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更年期や性機能についての学術情報、最新研究などを紹介いたします。更年期や性機能についての学術情報、最新研究などを紹介いたします。

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  • 遊離テストステロンの低値は高齢男性の運動制限や身体能力と関連している

    2010年05月02日


    【 目的 】
    運動制限は疾病率および死亡率の上昇と関連している。テストステロンと運動限界および身体能力との関連性は完全には分かっていない。
    地域在住高齢男性の性ホルモン・レベルと運動制限および身体能力の断面的および前向きの関連性を調査した。

    【 方法 】
    Framingham Offspring Studyの調査7および8に参加した1445例の男性(平均年齢61.0 +/- 9.5 yr)について断面的および長期的解析を行った。
    調査7にて総テストステロンの測定を行った。運動制限および身体能力の断面的および長期的解析はホルモン・レベル(総テストステロンと遊離テストステロン、および SHBG)を連続的及び二分化して行った。

    主要アウトカム: 自己報告の運動限界、自覚的健康度、通常の歩行速度および握力。

    ◆ フラミンガム・スタディ
    長期間にわたるフラミンガム地区の住民を対象にした心血管系疾患の危険因子を探る調査研究。フラミンガムとは米国・ボストンの郊外の小さな町の名前。選ばれた理由は「町に総合病院がひとつしかなく住民の健康状態の把握が容易。(第1世代)コホート(Framingham Heart Study),第2世代コホート(FraminghamOffspring Study),第3世代コホート,少数民族コホート(Omni Study)

    【 結果 】

    • より高い(連続的に)遊離テストステロンは短期的身体能力スコア、通常の歩行速度および自覚的健康度のリスクの低下とポジティブに関連していた。
    • 前向き解析において、ベースライン遊離テストステロンの1SD上昇は運動制限発現および進展のリスク低下と関連していた。
    • ベースライン遊離テストステロンが低い男性は、運動制限オッズが57%及び運動制限の悪化オッズが68%高かった。

    【 結論 】
    地域在住高齢男性においてベースラインの遊離テストステロンの低値は運動制限の悪化と関連していた。テストステロン療法によりこの悪化が低下できるか無作為試験を行う必要がある。

    【 原著 】
    J Clin Endocrinol Metab. 2010 Apr 9.

    Free Testosterone
    Levels Are Associated with Mobility Limitation and Physical Performance
    in Community-Dwelling Men: The Framingham Offspring Study.

    Krasnoff JB, Basaria S, Pencina MJ, Jasuja GK, Vasan RS, Ulloor J, Zhang
    A, Coviello A, Kelly-Hayes M, D’Agostino RB, Wolf PA, Bhasin S,
    Murabito JM.
    Boston University School of Medicine, Sections of Endocrinology,
    Diabetes, and Nutrition

    【 弊社コメント 】
    結果的に、男性ホルモン値の高い60歳前後(約52~70歳)の男性の身体能力が高く、運動に支障のない自立した生活が出来ているようです。
    良く運動して身体能力の高い男性の男性ホルモンが高くなるのか、それとも、男性ホルモン分泌の旺盛な男性が良く運動して高い身体能力を維持できているのかは、「鶏が先か、卵が先か?」という類の議論になると思われます。
    どちらも有り得ると思われますが、いずれにせよ健全な生活習慣にともなう適度な運動と、良好な男性ホルモン分泌の好循環が、高齢男性の自立につながるものと期待されます。 (福)

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  • 低テストステロンは20-79歳の男性の死亡リスクを上げる

    2010年03月05日


    【 目的 】
    低テストステロンと死亡率の関連性は近年の研究で明らかになったが、これらは少数の住民調査研究である。
    低テストステロンが全原因あるいは原因の特定できる死亡のリスク因子であるか否かを20-79歳の男性の地域住民標本にて調査を行った。

    【 方法 】
    前向きの住民調査研究”Study
    of Health in
    Pomerania”の1954例のデータを用いた。ベースラインでのテストステロン測定が行われ、平均フォローアップ期間7.2年間に195例の死亡がある。総テストステロン8.7
    nmol/L (250 ng/dL)

    以下を低値と分類した。低テストステロンと全原因あるいは原因の特定できる死亡との関連性をコックス比例ハザード回帰モデルにて解析した。

    【 結果 】
    ・低テストステロンの男性は高いテストステロンの男性より全原因死亡率が有意に高かった(HR
    2.24; 95% CI
    1.41-3.57)。
    ・ウェスト周囲径、喫煙週間、ハイリスクな飲酒、身体活動、腎不全およびDHEAsで調整後も低テストステロンと死亡率の上昇の関連性は有意であった(HR
    2.32; 95% CI 1.38-3.89)。
    ・原因特定解析において、低テストステロンは心血管疾患(HR 2.56; 95% CI

    1.15-6.52)および癌(HR 3.46; 95% CI
    1.68-6.68)による死亡リスクの上昇を予測したが、呼吸器疾患あるいは他の原因については関連がなかった。

    【 結論 】
    低テストステロンは多数のリスク因子と独立して全原因死亡のリスク上昇と関連していた。テストステロン・レベルは心血管疾患および癌による死亡率と逆相関し、予測マーカーとして使用可能である。

    【 原著 】
    Eur Heart J. 2010 Feb 17.

    Low serum testosterone levels
    are associated with increased risk of  mortality in a population-based cohort
    of men aged 20-79.

    Haring R, Volzke H, Steveling A, Krebs A, Felix SB, Schofl
    C, Dorr M, Nauck M, Wallaschofski H.
    Institute of Clinical Chemistry and
    Laboratory Medicine, Ernst Moritz Arndt University Greifswald,
    Germany.

    【 弊社コメント 】

    テストステロンのレベルが低いほど、心血管疾患や癌の死亡率が高くなる事を示唆する報告です。テストステロンが低くならないようにテストステロンを補充すれば、これらの疾患を予防できるかも知れません。
    ・・・
    ですが、先ずは健康的な生活習慣(バランスの良い食生活、適度な運動、昼型の規則正しい生活、ストレスの発散、過度な飲酒や喫煙などのリスク要因を避け
    る・・・等)によって、テストステロンが低くなり過ぎないようにする事こそ最も無難で低コストなアンチエイジングの極意で、男性にとって長寿の秘訣と思わ
    れます。 ただし、その実践が困難・・・というのが個人的実感です。(福)

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  • 米国・カリフォルニア州中毒事故管理センター(CPCS)に報告されたヨヒンビン含有製品が関与する有害事象について

    2010年03月04日


    【 原著 】
    Adverse drug events associated with yohimbine-containing products: a retrospective review of the California Poison Control System reported cases
    Kearney, T. et al. (University of California at San Francisco, CA., USA)
    Ann. Pharmacother. 44(6), 1022-1029, 2010

    【 要旨 】
    背景:
    ハーブサプリメントは薬ではなく食品として分類されるため、FDAによる市販前評価を受ける必要がない。ヨヒンビンは、α(2)拮抗薬であり、処方薬・ハーブサプリメント製品の療法で入手が可能である。

    目的:
    カリフォルニア州中毒事故管理センター(CPCS)に報告されたヨヒンビンが関与する有害事象(ADE)の有病率と重症度を決定する。

    方法:
    7年間(2000-2006)の期間における、CPCS電子データベース内症例の遡及的検討を実施した。症例は、ヨヒンビン含有製品への暴露の後に症状を示した18歳以上の成人を対象としており、因果関係の評価はできる限り「Naranjo有害事象因果関係判定スケール」に則り行った。

    結果:
    合計238症例が、同定された。CPCSに報告されたヨヒンビンに関連するADEは年間患者数が大きく増加しており、とりわけ2000年から2006年の間では、成人10,000人当たりの患者数が2000年の1.8例から2006年には8.0例に増加した。大多数の場合(98.7%)、(処方薬に対して)ハーブのヨヒンビン製品が関与していた。使用の一般的な理由は、性機能の強化(27.7%)、体重減少(9.2%)、覚醒効果を(7.6%)であった。報告された頻度の高いADEは、胃腸障害(46%)、頻脈(43%)、不安/激越(33%)、高血圧(25%)であった。ヨヒンビン暴露は重篤な転帰の割合が高くなっており、平均的な薬物に比べて医療施設での管理がより必要となると考えられる(OR[95%CIの]は5.81[4.43-7.64]、平均は2.35 [1.82-3.04])。

    結論:
    2000年から2006年における、ヨヒンビンハーブ製品に関連するADEは有病率が大きく増加している。CPCSに報告されたこれらのADEには、平均的な曝露よりも有意に重篤な転帰が関連していた。ヨヒンビンは、栄養補助食品健康教育法に基づく「安全な」栄養補助食品と見なされるかどうか、再調査が必要である。

    【 弊社コメント 】

    1. 米国ではヨヒンベエキス等が合法的なサプリメントとして販売されていますが、日本の薬事法(現・薬機法)では劇薬の医薬品成分として規制されます。米国のヨヒンベエキス含有商品を日本で医薬品として当局の承認を得ることなく日本国内で販売すると、薬事法違反(未許可医薬品の販売)になります。
    2. 精製される前のヨヒンベエキスや、精製度の低い粗ヨヒンビンは、医薬品の規格を満たすヨヒンビン塩酸塩と比べて純度が低く、不純物が混じっているため、自ずと本来の作用と効果が不安定であることや、不測の有害事象の発生が懸念されます。
    3. ヨヒンビンの作用には二相性があると指摘されており、投与量が多過ぎると逆効果になることや、有害事象が生じやすくなることが知られています。
    4. 弊社が製造販売するヨヒンビン塩酸塩製剤「ガラナポーン」「大木製薬・ガラナポーン」「ガラナピン(販売休止中)」は、医薬品としての規格を満たすヨヒンビン塩酸塩を原料としており、海外で販売されているヨヒンベ含有サプリメント等とは一線を画す品質です。
    5. 弊社は昭和35年(1960年)以来、ヨヒンビン塩酸塩を配合した医薬品を半世紀余にわたり製造販売していますが、本報にある有害事象のうち重篤な症例は弊社製品で経験しておりません。
    6. 以上より、「高純度な医薬品原料としてのヨヒンビン塩酸塩」を使用した、「低用量」なヨヒンビン塩酸塩製剤を、「用法・用量を守る」ことで、本報で指摘されている有害事象の発生は極めて少なく、その程度も軽微と考えております。 (福)

     


    【序論】
    ヨヒンビンはヨヒンベ(Pausinystalia yohimbe)樹皮より抽出されたインドール・アルカロイド誘導体である。中枢神経系に用意に浸透し、α2選択的拮抗薬として働くため、副腎髄質ホルモン(ノルエピネフリン)を増加させ、交感神経系の緊張を強化する。米国では、ヨヒンビンは化学的に精製された標準量のヨヒンビン塩酸塩を含む経口錠の処方薬として利用可能となっている。経口ヨヒンビン塩酸塩の作用の発現は1-2時間であり、半減期は0.58時間、作用時間は4時間である。天然のヨヒンビン抽出物を含む非標準のハーブ製品は、様々な用法・用量(錠剤、樹皮、液剤)で処方箋なしで利用可能である。活性型のヨヒンビンアルカロイドの量は報告されていないことが多く、製品ごとに広く異なっている。ある研究によれば、多くのヨヒンビンハーブ製品にはヨヒンビンが極少量、もしくは全く含まれていないことが判明している。

    ヨヒンビン樹皮はかつて催淫薬、幻覚剤として利用されてきた。今日では、ヨヒンビン塩酸塩は男性勃起障害(選択的セロトニン再取り込み阻害薬による抗うつ薬治療を含む)、女性性欲減退、自律神経障害、向精神薬による口内乾燥症、そして(可能性として)凝固障害に一般的に使用されている。しかしながら、ヨヒンビンの上述した全ての使用方法の有効性は証明されていない。

    ヨヒンビン塩酸塩の推奨使用量(ED治療に、5.4mg錠を1日3回)を使用した患者の有害事象は、悪心、腹痛、めまい、神経過敏であった。ヨヒンビンを単回投与で15-20mg使用した場合、用量依存的刺激効果、すなわち高血圧、頻脈が認められた。他の有害事象として、協調運動失調、不安神経症、幻覚、錯乱、倦怠感、逆行性健忘、ループス様症候群、腎不全などが報告された。

    米国において、ヨヒンビン製品の使用は増加している。ヨヒンビンは過量投与の状況であっても、比較的安全性が高いことが示唆されているが、とりわけハーブ製品の場合、臨床の経験は限定的である。1994年に成立した米国栄養補助食品教育法(DSHEA)では、ヨヒンビンハーブ製品を薬ではなく、栄養補助食品の特別カテゴリーとして市場に残すことを許可した。現在のところ、ハーブ治療は米国人の30-40%が使用しており、結果として年間自己負担費は50億ドルを超える(2009年の国内OTC漢方・生薬製剤市場は2374億円)。しかしながら、これらハーブ製品には安全性の面で大きな懸念がある。FDAによる市販前評価を受ける必要がないためである。実際、ハーブ製剤を市場から撤退させる前に、製品の危険性を証明しなければならず、FDAの負担となっている。これまでにも、あるハーブ製品が消費者に対して有意に安全面のリスクに関連している例はあった。よく知られている例がエフェドラ(Ma huang)であり、2004年にFDAより心血管系への有害事象があるとして販売が禁止された。

    米国会計検査院は、ハーブ製品による有害事象は実際に報告されている数よりも少ないと近年結論付けた。米国保健社会福祉省は、ハーブ製品による有害事象の20%ほどしか医療従事者に報告されていないと推定している。このため、ハーブ製品に関連する安全リスクを評価することを目的とした研究が必要となる。全国の中毒事故管理センター(PCC)の1993年から2002年までの報告をもとにハーブ製品の有害事象の重傷度を比較した解析結果があるが、それによると、ヨヒンビンはエフェドラを含む全ハーブ製品群において重篤な転帰を迎える有病率が最も高いとされている。しかしながら、この試験ではヨヒンビンが関連する有害事象の性質(症状、医療管理)について述べられておらず、何らかの因果関係評価も含まれていなかった。また、2004年のエフェドラの販売停止後、使用において重複が見られる(興奮効果)ヨヒンビンの使用傾向の評価に関心がもたれている、

    本レトロスペクティブレビューの目的はカルフォルニア州中毒事故管理センターに2000年から2006年にかけて報告されたヨヒンビンの有害事象の患者数、重症度、医療管理を評価することである。本レビューの結果は栄養補助食品としてのヨヒンビン製剤の現行規制の安全性および妥当性評価の助けなるだろう。

    【結果】
    ヨヒンビン有害事象の有病率(患者数)
    CPCS(カルフォルニア州中毒事故管理センター)データベースの初期スクリーニングにより計350症例が集められた。そのうち、266症例(76%)が成人であった(18歳以上)。2000年から2006年までCPCSに報告された、全238のヨヒンビン有害事象は症例試験対象患者基準に適合していた。年間の症例数は14から67であり、平均±SDは34±17症例であった。年間症例発生数は年を追うごとに有意に増加しており、成人10000人暴露あたりのヨヒンビンADE数は2000年の1.8から2006年の8.0に増加していた。定性的には、2000年から2002年に確実に増加し、2002年から2004年は横ばい、2004年から2006年に劇的に増加していた。

    患者人口統計
    ヨヒンビン有害事象が報告された被験者の平均年齢は39±15歳(18-85)。年齢間に有意な傾向はなかった(p=0.2)。ヨヒンビン有害事象が報告された被験者の大部分(77%)は男性であった。性比率の有意差はなかった(p≦1.0)。

    ヨヒンビン剤形/製品、共同経口摂取物(併用薬)

    7年間の全スパンにかけて、ヨヒンビン有害事象のほとんどの症例はハーブ製品(平均98.7%; 92.9-100%)であり、大部分の65.5%の症例はピル(錠剤、カプセル剤)製剤によるものだった。液剤は10.5%、残りの24.0%は剤形が不明であった。
    併用剤の情報は59.7%の症例で得ることができた。一般的な併用薬は、カフェイン、エフェドラ/エフェドリン、シネフリン、イチョウ、ノコギリヤシ、朝鮮人参、及びガラナであった。症例の大部分(70.5%)において併用薬は関与していなかった。併用薬としては、メタンフェタミン、エタノール、抗うつ薬(ウェルブトリン、プロザック、アミトリプチリン)、精神病の薬物治療(リタリン、トリレプタル、ブスパー、ストラテラ)が一般的だった。

    ヨヒンビンを含む製品の製品名は68.9%の症例で得られた。年毎の症例数が有意に増加している傾向のある製品名があった(p<0.001)。ヨヒンビンのハーブ製品で最もADEに関与していた製品は、「スタミナRx(8%)」、「レッドライン(6%)」、「ハーバルニトロ(4%)」、「リポ6(3%)」、「マックスサイズ(3%)」、「リポドリン(2%)」、「ウロプリン(2%)」、「スタッカー2 XPLC(2%)」であった。これらの8製品による症例数は、全体のほぼ3分の1に達する。とりわけ、スタミナRxによる症例は、2004年を除いて、全ての年で報告されている。他の製品の大部分(レッドライン、リポ6、マックスサイズ、リポドリン、スタッカー2 XPLC)は、最近(2005年、2006年)になって報告されている。これらの製品群は、多くは精力増強、エネルギーの向上、減量を謳っている。 Table 1に一般的なヨヒンビン製品とその用途をリストする。

    Table. 1 有害事象に最も関わるヨヒンビン製剤名

    製品名 症例、n(%) 用途
    スタミナRx 18(8%) 精力増強
    レッドライン 15(6%) 覚せい剤
    ハーバルニトロ 11(4%) 精力増強
    リポ6 7(3%) 減量
    マックスサイズ 6(3%) 精力増強
    リポドリン

    ウロプリン

    スタッカー2 XPLC

    5(2%)

    5(2%)

    5(2%)

    減量

    精力増強

    覚せい剤

    2000年~2006年, n=238

    摂取量と使用理由
    症例の65.5%は錠剤によるものであり、平均摂取量は3±5錠(1-49錠)であった。摂取した錠剤数が年毎に増えていくという有意な傾向は見られなかった(p=0.051)。
    症例の47.1%では、ヨヒンビン使用の明確な理由はわからなかった(報告に説明が規定されていなかった)。残りの症例では、ヨヒンビンを使用する一般的な理由として、精力増強(27.7%)、減量(9.2%)、覚せい効果(7.6%)であった。あまり一般的でない理由として、自傷(3.8%)、偶発的な摂取(1.7%)、幻覚効果(0.4%)であった。

    有害事象の種類
    2000年から2006年にかけて、一般的なヨヒンビンが関与するADEのうち、全体のうち5%以上を示すADEは、胃腸障害(悪心、嘔吐、めまい、腹痛)(45.7%)、頻脈(43.1%)、不安神経症/興奮(32.9%)、高血圧(24.7%)、顔面紅潮/紅斑(20.0%)、発汗(14.0%)、振戦/身震い(13.2%)、胸痛(12.1%)、悪寒/感冒/ふるえ(9.9%)、頻呼吸/息切れ(7.3%)、散瞳(6.0%)、異常精神状態/行動(5.4%)であった。重篤だが一般的でないADEとしては、急性心筋梗塞(0.4%)、心房細動(0.4%)、補正QT間隔延長(0.4%)、発作(0.4%)、急性腎不全(0.4%)、持続勃起症(0.8%)があった。Table2に一般的なADE、Table3に重篤だが一般的ではないADEをリストした。

    Table. 2 ヨヒンビン製剤に関わる一般的な有害事象

    有害事象 症例数n(%)
    胃腸障害 109(46%)
    頻脈 102(43%)
    不安神経症/興奮 79(33%)
    高血圧 60(25%)
    顔面紅潮/紅斑 48(20%)
    発汗 33(14%)
    振戦/身震い 31(13%)
    胸痛 28(12%)
    悪寒/感冒/ふるえ 24(10%)
    頻呼吸 16(7%)
    散瞳 14(6%)
    異常精神状態/行動 12(5%)
    2000年~2006年, n=238

    Table. 3 ヨヒンビン製剤に関わる重篤な有害事象

    有害事象 症例、n
    急性心筋梗塞 1
    心房細動 1
    補正QT間隔延長 1
    発作 1
    急性腎不全 1
    持続勃起症 2
    2000年~2006年, n=238

    管理
    患者のおよそ半数(47.9%)は医療監視、たいていは数時間、のみが必要な程度であった。幾人かの患者は治療介入が必要となっており、うち9.3%は活性炭の単回投与によるによる除染治療、8.3%はベンゾヂアゼピン(ロラゼパム、ジアゼパム等)の投与、3.6%は降圧薬治療、2.1%は対症療法、13.3%は他の治療(制吐剤、胸痛へのニトログリセリン、重篤な激越に対してのハロペリドールなど)を行った。25.3%の症例で治療が不明であった。

    非医療施設(自宅など)で管理が可能であった患者の平均年間比率(?)は31.5±8.2%だった。大部分(56.3%±13.9%)は医療施設(病院、医師のオフィス)での管理が必要であり、うち2.9%は集中治療室での治療が必要であった。管理施設が不明である症例が12.2±8.3%あった。年毎の管理施設の傾向に有意差はなかった(p<0.2)。比較的に、CPCSに2000-2006年に報告された全曝露薬物の最も一般的な管理施設は非医療施設(62.6±2.7%)であり、医療施設での管理はむしろ少数派であった(35.4±1.3%)。ヨヒンビン製剤による入院リスクも他の薬物曝露(薬、ハーブ製品、化学薬品、植物由来製品)に比べ有意に高かった(OR 2.35; 95%CI1.82-3.04)。

    転帰
    全体的に、ヨヒンビン製剤の曝露による副作用は、患者の37%が「影響なし」もしくは「最低限の影響」、15%が「軽い副作用」に関連していた。通常、これら2つの帰結カテゴリーでは、モニタリング以上の治療は必要ではない(AAPCCガイドライン)。およそ30%の患者は中等度の副作用を経験しているが、これらの患者群は何らかの治療介入は必要としているが、副作用は一時的であり、寛解している。他2%は重篤な副作用(命を脅かす、後遺症/身体障害)を経験した。ヨヒンビン曝露により死亡した患者はいなかった。フォローアップから脱落した転帰不明な患者は16%であった。時間による転帰の有意な傾向はなかった。

    2000年から2006年にかけて、ヨヒンビン製剤を使用した18歳以上成人の重篤な転帰(中等度、大、致命的)の平均年間比率(?)は33.0±14.5%だった。全体的に、CPCSに報告された他の成人曝露事例に比べて、ヨヒンビンにより報告された重篤な転帰の割合は、有意により高かった(OR 5.81; 95%CI4.43-7.64)。Table 4に、CPCSに報告された成人を対象とした、ヨヒンビン製剤と他の薬剤(薬、ハーブ製品、化学薬品、植物由来製品)における重篤な転帰もしくは入院のリスクを示した。

    Table. 4 ヨヒンビン製剤と全薬剤による重篤転帰および入院リスクのオッズ比

    ヨヒンビン製剤, n(%) 全薬剤, n(%) オッズ比(95%CI)
    重篤な転帰 77 (32.3%) 44,132 (7.6%) 5.81 (4.43-7.64)
    入院 134 (56.3%) 205,698 (35.4%) 2.35 (1.82-3.04)
    成人(2000-2006, n=238 CPCSデータベースより)

    全薬剤(薬、ハーブ製品、化学薬品、植物由来製品); n=581,068

    重篤な転帰(中等度、大、致命的)、AAPCCガイドラインに準拠

     

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  • 低テストステロンがもたらす心血管疾患などのリスク、テストステロン補充のメリットに関する報告

    2010年02月15日


    心血管疾患とアンドロゲンの関係に関するレビュー

    Int J Cardiol. 2009 Nov 16.
    Cardiovascular disease and
    androgens: A review.

    Kaushik M, Sontineni SP, Hunter C.
    Department of
    Medicine, Creighton University Medical Center, Omaha, NE,
    USA.

    世界的に心血管疾患は単一の最大の死因である。男女間の心血管疾患のパターンの差異は正しくは理解されていない。エストロゲンに対して大きなスポットライトがあてられているが、心血管疾患の減少に関するその役割は結論が出ていない。
    そこで、心血管疾患の性差の説明に対してアンドロゲンに関心が集まっている。過去20年間の研究により心血管疾患の進展に対するアンドロゲンの影響についての知識が増大した。
    男性におけるテストステロンレベルの加齢による低下および加齢に伴う心血管イベントの増加はアンドロポウズあるいはメノポウスという概念を導いた。
    不幸な事に、過去数十年間アンドロゲンは世界中のアスリート達の不正薬剤として注目されてきた。乱用にと突然の心血管死および重篤な心血管疾患の関連性に関する多数の報告がある。
    対照的にアンドロゲン低下に関連した各種の症状および適応外の目的でのテストステロン補充は増加している。
    ヒトでの観察研究は、テストステロンレベルの低下は冠動脈疾患の頻度を高めると、殆ど結論されている。
    新たなエビデンスは低アンドロゲンは不幸な心血管リスクを予測することを示している。

    心血管疾患に対するテストステロン補充の役割が一次的および二次的防禦段階の両者で研究され、その安全性が評価されている。
    心血管の観点からアンドロゲンの役割をレビューする事はしかるべき時期である。
    PMID:
    19923015

    低テストステロンは致死的心血管イベントと関連している

    J Sex Med. 2010 Jan 25.
    Low Testosterone is Associated
    with an Increased Risk of MACE Lethality in Subjects with Erectile
    Dysfunction.

    Corona G, Monami M, Boddi V, Cameron-Smith M, Fisher AD, de Vita
    G, Melani C, Balzi D, Sforza A, Forti G, Mannucci E, Maggi M.
    Andrology
    Unit, Department of Clinical Physiopathology, University of Florence,
    Florence,
    Italy.

    【 背景 】
    テストステロンは動脈硬化の発現に防禦的役割を果たしている事が示唆されているが、低テストステロンと主要な心血管障害(MACE)との関係を示す一般住民を対象とした研究は僅かであり、勃起不全(ED)患者での研究はない。
    【 目的 】
    EDを有する低テストステロン男性では致死性あるいは非致死性MACEが予測されるか否かを検討する。
    【 方法 】
    我々のED外来を受診した1687例の連続症例を対象とした前向きの観察研究を行った。EDに関する質問票調査(SIEDYおよびANDROTEST)および性腺機能低下関連症状の調査を行った。
    総テストステロン(TT)をベースラインにて測定した。MACEに関する情報はフローレンス市の登録データより得た。
    【 結果 】
    ・性腺機能低下症はTTの閾値230
    ng/dLで5.2%, 300 ng/dL1で3.8%および350 ng/dLで22.4%であった。
    ・平均フォローアップ期間4.3 +/-
    2.6年中に139例のMACEがあり、うち15例が致死的であった。
    ・MACEの非調整発生頻度はTTと関連がなかった。
    ・反対に致死的MACEの割合は性腺機能低下男性(TT閾値300
    ng/dLあるいは230
    ng/dL)で有意に高かった。
    ・しかし、年齢および慢性疾患スコアの調整後のコックス回帰モデルでは致死的MACEの頻度とTT閾値230
    ng/dLの間にのみ有意な関連が確認された(HR = 7.1 [1.8-28.6]; P <
    0.001)。
    ・性腺機能低下症状に関しては、致死的MACEがANDROTESTの高スコアと有意に関連していた(HR = 1.2
    [1.0-1.5])。
    【 結論 】
    テストステロン・レベルは心血管障害(MACE)の高死亡率と関連している。臨床医は低テストステロンに注意すべきである。
    PMID:
    20102478

    日本人男性において低テストステロンは冠血管イベントの予測因子である

    Atherosclerosis. 2009 Nov 13.
    Low testosterone level as
    a predictor of cardiovascular events in Japanese men with coronary risk
    factors.

    Akishita M, Hashimoto M, Ohike Y, Ogawa S, Iijima K, Eto M, Ouchi
    Y.
    Department of Geriatric Medicine, Graduate School of Medicine, University
    of
    Tokyo

    【 目的 】
    近年の疫学的研究によれば、地域住民高齢男性においてテストステロン低下は主に心血管(CV)疾患による死亡率の上昇と関連している。冠血管リスク因子を有する日本人中年男性において、低テストステロンが心血管イベントを予測出来るか否かを検討した。
    【 方法 】
    CV疾患の来歴がなく、冠動脈リスク因子(高血圧、糖尿病、脂質異常、喫煙および肥満)を有する171例の男性外来患者(年齢30-69歳,
    mean+/-SD=48+/-13
    years)のフォローアップ調査を行った。
    ベースラインにおいて、血管内皮機能として冠動脈リスク因子の調査、上腕動脈のFMDの測定および血清総テストステロン、DHEA-S、エストラジオールおよびコーチゾールの測定を行った。
    【 結果 】
    ・平均フォローアップ期間77カ月中に、20例のCVイベントが発生した。
    ・血清ホルモンの4分位によるかプラン-マイヤー分析の結果、テストステロンの最下位4分位群は最上位4分位群に比してCVイベントの発生率が高かった
    (P<0.01 by log-rank
    test)。
    ・Cox比例ハザードモデルはテストステロンの最下位4分位群(<14.2nmol/L)は上位群に比して、冠動脈リスク因子およびFMDで調整呉のCVイベントリスクが約4倍高かった
    (unadjusted hazard ratio, 3.61; 95% CI, 1.47-8.86: multivariate-adjusted
    hazard ratio, 4.61; 95% CI,
    1.02-21.04)。
    ・多変量解析の結果、DHEA-S、エストラジオールおよびコーチゾールとCVイベントとの間に有意な関連は認められなかった。
    【 結論 】
    中年日本人男性おいては冠動脈リスク因子および内皮機能と独立して血清テストステロン・レベルがCVイベントと関連していた。これはアジアの母集団における内因性テストステロンとCVイベントとの関係を明らかにした最初の報告である。
    PMID:
    19963216

    低テストステロン高齢男性におけるリポ蛋白(a) の上昇

    Aging Male. 2010 Jan 11.
    Increased occurrence of marked
    elevations of lipoprotein(a) in ageing, hypercholesterolaemic men with low
    testosterone.

    Kaplan SA, Lin J, Johnson-Levonas AO, Shah AK, Meehan
    AG.
    Weill Cornell Medical College, Institute for Bladder and Prostate Health,
    New York,
    USA.

    【 目的 】
    先に2つの脂質治療研究のベースライン・データを用い高齢男性における、血清テストステロン(T)とメタボリック・シンドローム(MS)発現との逆相関関係を調査した。
    さらに、Tと心血管リスク因子脂質、リポ蛋白(a)
    [Lp(a)].との関係を調査するため、これら2つの試験の一つに参加している米国男性の小集団のベースラインデータの調査を行った。
    【 方法 】
    107例の男性(平均年齢55歳)からベースラインのT、脂質、血糖値および身体計測値に関するデータを得た。対象の基準はLDL-C
    >/=3.4-4.9 mmol/l 及びトリグリセリド </=4.0 mmol/lである。
    ベース・ラインのLp(a)をT<15
    nmol/lの低-正常T群および>/=15
    nmol/lの正常群による差異を分析した。
    【 結果 】
    ・低Tの男性は有意なLp(a)上昇の発生頻度が高かった。
    ・Lp(a)レベルが正常上限の3倍以上であったのは、低-正常T群では17.1%であったのに対し、正常T群では8.1%であった。
    【 結論 】
    低テストステロンの高齢男性はLp(a)が著明に上昇している可能性がある。これは心血管リスクの上昇と関連している事が予期される。
    PMID:
    20059436

    【 注釈 】
    リポ蛋白(a)(LP(a))
    Lp(a)は、LDLのアポ蛋白であるアポB-100に、アポ蛋白であるアポ(a)が結合して構成されるリポ蛋白。Lp(a)に含まれるアポ(a)は、線溶系でフィブリン網を溶解するプラスミノゲンと構造的相同性がある。血液中のLp(a)濃度と、冠動脈疾患や脳梗塞の発症に正相関がある。

    アンドロゲン・レベルと医療費の関係

    Int J Androl. 2010 Jan 4.
    Prospective association of
    low serum total testosterone levels with health care utilization and costs
    in a population-based cohort of men.

    Haring R, Baumeister SE, Volzke H,
    Kohlmann T, Marschall P, Flessa S, Nauck  M, Wallaschofski H.
    Institute of
    Clinical Chemistry and Laboratory Medicine, Ernst Moritz Arndt University Greifswald, Greifswald,
    Germany.

    【 目的 】
    アンドロロジーの分野に対する関心は急速に高まっているが、ヘルスケアの利用とコストに対する血清テストステロン・レベルの影響に関しては特に取り組まれていない。
    地域住民コホート研究Study
    of Health in Pomerania
    (SHIP)のデータを分析し、血清テストステロンと自己報告のヘルスケアの利用およびコストとの関連を5年間フォローし、評価した。
    【 方法 】
    ベースラインでの対象は2023例の男性、このうち1530例が再調査が行われた。低および高テストステロンは年齢別の10および90パーセンタイルに従い、10-90パーセンタイルの対照者と比較した
    【 結果 】
    ・断面調査モデルでは、低テストステロンおよび高テストステロンの男性は共に外来訪問頻度およびコストが高かった(低:+19.1
    および+19.9%、高:+25.3 および+30.2%)。ところが入院日数お

    よびコストはテストステロン・レベルと関連がなかった。
    ・年齢、教育レベル、所得、ウェスト周囲径、喫煙状況、身体活動度および飲酒量による調整は結果に影響しなかった。
    ・長期的モデルでは低テストステロンのみがフォローアップの外来受診頻度(年齢調整

    +28.6%)およびコスト(+38.0%)の上昇と関連していた。
    【 結論 】
    低および高テストステロンは短期の外来ヘルスケア・コストの上昇と関連していた、ところが低テストステロンは長期的な外来ヘルスケア・コストの上昇とも関連していた。
    利用できる治療に関する経費効率研究が医師、患者およびヘルスケアアスステムのために必要である。
    PMID:
    20059581

    低テストステロンおよびSHBGおよび高エストラジオールは糖尿病リスクを高める

    Eur J Endocrinol. 2010 Jan 8.
    Low testosterone levels
    and SHBG levels and high estradiol levels are independent predictors of type
    2 diabetes in men.

    Vikan T, Schirmer H, Njolstad I, Svartberg J.
    T Vikan,
    Department of Endocrinology, Division of medicine, Tromso, 9038,

    Norway.

    【 目的 】
    地域住民男性において、内因性性ホルモンレベルのその後の2型糖尿病リスクに及ぼす影響を調査する。
    【 方法 】
    デザイン:地域住民をベースにした前向きのコホート研究。
    対象:第四次Tromso
    study
    (1994-1995)に参加した1454例の男性。
    調査:糖尿病症例を調査し、プロトコールに従って31.12.05まで立証した。
    分析:性ホルモンと糖尿病との前向きの関連性をコックス比例ハザード回帰を用い解析した。
    【 結果 】
    ・高い正常域総テストステロン群では後期の糖尿病リスクが有意に低下していた。総テストステロン四分位最高位群は最高位群に比してHR
    0.53, CI 0.33-0.84であった。
    ・糖尿病発生リスクの減少は高SHBG群でもみられ、四分位最低位群に比して第三位群でHR 0.38, CI
    0.18-0.81、第4位群でHR 0.37,
    0.17-0.82であった。
    ・総テストステロンとSHBGとの関連性は多変量モデルにウェスト周囲径を加えると有意ではなくなった。
    ・エスラジオールはポジチブに糖尿病発生と関連し、四分位最高位群に比して第二位群HR
    0.49, CI 0.26-0.93、第三位群HR 0.51, CI
    0.27-0.96であった。
    【 結論 】
    高エスラジオールの男性は肥満とは独立して後期糖尿病リスクが上昇していた。一方総テストステロンおよびSHBGの低下は糖尿病リスクを上昇し、これは肥満とは独立していた。
    PMID:
    20061333

    男性ホルモンと腹部大動脈瘤との関連性

    J Clin Endocrinol Metab. 2010 Jan 8.
    Associations of
    Total Testosterone, Sex Hormone-Binding Globulin, Calculated Free Testosterone, and Luteinizing Hormone with Prevalence of Abdominal Aortic
    Aneurysm in Older Men.

    Yeap BB, Hyde Z, Norman PE, Chubb SA, Golledge
    J.
    School of Medicine and Pharmacology, University of Western Australia,
    Australia

    【 背景 】
    腹部大動脈瘤(AAA)は高齢者の死亡と関連しており、大動脈径の上昇は冠血管イベントの予測因子である。AAAは主に男性に発生しているが男性ホルモンとの関連は不明である。
    【 目的 】
    男性ホルモンが独立してAAAあるいは腹部大動脈径の上昇と関連しているかを調査する。
    【 方法 】
    デザイン:断面調査分析。
    対象:年齢70-88歳の地域住民男性3620例。
    調査項目:腹部大動脈径を超音波により計測した。早朝血清により総テストステロン、SHBGおよびLHを測定した。遊離テストステロンは計算により求めた。
    【 結果 】
    ・AAA(大動脈径>/=30
    mm)は262例(7.2%に認められた。
    ・AAAを有する男性は有しない男性に比して総および遊離テストステロンが低くく
    (mean +/- SD
    14.5 +/- 6.0 vs. 15.5 +/- 5.6 nmol/liter, P = 0.005 and 256 +/-
    87 vs. 280
    +/- 97 pmol/liter, P < 0.001, respectively)、LHが高かった
    (median,
    interquartile range: 4.9, 3.1-7.9 vs. 4.3, 3.0-6.4 IU/liter, P =

    0.013)。
    ・交絡因子で調整した多変量解析において、遊離テストステロンはネガチブにAAAと関連し (odds ratio per 1 SD
    increase: 0.84, 95% confidence interval 0.72-0.98,
    P =
    0.026).、LHはポジチブに関連していた(odds ratio 1.14, 95% confidence
    interval 1.03-1.25, P
    =
    0.008)。
    【 結論 】
    高齢男性において、低遊離テストステロンおよび高LHは独立してAAAと関連していた。性腺機能障害は高齢男性における閉塞性血管疾患のような動脈拡張症と関連している可能性がある。
    PMID:
    20061425


    テストステロンは虚弱高齢男性の筋肉強度、身体機能、体組成およびQOLを改善する

    J Clin Endocrinol Metab. 2010 Jan 8.
    Effects of
    Testosterone on Muscle Strength, Physical Function, Body Composition, and
    Quality of Life in Intermediate-Frail and Frail Elderly Men: A Randomized,
    Double-Blind, Placebo-Controlled Study.

    Srinivas-Shankar U, Roberts SA,
    Connolly MJ, O’ Connell MD, Adams JE, Oldham
    JA, Wu FC.
    Department of
    Medicine and Endocrinology, University of Manchester Manchester Royal
    Infirmary; Health Methodology Research Group , New
    Zealand.

    【 背景 】
    身体的虚弱は筋肉の減阿呆、身体機能の障害およびQOLと関連している。テストステロン(T)は性腺機能低下患者において筋肉量および強度を増加する。低~境界域低値Tの虚弱高齢者においてTが同様の作用を示すかは明らかではない。
    【 目的 】
    中程度虚弱および虚弱高齢男性おける6カ月のT療法の筋肉量および強度、身体機能およびQOLに及ぼす影響を検討する。
    【 方法 】
    デザイン:単一施設、無作為、二重盲検、プラセボー比較、平行群間試験。
    対象:年齢65歳以上、総T12
    nmol/L(346ng/dL)あるいは遊離T250 pmol/L(72.1pg/L)以上の地域住民男性。
    投与方法:274例の男性を経皮T(50
    mg/d)またはプラセボー・ゲル6カ月間投与に無作に割り付けた。
    評価項目:筋肉強度、非脂肪および脂肪容量、身体機能および自己報告のQOL。
    【 結果 】
    ・等尺性膝伸展力はT群で改善し(6カ月後の対P群)、調整差異は8.6
    (95% CI, 1.3-16.0; P = 0.02)であった。
    ・T群において非脂肪容量は増加し(1.08 +/- 1.8
    k)、脂肪容量は減少した(0.9 +/- 1.6
    k)。
    ・身体機能はより高齢およびより虚弱な男性において改善した。
    ・身体および性症状スコアはT群で減少し、調整後の差異は各々-1.2 (-2.4
    to -0.04) および-1.3 (-2.5 to
    -0.2)であった。
    【 結論 】
    低~境界域低値Tの中程度虚弱および虚弱高齢男性おける6カ月のT療法は老化による筋肉の喪失、強度の低下を防止し、体組成、QOLおよび身体機能を改善した。
    PMID:
    20061435

    テストステロン・レベルは長期的なLUTSのリスクと逆相関する

    BJU Int..
    Serum sex hormones and the 20-year risk of
    lower urinary tract symptoms in community-dwelling older men.

    Trifiro MD,
    Parsons JK, Palazzi-Churas K, Bergstrom J, Lakin C, Barrett-Connor
    E.
    Division of Urologic Oncology, Moores UCSD Cancer Center, San Diego, CA,
    USA.

    【 目的 】
    高齢の地域住民男性集団において、性ホルモン濃度とその後の長期的下部尿路症状(LUTS)リスクの関連を調査した。
    【 方法 】
    1984から1987の間にRancho
    Bernardo
    Study(前向きの地域住民調査)の参加者の血清性ホルモン濃度を測定した。2006年に生存者に米国泌尿器学会症状スコア質問票(AUA-SI)を送付した。
    AUA-SIとベースラインの性ホルモン濃度の関連性をロジスティック回帰分析した。

    米国泌尿器科学会の良性前立腺肥大症の症状スコア
    最近約1カ月間にわたり下記の症状がありましたか
    Q.排尿後に尿が残っている感じが何回ありましたか。
    Q.排尿後2時間以内にもう1度排尿しなくてはならないことが何回ありましたか。
    Q.排尿中,数回にわたって尿が止まり,再び出ることが何回ありましたか。
    Q.排尿を我慢することが難しいことが何回ありましたか。
    Q.尿の勢いが弱いことが何回ありましたか。
    Q.排尿開始時にいきんだり,努力しなくてはならないことは何回ありましたか。
    以上の項目下記のように評価
    全くなし
    :0、 5回に1回未満 :1、 全回数の50%未満 :2、 全回数の約50%
    :3、 全回数の50%超 :4、 ほとんど常に
    :5
    Q.夜就寝してから朝起床するまでの間に普通何回トイレに起きますか。
    なし(0)、 1回(1)、 2回(2)、
    3回(3)、4回(4)、5回以上(5)
    米国泌尿器科学会の症状スコア=合計

    【 結果 】
    ・完全な回答得たのは158例、ベースラインの性ホルモン測定時の平均年齢(sd)は58

    (6.6)歳、平均フォローアップ期間(sd)は20.3
    (0.6)年である。
    ・年齢調整ロジスティック回帰分析において、テストステロンおよびDHTとLUTSの間に逆向きの関連性が認められた(P =
    0.05)。.
    ・生物学テストステロンの高い男性は性腺機能低下レベルの男性に比してLUTSのリスクが56%減少していた、しかしこの関連性は有意ではなかった(オッズ比
    0.44, 95% CI
    0.14-1.40)。
    【 結論 】
    この集団において、中年期のテストステロン、DHTおよび生物学的テストステロンが高い男性はLUTSの20年間のリスクが減少している。
    このデータはテストステロンとLUTSとの逆相関を報告している他の研究を支持するものである。
    テストステロン療法の臨床試験にLUTSおよびBPHの改善が含まれるべきである。
    PMID:
    20002438

    勃起不全におけるテストステロンの役割

    Nat Rev Urol. 2009 Dec 8.
    The role of testosterone in
    erectile dysfunction.

    Corona G, Maggi M.
    Sexual Medicine & Andrology
    Unit, Department of Clinical Physiopathology, University of Florence,
    Italy.

    勃起不全(ED)は勃起に関連した身体的疾患、ストレスへの反応および関係性の困難さを含む臨床的因子の連続的スペクトルの結果として起きる臨床的異常である。
    テストステロンはEDのこれらの原因に関連しているが、EDの治療におけるテストステロンの有用性は完全には明らかではない。
    男性の性的反応におけるテストステロンの主な生理学的な作用は性欲に関連した勃起過程のタイミングを調整する事であり、それゆえセックスにともなう陰茎勃起を調整している。
    ED、性腺機能低下症およびメタボリックシンドロームおよび2型糖尿病のような潜在する疾患との関連性は今日よく実証されている。
    潜在疾患の認識は健康に関連したライフスタイルの改善のための、EDを有する男性の動機付けに有用である。
    それゆえ、EDを有する男性は「ラッキー」と考えられる。なぜなら、潜在疾患を検出すための医学的検査機会が得られるからである。
    EDおよび性腺機能低下症は治療可能な疾患である。テストステロン製剤の範囲はサプリメントとして利用可能であり、ある場合にはPDE5阻害剤との併用が有用である。
    PMID:
    19997070

     

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  • 高齢婦人のQOLに対する estrogen含有クリーム製剤および testosterone含有クリーム製剤併用の効果

    2009年10月03日


    高齢婦人のQOLに対する estrogen含有クリーム製剤および testosterone含有クリーム製剤併用の効果

    御茶ノ水・浜田病院産婦人科
    合阪幸三, 宮本雄一郎, 生月弓子

    第24回 日本更年期医学会学術集会 (平成21年10月3日~10月4日) 一般演題12

    【目的】
    更年期婦人に対する estrogen製剤の投与は広く行われている。 Estrogen製剤のみで効果がみられない場合は、旧来より androgen製剤が併用されており、その有効性についてもよく知られている。 しかしながらわが国では、女性用の androgen製剤は注射製剤しか利用できないため、この点が女性に対する androgen療法が今ひとつ普及しない要因であると考えられる。 今回我々は、androgen含有クリーム製剤を高齢婦人に対して投与し、その効果を検討した。

    【方法】
    治験開始に先立ち、院内の倫理委員会にプロトコールをすべて公開し許可を得た。 患者には十分なインフォームドコンセントを行い、同意の得られたものを対象とした。 対象症例は6例(59.5±1.9歳)で、いずれも閉経後5年以上経過していた。 これらに対して estrogen含有クリーム製剤(バストミンTM、1g中に estradiol 0.6mg、 ethinylestradiol 0.2mg 含有)を 0.1g/day、および testosterone含有クリーム製剤(グローミンTM、1g中に testosterone 10mg含有)を 0.01g/day 外陰部に塗布させ、その効果を検討した。 外陰部の乾燥感、性交痛、嫌悪感、活力(やる気)のなさにつき、3(重症)~0(症状なし)の4段階にスコアリングして、投与前後で評価した。

    【結果】
    乾燥感:2.75±0.47→0.38±0.52、性交痛:3.00±0.00→1.00±0.63、嫌悪感:2.67±0.52→0.67±0.52、やる気のなさ:2.83±0.41→0.50±0.55 と、いずれも有意に改善した。 各種クリーム製剤投与による重篤な副作用は1例も認められなかった。

    【結論】
    高齢婦人に対する、女性ホルモンに併用する形での微量の男性ホルモン投与は、局所の改善のみならず、精神的にも前向きになることから、QOLの向上に有益であると考えられた。

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  • 肥満と勃起不全の関連にはアンドロゲン欠乏と内皮障害が関与する

    2009年09月24日


    肥満は勃起不全の発現と高く関連しているが、両者の病態生理学的リンクに関してはよく分かっていない。このミニレビューにおいて、共通する病態生理学的リンクが存在するかどうかを調査するため、肥満の勃起不全に関する文献の評価を行った。

    内臓肥満は炎症反応を高め、内皮障害の原因となる。さらに、肥満はテストステロン・レベルを下げ、性腺機能低下症の原因となり、血管病変のリスクを高める。

    内皮機能不全とアンドロゲン欠乏症は既に、勃起不全の病態生理学的メカニズムに関連している事が知られている。

    内皮機能不全とテストステロン欠乏症の病態生理学的メカニズムには陰茎血管不全が関与し、NO合成酵素発現及び活性の低下、組織コンプライアンスのロスを招き、血管動態の低下を引き起こす。

    性治療の分野の最近の進歩は勃起不全患者の治療に対して血管疾患および性腺機能低下の影響を認めている。

    内臓肥満はメタボリックシンドロームの成分であり、内皮機能及びテストステロン・レベルに悪影響し、性腺機能低下及び勃起不全の原因となる。

    このように、肥満患者の勃起不全のリスクの臨床的スクリーニングにはウェスト周囲径、テストステロン・レベル、BMIおよび身体活動量の検査を行うべきである。

    【 原著 】
    FEBS J. 2009 Sep 15.
    Mechanisms of obesity and
    related pathologies: Androgen deficiency and endothelial dysfunction may be
    the link between obesity and erectile dysfunction.

    Traish AM, Feeley RJ,
    Guay A.
    Department of Biochemistry and Urology, Boston University School of
    Medicine, MA, USA.

    PMID:
    19754871

     

    【 弊社コメント 】本報では、次の図式が簡明にまとめられています。(野)肥満 → 炎症反応の上昇 → 内皮機能障害 → 血管障害 → 勃起不全
    肥満 → テストステロン低下 → 内皮機能障害 → 血管障害 → 勃起不全

    メタボリックシンドロームが血栓や動脈硬化といった血管障害につながる事は既にご存知の通りですが、血管障害はED(勃起不全)につながるものですから、すなわちメタボはEDの危険因子です。血管性EDは特効薬とされるPDE-5阻害剤をもってしても治りにくいEDなので、予防が大切です。
    肥満の予防、血栓や動脈硬化のような血管障害を防ぐ生活習慣(食生活・適度な運動・適切な生活リズム・禁煙・・・等々)が適度なテストステロン(男性ホルモン)分泌の維持につながり、EDの予防にもつながる・・・、という好循環になると思われます。(福)

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  • 女性のHRTにテストステロン(男性ホルモン)の併用

    2009年08月06日


    2009年(平成21年)8月6日の読売新聞「医療ルネッサンス」で、「女性へ男性ホルモン併用」として女性ホルモン補充療法に少量のテストステロンを併用する取り組みが紹介されました。

    グローミン」は、テストステロンを配合したクリームタイプの軟膏剤(第1類医薬品)で、経皮吸収により少量ずつ、天然型のテストステロンを補充できます。

    これは、OTCでありながら本邦で承認された現状の医療用テストステロン製剤にないメリットです。

    低用量で非侵襲的な経皮吸収ですから、高用量にともなうリスクや、肝臓に負担をかけるリスクが少ないうえ、短時間ながら着実に血中テストステロン値を上昇させるエビデンスがありますので、自ずと従前の男性ホルモン剤よりも安心感があります。

    マイルドな効果と高い安全性が期待されることから、幅広い領域の医師から臨床応用をいただいており、冒頭の記事にあるHRTの少量テストステロン併用にも、「グローミン」をご使用いただいております。

    ・泌尿器科 (LOH症候群、LOHと合併した下部尿路症状やED治療、女性の性欲障害)
    ・ 産婦人科 (女性更年期障害不妊治療におけるテストステロン併用療法)
    ・小児科 (内分泌系疾患・尿道下裂の治療における補充)
    ・ 一般内科・心療内科 (LOH症候群
    ・ アンチエイジング外来の各種クリニック
    ・ 内分泌内科 (糖尿病、メタボリックシンドローム
    ・ GID(FTM)のホルモン療法
    ・整形外科、リバリリテーション科、皮膚科、歯科、動物医

     

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  • 抑うつ患者のテスステロン補充療法に関するメタ解析

    2009年07月30日


    ■ 目的
    多くの研究が抑うつ患者におけるテストステロン補充療法(TRT)の抗うつ効果を示唆している。 論文のシステマティック・レビューおよびメタ解析により抑うつに対するTRTの効果を探索した。

    ■ 方法
    MEDLINE, Clinical Trials Registry, および Cochrane Central (英語版)にて抑うつ患者の無作為、プラセボ比較試験の調査を行った。 調査において見出された総説の個々の論文リストより付加的調査を行った。
    DSMの基準に従って抑うつ異常と診断された患者におけるTRTおよびプラセボの比較試験のオリジナルなデータが報告されていればこのレビューおよびメタ解析の選択されるものと判断した。 治療に対する反応は抑うつに対するハミルトン評価スケール(HAM-D)の変化にしたげって評価した。
    同定された研究のソースから総および各群の患者数、年齢、性腺機能低下症あるいはHIV/AIDSと診断された患者数、研究期間、介入のタイプ、およびHAM-Dスコアの変化に関するデータを抽出した。
    メタ解析は用いたプラセボ比較のRCTにおけるHAM-Dスコアの変化によって測定された抑うつ患者に対するTRTの効果を評価した。

    ■ 結果
    7つの試験(N=364) が二重盲検によるプラセボ比較試験であった。 選択基準は全ての試験で明確にされている。

    プラセボに比した場合、これら7つの試験から抽出したデータのメタ解析は抑うつ患者のHAM-D反応に対するTRTの有意な正の効果を示した(z=4.04, P<0.0001)。

    サブ群解析は性腺機能低下症(z=3.84, P=0.0001)およびHIV/AIDS(z=3.33, P=0.0009)のサブ集団においても有意な効果を示した。

    ■ 結論
    TRTは抑うつ患者において抗うつ効果を示すと思われる。 特に高齢の性腺機能低下あるいはHIV/AIDS患者において有効である。 TRTの投与経路は治療に対する反応において重要である。

    ■ 原著
    J Psychiatr Pract. 2009 Jul;15(4):289-305.
    Testosterone and depression: systematic review and meta-analysis.
    Zarrouf FA, Artz S, Griffith J, Sirbu C, Kommor M.

     

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