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更年期や性機能についての学術情報、最新研究などを紹介いたします。更年期や性機能についての学術情報、最新研究などを紹介いたします。

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Tag:遊離

  • イタリア大都会の男性交通警察官の遊離テストステロンは低い

    2010年11月15日


    【 目的 】
    環境汚染物質は男性の生殖能力に影響すると考えられる。交通警察官は毎日交通機関による汚染物質にさらされている。都会のストレスへの職業的暴露が遊離テストステロンレベルに影響するか否か、イタリアの大都会の市警察の男性交通警察官と行政職員を比較した。

    【 方法 】
    交通警察官とコントロールの遊離テストステロンに対する年齢の影響を排除するため、両群ともに2つのサブグループに分けた(1群:年齢30~40歳、2群:41~50歳)。
    交通警察官への汚染物質の暴露は一定の駅における汚染物質の濃度をモニターする事によって評価した。
    重要な交絡因子をもったものを除いた後、対象となったのは交通警察官110例およびコントロール110例である。

    【 結果 】

    • 平均遊離テストステロンは交通警察官がコントロール群より有意に低かった(P
      < 0.001)。
    • この低下は年齢で層別化しても有意であった(30-40 :P < 0.001、41-50:P <
      0.001)。

    【 結論 】
    遊離テストステロンは生殖障害の発現の職業上の測定すべきマーカーと考えることができる。

    【 原著 】
    Int Arch Occup Environ Health. 2010 Nov 11.

    Exposure to
    urban stressors and free testosterone plasma values.

    Sancini A, Tomei F,
    Tomei G, Ciarrocca M, Palermo P, Gioffre PA, Tasciotti Z, Fiaschetti M,
    Cetica C, Caciari T.
    Department of Occuptional Medicine, Universita’ di Roma
    “Sapienza”, Viale Regina Elena ,Rome, Italy.

    【 弊社コメント 】
    ストレス要因が汚染物質だけなのか、議論は尽きないと思いますが、いずれにせよストレスがテストステロンの低下をもたらすようです。ストレスが多い職場で働く男性ほど、テストステロンの分泌低下が起きているのかも知れません。興味深い結果を話題としてご案内致します。(福)

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  • 遊離テストステロンの低値は高齢男性の運動制限や身体能力と関連している

    2010年05月02日


    【 目的 】
    運動制限は疾病率および死亡率の上昇と関連している。テストステロンと運動限界および身体能力との関連性は完全には分かっていない。
    地域在住高齢男性の性ホルモン・レベルと運動制限および身体能力の断面的および前向きの関連性を調査した。

    【 方法 】
    Framingham Offspring Studyの調査7および8に参加した1445例の男性(平均年齢61.0 +/- 9.5 yr)について断面的および長期的解析を行った。
    調査7にて総テストステロンの測定を行った。運動制限および身体能力の断面的および長期的解析はホルモン・レベル(総テストステロンと遊離テストステロン、および SHBG)を連続的及び二分化して行った。

    主要アウトカム: 自己報告の運動限界、自覚的健康度、通常の歩行速度および握力。

    ◆ フラミンガム・スタディ
    長期間にわたるフラミンガム地区の住民を対象にした心血管系疾患の危険因子を探る調査研究。フラミンガムとは米国・ボストンの郊外の小さな町の名前。選ばれた理由は「町に総合病院がひとつしかなく住民の健康状態の把握が容易。(第1世代)コホート(Framingham Heart Study),第2世代コホート(FraminghamOffspring Study),第3世代コホート,少数民族コホート(Omni Study)

    【 結果 】

    • より高い(連続的に)遊離テストステロンは短期的身体能力スコア、通常の歩行速度および自覚的健康度のリスクの低下とポジティブに関連していた。
    • 前向き解析において、ベースライン遊離テストステロンの1SD上昇は運動制限発現および進展のリスク低下と関連していた。
    • ベースライン遊離テストステロンが低い男性は、運動制限オッズが57%及び運動制限の悪化オッズが68%高かった。

    【 結論 】
    地域在住高齢男性においてベースラインの遊離テストステロンの低値は運動制限の悪化と関連していた。テストステロン療法によりこの悪化が低下できるか無作為試験を行う必要がある。

    【 原著 】
    J Clin Endocrinol Metab. 2010 Apr 9.

    Free Testosterone
    Levels Are Associated with Mobility Limitation and Physical Performance
    in Community-Dwelling Men: The Framingham Offspring Study.

    Krasnoff JB, Basaria S, Pencina MJ, Jasuja GK, Vasan RS, Ulloor J, Zhang
    A, Coviello A, Kelly-Hayes M, D’Agostino RB, Wolf PA, Bhasin S,
    Murabito JM.
    Boston University School of Medicine, Sections of Endocrinology,
    Diabetes, and Nutrition

    【 弊社コメント 】
    結果的に、男性ホルモン値の高い60歳前後(約52~70歳)の男性の身体能力が高く、運動に支障のない自立した生活が出来ているようです。
    良く運動して身体能力の高い男性の男性ホルモンが高くなるのか、それとも、男性ホルモン分泌の旺盛な男性が良く運動して高い身体能力を維持できているのかは、「鶏が先か、卵が先か?」という類の議論になると思われます。
    どちらも有り得ると思われますが、いずれにせよ健全な生活習慣にともなう適度な運動と、良好な男性ホルモン分泌の好循環が、高齢男性の自立につながるものと期待されます。 (福)

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  • 魅力的な男性は女性のテストステロンとコルチゾールの遊離を起こす

    2009年03月29日


    【目的】
    最近、Roney et al. (2007;
    2003)は、男性が若い女性との短い社会的相互作用に反応してテストステロンとコルチゾールが遊離することを示した。
    今回、女性が身体的および行動的に魅力的な男性に反応して同様の内分泌反応を示すかを調査した。

    【方法】
    対象は自然月経サイクルの女性70例および経口避妊薬使用女性50例の計120例。一般的なフィルムから抽出合成した20分間のビデオ4本を視聴させた。4本のビデオのシナリオは次の通りである。

    1. 魅力的な男性が若い女性を誘惑している(実験的刺激)。
    2. 自然のドキュメント(コントロール)。
    3. 魅力的ではない高齢の男性が女性を誘惑している(男性コントロール)。
    4. 魅力的な女性、男性はいない(女性コントロール)。

    ビデオの視聴前後に唾液を採取し、テストステロンとコルチゾールを測定した。

    【結果】

    • 自然月経サイクルの女性において、実験的刺激に反応して、テストステロンおよびコルチゾールが有意に上昇したが、コントロール刺激では上昇がみられなかった。
    • 経口避妊薬使用女性もまた、魅力的な男性に反応して有意なコルチゾールの上昇を示した。

    【結論】
    女性は、高い異性価値のある男性との誘惑的相互作用により、副腎ステロイドホルモンを遊離するであろう。

    【原著】
    Attractive men induce testosterone and cortisol release in women.
    Lopez HH,
    Hay AC, Conklin PH.
    Department of Psychology, Neuroscience Program, Skidmore
    College, 815 N.
    Broadway, Saratoga Springs, NY 12866.

    【弊社コメント】
    テストステロンは、その多くが血中でSHBGと呼ばれる物質と結合していますが、テストステロンはSHBGと結合すると体内で作用しません。一方、SHBGから遊離していて、SHBGに結合していない状態のテストステロンは、フリーテストステロン(遊離テストステロン)と呼ばれています。体内で活性をもって作用している男性ホルモンは、フリーテストステロンなのです。

    この論文によると、男女のいずれも魅力的な異性を意識することで、テストステロンの遊離を起こすということですから、すなわち生理活性のあるフリーテストステロンが増えるわけです。すなわち、快活で積極的、アグレッシブで昂ぶった気持ちになり、性欲が高まる・・・といった、異性を意識した時のワクワク感を思い出すことになり、日々このような状態を続けることで、アンチエイジングや若返りが期待できると思います。

    恋愛小説を読んだり、ラブシーンのあるドラマや映画を観たり、あるいは好きな異性の芸能人のファンになって心をときめかすことで異性を意識することも、体内のテストステロンを遊離させて生理活性のある状態にするという意味では、アンチエイジングや更年期障害の緩和、性機能の維持回復・・・、といった観点から意義のある生活習慣なのかも知れません。

    例えば作家の渡辺淳一氏は、著作やコメントを通じて中高年の恋愛を勧めていますが、異性を意識する行動が男性ホルモンを遊離させることで、中高年層のアンチエイジングや回春につながる、というメカニズムが示唆されると思いました。(福)

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