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Tag:前立腺癌

  • テストステロン補充療法と前立腺癌の関連性

    2018年07月24日


     

    <目的>

    低テストステロン(T)男性のテストステロン(T)療法は一般的であるが、前立腺癌(PC)リスク上昇に関する関心が高まっている。そこで比較的短期間のT療法と悪性PC発症との間の関連性を検討した。

    <方法>

    2002年~2011年の間に低Tが確認され、近い期間にPSA検査が行われた40~89歳の男性退役軍人に関する後ろ向きの起始コホート研究を行った。近い期間のT療法施行、前立腺あるいは乳癌、高PSAあるいは前立腺生検施行患者は除外した。

    組織学的に確認された悪性PCを主要アウトカム、その他の全てのPCを二次アウトカムとした。

    *起始コホート

    特定の健康問題が進行するまえの早い時期(すなわち,推定される原因に最初に曝露される時,または最初の診断の時)に集められ,登録された人々で,そのあと追跡されることになっているグループのこと。

    <結果>

    ・登録例数147,93名、その内8,617名がT療法を受けた。

    ・313例が悪性PCと診断され、うち190例がT療法を受けず (発症頻度 (IR) 0.7 per 1000 person years, 9% CI 0.49-0.6) 、123例がT療法を受けていた(IR 0.8 per 1000 person years; 9% CI 0.48-0.69)。

    ・年齢、人種、コホート登録前の入院年数、地域、BMI、合併症、T療法の繰り返し、およびPSAテストで調整後、T療法は悪性PC (HR 0.89; 9% CI 0.70-1.13) あるいはすべてのPC (HR 0.90; 9% CI 0.81-1.01)と関連していなかった。

    ・累積T投与量あるいはT製剤の種類とPCの間に関連性は見られなかった。

    <結論>

    低Tおよび正常PSAの男性においてT療法は悪性PCあるいはいかなるPCとも関連していなかった。 T療法の臨床的リスクおよびベネフィットは大規模、長期無作為比較試験によって完全に明らかにされる。

     

    【原著】

    PLoS One. 2018 Jun 22;13(6):e0199194. doi: 10.1371/journal.pone.0199194. eCollection 2018.

    Testosterone treatment and the risk of aggressive prostate cancer in men with low testosterone levels.

    Walsh TJ, Shores MM, Krakauer CA, Forsberg CW, Fox AE, Moore KP, Korpak A, Heckbert SR,, Zeliadt SB, Kinsey CE, Thompson ML, Smith NL, Matsumoto AM

     

    【弊社コメント】

    決定的な根拠となる、大規模で長期的な研究は未だありませんが、これまでの結果からはテストステロンの補充療法と前立腺癌の発症に関連性はないという所見です。(福)

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  • 長期テストステロン療法における前立腺癌発症率

    2014年07月18日


    ■ 目的
    テストステロン療法が前立腺癌(PC)のリスクを上げるというエビデンスはないが、長期的データは欠如している。 そこで長期間テストステロン療法を受けている性腺機能低下男性においてPCの頻度が増加するか否か調査した。

    ■ 方法
    3つの平行、前向き、継続、蓄積登録研究において1,023例の性腺機能低下男性がテストステロン療法を受けていた。 2つの研究は泌尿器専門医により行われ(2004年以降)、1つはアカデミックなアンドロロジー・センターにより行われた(1996年以降)。 治療は総テストステロン≤12.1 nmol/L (350 ng/dL)および性腺機能低下症が存在するときに行われた。
    調査期間の最高は17年(1996~2013)、中央値は5年である。 開始時の平均年齢は泌尿器科では58歳、アンドロロジーでは41歳であった。
    テストステロン療法はテストステロン・アンデカノエイト注射を12週間隔で行われた。 前立腺の治療前の検査および治療中のモニターが行われた。 前立腺生検はEAUガイドラインに沿って行われた。
    生検の陽性および陰性者の数を調査した。 PCの頻度および前立腺切除後の転帰を検討した。

    ■ 結果

    • 泌尿器科で行われた2つの研究で計11例のPCが診断され、発現率はそれぞれ2.3%および1.5%であった。10,000例あたりの年間の頻度はそれぞれ54.4および 30.7例である。
    • アンドロロジー・センターではPCは報告されなかった。
    • コントロール群がない登録デザインであるという限界性が存在する。

    ■ 結論
    テストステロン療法はPCのリスクを上げなかった。 テストステロン療法のガイドラインにそって適正に行われれば、テストステロン療法は性腺機能低下男性において安全である。

    ■ 原著
    J Urol. 2014 Jun 26. pii: S0022-5347(14)03885-3.
    Incidence of Prostate Cancer in Hypogonadal Men Receiving Testosterone Therapy: Observations from Five Year-median Follow-up of Three Registries.
    Haider A, Zitzmann M, Doros G, Isbarn H, Hammerer P, Yassin A

    (さらに…)

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  • テストステロンの使用は前立腺癌の発症と関連しない

    2013年05月29日


    【 目的 】
    前立腺癌を発症した男性のテストステロン補充療法の使用状況およびその影響を調査した。

    【 方法 】
    Surveillance, Epidemiology, and End Results-Medicareデータにリンクし、1992~2007年に前立腺癌と診断された149,354例の男性を同定した。このうち 2,237例(1.5%) が前立腺癌の診断前にテストステロン補充療法を行っていた。傾向スコア法を用いテストステロン補充療法 vs 非補充療法の癌の転帰を評価した。

    【 結果 】

    • テストステロン補充は癌診断時の高齢、非白人および多数の合併症の存在と関連していた(P <.001)。
    • 前立腺癌診断前の非テストステロンvsテストステロンは腫瘍のグレード(34% vs 30%, P <.0001) および T4(6.5% vs 4.3%, P <.0001)に有意差が認められた。
    • 死亡率は前立腺癌診断前年の≧2 PSAの男性で低かった。
    • 全体の生存率、癌患者の生存率、あるいはアンドロゲン枯渇療法の使用は群間で有意差がなかった。

    【 結論 】
    この観察研究期間にけるテストステロンの使用頻度は低かった。テストステロンは悪性前立腺癌とは関連がなく、全体あるいは疾患特異的死亡率に影響していなかった。この結果はテストステロン補充が前立腺癌に関して安全である事を示すが、確定するための前向きの研究が必要である。

    【 原著 】
    Urology. 2013 May 24.
    Use of Testosterone Replacement Therapy in the United States and Its Effect on Subsequent Prostate Cancer Outcomes.
    Kaplan AL, Hu JC.
    Department of Urology, David Geffen School of Medicine, University of California, Los Angeles, Los Angeles, CA.

    【 弊社コメント 】
    「傾向スコア」は、実験ができない場合(調査観察データなど)における交絡の調整方法です。潜在的な交絡要因となる様々な共変量を傾向スコアという一つの合成変数に縮約(一次元化)して、その傾向スコアを基準としてマッチングや層別化を行います。近年医療分野を中心にとても使われてきています(野)。

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  • ラット前立腺は血清テストステロンの低下に対して組織濃度を機能的レベルに維持するように働く

    2013年05月29日


    【 目的 】
    前立腺癌(PC)は加齢およびアンドロゲン依存性疾患である。加齢に伴うアンドロゲンレベルの低下とは逆説的に、PCのリスクは上昇する。全身性のアンドロゲンレベルとPCリスクの間に相関性はないが、全身性のアンドロゲンレベルは前立腺組織のアンドロゲンレベルを反映していない。転移性PCにおいて、ホルモン療法中のアンドロゲン生合成経路の変化は癌組織のアンドロゲンレベルを高め、アンドロゲン受容体(AR)シグナリングの持続の原因となっている。加齢に伴うアンドロゲンの低下と共に正常前立腺組織において同様の変化がおき腫瘍発生の原因となっている可能性がある。
    ラット前立腺が血清テストステロン(T)の低下にも関わらず組織濃度を機能的レベルに維持するか否かを検討した。

    【 方法 】
    ラットを去勢し、Tを去勢レベル、正常レベル、正常下限レベルおよび非生理的レベルに維持するカプセルを移植した。6週後にLC-MS/MSにて血清および前立腺のTおよびDHTを測定した。QRT-PCRにてアンドロゲン/ARシグナリングに関連する遺伝子の発現を測定した。

    【 結果 】

    • 有意に差異がある血清TおよびDHTレベルいにも関わらず、各群の前立腺のTおよびDHT濃度は同様であった。
    • 前立腺のアンドロゲン調整遺伝子の発現は全群で同様であり、ラット前立腺は、血清Tの低下にも拘らず機能的レベルのアンドロゲンを維持していた。

    【 結論 】
    テストステロンの低下はアンドロゲン生合成遺伝子の発現を有意に変えた。

    【 原著 】
    J Mol Endocrinol. 2013 May 24.
    Low systemic testosterone levels induce androgen maintenance in benign rat prostate tissue.
    Zhou Y, Otto-Duessel M, He M, Markel S, Synold T, Jones JO.

    Y Zhou, Molecular Pharmacology, City of Hope Beckman Research Institute, Duarte, United States.

    【 弊社コメント 】
    以前から言われていたと思いますが、アンドロゲン(男性ホルモン)のレベルは血清と前立腺組織では異なる事に加え、血清レベルが低下すれば前立腺組織だけはそれを維持しようと反応するという現象です。生殖能を維持しようとする仕組みかもしれません(野)。

    古来より前立腺癌に対するテストステロン悪玉説が指摘されて来ましたが、皮肉なことに、研究が進むほど「テストステロンの欠乏が前立腺癌の発症リスクにつながる」という機序が示唆されつつあります。
    テストステロンが多過ぎても、少な過ぎても、様々な健康リスクになることが判りつつあります。 そして、加齢で少な過ぎる分は、健康的な生活習慣(適度な食事と運動、睡眠)をベースに、それでも不足し過ぎない程度のテストステロンを少しずつ補充するのが最善と思うのです(福)。

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  • アンドロゲン受容体GGC繰り返し多型と前立腺肥大症および前立腺癌リスク

    2012年11月29日


    【 目的 】
    アンドロゲン受容体(AR)のGGC繰り返し多型はアンドロゲン反応性遺伝子の転写活性に影響し、前立腺肥大症(BPH)および前立腺癌(PCa)のリスクを上げる。そこで、南ブラジルの男性集団におけるGGC繰り返し長、テストステロン・レベルおよびPCaおよびBPH発現リスクの間の関連性を検討した。

    【 方法 】
    PCa患者130例、BPH患者126例およびコントロール患者88例について検討した。DNAは白血球より抽出し、分画分析により解析した。ハザード比(HR)を測定した。

    【 結果 】

    • GGC平均長は3群間で差異がなかった。
    • GGC > 19の集団のPCa発現リスクはGGC ≤ 19群と比較したとき3.300 倍(95 %CI 1.385-7.874)高かった (p = 0.007)。
    • 総テストステロン<4 ng/mL群のPCaおよびBPH発現リスクは2.799倍 (95 % CI 1.362-5.754). (p = 0.005) および2.786倍 (95 % CI 1.470-5.280) (p = 0.002)高かった。
    • GGC > 19群の総テストステロンはGGC ≤ 19群より有意に低かった。

    【 結論 】
    アンドロゲン受容体のGGC繰り返し長の上昇はPCaおよびBPHリスクの上昇と関連し、低テストステロンもこれら疾患の発現リスクの上昇を示唆した。

    【 原著 】
    Mol Biol Rep. 2012 Nov 27.
    Androgen receptor GGC polymorphism and testosterone levels associated with high risk of prostate cancer and benign prostatic hyperplasia.
    Biolchi V, Neto BS, Pianta DB, Koff WJ, Berger M, Brum IS.
    Department of Physiology, Universidade Federal do Rio Grande do Sul, Porto Alegre/RS, Brazil

    【 弊社コメント 】
    疾病の有無の3群間で比較するとGGC繰り返し長に差がないが、GGC繰り返し長で分けてみるとPCaおよびBPHリスクに差があるという、一見しては理解しずらいところもあります。 テストステロン感受性の面からみれば理解できます。 これまでCGA多型について多数報告がありましたがGGC繰り返し長という切り口は初めてです。(野)

    低過ぎるテストステロン状態」が前立腺肥大症や前立腺癌のリスクを高める、という機序の一端が示されました。(福)

     

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  • 低テストステロンは前立腺癌に局在するグリソンパターン4の高頻度と関連している

    2011年09月07日


    【 目 的 】
    術前のテストステロン値とグリソンスコアおよび優勢型による前立腺癌の悪性度との関連性を検討した。

    【 方 法 】
    2007年1月から2011年1月の間に前立腺切除のため受診した患者の、術前の血清総テストステロンを測定した。グリソンスコアおよびグリソンパターンを前立腺生検および前立腺組織標本にて判定した。試験はプロスペクティブに行い、登録症例数は431例である。

    【 結 果 】

    • 生検において、グリソンパターン4は72例(17%)に認められた。
    • 前立腺標本において、グリソンパターン4は132例(31%)に認められた。
    • グリソンパターン4の132例の総テストステロンはグリソンパターン3の299例より有意に低かった(4.00
      vs 4.50 ng/ml, p = 0.001)。
      また、PSAは高く (8.4 vs 6.6 ng/ml, p <0.00001),
      前立腺外への伸張およびポジティブな範囲が目立った(49% vs 20% and 23% vs 14%, p<0.000001 and
      0.02, respectively)。
    • 総テストステロンが3.0 ng/ml以下の62例は高いBMI (mean 0.5 kg/m(2), p<0.000001)を伴い、より大きかった(mean 7 kg, p = 0.0001)。
      これらの群ではグリソンパターン4の比率が高かった(47% vs
      28%, p =
      0.002)。

    【 結 論 】
    低テストステロンは進行型前立腺癌を示すグリソンパターン4の高比率と関連していた。腫瘍の進行度は生検では正確に推定できない。術前のテストステロン値は前立腺癌の管理の改善のためPSA測定に加えられるべきである。

    【 原 著 】
    J Urol. 2011 Aug 17.
    High Incidence of Predominant
    Gleason Pattern 4 Localized Prostate Cancer is Associated With Low Serum
    Testosterone.

    Botto H, Neuzillet Y, Lebret T, Camparo P, Molinie V, Raynaud
    JP.
    Department of Urology, Foch Hospital, Suresnes, France.

    【 弊社注釈 】 グリソン・パターンの定義

    前立腺癌の形態は「グリソンパターン (グリソン分類)」として次の5つに分類されており、また悪性度(俗に言う「癌細胞の顔つき」)は、国際的にグリソンスコアで表現されています。

    Gleason
    pattern 1

    均一で独立した中型腺管が密在し、明瞭な結節を作る。

    Gleason pattern 2

    上記と同様の結節が認められるが、部分的な最小限の浸潤傾向、やや低い腺管密在性、軽度の大小不同が見られる。

    Gleason pattern 3

    明瞭な管腔を有する独立腺管よりなる。pattern
    1,2と異なり既存の非腫瘍性腺管の間に浸潤する。腺管は概して小型であるが中型~大型のこともありうる。篩状腺管は小型で境界が完全に平滑なものが含まれるが、ごく稀である。

    Gleason
    pattern 4

    癒合腺管、篩状腺管、hypernehromatoid、不明瞭な腺管形成を示すもの

    Gleason pattern 5

    充実性、索状、孤在性、面疱状壊死

    【 弊社コメント 】
    進行度の高い前立腺癌の人は、テストステロン値が有意に低いとのことですが、前立腺癌の進行がテストステロンを低くするのか、それともテストステロン分泌の低い状態が前立腺癌の進行度を高めてしまうのでしょうか?興味は尽きません。(福)

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  • 低テストステロン患者は前立腺癌リスクが高い

    2011年01月25日


    【 目的 】
    前立腺癌リスクの予測におけるテストステロンの役割、およびその高グリソン・スコアとの関連性を、前立腺生検を行った患者において検討した。

    【 方法 】
    対象は前立腺生検を行った568例の患者。患者をテストステロン3.85
    ng/mlを境に高テストステロン群(n=285、高T群)
    および低テストステロン群(n=283、低T群)に分けた。
    多変量回帰分析により、年齢、前立腺容積、PSA、およびPSADの影響、および前立腺癌リスクおよび高グリソン・スコアに対するテストステロンの影響を調査した。

    【 結果 】

    • 低T群は高T群に比して前立腺癌の発症率が有意に高かった(38.9%
      vs. 29.5%, p=0.018)。
    • 前立腺癌のリスクの上昇に関連する因子は年齢([OR]=1.08, 95%
      [CI]=1.25-3.16,p=0.001), 高PSA(OR=3.35, 95% CI=2.63-4.25, p=0.001),
      低前立腺容積(OR=0.183,95% CI=0.11-0.30, p=0.001), および低テストステロン(OR=1.99,
      95%CI=1.25-3.16, p=0.001)であった。
    • PSAのみが高グレード前立腺癌(グリソン・スコア≧7)の強い予測因子であった(OR=2.19, 95% CI=1.57-2.95,
      p=0.001)。

    【 結論 】
    低テストステロンの患者は高テストステロンの患者よりも前立腺癌のリスクが高い。低テストステロンは前立腺癌リスクの予測因子であるが、高グレード前立腺癌へのリスクの上昇とは関連がない。

    【 原著 】
    Korean J Urol. 2010 Dec;51(12):819-23. Epub 2010 Dec 21.
    Is a decreased serum
    testosterone level a risk factor for prostate cancer? A cohort study of
    korean men.

    Shin BS, Hwang EC, Im CM, Kim SO, Jung SI, Kang TW, Kwon DD, Park
    K, Ryu SB.
    Department of Urology, Chonnam National University Medical School,
    Gwangju, Korea.

    【 弊社コメント 】
    テストステロンが多過ぎると前立腺癌になるのでは?」ひいては「男性ホルモン剤を投与すると前立腺癌になるのでは?」という指摘は、今や古い迷信になりつつあり、むしろテストステロンの分泌不足が前立腺癌のリスク要因と考えざるを得ない検討結果が出揃いつつあります。

    前立腺癌は10~20年かけて進行するとはいえ、加齢にともない特に50歳代から発症する人が多くなる一方、テストステロンの分泌が旺盛な20歳代では極めて少ないわけですから、テストステロンが多過ぎることよりも、40歳前後の頃からテストステロンの分泌が衰え「テストステロンの不足」になることが発症の原因と考える方が自然ではないでしょうか。発症してから顕在化するまで10~20年かかるという話にも符合すると思います。

    そうなりますと、自ずと30歳代・40歳代にかけてテストステロンが不足しないような生活習慣(バランスの取れた食生活・適度な運動・ストレスの発散)を維持することがますます重要となり、それでも加齢にともないテストステロンの分泌が低下する状況に対しては、早めに生理的範囲のテストステロン補充をする事こそ「前立腺癌の予防」になるのではないかと考えられ、今後の検討が期待されます。(福)

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  • 日本人男性において総および遊離テストステロン、SHBGは前立腺癌リスクと強く関連していない

    2010年10月20日


    【 目的および方法 】
    性ホルモン、特にアンドロゲンは前立腺の発ガンと関連している。しかしながら。前向きの研究は全体的に性ホルモンのレベルと前立腺癌のリスクの間に関連性を認めていない。しかし、ステージ、年齢、BMIおよびイソフラボンにより前立腺癌リスクに対する性ホルモンの影響が異なるにもかかわらず、これらのエビデンスは少ない。さらに、比較的脂肪が少なくイソフラボン摂取量が多いアジア人集団に関する研究は僅かである。
    血中テストステロンおよびSHBGが前立腺癌リスクと関連するという仮説を JPHC Study において症例対照研究にて検証した。
    総テストステロンおよびSHBGを前立腺癌患者201例およびマッチするコントロール402例にて測定し、遊離テストステロンは計算にて求めた。

    【 結果 】

    • 総体的にいずれの血中ホルモンレベルとも前立腺癌との間に関連性は見られなかった。
    • ホルモンレベルの最上位群と最下位群のオッズ比は総テストステロンで0.71
      (95%CI = 0.36-1.41,Ptrend = 0.43)、遊離テストステロンで0.70 (95% CI = 0.39-1.27, Ptrend =  0.08)、SHBGで 1.38 (95% CI = 0.69-2.77,
      Ptrend = 0.23)であった。
    • 癌ステージ、年齢、BMIおよび血清イソフラボンで層別すると、遊離テストステロンは限局性癌おおび大豆代謝物と逆向きに関連し、SHBGは若年者において前立腺癌のリスクの上昇と関連していた。

    【 結論 】
    症例対照研究において血中総テストステロン、遊離テストステロンあるいはSHBGは総前立腺癌リスクと強く関連していなかった。

    【 原著 】
    Cancer Sci. 2010 Aug 18

    Plasma testosterone and sex
    hormone-binding globulin concentrations and the risk of prostate cancer
    among Japanese men: A nested case-control study.

    Sawada N, Iwasaki M, Inoue
    M, Sasazuki S, Yamaji T, Shimazu T, Tsugane S;
    for the Japan Public Health
    Center-based Prospective Study Group.
    Epidemiology and Prevention Division,
    Research Center for Cancer Prevention and Screening, National Cancer Center,
    Tokyo, Japan.

    【 弊社注釈・コメント 】

    JPHC Study (Japan Public
    Health Center-based prospective
    Study)

    厚生労働省がん研究班による指定研究班「多目的コホートに基づくがん予防など健康の維持・増進に役立つエビデンスの構築に関する研究」(主任研究者 津金昌一郎 国立がんセンター がん予防・検診研究センター予防研究部長)において全国11保健所、国立がんセンター、国立循環器病センター、大学、研究機関、医療機関等との共同疫学研究です。

    古くからまことしやかに唱えられて来た「アンドロゲン仮説」(男性ホルモンが前立腺癌の原因物質である、という仮説)ですが、多くの泌尿器科医の間では、最新の知見を通じて男性ホルモンが前立腺癌の原因物質で無いという認識で概ね一致しているようです。

    一方、当局はアンドロゲン仮説を立証したいようで、男性ホルモン悪玉説を支持する立場から調査したようですが、それでも男性ホルモンが前立腺癌の発癌リスクになる事は証明できませんでした。(福)

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