Category:加齢とQOLの低下・生活習慣病
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2010年05月02日
【 要旨 】
男性という性は冠動脈血管死の主なリスク因子であるが、関連性は未だ説明しきれていない。男性の低テストステロンはメタボリック・シンドロームおよび2型糖尿病のリスク因子であり、個々のメタボリック・シンドローム成分、内臓肥満、インスリン抵抗性、高血糖、高血圧および脂質異常と独立して関連している。
疫学的研究は低テストステロン男性の死亡率の上昇を報告している。
短期間のテストステロン補充療法はウェスト周囲径、コレステロールおよび炎症性サイトカインを下げ、糖尿病患者のインスリン抵抗性および血糖コントロールを改善する。
テストステロンはまた、心筋虚血、狭心症および慢性心不全に有用である。
この論文は低テストステロンと心血管疾患の関連を支持する現在のエビデンスをレビューしたものであり、大規模、長期的研究の必要性が明らかにされている。
【 原著 】
Trends Endocrinol Metab. 2010 Apr 6.Testosterone deficiency: a risk factor for cardiovascular disease?
Jones TH.
Robert Hague Centre for Diabetes and Endocrinology, Barnsley Hospital NHS Foundation Trust, Barnsley, UK; Academic Unit of Diabetes, Endocrinology and Metabolism, University of Sheffield, Sheffield, UK.【 弊社コメント 】
全容は未だ解明されていませんが、男性のテストステロン不足が死亡率を上昇させていることは明らかになっています。
具体的には、メタボリックシンドロームをはじめとする生活習慣病、2型糖尿病・高血圧、そして心不全に関係していて、短期間のテストステロン補充については有用であることが報告されています。
ただし、長期的にテストステロンの補充を続けた場合や、大規模で広範囲な人での検証結果は未だありません。(福)続きを読む
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2010年05月02日
【 目的 】
男性は加齢とともに虚弱性が上がり、テストステロンは減少する。テストステロンはこの症状発現リスク因子と思われる。テストステロン・レベルが虚弱性と
関連しているか否かを調査した。【 方法 】
デザインは前向きのコホート研究。2001年から2004年の間に、70-88歳の地域住民男性3616例について虚弱性の測定を行った。
2008-2009年に67歳から93歳の1586例について虚弱性の再測定を行った。
虚弱性はFRAIL
scaleにて測定した。これは5つのドメイン、疲労、一続きの階段の昇りの困難さ、100m以上の歩行の困難さ、5つ以上の病気、あるいは5%以上の体
重減少からなる。
調査開始時にテストステロン、SHBGおよびLHを測定した。遊離テストステロンは計算により求めた。【 結果 】
- 開始時に15.2%(n = 548)が虚弱(3項目以上に該当)であり、フォローアップ期間中に23.0%(n = 364)に増加した。
- 開始時、総および遊離テストステロンの1SDの減少は虚弱オッズの上昇と関連していた (各々OR = 1.23; 95% CI =
1.11-1.38, およびOR = 1.29; 95% CI = 1.15-1)。 - 低LHは虚弱オッズの減少と関連していた(OR = 0.88; 95% CI = 0.81-0.95)。
- 調整は年齢、BMI、喫煙、糖尿病、社会的支援および他の交落因子で行った。フォローアップでは遊離テストステロンの低下のみは虚弱を予測し
た(OR = 1.22; 95% CI = 1.05-1.42)。
【 結論 】
開始時およびフォローアップ時遊離テストステロンは虚弱性と関連していた。テストステロン療法は虚弱性の発現を防止できるか無作為試験が行われるべきで
ある。【 原著 】
J Clin Endocrinol Metab. 2010 Apr 21.Low Free
Testosterone Predicts Frailty in Older Men: The Health in Men Study.Hyde Z, Flicker L, Almeida OP, Hankey GJ, McCaul KA, Chubb SA, Yeap BB.
Western Australian Centre for Health and Ageing, Royal Perth Hospital,
Perth, Australia【 弊社コメント 】
「遊離テストステロンの低下が虚弱を予測できる」という結果は、すなわちテストステロンの補充による虚弱防止効果を期待させますが、弊社製品の市場実績か
ら確信させるものです。(福)続きを読む
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2010年05月02日
【 目的 】
慢性心不全(CHF)は適正な治療にも拘わらず死亡率の高い、多く見られる疾患である。標準的治療は、CHFの特徴である代謝おおび神経ホルモンの異常の適正化である。蛋白同化作用の不足はCHF症候群の主要な成分であり、テストステロン補充療法が最近のトライアルのテーマとなっている。【 最近の知見 】
最近の論文では、生理学的なテストステロン補充療法により随意筋強度、非脂肪筋肉容量の適度な改善、神経筋および圧受容体反射に対する耐容性およびポジティブな効果がもたらされる事が明らかになった。長期的な効果及び安全性は研究されていない。【 要旨 】
テストステロン補充療法は慢性心不全患者の代謝および耐容性を改善する。広範囲な使用の前にさらに試験が必要である。
慢性心不全患者を治療する医師はテストステロン療法を考慮するであろうが、内分泌専門医のアドバイスとサポートが必要である。【 原著 】
Curr Opin Endocrinol Diabetes Obes. 2010 Apr 16.Testosterone and heart failure.
Malkin CJ, Channer KS, Jones TH.
Department of Cardiology Sheffield Teaching Hospitals NHS Foundation Trust, Sheffield, UK【 弊社コメント 】
慢性心不全の治療に対して、生理学的な範囲内でのテストステロン補充療法が有用と期待されていますが、現時点では未だ長期的な効果及び安全性が確認できていないため、慎重な対応が必要とされています。(福)続きを読む
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遊離テストステロンの低値は高齢男性の運動制限や身体能力と関連している
2010年05月02日
【 目的 】
運動制限は疾病率および死亡率の上昇と関連している。テストステロンと運動限界および身体能力との関連性は完全には分かっていない。
地域在住高齢男性の性ホルモン・レベルと運動制限および身体能力の断面的および前向きの関連性を調査した。【 方法 】
Framingham Offspring Studyの調査7および8に参加した1445例の男性(平均年齢61.0 +/- 9.5 yr)について断面的および長期的解析を行った。
調査7にて総テストステロンの測定を行った。運動制限および身体能力の断面的および長期的解析はホルモン・レベル(総テストステロンと遊離テストステロン、および SHBG)を連続的及び二分化して行った。主要アウトカム: 自己報告の運動限界、自覚的健康度、通常の歩行速度および握力。
◆ フラミンガム・スタディ
長期間にわたるフラミンガム地区の住民を対象にした心血管系疾患の危険因子を探る調査研究。フラミンガムとは米国・ボストンの郊外の小さな町の名前。選ばれた理由は「町に総合病院がひとつしかなく住民の健康状態の把握が容易。(第1世代)コホート(Framingham Heart Study),第2世代コホート(FraminghamOffspring Study),第3世代コホート,少数民族コホート(Omni Study)【 結果 】
- より高い(連続的に)遊離テストステロンは短期的身体能力スコア、通常の歩行速度および自覚的健康度のリスクの低下とポジティブに関連していた。
- 前向き解析において、ベースライン遊離テストステロンの1SD上昇は運動制限発現および進展のリスク低下と関連していた。
- ベースライン遊離テストステロンが低い男性は、運動制限オッズが57%及び運動制限の悪化オッズが68%高かった。
【 結論 】
地域在住高齢男性においてベースラインの遊離テストステロンの低値は運動制限の悪化と関連していた。テストステロン療法によりこの悪化が低下できるか無作為試験を行う必要がある。【 原著 】
J Clin Endocrinol Metab. 2010 Apr 9.Krasnoff JB, Basaria S, Pencina MJ, Jasuja GK, Vasan RS, Ulloor J, Zhang
A, Coviello A, Kelly-Hayes M, D’Agostino RB, Wolf PA, Bhasin S,
Murabito JM.
Boston University School of Medicine, Sections of Endocrinology,
Diabetes, and Nutrition【 弊社コメント 】
結果的に、男性ホルモン値の高い60歳前後(約52~70歳)の男性の身体能力が高く、運動に支障のない自立した生活が出来ているようです。
良く運動して身体能力の高い男性の男性ホルモンが高くなるのか、それとも、男性ホルモン分泌の旺盛な男性が良く運動して高い身体能力を維持できているのかは、「鶏が先か、卵が先か?」という類の議論になると思われます。
どちらも有り得ると思われますが、いずれにせよ健全な生活習慣にともなう適度な運動と、良好な男性ホルモン分泌の好循環が、高齢男性の自立につながるものと期待されます。 (福)続きを読む
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2010年03月05日
【 目的 】
低テストステロンと死亡率の関連性は近年の研究で明らかになったが、これらは少数の住民調査研究である。
低テストステロンが全原因あるいは原因の特定できる死亡のリスク因子であるか否かを20-79歳の男性の地域住民標本にて調査を行った。【 方法 】
前向きの住民調査研究”Study
of Health in
Pomerania”の1954例のデータを用いた。ベースラインでのテストステロン測定が行われ、平均フォローアップ期間7.2年間に195例の死亡がある。総テストステロン8.7
nmol/L (250 ng/dL)以下を低値と分類した。低テストステロンと全原因あるいは原因の特定できる死亡との関連性をコックス比例ハザード回帰モデルにて解析した。
【 結果 】
・低テストステロンの男性は高いテストステロンの男性より全原因死亡率が有意に高かった(HR
2.24; 95% CI
1.41-3.57)。
・ウェスト周囲径、喫煙週間、ハイリスクな飲酒、身体活動、腎不全およびDHEAsで調整後も低テストステロンと死亡率の上昇の関連性は有意であった(HR
2.32; 95% CI 1.38-3.89)。
・原因特定解析において、低テストステロンは心血管疾患(HR 2.56; 95% CI1.15-6.52)および癌(HR 3.46; 95% CI
1.68-6.68)による死亡リスクの上昇を予測したが、呼吸器疾患あるいは他の原因については関連がなかった。【 結論 】
低テストステロンは多数のリスク因子と独立して全原因死亡のリスク上昇と関連していた。テストステロン・レベルは心血管疾患および癌による死亡率と逆相関し、予測マーカーとして使用可能である。【 原著 】
Eur Heart J. 2010 Feb 17.Haring R, Volzke H, Steveling A, Krebs A, Felix SB, Schofl
C, Dorr M, Nauck M, Wallaschofski H.
Institute of Clinical Chemistry and
Laboratory Medicine, Ernst Moritz Arndt University Greifswald,
Germany.【 弊社コメント 】
テストステロンのレベルが低いほど、心血管疾患や癌の死亡率が高くなる事を示唆する報告です。テストステロンが低くならないようにテストステロンを補充すれば、これらの疾患を予防できるかも知れません。
・・・
ですが、先ずは健康的な生活習慣(バランスの良い食生活、適度な運動、昼型の規則正しい生活、ストレスの発散、過度な飲酒や喫煙などのリスク要因を避け
る・・・等)によって、テストステロンが低くなり過ぎないようにする事こそ最も無難で低コストなアンチエイジングの極意で、男性にとって長寿の秘訣と思わ
れます。 ただし、その実践が困難・・・というのが個人的実感です。(福)続きを読む
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低テストステロンがもたらす心血管疾患などのリスク、テストステロン補充のメリットに関する報告
2010年02月15日
心血管疾患とアンドロゲンの関係に関するレビュー
Int J Cardiol. 2009 Nov 16.
Cardiovascular disease and
androgens: A review.
Kaushik M, Sontineni SP, Hunter C.
Department of
Medicine, Creighton University Medical Center, Omaha, NE,
USA.世界的に心血管疾患は単一の最大の死因である。男女間の心血管疾患のパターンの差異は正しくは理解されていない。エストロゲンに対して大きなスポットライトがあてられているが、心血管疾患の減少に関するその役割は結論が出ていない。
そこで、心血管疾患の性差の説明に対してアンドロゲンに関心が集まっている。過去20年間の研究により心血管疾患の進展に対するアンドロゲンの影響についての知識が増大した。
男性におけるテストステロンレベルの加齢による低下および加齢に伴う心血管イベントの増加はアンドロポウズあるいはメノポウスという概念を導いた。
不幸な事に、過去数十年間アンドロゲンは世界中のアスリート達の不正薬剤として注目されてきた。乱用にと突然の心血管死および重篤な心血管疾患の関連性に関する多数の報告がある。
対照的にアンドロゲン低下に関連した各種の症状および適応外の目的でのテストステロン補充は増加している。
ヒトでの観察研究は、テストステロンレベルの低下は冠動脈疾患の頻度を高めると、殆ど結論されている。
新たなエビデンスは低アンドロゲンは不幸な心血管リスクを予測することを示している。心血管疾患に対するテストステロン補充の役割が一次的および二次的防禦段階の両者で研究され、その安全性が評価されている。
心血管の観点からアンドロゲンの役割をレビューする事はしかるべき時期である。
PMID:
19923015低テストステロンは致死的心血管イベントと関連している
J Sex Med. 2010 Jan 25.
Low Testosterone is Associated
with an Increased Risk of MACE Lethality in Subjects with Erectile
Dysfunction.
Corona G, Monami M, Boddi V, Cameron-Smith M, Fisher AD, de Vita
G, Melani C, Balzi D, Sforza A, Forti G, Mannucci E, Maggi M.
Andrology
Unit, Department of Clinical Physiopathology, University of Florence,
Florence,
Italy.【 背景 】
テストステロンは動脈硬化の発現に防禦的役割を果たしている事が示唆されているが、低テストステロンと主要な心血管障害(MACE)との関係を示す一般住民を対象とした研究は僅かであり、勃起不全(ED)患者での研究はない。
【 目的 】
EDを有する低テストステロン男性では致死性あるいは非致死性MACEが予測されるか否かを検討する。
【 方法 】
我々のED外来を受診した1687例の連続症例を対象とした前向きの観察研究を行った。EDに関する質問票調査(SIEDYおよびANDROTEST)および性腺機能低下関連症状の調査を行った。
総テストステロン(TT)をベースラインにて測定した。MACEに関する情報はフローレンス市の登録データより得た。
【 結果 】
・性腺機能低下症はTTの閾値230
ng/dLで5.2%, 300 ng/dL1で3.8%および350 ng/dLで22.4%であった。
・平均フォローアップ期間4.3 +/-
2.6年中に139例のMACEがあり、うち15例が致死的であった。
・MACEの非調整発生頻度はTTと関連がなかった。
・反対に致死的MACEの割合は性腺機能低下男性(TT閾値300
ng/dLあるいは230
ng/dL)で有意に高かった。
・しかし、年齢および慢性疾患スコアの調整後のコックス回帰モデルでは致死的MACEの頻度とTT閾値230
ng/dLの間にのみ有意な関連が確認された(HR = 7.1 [1.8-28.6]; P <
0.001)。
・性腺機能低下症状に関しては、致死的MACEがANDROTESTの高スコアと有意に関連していた(HR = 1.2
[1.0-1.5])。
【 結論 】
テストステロン・レベルは心血管障害(MACE)の高死亡率と関連している。臨床医は低テストステロンに注意すべきである。
PMID:
20102478日本人男性において低テストステロンは冠血管イベントの予測因子である
Atherosclerosis. 2009 Nov 13.
Low testosterone level as
a predictor of cardiovascular events in Japanese men with coronary risk
factors.
Akishita M, Hashimoto M, Ohike Y, Ogawa S, Iijima K, Eto M, Ouchi
Y.
Department of Geriatric Medicine, Graduate School of Medicine, University
of
Tokyo【 目的 】
近年の疫学的研究によれば、地域住民高齢男性においてテストステロン低下は主に心血管(CV)疾患による死亡率の上昇と関連している。冠血管リスク因子を有する日本人中年男性において、低テストステロンが心血管イベントを予測出来るか否かを検討した。
【 方法 】
CV疾患の来歴がなく、冠動脈リスク因子(高血圧、糖尿病、脂質異常、喫煙および肥満)を有する171例の男性外来患者(年齢30-69歳,
mean+/-SD=48+/-13
years)のフォローアップ調査を行った。
ベースラインにおいて、血管内皮機能として冠動脈リスク因子の調査、上腕動脈のFMDの測定および血清総テストステロン、DHEA-S、エストラジオールおよびコーチゾールの測定を行った。
【 結果 】
・平均フォローアップ期間77カ月中に、20例のCVイベントが発生した。
・血清ホルモンの4分位によるかプラン-マイヤー分析の結果、テストステロンの最下位4分位群は最上位4分位群に比してCVイベントの発生率が高かった
(P<0.01 by log-rank
test)。
・Cox比例ハザードモデルはテストステロンの最下位4分位群(<14.2nmol/L)は上位群に比して、冠動脈リスク因子およびFMDで調整呉のCVイベントリスクが約4倍高かった
(unadjusted hazard ratio, 3.61; 95% CI, 1.47-8.86: multivariate-adjusted
hazard ratio, 4.61; 95% CI,
1.02-21.04)。
・多変量解析の結果、DHEA-S、エストラジオールおよびコーチゾールとCVイベントとの間に有意な関連は認められなかった。
【 結論 】
中年日本人男性おいては冠動脈リスク因子および内皮機能と独立して血清テストステロン・レベルがCVイベントと関連していた。これはアジアの母集団における内因性テストステロンとCVイベントとの関係を明らかにした最初の報告である。
PMID:
19963216低テストステロン高齢男性におけるリポ蛋白(a) の上昇
Aging Male. 2010 Jan 11.
Increased occurrence of marked
elevations of lipoprotein(a) in ageing, hypercholesterolaemic men with low
testosterone.
Kaplan SA, Lin J, Johnson-Levonas AO, Shah AK, Meehan
AG.
Weill Cornell Medical College, Institute for Bladder and Prostate Health,
New York,
USA.【 目的 】
先に2つの脂質治療研究のベースライン・データを用い高齢男性における、血清テストステロン(T)とメタボリック・シンドローム(MS)発現との逆相関関係を調査した。
さらに、Tと心血管リスク因子脂質、リポ蛋白(a)
[Lp(a)].との関係を調査するため、これら2つの試験の一つに参加している米国男性の小集団のベースラインデータの調査を行った。
【 方法 】
107例の男性(平均年齢55歳)からベースラインのT、脂質、血糖値および身体計測値に関するデータを得た。対象の基準はLDL-C
>/=3.4-4.9 mmol/l 及びトリグリセリド </=4.0 mmol/lである。
ベース・ラインのLp(a)をT<15
nmol/lの低-正常T群および>/=15
nmol/lの正常群による差異を分析した。
【 結果 】
・低Tの男性は有意なLp(a)上昇の発生頻度が高かった。
・Lp(a)レベルが正常上限の3倍以上であったのは、低-正常T群では17.1%であったのに対し、正常T群では8.1%であった。
【 結論 】
低テストステロンの高齢男性はLp(a)が著明に上昇している可能性がある。これは心血管リスクの上昇と関連している事が予期される。
PMID:
20059436【 注釈 】
リポ蛋白(a)(LP(a))
Lp(a)は、LDLのアポ蛋白であるアポB-100に、アポ蛋白であるアポ(a)が結合して構成されるリポ蛋白。Lp(a)に含まれるアポ(a)は、線溶系でフィブリン網を溶解するプラスミノゲンと構造的相同性がある。血液中のLp(a)濃度と、冠動脈疾患や脳梗塞の発症に正相関がある。アンドロゲン・レベルと医療費の関係
Int J Androl. 2010 Jan 4.
Prospective association of
low serum total testosterone levels with health care utilization and costs
in a population-based cohort of men.
Haring R, Baumeister SE, Volzke H,
Kohlmann T, Marschall P, Flessa S, Nauck M, Wallaschofski H.
Institute of
Clinical Chemistry and Laboratory Medicine, Ernst Moritz Arndt University Greifswald, Greifswald,
Germany.【 目的 】
アンドロロジーの分野に対する関心は急速に高まっているが、ヘルスケアの利用とコストに対する血清テストステロン・レベルの影響に関しては特に取り組まれていない。
地域住民コホート研究Study
of Health in Pomerania
(SHIP)のデータを分析し、血清テストステロンと自己報告のヘルスケアの利用およびコストとの関連を5年間フォローし、評価した。
【 方法 】
ベースラインでの対象は2023例の男性、このうち1530例が再調査が行われた。低および高テストステロンは年齢別の10および90パーセンタイルに従い、10-90パーセンタイルの対照者と比較した
【 結果 】
・断面調査モデルでは、低テストステロンおよび高テストステロンの男性は共に外来訪問頻度およびコストが高かった(低:+19.1
および+19.9%、高:+25.3 および+30.2%)。ところが入院日数およびコストはテストステロン・レベルと関連がなかった。
・年齢、教育レベル、所得、ウェスト周囲径、喫煙状況、身体活動度および飲酒量による調整は結果に影響しなかった。
・長期的モデルでは低テストステロンのみがフォローアップの外来受診頻度(年齢調整+28.6%)およびコスト(+38.0%)の上昇と関連していた。
【 結論 】
低および高テストステロンは短期の外来ヘルスケア・コストの上昇と関連していた、ところが低テストステロンは長期的な外来ヘルスケア・コストの上昇とも関連していた。
利用できる治療に関する経費効率研究が医師、患者およびヘルスケアアスステムのために必要である。
PMID:
20059581低テストステロンおよびSHBGおよび高エストラジオールは糖尿病リスクを高める
Eur J Endocrinol. 2010 Jan 8.
Low testosterone levels
and SHBG levels and high estradiol levels are independent predictors of type
2 diabetes in men.
Vikan T, Schirmer H, Njolstad I, Svartberg J.
T Vikan,
Department of Endocrinology, Division of medicine, Tromso, 9038,Norway.
【 目的 】
地域住民男性において、内因性性ホルモンレベルのその後の2型糖尿病リスクに及ぼす影響を調査する。
【 方法 】
デザイン:地域住民をベースにした前向きのコホート研究。
対象:第四次Tromso
study
(1994-1995)に参加した1454例の男性。
調査:糖尿病症例を調査し、プロトコールに従って31.12.05まで立証した。
分析:性ホルモンと糖尿病との前向きの関連性をコックス比例ハザード回帰を用い解析した。
【 結果 】
・高い正常域総テストステロン群では後期の糖尿病リスクが有意に低下していた。総テストステロン四分位最高位群は最高位群に比してHR
0.53, CI 0.33-0.84であった。
・糖尿病発生リスクの減少は高SHBG群でもみられ、四分位最低位群に比して第三位群でHR 0.38, CI
0.18-0.81、第4位群でHR 0.37,
0.17-0.82であった。
・総テストステロンとSHBGとの関連性は多変量モデルにウェスト周囲径を加えると有意ではなくなった。
・エスラジオールはポジチブに糖尿病発生と関連し、四分位最高位群に比して第二位群HR
0.49, CI 0.26-0.93、第三位群HR 0.51, CI
0.27-0.96であった。
【 結論 】
高エスラジオールの男性は肥満とは独立して後期糖尿病リスクが上昇していた。一方総テストステロンおよびSHBGの低下は糖尿病リスクを上昇し、これは肥満とは独立していた。
PMID:
20061333男性ホルモンと腹部大動脈瘤との関連性
J Clin Endocrinol Metab. 2010 Jan 8.
Associations of
Total Testosterone, Sex Hormone-Binding Globulin, Calculated Free Testosterone, and Luteinizing Hormone with Prevalence of Abdominal Aortic
Aneurysm in Older Men.
Yeap BB, Hyde Z, Norman PE, Chubb SA, Golledge
J.
School of Medicine and Pharmacology, University of Western Australia,
Australia【 背景 】
腹部大動脈瘤(AAA)は高齢者の死亡と関連しており、大動脈径の上昇は冠血管イベントの予測因子である。AAAは主に男性に発生しているが男性ホルモンとの関連は不明である。
【 目的 】
男性ホルモンが独立してAAAあるいは腹部大動脈径の上昇と関連しているかを調査する。
【 方法 】
デザイン:断面調査分析。
対象:年齢70-88歳の地域住民男性3620例。
調査項目:腹部大動脈径を超音波により計測した。早朝血清により総テストステロン、SHBGおよびLHを測定した。遊離テストステロンは計算により求めた。
【 結果 】
・AAA(大動脈径>/=30
mm)は262例(7.2%に認められた。
・AAAを有する男性は有しない男性に比して総および遊離テストステロンが低くく
(mean +/- SD
14.5 +/- 6.0 vs. 15.5 +/- 5.6 nmol/liter, P = 0.005 and 256 +/-
87 vs. 280
+/- 97 pmol/liter, P < 0.001, respectively)、LHが高かった
(median,
interquartile range: 4.9, 3.1-7.9 vs. 4.3, 3.0-6.4 IU/liter, P =0.013)。
・交絡因子で調整した多変量解析において、遊離テストステロンはネガチブにAAAと関連し (odds ratio per 1 SD
increase: 0.84, 95% confidence interval 0.72-0.98,
P =
0.026).、LHはポジチブに関連していた(odds ratio 1.14, 95% confidence
interval 1.03-1.25, P
=
0.008)。
【 結論 】
高齢男性において、低遊離テストステロンおよび高LHは独立してAAAと関連していた。性腺機能障害は高齢男性における閉塞性血管疾患のような動脈拡張症と関連している可能性がある。
PMID:
20061425
テストステロンは虚弱高齢男性の筋肉強度、身体機能、体組成およびQOLを改善するJ Clin Endocrinol Metab. 2010 Jan 8.
Effects of
Testosterone on Muscle Strength, Physical Function, Body Composition, and
Quality of Life in Intermediate-Frail and Frail Elderly Men: A Randomized,
Double-Blind, Placebo-Controlled Study.
Srinivas-Shankar U, Roberts SA,
Connolly MJ, O’ Connell MD, Adams JE, Oldham
JA, Wu FC.
Department of
Medicine and Endocrinology, University of Manchester Manchester Royal
Infirmary; Health Methodology Research Group , New
Zealand.【 背景 】
身体的虚弱は筋肉の減阿呆、身体機能の障害およびQOLと関連している。テストステロン(T)は性腺機能低下患者において筋肉量および強度を増加する。低~境界域低値Tの虚弱高齢者においてTが同様の作用を示すかは明らかではない。
【 目的 】
中程度虚弱および虚弱高齢男性おける6カ月のT療法の筋肉量および強度、身体機能およびQOLに及ぼす影響を検討する。
【 方法 】
デザイン:単一施設、無作為、二重盲検、プラセボー比較、平行群間試験。
対象:年齢65歳以上、総T12
nmol/L(346ng/dL)あるいは遊離T250 pmol/L(72.1pg/L)以上の地域住民男性。
投与方法:274例の男性を経皮T(50
mg/d)またはプラセボー・ゲル6カ月間投与に無作に割り付けた。
評価項目:筋肉強度、非脂肪および脂肪容量、身体機能および自己報告のQOL。
【 結果 】
・等尺性膝伸展力はT群で改善し(6カ月後の対P群)、調整差異は8.6
(95% CI, 1.3-16.0; P = 0.02)であった。
・T群において非脂肪容量は増加し(1.08 +/- 1.8
k)、脂肪容量は減少した(0.9 +/- 1.6
k)。
・身体機能はより高齢およびより虚弱な男性において改善した。
・身体および性症状スコアはT群で減少し、調整後の差異は各々-1.2 (-2.4
to -0.04) および-1.3 (-2.5 to
-0.2)であった。
【 結論 】
低~境界域低値Tの中程度虚弱および虚弱高齢男性おける6カ月のT療法は老化による筋肉の喪失、強度の低下を防止し、体組成、QOLおよび身体機能を改善した。
PMID:
20061435テストステロン・レベルは長期的なLUTSのリスクと逆相関する
BJU Int..
Serum sex hormones and the 20-year risk of
lower urinary tract symptoms in community-dwelling older men.
Trifiro MD,
Parsons JK, Palazzi-Churas K, Bergstrom J, Lakin C, Barrett-Connor
E.
Division of Urologic Oncology, Moores UCSD Cancer Center, San Diego, CA,
USA.【 目的 】
高齢の地域住民男性集団において、性ホルモン濃度とその後の長期的下部尿路症状(LUTS)リスクの関連を調査した。
【 方法 】
1984から1987の間にRancho
Bernardo
Study(前向きの地域住民調査)の参加者の血清性ホルモン濃度を測定した。2006年に生存者に米国泌尿器学会症状スコア質問票(AUA-SI)を送付した。
AUA-SIとベースラインの性ホルモン濃度の関連性をロジスティック回帰分析した。米国泌尿器科学会の良性前立腺肥大症の症状スコア
最近約1カ月間にわたり下記の症状がありましたか
Q.排尿後に尿が残っている感じが何回ありましたか。
Q.排尿後2時間以内にもう1度排尿しなくてはならないことが何回ありましたか。
Q.排尿中,数回にわたって尿が止まり,再び出ることが何回ありましたか。
Q.排尿を我慢することが難しいことが何回ありましたか。
Q.尿の勢いが弱いことが何回ありましたか。
Q.排尿開始時にいきんだり,努力しなくてはならないことは何回ありましたか。
以上の項目下記のように評価
全くなし
:0、 5回に1回未満 :1、 全回数の50%未満 :2、 全回数の約50%
:3、 全回数の50%超 :4、 ほとんど常に
:5
Q.夜就寝してから朝起床するまでの間に普通何回トイレに起きますか。
なし(0)、 1回(1)、 2回(2)、
3回(3)、4回(4)、5回以上(5)
米国泌尿器科学会の症状スコア=合計【 結果 】
・完全な回答得たのは158例、ベースラインの性ホルモン測定時の平均年齢(sd)は58(6.6)歳、平均フォローアップ期間(sd)は20.3
(0.6)年である。
・年齢調整ロジスティック回帰分析において、テストステロンおよびDHTとLUTSの間に逆向きの関連性が認められた(P =
0.05)。.
・生物学テストステロンの高い男性は性腺機能低下レベルの男性に比してLUTSのリスクが56%減少していた、しかしこの関連性は有意ではなかった(オッズ比
0.44, 95% CI
0.14-1.40)。
【 結論 】
この集団において、中年期のテストステロン、DHTおよび生物学的テストステロンが高い男性はLUTSの20年間のリスクが減少している。
このデータはテストステロンとLUTSとの逆相関を報告している他の研究を支持するものである。
テストステロン療法の臨床試験にLUTSおよびBPHの改善が含まれるべきである。
PMID:
20002438勃起不全におけるテストステロンの役割
Nat Rev Urol. 2009 Dec 8.
The role of testosterone in
erectile dysfunction.
Corona G, Maggi M.
Sexual Medicine & Andrology
Unit, Department of Clinical Physiopathology, University of Florence,
Italy.勃起不全(ED)は勃起に関連した身体的疾患、ストレスへの反応および関係性の困難さを含む臨床的因子の連続的スペクトルの結果として起きる臨床的異常である。
テストステロンはEDのこれらの原因に関連しているが、EDの治療におけるテストステロンの有用性は完全には明らかではない。
男性の性的反応におけるテストステロンの主な生理学的な作用は性欲に関連した勃起過程のタイミングを調整する事であり、それゆえセックスにともなう陰茎勃起を調整している。
ED、性腺機能低下症およびメタボリックシンドロームおよび2型糖尿病のような潜在する疾患との関連性は今日よく実証されている。
潜在疾患の認識は健康に関連したライフスタイルの改善のための、EDを有する男性の動機付けに有用である。
それゆえ、EDを有する男性は「ラッキー」と考えられる。なぜなら、潜在疾患を検出すための医学的検査機会が得られるからである。
EDおよび性腺機能低下症は治療可能な疾患である。テストステロン製剤の範囲はサプリメントとして利用可能であり、ある場合にはPDE5阻害剤との併用が有用である。
PMID:
19997070続きを読む
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高齢婦人のQOLに対する estrogen含有クリーム製剤および testosterone含有クリーム製剤併用の効果
2009年10月03日
高齢婦人のQOLに対する estrogen含有クリーム製剤および testosterone含有クリーム製剤併用の効果
御茶ノ水・浜田病院産婦人科
合阪幸三, 宮本雄一郎, 生月弓子第24回 日本更年期医学会学術集会 (平成21年10月3日~10月4日) 一般演題12
【目的】
更年期婦人に対する estrogen製剤の投与は広く行われている。 Estrogen製剤のみで効果がみられない場合は、旧来より androgen製剤が併用されており、その有効性についてもよく知られている。 しかしながらわが国では、女性用の androgen製剤は注射製剤しか利用できないため、この点が女性に対する androgen療法が今ひとつ普及しない要因であると考えられる。 今回我々は、androgen含有クリーム製剤を高齢婦人に対して投与し、その効果を検討した。【方法】
治験開始に先立ち、院内の倫理委員会にプロトコールをすべて公開し許可を得た。 患者には十分なインフォームドコンセントを行い、同意の得られたものを対象とした。 対象症例は6例(59.5±1.9歳)で、いずれも閉経後5年以上経過していた。 これらに対して estrogen含有クリーム製剤(バストミンTM、1g中に estradiol 0.6mg、 ethinylestradiol 0.2mg 含有)を 0.1g/day、および testosterone含有クリーム製剤(グローミンTM、1g中に testosterone 10mg含有)を 0.01g/day 外陰部に塗布させ、その効果を検討した。 外陰部の乾燥感、性交痛、嫌悪感、活力(やる気)のなさにつき、3(重症)~0(症状なし)の4段階にスコアリングして、投与前後で評価した。【結果】
乾燥感:2.75±0.47→0.38±0.52、性交痛:3.00±0.00→1.00±0.63、嫌悪感:2.67±0.52→0.67±0.52、やる気のなさ:2.83±0.41→0.50±0.55 と、いずれも有意に改善した。 各種クリーム製剤投与による重篤な副作用は1例も認められなかった。【結論】
高齢婦人に対する、女性ホルモンに併用する形での微量の男性ホルモン投与は、局所の改善のみならず、精神的にも前向きになることから、QOLの向上に有益であると考えられた。続きを読む
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肥満と勃起不全の関連にはアンドロゲン欠乏と内皮障害が関与する
2009年09月24日
肥満は勃起不全の発現と高く関連しているが、両者の病態生理学的リンクに関してはよく分かっていない。このミニレビューにおいて、共通する病態生理学的リンクが存在するかどうかを調査するため、肥満の勃起不全に関する文献の評価を行った。
内臓肥満は炎症反応を高め、内皮障害の原因となる。さらに、肥満はテストステロン・レベルを下げ、性腺機能低下症の原因となり、血管病変のリスクを高める。
内皮機能不全とアンドロゲン欠乏症は既に、勃起不全の病態生理学的メカニズムに関連している事が知られている。
内皮機能不全とテストステロン欠乏症の病態生理学的メカニズムには陰茎血管不全が関与し、NO合成酵素発現及び活性の低下、組織コンプライアンスのロスを招き、血管動態の低下を引き起こす。
性治療の分野の最近の進歩は勃起不全患者の治療に対して血管疾患および性腺機能低下の影響を認めている。
内臓肥満はメタボリックシンドロームの成分であり、内皮機能及びテストステロン・レベルに悪影響し、性腺機能低下及び勃起不全の原因となる。
このように、肥満患者の勃起不全のリスクの臨床的スクリーニングにはウェスト周囲径、テストステロン・レベル、BMIおよび身体活動量の検査を行うべきである。
【 原著 】
FEBS J. 2009 Sep 15.
Mechanisms of obesity and
related pathologies: Androgen deficiency and endothelial dysfunction may be
the link between obesity and erectile dysfunction.
Traish AM, Feeley RJ,
Guay A.
Department of Biochemistry and Urology, Boston University School of
Medicine, MA, USA.PMID:
19754871【 弊社コメント 】本報では、次の図式が簡明にまとめられています。(野)肥満 → 炎症反応の上昇 → 内皮機能障害 → 血管障害 → 勃起不全
肥満 → テストステロン低下 → 内皮機能障害 → 血管障害 → 勃起不全メタボリックシンドロームが血栓や動脈硬化といった血管障害につながる事は既にご存知の通りですが、血管障害はED(勃起不全)につながるものですから、すなわちメタボはEDの危険因子です。血管性EDは特効薬とされるPDE-5阻害剤をもってしても治りにくいEDなので、予防が大切です。
肥満の予防、血栓や動脈硬化のような血管障害を防ぐ生活習慣(食生活・適度な運動・適切な生活リズム・禁煙・・・等々)が適度なテストステロン(男性ホルモン)分泌の維持につながり、EDの予防にもつながる・・・、という好循環になると思われます。(福)続きを読む