Category:男性更年期障害・LOH症候群
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2013年05月15日
【 目 的 】
日本人男性におけるテストステロンと筋肉量の縦断的関係を調査した。 1997~2010の間、2年に1回の高齢者の縦断研究に参加した957例の地域住民男性からデータを収集した。 開始時およびその後の調査において四肢の筋肉容量(AMM)をDEXAにて測定した。 サルコペニアのカットオフ値は骨格筋指数、AMM/身長(2)< 6.87 kg/m(2)と定義した。 総テストステロン(TT)および遊離テス
トステロン(FT)はRIAにて測定した。 計算FT(cFT)はアルブミン、TTおよびSHBGより求めた。 4,187 あるいは2,010累積データポイントのデータを解析した。【 結 果 】
・ 低TTはサルコペニアと関連しなかった。・ 低cFT (OR = 2.14, 95% CIl: 1.06-4.33) および低FT (OR= 1.83, 95% CI:1.04-3.22)はサルコペニアと関連していた。
【 結 論 】
低FTは日本人男性の筋肉喪失リスクの予測因子となると思われる。【 原 著 】
Sci Rep. 2013 May 10;3:1818. doi: 10.1038/srep01818.
Relationship between Low Free Testosterone Levels and Loss of Muscle Mass.
Yuki A, Otsuka R, Kozakai R, Kitamura I, Okura T, Ando F, Shimokata H.
Department for Development of Preventive Medicine, National Center for Geriatrics and Gerontology, Japan.続きを読む
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大量のエアロビクス運動は性機能、テストステロン、体重、ウェスト周囲径および脂肪量を著明に改善する
2013年05月13日
【 目 的 】
肥満男性の性機能、テストステロン、下部尿路症状(LUTS)、内皮機能およびQOLに対する少量(LV)および大量(HV)の中等度運動の影響を検討した。【 調査項目 】
開始時および24週後に以下の測定を行った。体重、ウェスト周囲径(WC)、体組成、IIEF-5、IPSSスコア、SF-36スコア、血清テストステロン、SHBG、血糖、インスリンおよび脂質、および内皮機能(反応性充血指数[RHI] using finger plethysmography)。反応性充血指数:RHI
血流依存性血管拡張反応検査の一種。 両手の指先の爪の下の血管を15分ほど観察することにより、血管内皮細胞の働きを検知する。【 方 法 】
90例の肥満(BMI>27.5kg/m2 , WC>90cm)、および座りがちな生活スタイル(運動 80分/週)のアジア人男性(平均年齢43.6、レンジ30~60)に対して1日必要カロリーより400kcal少ない食事療法および中等度の運動をLV(<150分/週) あるいは HV(200~300分/週)(n=45 each)のいずれかを無作為に24週間処方した。75例の男性(83.3%)が試験を完了した。【 結 果 】
- 週間運動量はHV群 236±9分で、LV群105±9分より多かった。
- HV群はLV群よりIIEFスコアおよびテストステロンが有意に増加し、体重、WCおよび脂肪量が有意に減少した。すなわち、IIEFスコアが2.6±0.5points vs 1.8±0.5points、テストステロンが 2.06±0.46nmol/L vs 0.79±0.46nmol/L、体重が-5.9±0.7kg, -6.2% vs -2.9±0.7kg, -3.0% 、WCが-4.9±0.8cm, -4.9% vs -2.7±0.7cm, -2.5% および脂肪量が-4.7±1.0kg, -14.5% vs -1.1±0.8kg, -3.2%であった。
- IPSSおよびSF-36スコアおよびRHIの改善は、両群で同様であった。
【 結 論 】
中等度の大量のエアロビクス運動(週200分以上)は少量の運動より性機能、テストステロン、体重、WCおよび脂肪量を著明に改善する。【 原 著 】
J Sex Med. 2013 May 1. doi: 10.1111/jsm.12154.
Comparing Effects of Low- and High-Volume Moderate-Intensity Exercise on Sexual Function and Testosterone in Obese Men.
Khoo J, Tian HH, Tan B, Chew K, Ng CS, Leong D, Teo RC, Chen RY.
Department of Endocrinology, Changi General Hospital, Singapore, Singapore.続きを読む
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EDに対するテストステロンおよびPDE5阻害剤の併用療法 (レビュー)
2012年11月08日
【 要 約 】
テストステロン欠乏症はED患者のPDE5阻害剤の臨床効果を低下すると思われる。 性腺機能低下患者において、テストステロン補充はシルデナフィルあるいはタダラフィルによる治療に効果の無かった患者の性機能の亢進と関連している。そこで、PDE5阻害剤単独療法で効果がなかったEDおよび低~正常下限テストステロンレベルの男性におけるテストステロンとPDE5阻害剤併用療法を検討した臨床試験のレビューを行った。
調査した臨床試験は幾つかが方法論的欠点があり、様々なものがあった。 全体的にはPDE5阻害剤へのテストステロンの付加は、単独療法に効果がなく、総テストステロン値が 300ng/dL
未満のED患者に有用と思われる。無作為コントロール比較ニ重盲検試験が必要であり、それにより適正な対象、テストステロンのカットオフ値、用量、併用期間を定める必要がある。
【 原 著 】
Can Urol Assoc J. 2012 Aug;6(4):269-74
Synergetic effect of testosterone and
phophodiesterase-5 inhibitors in hypogonadal men with erectile dysfunction:
A systematic review.
Alhathal N, Elshal AM, Carrier S.
Division of
Urology, Department of Surgery, McGill University, Montreal, QC.【 弊社コメント 】
テストステロンの分泌が低い人で、PDE5阻害剤(バイアグラ・レビトラ・シアリス)だけではEDが改善できない人の場合に、PDE5阻害剤とテストステロン補充の併用療法が有用と思われます。 ただし、それを言い切るために必要となる厳格な研究は、未だ十分に出来てないようです。(福)続きを読む
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NHK(Eテレ)きょうの健康: 男性の更年期障害~LOH症候群~「見逃さないで 男性ホルモンの低下」
2012年10月24日
平成24年(2012年)10月23日と24日にNHK(Eテレ)「きょうの健康」で、男性の更年期障害~LOH症候群~「見逃さないで 男性ホルモンの低下」(23日)、「これで改善!治療と日常生活」(24日)と題したLOH症候群に関する放送がありました。
24日の放送「LOH症候群の治療」の中で、「男性ホルモン(テストステロン)軟こう」も選択肢の一つとして紹介されました。
男性ホルモンを補充する、テストステロン軟膏(クリームタイプ)の「グローミン」は、全国210施設(H24.10月末現在)の病院・クリニック・診療所で臨床応用されており、約1万2千店の薬局で、お取り寄せ出来ます。
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2012年08月06日
秋下 雅弘 著
(東京大学大学院医学系研究科 加齢医学講座 准教授 ・ 東京大学医学部附属病院 老年病科)出版社: メディカルトリビューン
ISBN-10: 4895893820
ISBN-13: 978-4895893824本著P.151の表に、「LOH症候群で処方される主な男性ホルモン剤」
として、「グローミン」が紹介されました。 本著の内容:
男にとって40代、50代は人生の踏ん張りどきです。しかし若いときのように無理は利きません。疲労感、不安、イライラ、めまい、肩こり、性欲減退などの不調を感じることも。踏ん張りどきだからこそ、自分の心身についての知識を深め、自分を使いこなす知恵が必要なのです。不調を感じたときに”効く”一冊です。目次:
第1章 男の健康のカギを握るアンドロゲン
第2章 こんな人が一番危ない
第3章 アンドロゲンで男の未来が見える
第4章 男も女性ホルモンを分泌する
第5章 アンドロゲンを増加させる生活の知恵
第6章 困ったときの医者頼み
症例1 ホルモン補充療法でEDも改善
症例2 「地獄から生還したようだ」と喜ぶ続きを読む
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2012年04月10日
【 概 要 】
- 自殺企図のある男性はテストステロン値が低い。そうでない報告もあるが、概ね低い報告が多い。
- 脳機能、気分、認知機能、攻撃性にテストステロンは深く関わっており、またこれらは自殺衝動に関わる。
- 他人に対しての攻撃性と自己への攻撃性は、実質的に同じものである。
- 臨床および疫学的観察では、自殺企図者は暴力犯罪者と性格に共通することが示唆される。
- 攻撃性と自殺との間に関連性が観察される。
【 原 著 】
Testosterone and suicidal behavior. [ PDF形式 Full Text ]
Expert Rev Neurother. 2012 Mar;12(3):257-9.
Leo Sher
James J Peters Veterans’Administration Medical Center, 130 West KingsbridgeRoad, Bronx, NY 10468, USA and Mount Sinai School of Medicine, NY, USA【弊社コメント】
上記の事実を踏まえ、テストステロンが関与する精神状態をテストステロン補充療法で改善すれば、自殺衝動を防ぐ可能性がある、という論説です。ただし、テストステロンの補充による攻撃性の増加が、自殺行動自体の強化につながる懸念もあり、今後の検討が待たれます。(松)テストステロンが生理的な正常範囲から逸脱し、「低過ぎ」あるいは「高過ぎ」いずれの状態にあっても攻撃性が問題になるのではないでしょうか?
そうであれば、テストステロンの過剰投与は人為的にコントロールできますが、ストレスやLOH症候群で低テストステロン状態にある場合や、大うつ病にある場合も、先ずは低過ぎるテストステロンの血中濃度が生理的な範囲となるように低用量のテストステロン補充をすることで、自殺行動の防止につながることが期待できると考えております。(福)続きを読む
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2012年01月30日
【 目的 】
小規模の無作為比較試験によりビタミンD
[25(OH)D]がテストステロンの産生を増加する事が示されている。これは動物実験および25(OH)Dとテストステロンのポジチブな関連性および両者の一致した季節変動を示す断面的観察研究により支持されている。【 方法 】
25(OH)Dレベルと遊離テストステロンの断面的関連性を調査した。対象はHealth
Professionals Follow-up
Studyに参加した1352例の男性である。【 結果 】
- 25(OH)Dは総および遊離テストステロン・レベルとポジチブに関連していた。
- 25(OH)Dの最下位五分位から最上位の多変量調整平均値(95%CI)は総テストステロンが18.5(17.7; 19.4)、19.4(18.6; 20.2)、19.6(18.8; 20.4)、20.1(19.3; 20.9)、および
20.0(19.1; 20.8); p-trend=0.003、遊離テストステロンが97.7 (93.9; 101.5)、98.2 (94.1;
102.2)、 99.2(95.2; 103.2), 100.7(96.9; 104.5) および101.5(97.6; 105.4;
p-trend=0.03)であった。 - 25(OH)Dと総および遊離テストステロンの関連性を示す用量反応曲線の形状は25(OH)Dの低値(約 75-85
nmol/l以下)領域では直線的で高値領域でプラトーに達した。 - 25(OH)Dと異なりテストステロン濃度には季節的変動が見られなかった。
【 結論 】
本結果はこれまでに報告されているビタミンDとテストステロンのポジティブな関連性を支持するものであるが、平行した季節的変動パターンは認められなかった。【 原著 】
Clin Endocrinol (Oxf). 2012 Jan 2. doi: 10.1111/j.1365-2265.2012.04332.x.
Association between plasma 25-OH vitamin D and
testosterone levels in men.
Nimptsch K, Platz EA, Willett WC, Giovannucci
E.
Departments of Nutrition Epidemiology, Harvard School of Public Health,
Boston, MA, USA続きを読む
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2012年01月06日
【 目的 】
テストステロン療法は正常下限のテストステロンレベルの高齢男性の非脂肪容量(LBM)を増加し、総脂肪容量(TFM)を減少する。しかし、テストステロン療法のメタボリックな影響が全体に良好なものか否かは課題である。我々は先に6カ月のテストステロン療法がインスリン感受性を改善しない事を報告した。今回、正常下限テストステロンの高齢男性において、部位的体脂肪分布およびアディポカイン、アディポネクチンに対するテストステロン療法の影響を検討した。【 方法 】
デザイン:バイオアベイラブル・テストステロンが<
7.3 nmol/l および ウェスト周囲径> 94 cm、年齢60-78歳の男性38例を対象に6カ月のテストステロン療法(ゲル)を無作為、二重盲検、プラセボ比較試験にて行った。
中心脂肪容量(CFM)および下肢脂肪容量(LEFM)をDXAにより測定した。皮下腹部脂肪組織(SAT)、内臓脂肪組織(VAT)および大腿部皮下脂肪面積(TFA)をMRIにより測定した。アディポネクチンを免疫蛍光法にて測定した。介入のプラセボ比較効果をCoefficients
(b)にて表し
た。【 結果 】
- テストステロン療法中、LEFMは減少したが(b=-0.47 kg,
p=0.07)、CFMには有意な変化が認められなかった(b=-0.66 kg, p=0.10)。 - SAT(b=-3.0 %, p=0.018)
およびTFA (b=-3.0 %, p<0.001) は減少したが、 VAT(b=1.0 %;
p=0.54)は不変であった。 - アディポネクチンはテストステロン療法中減少した(b=-1.3 mg/l,
p=0.001)。
【 結論 】
テストステロン療法は腹部および大腿部の皮下脂肪を減少するが内臓脂肪には有意に影響しない。さらにアディポネクチンは有意に減少する。【 原著 】
Eur J Endocrinol. 2011 Dec 21.
Testosterone therapy
decreased subcutaneous fat and adiponectin in ageing men.
Frederiksen L,
Hojlund K, Hougaard DM, Mosbech TH, Larsen R, Flyvbjerg A, Frystyk J, Brixen
K, Andersen M.
Frederiksen, Endocrinology, Odense University Hospital,
Odense, Denmark.【 弊社コメント 】
内臓脂肪を積極的に減らすためには、ダイエットや運動を併用しないと、テストステロンの補充だけで簡単には減らせないようです。しかしながら、運動療法にテストステロンの補充の併用は機序的に相乗効果が期待できるものと考えています。(福)続きを読む
- テストステロン療法中、LEFMは減少したが(b=-0.47 kg,