【ヘルスケア情報】男性ホルモンテストステロンについて
テストステロン(Testosterone)は、男性ホルモン(アンドロゲン)のひとつです。
- > 体のどこで作られて、どのように分泌していますか?
- > テストステロン分泌のコントロールについて
- > テストステロンの分泌を増やすためには?
- > どんなはたらき(作用)がありますか?
- > 加齢にともなうテストステロン分泌の衰えについて
- > テストステロンの基準値・正常値は?
- > 男性ホルモンは「はげ」の原因になりますか?
- > 女性にもテストステロンが分泌されているのですか?
- > 女性の更年期治療におけるテストステロンの有効性について
- > 低テストステロンのリスク
- > テストステロン補充の効果と安全性
- > テストステロンと男性更年期障害・LOH(ロー)症候群
- > テストステロンのメリット
- > テストステロン補充のメリット:メタボリック・シンドローム
- > テストステロン補充のメリット:心臓・血管
- > テストステロン補充のメリット:下部尿路症状
- > テストステロン補充のメリット:勃起不全・ED
- > 女性とテストステロン
- > テストステロンに関するトリビア
(「男性ホルモン」に関連する弊社公式ブログ記事より:タイトル一覧)
男性の場合、約95%が睾丸(精巣)の中で、残る5%が副腎で合成され、分泌されていると言われています。テストステロンの原料はコレステロールで、体内で複雑なプロセスを経てテストステロンに生合成されています。
テストステロンの分泌量は、脳からの命令でコントロールされています。血中に分泌されたテストステロンは11~90分で約半分になり、少量はエストロゲン(女性ホルモン)に換わりますが、大部分は肝臓で代謝されて、尿中に放出されます。健康な男性にも、少量ながら女性ホルモンが分泌されているのです。
成人男性が精巣で1日に分泌するテストステロンは、7mg前後と言われています。ご参考までに、弊社製品「グローミン」は、内容量10g中に100mgのテストステロンが含まれていますので、本剤1本で約14日分の分泌量が補充できることになります。
他にも「テストステロンの分泌」に関連する記事があります。
> テストステロン分泌のコントロールについて
先述の通り、体内で産生するテストステロンの原料はコレステロールですから、先ずはコレステロール不足にならないように、バランスの良い栄養摂取が必要です。もちろん、コレステロールの過剰摂取は問題がありますから、ご注意ください。
次に、適度な運動を維持することと、十分な睡眠、規則正しい生活リズム、ストレスを溜めない健康的な生活習慣が必要です。栄養摂取だけで運動しなければ、言うまでもなく太ります。肥満はテストステロンの分泌を低下させるため、逆効果になります。食事と運動は両輪です。
人並み以上にテストステロンの分泌を増やすには、規則正しい生活リズムとストレスを溜めない生活習慣を基本に、日々の食生活とトレーニング量をバランス良く増やして、維持する事と考えます。結局、アスリートを目指すことになるのではないでしょうか。
トップアスリートの多くがそうであるように、明るく快活で前向きな人が、健康的な生活習慣を続けて、落ち込む出来事があっても気持ちを切り替えてストレスを溜めないようにすれば、自ずとテストステロンの分泌が高まり、その精神作用で明るく快活、チャレンジングで前向き・・・という好循環になるはずです。もちろん、筋肉の発達と体脂肪率の削減、シェイプアップにも好循環です。
逆に申しますと、「食生活」「睡眠」「生活リズム」「ストレス」「運動」の要素で何が欠けても、テストステロンの分泌にリスクが生じると思われます。
古来より男性の中には精力をつけるため、生卵を飲み込む人がいます。映画「ロッキー」では、牛乳に生卵を入れて一気飲みするシーンがありました。高価で多様なサプリメントに頼らずとも、総合栄養食として卵が最も手っ取り早く、経済的に摂取する術だったと思います。(ちなみに、当時のロッキーはスタローン自身も貧乏で、低予算の映画でした。) 特に、蛋白質や必須アミノ酸、そして体内でテストステロンの原料になるコレステロールを重点的に摂取する意義があったのかも知れません(注: 卵の摂取を勧めるものではありません)。
逆に、極端なダイエットや菜食主義のために、結果的にコレステロールの摂取が不足すると、原料不足でテストステロンの分泌が不足してしまう恐れがあります。卵を食べ過ぎてコレステロールの過剰摂取になることを心配する声がありますが、近年の栄養学的な知見からは、それほど心配しなくても良さそうです。少なくとも、摂取不足にともなうリスクの方が大きいのではないでしょうか。
テストステロンの分泌は20歳代をピークに、その後加齢とともに衰えて行きます。
普通は徐々に衰えますので、何となく「歳をとって来たかな?」とお感じになる男性が多いと思いますが、40代から60歳代にかけては、男性の社会的責任とストレスが公私共々高まる時期です。そのため、人によっては、ある日突然テストステロンの分泌が急激に減ってしまうために、自律神経失調のような不定愁訴を生じてしまうことがあります。これが、男性更年期です。
多くの女性の場合、更年期は閉経を前に比較的わかりやすいのですが、男性の場合は閉経のような目に見える出来事がありませんし、さまざまな偏見や社会通念により、なかなか認識されませんでした。
「男性にも更年期がある」という説は、欧米では1940年代から様々な提唱と多くの検討がされて来ましたが、21世紀に入り社会の成熟化や高齢化にともない抗加齢医学の関心が高まり、今では世界的な認知となりました。
なお、これまで「男性更年期障害」という表現が広く知られて来ましたが、不定愁訴のひとつである「うつ症状」と「うつ病」の切り分けなど男性更年期障害の病態は複雑です。そこで、加齢と男性ホルモンの分泌低下にともなう症状として正確に定義するため、様々な議論を経て現在は「LOH症候群」と呼ばれています。
このようなとき、不足した男性ホルモンを補充して、男性更年期にともなう不定愁訴を改善させる治療法が「男性ホルモン補充療法」です。
男性ホルモン補充療法は、主に泌尿器科が行いますが、近年はメンズクリニック(男性専門外来)をはじめ、一部の内科、心療内科、精神神経科などの医師も行うようになりました。
その第一選択は男性ホルモンの注射剤による補充で、高用量なので良く効くと言われていますが、2~3週間毎の通院による注射を避けたい人や、低用量の補充を好む人のために、皮膚から少しずつ男性ホルモンを補充できる塗り薬として「グローミン」を用いることがあります。詳しくは、医師にご相談ください。
弊社製品ではテストステロンクリーム「グローミン」を塗擦することにより、皮膚からテストステロンを吸収させて、男性ホルモンの補充ができます。
日本では、遊離型テストステロン(フリーテストステロン)で基準値が定められています。これは、総テストステロンよりも遊離型テストステロンの方が加齢と共に有意な減少を示すためです。また、総テストステロンと遊離型テストステロンを同時に測定すると保険診療が出来なくなるため、項目を一つに絞る必要がある、という背景もあります。
健常な日本人男性における遊離型テストステロンの検討結果を踏まえ、20歳代の平均値-2SDである8.5pg/mLが、正常値の下限とされています(「LOH症候群診療ガイドライン」検討ワーキング委員会)。
なお、8.5pg/mL以上でも、20歳代の平均値の70%値である、11.8pg/mL未満までは、ボーダーライン(男性ホルモン低下傾向群)とされています。
日本泌尿器科学会/日本Men's Health医学会
「LOH症候群診療ガイドライン」検討ワーキング委員会 編
テストステロンそのものは、脱毛させる物質ではありません。むしろ、下記の「男性更年期による脱毛」を防止すると考えています。
この世の男性は思春期になって男性ホルモンの分泌が旺盛になると全員「はげ」になってしまうでしょうか?「テストステロンの投与で毛が抜ける」というご指摘は、乱暴です。
いわゆる男性の「はげ」(禿頭症)の原因は多岐にわたるため、どの原因で「はげ」になるかは人それぞれですが、私たちは
- ・「遺伝」による先天的な原因。
- ・「頭皮の清浄をはじめ、食生活、喫煙、過剰な飲酒などの生活習慣」による原因。
頭皮に皮脂が多くなって、毛穴に汚れがたまり、毛細血管の血流が衰えることで、育毛サイクルが乱れて、脱毛が多くなる。 - ・過大なストレスや男性更年期による育毛サイクルの衰え。
と考えています。
テストステロンは、体内の各部にある「5α還元酵素」の作用によりDHT(ジヒドロテストステロン)になりますが、頭髪のつけね(毛乳頭)にある、この酵素のはたらきで、DHTが育毛を抑えてしまう、という説があるために「テストステロンがはげの原因になる」というご指摘があると思われます。
しかし、お酒が肝臓にある酵素で分解されるため「人によりお酒の強さが異なる」のと同じように、毛乳頭にある5α還元酵素の多少も人により違うと思われ、これこそ「遺伝」による先天的な原因の一つと考えています。
余談ですが、毛乳頭にある5α還元酵素のはたらきを抑える成分の薬剤があれば、遺伝的な「はげ」を予防できるかも知れません。
成人男性にとって、DHTは脱毛や前立腺肥大などを引き起こす「悪玉」男性ホルモンと言えそうですが、近年登場したフィナステリドは、DHTの産生を抑えるので、併用することで「はげ」や前立腺肥大を心配することなくテストステロンを補充できるようになることが期待されます。
血中テストステロンで比べると、男性の5~10%ですが、女性も副腎や卵巣でテストステロンを分泌しています。
女性も、男性ほどでなくても骨格や筋肉の発達がありますし、人によっては男性的な思考をしたり、性衝動に駆られることのある方がいらっしゃると思います。メカニズムが複雑なので一概には言えませんが、一因としてテストステロンが関係しているのかも知れません。
他にも「テストステロンの分泌」に関連する記事があります。
女性の更年期治療におけるテストステロンの有効性について >
- > 低テストステロンとメタボリックシンドロームの関連
- > 低テストステロンは20-79歳の男性の死亡リスクを上げる
- > 遊離テストステロンの低値は高齢男性の運動制限や身体能力と関連している
- > 低テストステロンがもたらす心血管疾患などのリスク、テストステロン補充のメリットに関する報告
- > 肥満と勃起不全の関連にはアンドロゲン欠乏と内皮障害が関与する
- > テストステロンの不足は心血管疾患のリスク要因か?
- > テストステロンの心血管リスクに対するメタ解析
- > 冠動脈疾患合併男性におけるテストステロンと死亡率
- > 男性の低テストステロンは高血圧の予測因子である
- > 低テストステロンは最終糖化反応生成物であるAGEと関連している
- > 低い総テストステロンは男性の2型糖尿病の発症リスクと関連している
- > 低テストステロン男性は耐糖能異常あるいは糖尿病のリスクが高い
- > 遊離テストステロンおよびビタミンD両者の低下が致死的なイベントと関連する
- > 低テストステロン患者は前立腺癌リスクが高い
- > 低テストステロンは前立腺癌に局在するグリソンパターン4の高頻度と関連している
- > テストステロンは高齢男性の虚弱性と関連する
- > テストステロンと自殺企図の関係
- > アンドロテスト:性機能障害をともなう男性における性腺機能低下症の問診票の検討
低テストステロンのリスク
- > テストステロン補充療法の効果に関するタイムコース
- > 日本人男性において総および遊離テストステロン、SHBGは前立腺癌リスクと強く関連していない
- > テストステロンの高値が前立腺癌の発現と関連していない
テストステロン補充の効果と安全性
- > NHK(Eテレ)きょうの健康:男性の更年期障害~LOH症候群~「見逃さないで 男性ホルモンの低下」
- > 男が40を過ぎてなんとなく不調を感じ始めたら読む本
- > NHKためしてガッテン「600万人を襲う!謎の不元気症候群」
- > グローミンの臨床研究が稲田賞を受賞
テストステロンと男性更年期障害・LOH症候群
- > テストステロン療法は高齢男性の皮下脂肪を減少する
- > 高齢男性における血清テストステロンレベルとライフスタイルの関係
- > 高齢男性における性ホルモン濃度と健康および生活満足との関連
- > 45歳以上の男性に、より早朝と遅い朝の採血がテストステロン濃度に影響するか?
- > 筋肉強度および身体機能を改善するに必要なテストステロンレベル
- > アンドロゲンレベルは自律神経活性と相関する
- > 高齢者のうつ症状に対するアンドロゲン療法(システマチック・レビュー)
テストステロンのメリット
- > 12カ月のテストステロン補充療法は性腺機能低下男性のメタボリック・シンドロームを改善する
- > テストステロンはメタボリックシンドロームによる前立腺の変化を防止する
- > 重度の睡眠時無呼吸肥満男性における通常量のテストステロン療法
テストステロン補充のメリット:メタボリック・シンドローム
- > 生理学的レベルのテストステロン投与は心筋の酸化ストレスを抑制する
- > 慢性心不全に対するテストステロン補充療法
- > テストステロンおよびナンドロロンの心機能に及ぼす影響
- > 男性冠動脈疾患患者におけるテストステロンと血管内皮機能指標の関係
テストステロン補充のメリット:心臓・血管
- > アンドロゲン補充療法は軽度のBPHを合併する性腺機能低下男性の 下部尿路症状を改善する
- > グローミンはEDおよびLOH症状のみではなくLUTSにも有効
テストステロン補充のメリット:下部尿路症状
- > テストステロン・ゲルの単回投与で女性の性活動を改善できる
- > 女性の低性欲障害に対するテストステロン+PDE5阻害剤のオンデマンド投与
- > IVF(体外受精)の低レスポンダー対するアンドロゲン(男性ホルモン)あるいはアンドロゲン様薬剤の有用性に関するメタ解析
- > 女性のテストステロン値の年齢別正常範囲
- > 閉経前健康女性のテストステロン値の正常範囲の設定
- > テストステロンはTNFによる心筋障害の性差の原因となっている
- > 魅力的な男性は女性のテストステロンとコルチゾールの遊離を起こす
女性とテストステロン
- > 左手に対する右手の2D:4D(right-left 2D:4D)の低値はスポーツ能力と関連する
- > 2D:4D比は成人の陰茎長と関連する
- > 女性では低2D:4D比は拒食症と関連し、高2D:4D比は過食症と関連する
- > 第4指(薬指)に対する第2指(人差し指)の比(2D:4D)と学術的能力の関連性
- > 怒りはテストステロンの上昇と関連する
- > イタリア大都会の男性交通警察官の遊離テストステロンは低い
- > ボストン地域の中高年男性は性ホルモンの季節的変動がない
- > 男性は性的活動中にテストステロンが大きく上昇する
- > テストステロンと恋愛の関係について
- > 高いテストステロン・レベルは損害を招く高いリスクに対する積極性と関連する
- > ビタミンDとテストステロンはポジティブに関連する
- > フィナステリドの併用はテストステロン・アンデカノエイトの薬物動態に影響しない
- > 「グローミン」を顎(あご)の下に塗っても良好な吸収が期待される。
- > 2型糖尿病とテストステロンの関連性に関するメタ解析
テストステロンに関するトリビア
- よくあるご質問
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