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更年期や性機能についての学術情報、最新研究などを紹介いたします。更年期や性機能についての学術情報、最新研究などを紹介いたします。

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    カテゴリマーク男性ホルモン
    (アンドロゲン・テストステロン)

    男性ホルモン(アンドロゲン・ テストステロン)

    ビタミンD補充後のテストステロンの上昇およびテストステロンの補充後に血清25(OH)Dの上昇は認められななかった

    2013年06月04日


    【 目的・方法 】
    断面調査研究では血清ビタミンD [25(OH)D] とテストスロンの間に正の関連性が認められている。ここに因果関係があるか否かは分かっていない。体重減少、インスリン感受性およびうつスコアをエンドポイントとしたTromsoにおいて行われた3つのビタミンDの無作為化臨床試験(RCT)および体組成をエンドポイントとした低テストステロン(11.0nmol/l以下)患者における1つのテストステロンのRCTをプールし、検討した。
    血清25(OH)Dおよびアンドロゲンを断面調査部分では893例の男性で測定し、ビタミンDのRCT(n=282)ではビタミンD20,000IU~40,000IU投与の開始時および6~12週後に、テストステロンのRCT(n=37)でテストステロン・アンデカノエイト1000㎎あるいはプラセボ投与(開始時、6、16、28および40週後に注射)の開始時および1年後に測定した。

    【 結果 】

    • 断面調査において、25(OH)Dはテストステロンの有意かつポジチブな予測因子であった。
    • ビタミンDのRCTにおいて、総および遊離テストステロンに対する有意な影響は見られなかった。またテストステロンのRCTにおいて25(OH)Dに対する有意な影響はみられなかった。この結果は低25(OH)D(あるいはテストステロン)を対象としたサブ解析でも変わらなかった。

    【 結論 】
    ビタミンD欠乏症のない男性において高用量のビタミンD補充後にテストステロンの上昇は認められなかった。同様に中等度の低テストステロン男性においてテストステロンの補充は血清25(OH)Dを上げなかった。

    【 原著 】
    Metab Res. 2013 May 17.
    Supplementation with Vitamin D Does not Increase Serum Testosterone Levels in Healthy Males.
    Jorde R, Grimnes G, Hutchinson MS, Kjærgaard M, Kamycheva E, Svartberg J.
    Department of Clinical Medicine, Tromsø Endocrine Research Group, University of Tromsø, Tromsø, Norway.

    【 弊社コメント 】
    ビタミンDとテストステロンの関係については、これまで下記の論文から、両者の併用効果を期待していましたが、今回の報告では残念な結果となりました(野)。

     

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    カテゴリマーク男性ホルモン
    (アンドロゲン・テストステロン)

    男性ホルモン(アンドロゲン・ テストステロン)

    テストステロンの使用は前立腺癌の発症と関連しない

    2013年05月29日


    【 目的 】
    前立腺癌を発症した男性のテストステロン補充療法の使用状況およびその影響を調査した。

    【 方法 】
    Surveillance, Epidemiology, and End Results-Medicareデータにリンクし、1992~2007年に前立腺癌と診断された149,354例の男性を同定した。このうち 2,237例(1.5%) が前立腺癌の診断前にテストステロン補充療法を行っていた。傾向スコア法を用いテストステロン補充療法 vs 非補充療法の癌の転帰を評価した。

    【 結果 】

    • テストステロン補充は癌診断時の高齢、非白人および多数の合併症の存在と関連していた(P <.001)。
    • 前立腺癌診断前の非テストステロンvsテストステロンは腫瘍のグレード(34% vs 30%, P <.0001) および T4(6.5% vs 4.3%, P <.0001)に有意差が認められた。
    • 死亡率は前立腺癌診断前年の≧2 PSAの男性で低かった。
    • 全体の生存率、癌患者の生存率、あるいはアンドロゲン枯渇療法の使用は群間で有意差がなかった。

    【 結論 】
    この観察研究期間にけるテストステロンの使用頻度は低かった。テストステロンは悪性前立腺癌とは関連がなく、全体あるいは疾患特異的死亡率に影響していなかった。この結果はテストステロン補充が前立腺癌に関して安全である事を示すが、確定するための前向きの研究が必要である。

    【 原著 】
    Urology. 2013 May 24.
    Use of Testosterone Replacement Therapy in the United States and Its Effect on Subsequent Prostate Cancer Outcomes.
    Kaplan AL, Hu JC.
    Department of Urology, David Geffen School of Medicine, University of California, Los Angeles, Los Angeles, CA.

    【 弊社コメント 】
    「傾向スコア」は、実験ができない場合(調査観察データなど)における交絡の調整方法です。潜在的な交絡要因となる様々な共変量を傾向スコアという一つの合成変数に縮約(一次元化)して、その傾向スコアを基準としてマッチングや層別化を行います。近年医療分野を中心にとても使われてきています(野)。

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  • ラット前立腺は血清テストステロンの低下に対して組織濃度を機能的レベルに維持するように働く

    2013年05月29日


    【 目的 】
    前立腺癌(PC)は加齢およびアンドロゲン依存性疾患である。加齢に伴うアンドロゲンレベルの低下とは逆説的に、PCのリスクは上昇する。全身性のアンドロゲンレベルとPCリスクの間に相関性はないが、全身性のアンドロゲンレベルは前立腺組織のアンドロゲンレベルを反映していない。転移性PCにおいて、ホルモン療法中のアンドロゲン生合成経路の変化は癌組織のアンドロゲンレベルを高め、アンドロゲン受容体(AR)シグナリングの持続の原因となっている。加齢に伴うアンドロゲンの低下と共に正常前立腺組織において同様の変化がおき腫瘍発生の原因となっている可能性がある。
    ラット前立腺が血清テストステロン(T)の低下にも関わらず組織濃度を機能的レベルに維持するか否かを検討した。

    【 方法 】
    ラットを去勢し、Tを去勢レベル、正常レベル、正常下限レベルおよび非生理的レベルに維持するカプセルを移植した。6週後にLC-MS/MSにて血清および前立腺のTおよびDHTを測定した。QRT-PCRにてアンドロゲン/ARシグナリングに関連する遺伝子の発現を測定した。

    【 結果 】

    • 有意に差異がある血清TおよびDHTレベルいにも関わらず、各群の前立腺のTおよびDHT濃度は同様であった。
    • 前立腺のアンドロゲン調整遺伝子の発現は全群で同様であり、ラット前立腺は、血清Tの低下にも拘らず機能的レベルのアンドロゲンを維持していた。

    【 結論 】
    テストステロンの低下はアンドロゲン生合成遺伝子の発現を有意に変えた。

    【 原著 】
    J Mol Endocrinol. 2013 May 24.
    Low systemic testosterone levels induce androgen maintenance in benign rat prostate tissue.
    Zhou Y, Otto-Duessel M, He M, Markel S, Synold T, Jones JO.

    Y Zhou, Molecular Pharmacology, City of Hope Beckman Research Institute, Duarte, United States.

    【 弊社コメント 】
    以前から言われていたと思いますが、アンドロゲン(男性ホルモン)のレベルは血清と前立腺組織では異なる事に加え、血清レベルが低下すれば前立腺組織だけはそれを維持しようと反応するという現象です。生殖能を維持しようとする仕組みかもしれません(野)。

    古来より前立腺癌に対するテストステロン悪玉説が指摘されて来ましたが、皮肉なことに、研究が進むほど「テストステロンの欠乏が前立腺癌の発症リスクにつながる」という機序が示唆されつつあります。
    テストステロンが多過ぎても、少な過ぎても、様々な健康リスクになることが判りつつあります。 そして、加齢で少な過ぎる分は、健康的な生活習慣(適度な食事と運動、睡眠)をベースに、それでも不足し過ぎない程度のテストステロンを少しずつ補充するのが最善と思うのです(福)。

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  • 不妊男性において、血清亜鉛、セレニウムおよびテストステロンの間に関係が認められる

    2013年05月22日


    【 目的・方法 】
    近年、男性の不妊が増加しているが、原因は多くの因子が関与している。亜鉛およびセレニウム等のいくつかの微量元素が生殖に関与している事が観察されている。
    Nnewiの不妊クリニックを受診している男性不妊患者における血清亜鉛、セレニウムおよびテストステロンを測定した。対象は年齢25歳から55歳の男性不妊患者50例および対照として正常な健康男性20例である。亜鉛およびセレニウムは原子吸光法にて、テストステロンは酵素免疫法にて測定した。

    【 結果 】

    • 2群間で平均亜鉛、セレニウムおよびテストステロンに有意な差異が認められた。
    • 不妊男性患者において、亜鉛とセレニウムの間に強い正相関が、テストステロンと亜鉛の間に強い負の相関が、およびテストステロンとセレニウムの間に強い正相関が認められた。

    【 結論 】
    不妊男性において、血清亜鉛、セレニウムおよびテストステロンの間に関係が認められる。不妊男性の治療にあたってはこれらのパラメータの検討が必要である。

    【 原著 】
    Afr J Med Med Sci. 2012 Dec;41 Suppl:51-4.
    Relationship between serum levels of testosterone, zinc and selenium in infertile males attending fertility clinic in Nnewi, south east Nigeria.
    Oluboyo AO, Adijeh RU, Onyenekwe CC, Oluboyo BO, Mbaeri TC, Odiegwu CN, Chukwuma GO, Onwuasoanya UF.
    Department of Medical Laboratory Science, Faculty of Health Sciences and Technology, College of Medicine, Nnamdi Azikiwe University, Nnewi Campus, Anambra State, Nigeria.

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