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遊離テストステロンの低値は高齢男性の運動制限や身体能力と関連している
2010年05月02日
【 目的 】
運動制限は疾病率および死亡率の上昇と関連している。テストステロンと運動限界および身体能力との関連性は完全には分かっていない。
地域在住高齢男性の性ホルモン・レベルと運動制限および身体能力の断面的および前向きの関連性を調査した。【 方法 】
Framingham Offspring Studyの調査7および8に参加した1445例の男性(平均年齢61.0 +/- 9.5 yr)について断面的および長期的解析を行った。
調査7にて総テストステロンの測定を行った。運動制限および身体能力の断面的および長期的解析はホルモン・レベル(総テストステロンと遊離テストステロン、および SHBG)を連続的及び二分化して行った。主要アウトカム: 自己報告の運動限界、自覚的健康度、通常の歩行速度および握力。
◆ フラミンガム・スタディ
長期間にわたるフラミンガム地区の住民を対象にした心血管系疾患の危険因子を探る調査研究。フラミンガムとは米国・ボストンの郊外の小さな町の名前。選ばれた理由は「町に総合病院がひとつしかなく住民の健康状態の把握が容易。(第1世代)コホート(Framingham Heart Study),第2世代コホート(FraminghamOffspring Study),第3世代コホート,少数民族コホート(Omni Study)【 結果 】
- より高い(連続的に)遊離テストステロンは短期的身体能力スコア、通常の歩行速度および自覚的健康度のリスクの低下とポジティブに関連していた。
- 前向き解析において、ベースライン遊離テストステロンの1SD上昇は運動制限発現および進展のリスク低下と関連していた。
- ベースライン遊離テストステロンが低い男性は、運動制限オッズが57%及び運動制限の悪化オッズが68%高かった。
【 結論 】
地域在住高齢男性においてベースラインの遊離テストステロンの低値は運動制限の悪化と関連していた。テストステロン療法によりこの悪化が低下できるか無作為試験を行う必要がある。【 原著 】
J Clin Endocrinol Metab. 2010 Apr 9.Krasnoff JB, Basaria S, Pencina MJ, Jasuja GK, Vasan RS, Ulloor J, Zhang
A, Coviello A, Kelly-Hayes M, D’Agostino RB, Wolf PA, Bhasin S,
Murabito JM.
Boston University School of Medicine, Sections of Endocrinology,
Diabetes, and Nutrition【 弊社コメント 】
結果的に、男性ホルモン値の高い60歳前後(約52~70歳)の男性の身体能力が高く、運動に支障のない自立した生活が出来ているようです。
良く運動して身体能力の高い男性の男性ホルモンが高くなるのか、それとも、男性ホルモン分泌の旺盛な男性が良く運動して高い身体能力を維持できているのかは、「鶏が先か、卵が先か?」という類の議論になると思われます。
どちらも有り得ると思われますが、いずれにせよ健全な生活習慣にともなう適度な運動と、良好な男性ホルモン分泌の好循環が、高齢男性の自立につながるものと期待されます。 (福)続きを読む