。
・両群ともにVLED後に非脂肪量が同様に減少したが(T群 -3.9 kg (-5.3 to -2.6); P群 -4.8 kg (-6.2 to -3.5), P = 0.36)、T群は体重維持期間に非脂肪量が回復した(3.3 kg (1.9 to 4.7), P < 0.001)。一方P群では非脂肪量の回復は有意ではなかった(0.8 kg (-0.7 to 2.3), P = 0.29) 。それゆえ、試験終了時のT群の非脂肪量の減少はP群に比して緩和され、MAD は3.4 kg (1.3 to 5.5), P = 0.002)であった。<結論>
プラセボの投与を受けダイエットを行った男性は脂肪および非脂肪量の両者が減少したが、T投与を受けた男性の体重減少は殆どが体脂肪の減少によるものであった。<原著>
BMC Med. 2016 Oct 7;14(1):153.
Effects of testosterone treatment on body fat and lean mass in obese men on a hypocaloric diet: a randomised controlled trial.
Ng Tang Fui M, Prendergast LA, Dupuis P, Raval M, Strauss BJ, Zajac JD, Grossmann M続きを読む
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2016年10月20日
<目的>
肥満は男性の性腺機能低下症のリスク因子であり、体重減少は肥満男性の性腺機能低下症を改善する。そこで、肥満手術後の性ホルモンの早期の変化を調査した。<方法>
29例の病的肥満男性を対象に前向きの研究を行った。主要評価項目は術後1およぼ6ヶ月後のTT(総テストステロン)、FT(フリー・テストステロン)、SHBG、E2、アディポネクチンおよびレプチンの変化である。<結果>
・対象の平均年齢は31 ± 8 歳、および平均BMIは56.8 ± 11.7 kg/㎡であった。
・15例が.ルーワイ胃バイパス術を、14 例がスリーブ状胃切除術を行った。.
・術前、22例(75.9%)が低 TT (<10.4 nmol/L) 、あるいは低FT (<225 pmol/L)のいずれかであった。
・手術1ヶ月後TTおよびSHBGは有意に上昇した(p ≤ 0.001)。
・6カ月後、TT およびFT は有意に上昇し(p ≤ 0.001)、 22 例 (75.9%)は TT およびFTが正常化した。
・E2レベルは1および6ヶ月後ともに変化がなかった。<結論>
肥満手術1ヶ月後にTTおよびSHBGは上昇した。一方、FTは6ヶ月後に改善が見られた。<原著>
Int J Endocrinol. 2016;2016:1416503. Epub 2016 Sep 20.Boonchaya-Anant P, Laichuthai N, Suwannasrisuk P, Houngngam N, Udomsawaengsup S, Snabboon T
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2014年07月18日
■ 目的
テストステロン療法が前立腺癌(PC)のリスクを上げるというエビデンスはないが、長期的データは欠如している。 そこで長期間テストステロン療法を受けている性腺機能低下男性においてPCの頻度が増加するか否か調査した。■ 方法
3つの平行、前向き、継続、蓄積登録研究において1,023例の性腺機能低下男性がテストステロン療法を受けていた。 2つの研究は泌尿器専門医により行われ(2004年以降)、1つはアカデミックなアンドロロジー・センターにより行われた(1996年以降)。 治療は総テストステロン≤12.1 nmol/L (350 ng/dL)および性腺機能低下症が存在するときに行われた。
調査期間の最高は17年(1996~2013)、中央値は5年である。 開始時の平均年齢は泌尿器科では58歳、アンドロロジーでは41歳であった。
テストステロン療法はテストステロン・アンデカノエイト注射を12週間隔で行われた。 前立腺の治療前の検査および治療中のモニターが行われた。 前立腺生検はEAUガイドラインに沿って行われた。
生検の陽性および陰性者の数を調査した。 PCの頻度および前立腺切除後の転帰を検討した。■ 結果
- 泌尿器科で行われた2つの研究で計11例のPCが診断され、発現率はそれぞれ2.3%および1.5%であった。10,000例あたりの年間の頻度はそれぞれ54.4および 30.7例である。
- アンドロロジー・センターではPCは報告されなかった。
- コントロール群がない登録デザインであるという限界性が存在する。
■ 結論
テストステロン療法はPCのリスクを上げなかった。 テストステロン療法のガイドラインにそって適正に行われれば、テストステロン療法は性腺機能低下男性において安全である。■ 原著
J Urol. 2014 Jun 26. pii: S0022-5347(14)03885-3.
Incidence of Prostate Cancer in Hypogonadal Men Receiving Testosterone Therapy: Observations from Five Year-median Follow-up of Three Registries.
Haider A, Zitzmann M, Doros G, Isbarn H, Hammerer P, Yassin A続きを読む
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2013年09月10日
このたび辻村 晃先生(大阪大学医学部 泌尿器科 准教授)にご監修いただき、LOH症候群へのご理解と啓蒙をめざして表題の小冊子を作成いたしました。
入手ご希望の方は、「LOH小冊子希望」と記載のうえ、お名前・ご住所・年齢を明記して、弊社宛にメールでお申込み下さいませ。ご示しいただきましたお名前・ご住所宛に郵送させていただきます。
お葉書でのお申込みをご希望の際も、弊社・甲府工場宛に下記をご記入のうえ、お送りくださいませ。
- お名前
- ご住所
- 年齢
- 件名: LOH小冊子希望
- その他 (ご質問・ご要望など)
〒400-0811 山梨県甲府市川田町アリア207
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テストステロン補充療法はLOH男性の血中内皮前駆細胞数を増加する
2013年05月16日
【 目 的 】
血管内皮前駆細胞(EPCs)は骨髄由来細胞より生まれ、内皮の再生に必要である。低EPCは内皮機能障害の独立した予測因子であり心血管イベントにつながる。
最近の知見では、他のリスク因子のない性腺機能低下症状のある患者の血中前駆細胞(PCs)およびEPCsは少なく、EPCsの増殖および分化におけるテストステロンの役割が示されている。
テストステロン補充療法(TRT)がLOHの男性において血中EPC数を増加するか否かを検討した。【 方 法 】
対象は性腺機能低下症状を有する46例の男性(年齢40~73歳、平均58.3歳)および血中総テストステロン(TT) が350 ng/dL以下の男性29例である。経皮テストステロゲル(Androgel; 1% testosterone at 5 g/day)を12カ月間投与した。
血中EPC数(単球10万当たり)はフローサイトメトリーにより計算した。【 結 果 】
- TRT前において、TTと血中EPCsの間に有意な関係はなかった。
- TRT前のEPCs数(9.5 ± 6.2)に比して、TRT施行後3カ月(16.6 ± 11.1, p = 0.027), 6 カ月(20.3 ± 15.3, p = 0.006)および12 カ月(27.2 ± 15.5, p = 0.017)のEPCs数は有意に高かった。
【 結 論 】
TRTは血中EPCs数を増加し、性腺機能低下男性の内皮機能に対するTRTの有用性が示された。【 原 著 】
Andrology. 2013 May 8.
Testosterone replacement therapy can increase circulating endothelial progenitor cell number in men with late onset hypogonadism.
Liao CH, Wu YN, Lin FY, Tsai WK, Liu SP, Chiang HS.
Division of Urology, Department of Surgery, Cardinal Tien Hospital and School of Medicine, Fu Jen Catholic University, Taipei, Taiwan続きを読む