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更年期や性機能についての学術情報、最新研究などを紹介いたします。更年期や性機能についての学術情報、最新研究などを紹介いたします。

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  • 徐波睡眠の抑制はテストステロン分泌を抑制する

    2018年08月06日


    <目的>

    アンドロゲンおよびコルチゾール等のステロイドホルモンのレベルは日内変動を示し、その変動は睡眠‐覚醒サイクルと関係している。現在、ステロイドホルモンの分泌における睡眠の各ステージの機能的役割は不明のままである。

    そこで、コルチゾールおよびアンドロゲンの早朝レベルに対する徐波睡眠(SWS)抑制の影響を調査した。

    <方法>

    12名の健康男性ボランティアが2つの実験セッションに参加した。すなわち、夜間睡眠中の選択的SWS抑制セッションおよび通常夜間睡眠セッション(コントロール)である。

    SWS抑制は音響トーンを用いた刺激により行った。起床直後および40分後に唾液を採取した。LCタンデム質量分析計により採取した唾液中のテストステロン(T)、アンドロスタンジオン(Ad)、DHEA 、17α-hydroxyprogesterone (17-OHP)およびコルチゾールを測定した。

    <結果>

    ・SWS抑制は総睡眠時間および睡眠効率に影響することなく全体のSWS時間を54.2%減少した。

    ・選択的SWS抑制セッションにおいて、早朝Tの平均レベルはコントロールセッションより低かった(p = 0.017)。

    ・同様に、17-OHPはSWS抑制において低かった(p = 0.011)、ところがDHEA/Ad比は高かった(p = 0.025).。

    ・コルチゾール、Ad、あるいはDHEA濃度にはセッション間で有意な差異が無かった。

    <結論>

    Tおよび17-OHPの早朝レベルに対する選択的SWS抑制の影響はアンドロゲンの合成および分泌に対するSWSの重要性を示している。

    この結果は、SWSの減少による慢性的睡眠障害は長期的にアンドロゲン欠乏のリスク増加を示唆している。

     

    徐波睡眠(slow wave sleep:SWS)2Hz以下の徐波が連続する睡眠状態。 急速眼球運動を伴わない睡眠。ノンレム睡眠

     

    【原著】

    Sleep Med. 2018 May 12;48:117-126. doi: 10.1016/j.sleep.2018.04.012.

    Slow-wave sleep and androgens: selective slow-wave sleep suppression affects testosterone and 17α-hydroxyprogesterone secretion.

    Ukraintseva YV, Liaukovich KM, Polishchuk АA, Martynova ОV, Belov DA, Simenel ES, Meira E Cruz М, Nizhnik АN.

     

    【弊社コメント】

    良質の健康な睡眠は、いわゆる「深い眠り(ノンレム睡眠)」と「浅い眠り(レム睡眠)」を約90分のサイクルで繰り返していると言われていますが、深い眠りを減少させると、男性ホルモンの不足に陥るリスクがあるとのことです。

    男性ホルモンの不足がもたらす健康リスクが明らかになるなか、男性ホルモンの分泌を維持し、ひいては様々な健康リスクを避けるためにも、質の良い睡眠をとる生活をお勧めします。(福)

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  • テストステロン補充療法と前立腺癌の関連性

    2018年07月24日


     

    <目的>

    低テストステロン(T)男性のテストステロン(T)療法は一般的であるが、前立腺癌(PC)リスク上昇に関する関心が高まっている。そこで比較的短期間のT療法と悪性PC発症との間の関連性を検討した。

    <方法>

    2002年~2011年の間に低Tが確認され、近い期間にPSA検査が行われた40~89歳の男性退役軍人に関する後ろ向きの起始コホート研究を行った。近い期間のT療法施行、前立腺あるいは乳癌、高PSAあるいは前立腺生検施行患者は除外した。

    組織学的に確認された悪性PCを主要アウトカム、その他の全てのPCを二次アウトカムとした。

    *起始コホート

    特定の健康問題が進行するまえの早い時期(すなわち,推定される原因に最初に曝露される時,または最初の診断の時)に集められ,登録された人々で,そのあと追跡されることになっているグループのこと。

    <結果>

    ・登録例数147,93名、その内8,617名がT療法を受けた。

    ・313例が悪性PCと診断され、うち190例がT療法を受けず (発症頻度 (IR) 0.7 per 1000 person years, 9% CI 0.49-0.6) 、123例がT療法を受けていた(IR 0.8 per 1000 person years; 9% CI 0.48-0.69)。

    ・年齢、人種、コホート登録前の入院年数、地域、BMI、合併症、T療法の繰り返し、およびPSAテストで調整後、T療法は悪性PC (HR 0.89; 9% CI 0.70-1.13) あるいはすべてのPC (HR 0.90; 9% CI 0.81-1.01)と関連していなかった。

    ・累積T投与量あるいはT製剤の種類とPCの間に関連性は見られなかった。

    <結論>

    低Tおよび正常PSAの男性においてT療法は悪性PCあるいはいかなるPCとも関連していなかった。 T療法の臨床的リスクおよびベネフィットは大規模、長期無作為比較試験によって完全に明らかにされる。

     

    【原著】

    PLoS One. 2018 Jun 22;13(6):e0199194. doi: 10.1371/journal.pone.0199194. eCollection 2018.

    Testosterone treatment and the risk of aggressive prostate cancer in men with low testosterone levels.

    Walsh TJ, Shores MM, Krakauer CA, Forsberg CW, Fox AE, Moore KP, Korpak A, Heckbert SR,, Zeliadt SB, Kinsey CE, Thompson ML, Smith NL, Matsumoto AM

     

    【弊社コメント】

    決定的な根拠となる、大規模で長期的な研究は未だありませんが、これまでの結果からはテストステロンの補充療法と前立腺癌の発症に関連性はないという所見です。(福)

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  • 肥満男性における低PSAの原因

    2018年07月20日


    <目的>
    肥満男性は同年代の痩せた男性よりも血清PSAが低い。しかし、この機序は不明のままである。そこでPSAに対する肥満の影響および関与する機序を検討した。

    <方法>
    リクルート時に35歳以上の男性1,195名を対象に人口動態的背景、身体計測(BMIおよびウェスト周囲径(WC))および血清ホルモン(T、E2)、PSAおよび血液学的検査を2回にわたって行った。
    前立腺がんの病歴あるいはPSA測定データ欠損の男性は除外し、最終的分析は970名で行った。ホルモンおよび容積因子で調整した混合効果回帰および媒介分析にてPSAに影響する肥満の機序を探索した。

    <結果>
    ・年齢で調整後、PSAレベルはWCの高い男性で有意に低かった (p=0.001)。

    ・予測因子としてWC、年齢、E2/TおよびPlasVを含む多変量モデルにおいて、PSAとWC(p=0.36) あるいは PlasV (p=0.49)の間に有意な関連性は見られなかった。一方、PSAとE2/T(p<0.001) 及び年齢(p<0.001)との間に強い関連性が見られた。

    ・媒介変数をPlasVとした媒介分析において、平均因果媒介効果(ACME)はPSAに対するWCの総効果の0.2であった(p=0.31)。一方、媒介変数をE2/Tとしたとき、ACME は効果の0.5であった(p<0.001)。

    <結論>
    肥満男性の低PSAはホルモンの変化(E2/T比の上昇)および血液希釈の両者により説明される。 ホルモン因子は大きな影響をもっているが正しく評価されていない介在経路である。

    【原著】
    Endocr Relat Cancer. 2018 Jun 25. pii: ERC-17-0438. doi: 10.1530/ERC-17-0438.
    The inverse relationship between prostate-specific antigen (PSA) and obesity.
    Aref A, Vincent AD, O’Callaghan M, Martin S, Sutherland P, Hoy A, Butler LM, Wittert G

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    カテゴリマークお知らせ・ご挨拶

    お知らせ・ご挨拶

    お詫び|サーバのトラブルによるHPおよびメールの不具合について

    2018年07月06日


    お客様ならびに関係各位

     

    平素より弊社および弊社製品のお引き立てを賜り厚く御礼申し上げます。

     

    このたび、ファーストサーバ社「Zenlogic」の高負荷障害にともない、去る7月2日より同月6日にかけて弊社HPが閲覧できず、また弊社メール環境が停止して送受信の出来ない状況が続きました。関係各位にご不便、ご迷惑をおかけ致しお詫び申し上げます。

     

    これまでの経緯から当該サーバに速やかな復旧の見通しがつかず、今後も引き続き信頼することは困難と判断し、サーバの移転を実施いたしました。7月6日・17:30現在、HP閲覧は概ね正常化いたしております。

     

    なお、メール環境におきましては、7月9日中の正常化を目指して弊社内の作業を進めておりますが、7月2日から同月9日までに弊社宛へメール送信いただいたご関係各位におかれましては、誠に恐れ入りますが必要に応じご再送をお願いしたく、お手数をおかけ致しますこと重ねてお詫び申し上げます。

     

    以上、取り急ぎお詫び申し上げますと共に、ご案内とお願いを申し上げます。今後とも変わらぬお引き立てのほど何卒お願い申し上げます。

     

    大東製薬工業株式会社 ・ 担当: 福井 厚義

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    カテゴリマーク加齢とQOLの低下・
    生活習慣病

    加齢とQOLの低下・生活習慣病

    若年男性のEDのリスク因子

    2018年05月15日


    <目的>
    既存の危険因子がない40歳以下の若年男性における勃起不全の病因の解明を試みた。

    <結果>
    ・正常対照群に比して勃起不全患者は頸動脈内膜中膜厚、空腹時血糖およびインスリンHOMA指数が高く、FMDおよびTレベルが低かった(P < 0.05)。しかし、これらの値は全て正常範囲内であった。

    ・多重ロジスティック回帰分析の結果、勃起不全の有意な予測因子として、頸動脈内膜中膜厚、FMD、インスリンレベルおよびHOMA指数を確認した。

    ・FMD<10.65%の若年男性は勃起不全の保有する傾向が11.645倍高く、勃起不全保有のリスクは頸動脈内膜中膜厚>0.623 mmの男性4.16倍、HOMA指数>1.614の男性5.993倍高かった。

    <結論>
    一般的な臨床スクリーニングが正常の若年男性において、頸動脈内膜中膜厚およびHOMA指数の上昇翔およびFMDの低下は高い勃起不全発症率と関連していた。
    勃起不全は一般的な心血管の危険因子が見いだされる前に現れ、潜在的心血管疾患の最も早い臨床的徴候と考えられる。


    Asian J Androl. 2018 Feb 9. doi: 10.4103/aja.aja_73_17.

    Erectile dysfunction is associated with subclinical carotid vascular disease in young men lacking widely-known risk factors.(原著フリー

    Yao FJ, Zhang YD, Wan Z, Li W, Lin H, Deng CH, Zhang Y Department of Ultrasound, First Affiliated Hospital, Sun Yat-sen University, Guangzhou 510080, China

     

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    カテゴリマーク男性ホルモン
    (アンドロゲン・テストステロン)

    男性ホルモン(アンドロゲン・ テストステロン)

    テストステロンと心血管系の関連性に関する機序の研究成果

    2018年05月14日


    • テストステロン(T)欠乏は心血管疾患(CVD)の男性で一般的であり、無作為プラセボ比較試験(RCT)は慢性安定性狭心症患者の労作性心虚血、慢性心不全(CHF)患者の運動耐容能、運動時最大酸素消費量(VO2max)および筋力、Q-T間隔の短縮および幾つかの心血管リスク因子の改善に対するTの有用性を報告している。
    • T欠乏は有害なCVリスクプロフィルおよび死亡と関連している。
    • 臨床的および科学的研究はRCTの結果を支持し、それを説明する機序的エビデンスを提供している。
    • Tは冠動脈循環および肺血管を含む他の血管床における急速な動脈拡張作用を有し、全身の末梢血管抵抗を下げる可能性がある。
    • Tは直接的な非ゲノム的機序によりCaチャネルのブロック(L-Caチャネル)を介して血管反応性に対する作用を媒介し、Kチャネルの開口を刺激する事をエビデンスは示している。
    • Tはまた超高速Kチャネル電流を刺激する事により心筋細胞の脱分極を刺激する。
    • TはCHF患者の心拍出量、運動耐容能、VO2maxおよび迷走神経を介した動脈圧受容器心臓反射感受性を改善する。
    • 心機能に対するTの有用性とは別に、T補充は骨格筋糖代謝を増やし、筋力を高める。運動耐容能の改善に寄与する因子が糖代謝および筋力の完全に関わっている可能性がある。
    • Tは体組成、ゲノムおよび非ゲノム的な作用の両者による糖利用および脂質代謝の改善によりインスリン抵抗性及び高脂血症を含むメタボリックなCVリスク因子を改善する。それには糖取り込みおよびインスリン受容体の発現、グルコース・トランスポーターおよびキー代謝経路の調整蛋白の発現が関わっている。
    • HDL-Cに対する作用はスタディにより、下降、上昇あるいは変化しないと異なっている。
    • T補充はCVD男性患者において血清催炎症サイトカインレベルを抑制し、抗炎症および抗動脈硬化作用を有するIL-10の産生を刺激すると思われる。CRPに対する影響は観察されていない。
    • 凝固因子に対する有害作用は認められていない。
    • Tが頸動脈内膜中膜厚あるいは冠動脈Ca沈着のような動脈硬化の代理マーカーを改善するあるいは悪化するという有意なエビデンスをRCTは明確に示していない。
    • 動脈硬化の予防あるいは改善に関するTの影響はスタチン療法で認められると同様に数年を経過して現れると思われ、TのRCTで使用されている数カ月では生じないと思われる。
    • 長期的な疫学的研究からの重要なエビデンスは、T欠乏男性の臨床試験において示された主要心血管イベント(MACE)および死亡の減少といった防御作用を支持している。
    • 正常健康レベルにTを補充したRCTはMACEに関して有意な有用性あるいは有害作用を報告していない。また最近のメタ解析も同様である。

     

    Asian J Androl. 2018 Mar-Apr;20(2):120-130. doi: 10.4103/aja.aja_6_18.

    Randomized controlled trials – mechanistic studies of testosterone and the cardiovascular system. (原著フリー

    Jones TH, Kelly DM
    Robert Hague Centre for Diabetes and Endocrinology, Barnsley Hospital NHS Foundation Trust, Barnsley, UK.

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    カテゴリマークお知らせ・ご挨拶

    お知らせ・ご挨拶

    「ガラナポーン」製造販売の一時休止について

    2018年04月01日


    ご愛用者各位

     

    平素より弊社製品のお引き立てを賜り厚く御礼申し上げます。

     

    さて、弊社製品「ガラナポーン」(劇薬・要指導医薬品、ヨヒンビン塩酸塩製剤)につきましては、皆々様のお力添えにより多くのご愛用者に支えていただき、昭和41年の承認からこれまで半世紀余にわたり重篤な副作用の経験もなく製造販売を続けて参りました。

     

    しかしながら、現在の関係法令への対応は困難を極めており、やむを得ず本剤の製造販売を休止させていただき、製造再開の際は新製品として再導入させていただくことに致しました。

     

    本剤のご愛用者、患者様におかれましては、供給責任を果たせず誠に申し訳なくお詫び申し上げます。何卒ご了承いただきたくお願い申し上げます。

     

    敬具

     

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  • 飽和モデルからみたテストステロン・フレアのリスク

    2017年08月08日


    <目的>
    性腺刺激ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニストが1980年代に導入されたとき、Tフレアと言われる最初の一過性のテストステロン(以下、T)上昇が前立腺癌(PC)の成長、および疾患の進展、合併症および死亡を招くと一般的に信じられた。これらのリスクを防御するため抗アンドロゲン剤を併用する事がルーチンとなった。

    しかしながら、近10年間、アンドロゲンはPC成長の刺激に限定的に作用することが認識されるようになり、Tフレアのリスクに対して理論的検証がなされている。そこでTフレアと関連したリスクをレビューした。
    <方法>
    LHRHアゴニストに関連したTフレア、疾患フレアに関係する論文をMEDLINEにてサーチした。1980年5月1日から2016年5月1日の間、luteinizing hormone-releasing hormone, gonadotropin-releasing hormone, および antiandrogensのタームにて検索した。
    <結果>

    ・最初のLHRHアゴニストの投与は一様に2-3日間の血清Tを40~100%上昇し、その後Tレベルは7~8日目にベースラインレベルに戻り、約2~3週間去勢レベルに低下した。

    ・Tフレアの間にPSAを測定した6つのLHRHアゴニストの研究のうち5つは、ベースラインのPSAが≥500ng/ml の進行がんが存在するにも関わらずPSAに有意な上昇を認めなかった。

    ・疾患フレアのエビデンスはLHRHアゴニスト単独投与とLHRHアゴニスト+抗アンドロゲン剤併用を比較した骨疼痛に関する1報告に限られた。他の3つのRCTは疾患フレアを報告していない。

    ・脊髄圧迫の割合は去勢あるいはエストロゲン療法に比してLHRHアゴニスト単独で多くなかった。

    ・LHRHアゴニストの影響を進行性PCの自然経過と比較するためLHRHアゴニスト対プラセボ/無治療の比較試験はなかった。

    <結論>
    30年間、Tフレアはリスキーであると考えられてきたが、1980~1990年に収集したエビデンスのレビューはこの見解を支持しなかった。特に、Tフレアは広範な転移性疾患の男性においてさえ有意なPSA上昇、疾患の進展あるいは有害作用と関連しなかった。これらの結果は2006年に最初に紹介された飽和モデルと一致する。

    LHRHアゴニストに抗アンドロゲン剤を併用する価値は、広範囲な脊髄転移があり血清Tが飽和ポイント約250ng/dl以下である男性を除いて殆どない。

    【原著】
    Eur Urol Focus. 2017 Jul 1. pii: S2405-4569(17)30159-1. doi: 10.1016/j.euf.2017.06.008.
    Risk of Testosterone Flare in the Era of the Saturation Model: One More Historical Myth.
    Krakowsky Y, Morgentaler A
    Men’s Health Boston, Beth Israel Deaconess Medical Center, Harvard Medical School, Chestnut Hill, MA, USA.

     

    【弊社コメント】

    飽和モデルは高いテストステロンが前立腺癌や肥大を促進しない事を理論づけたものです。今回の報告はTフレアという急激なテストステロンの上昇が有害作用を及ぼさす、飽和モデルと一致したものです。TRTが前立腺に対して危険なものではない事を示す典拠になることが期待されます。今後、関連学会において、ガイドラインや指針にこの考え方が取り入れられるか、注目しています。(野)

    高濃度のテストステロンが前立腺癌のリスクを高めるというのは、Huggins医師が前立腺癌と男性ホルモンの関連性を公表(1941年)して以来、75年以上にわたり信じられて来た医学知識ですが、高濃度のテストステロンが前立腺癌発症のリスク上昇に関係があるという考えを支持する科学的データは実は多くありません。例えて言えば、テストステロンの濃度が高い人ほど前立腺癌になり易く、低い人ほど前立腺がんになりにくいというはっきりとしたデータがないのが現状です。

    逆に、重度の性腺機能低下症(LOH 症候群)の男性において、前立腺癌の発症率が有意に高かったという報告もあり、このようなパラドックスは、現在、議論の対象になっています。
    前立腺の疾患と男性ホルモンの関係は複雑でよくわかっていない点が多く残っていますが、このような中、米国ハーバード大学のMorgentaler医師は、「前立腺飽和モデル」という新しい概念を提唱しています。 このモデルでは、飽和ポイントよりもテストステロン濃度が高ければ、血清テストステロン濃度に変化が起きても前立腺の成⻑は悪性または良性問わず、ほとんど影響を与えないというモデルです。 なぜテストステロン濃度を生理範囲よりも数回上昇させても、癌のない男性ではPSAレベルや前立腺の大きさに変化がないのかこのモデルで説明できるとしています。

    このモデルの正否はいまだ議論の真っ最中ですが、将来的には男性ホルモン補充療法の安全性に対する見方が変わり、LOH症候群の男性には前立腺疾患を防ぐ目的で男性ホルモンのコントロールが行われるようになるかもしれません。 そのような背景から、本報を踏まえた今後の動向に注目しています。  (福)

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