Category:加齢とQOLの低下・生活習慣病
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内皮前駆細胞に対するPDE5阻害剤の影響はテストステロン・レベルにより変化する
2008年12月22日
【 背 景 】
内皮前駆細胞(EPCs)は内皮の修復に必要な骨髄由来細胞である。血中EPCsは内皮障害のある状態では低く、その数はPDE5阻害剤による治療によって増加する。EPCsは性腺機能低下患者においては減少しており、テストステロン療法により回復する。【 目 的 】
EPCsに対するPDE5阻害剤とテストステロンの影響の関係を調査するため、低ゴナドトロピン性の性腺機能低下(HH)患者において、バルデナフィルのEPCsに及ぼす急性効果をテストステロン療法前後で分析した。【 方 法 】
デザイン: 大学のアンドロロジー・センターにおける症例対照研究。
対象: HH患者15例およびそれと年齢のマッチした対照25例。
メイン・アウトカム: HH患者において血中EPCs数および前駆細胞(PCs)数に及ぼすバルデナフィル急性効果をテストステロン補充量前および6カ月後に測定した。【 結 果 】
- ベースラインにおいてHH男性は対照群に比してPCs および EPCsが有意に低く、バルデナフィルの投与はこれらの細胞数に影響しなかった。
- テストステロン療法6カ月後、全HH患者は正常化し、ベースラインに比してPCs および EPCsは有意に高く、対照群のレベルに達していた。
- テストステロン療法終了時のバルデナフィルの投与は対照群と同様にPCs およびEPCsを有意に増加した。
【 結 論 】
この結果はPDE5阻害剤によるEPCsの反応性の回復には正常なテストステロン・レベルが必要である事を示し、テストステロンが骨髄におけるPDE5をポジティブに調整している事を示唆している。【 原 著 】
Clin Endocrinol (Oxf). 2008 Dec 15.
Effect of Vardenafil on endothelial progenitor cells in hypogonadotropic hypogonadal patients: role of testosterone treatment.
Foresta C, Di Mambro A, Caretta N, De Toni L, Zuccarello D, Ferlin A.
Department of Histology, Microbiology and Medical Biotechnologies Section of Clinical Pathology and Centre for Male Gamete Cryopreservation, University of Padova, Padova, Italy続きを読む
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生殖期女性および更年期女性における、卵胞ホルモン含有軟膏剤の皮膚に及ぼす影響の検討
2008年11月16日
日本更年期医学会 第23回学術集会
横浜・2008年(平成20年) 11月16日(日) 第2会場 やまゆり一般口演 演題番号58
生殖期女性および更年期女性における、卵胞ホルモン含有軟膏剤の皮膚に及ぼす影響の検討ウィミンズ・ウェルネス銀座クリニック婦人科
関根さおり, 江夏亜希子, 関根美香, 対馬ルリ子【目的】
更年期女性の主訴の1つである皮膚症状(乾燥感,菲薄化,色素沈着など)を改善することは日常生活を楽にするだけでなく,アンチエイジングの観点からも重要である. 今回我々は卵胞ホルモン含有軟膏剤(以下,軟膏剤)が更年期女性の皮膚の状態をどの程度改善するか,またその効果が生殖器女性とどのように違うかにつき比較検討したので報告する.【方法】
生殖器女性(25~40歳)および更年期女性(45~55歳)各20名を対象とした. 各年代において軟膏剤投与群と非投与群を各10名とし,投与期間は4週間連日とした. 投与前,投与開始後2週間,投与終了時で皮膚の状態(皮丘の数,毛穴の数,毛穴の総面積,肌色)を測定した. 血清エストラジオール値・エチニルエストラジオール値の変動測定,使用前後の主観的皮膚変化についての調査も実施した.【成績】
各年代において,軟膏剤は皮膚のきめ細かさ,明度を有意に改善した.更年期女性における変化は数値に表れる以上に,本人の主観的変化や満足度が大きかった.【結論】
皮膚症状を持つ更年期女性だけでなく,アンチエイジング効果を期待する全ての更年期女性において軟膏剤の適切な投与は症状の改善および満足度の上昇に繋がる可能性がある.続きを読む
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加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)患者におけるテストステロン軟膏(グローミン)塗布後の血清テストステロン・レベルと臨床効果
2008年07月30日
Introduction
テストステロン補充療法は、加齢男性性腺機能低下症候群(LOH)患者の様々な症状を緩和するために適用されている。 LOH患者へのテストステロンの投与にはいくつかの経路があり、とりわけ経皮投与は魅力的な方法である。
Aim
本論文の目的は、テストステロン軟膏(「グローミン」大東製薬工業株式会社)適用後の血清総テストステロン(TT)および遊離テストステロン(FT)レベルのプロファイルおよびLOH患者における臨床的な有効性である。
Methods
健常男性ボランティアおよびLOH患者において、3mgのFL適用後の血清TTおよびFTレベルを調べた。次に、50人のLOH患者に陰嚢皮膚へ1日2回3mg(6mg /日)のGLを12週間投与した。その後、GL適用直前のTTおよびFTレベルを、GL処置後の1時間のTTおよびFTレベルと比較した。さらに、前述の50人のLOH患者におけるGLの臨床効果は、12週間のGL治療後に評価された。
J Sex Med. 2008 Jul; 5(7): 1727-1736
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2008年07月14日
弊社のテストステロン軟膏「グローミン」は、2003年10月から聖マリアンナ医大・泌尿器科の岩本晃明教授(当時)の研究チームで臨床研究が始められ、既にいくつかの学会で発表と論文掲載がされて来ました。
このほど、泌尿器科紀要誌に投稿・掲載された、グローミンの臨床研究に関する論文に対して、代表執筆者の長野赤十字病院・第二泌尿器科部長・天野俊康先生が、泌尿器科紀要誌の稲田賞を受賞される事になりました。7月26日・17時より京都(芝蘭会館別館)で授賞式と講演会がある予定です。
また、インパクトファクター4.7を誇る、J Sex Med. 2007 Dec 18 に掲載された論文は、Pub Medで参照できます。
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2008年01月21日
【目的】
高齢男性において、性ホルモン濃度と自己評価健康度および生活満足度、神経精神症状あるいはうつ症状あるいは痴呆との関連を解析した。【方法】
対象は地域住民調査Lieto Studyに登録している517例の男性。性ホルモン製剤の使用あるいは前立腺癌、前立腺肥大症の治療中、あるいはBMIの測定がない男性は除外した。
その結果466例、年齢64~97歳、平均72歳、平均BMI26.9 kg/m(2)が解析対象となった。【結果】
・ 年齢調整後、高レベルのテストステロンあるいは遊離テストステロンは良好な自己評価健康度と関連していた。
・ 年齢およびBMIで調整後、性ホルモンレベルと自己評価健康度あるいは生活満足度あるいは、殆どの神経精神症状との間に統計学的に有意な関連は認められなかった。
・ 診断上のうつ症状は低テストステロンと関連していた。
・ 高レベルのLHおよびFSHは診断上の痴呆と関連が見られた。【結論】
この地域住民調査において、低テストステロンと診断上のうつ症状に関連が見られた。無症候性の性腺機能低下症は痴呆と関連していると思われる。【原著】
Associations of sex hormone concentrations with health and life satisfaction in elderly men.
Eskelinen SI, Endocr Pract. 2007 Nov-Dec;13(7):743-9.
Department of Family Medicine, University of Turku, Turku, Finland.【弊社コメント】
テストステロンとうつ症状との関連は明らかなようですが、BMIを調整に加えると、一般的な健康度、生活満足度との関連に有意性がなくなります。(野)テストステロンは、決して高齢男性の健康の全てを司るものではありません。肥満度の要素が加わると、たとえテストステロンのレベルを若い頃のように高く維持できても、健康度や生活満足度が必ずしも高いとは限らないわけです。
すなわち、健康的なライフスタイル(適度な運動・バランスの良い節度ある食生活・規則正しく健康的な生活リズム・ストレスの少ない健康的な生活環境・前向きで健全な精神状態、等々)を若い頃からずっと実践し、肥満もコントロール出来た人こそ、最良のホルモン補充(ホルモンレベルの維持)をしている、最高のアンチエイジング法の実践者なのでしょう。(福)
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男性冠動脈疾患患者におけるテストステロンと血管内皮機能指標の関係
2008年01月09日
【目的】
冠動脈疾患(CHD)を有する男性における血管内皮機能を示し、指標とアンドロゲンレベルの関係を検討した。【方法】
50~70歳の男性106例について、年齢、体重、血清脂質、喫煙の有無、血糖値、血圧、血管細胞接着分子(VCAM)-1、総頸動脈の壁の厚さ(IMT)を登録した。
106例中51例がCHDを有していた。遊離テストステロン(FT)と、VCAM-1およびIMTの関係を解析した。【結果】
・ CHDとコントロールの間に年齢、血圧、喫煙の有無、血糖、HDL-C、最少拡張速度に差異はなかった。・ 体重、総コレステロール、LDL-C、中性脂肪、VCAM-1およびIMTは、CHDにおいてコントロールより高かった。
・ FTおよび収縮期の最大速度はCHDでより低かった。
・ 全体で、FTとVCAM-1およびIMTの間に逆相関が認められた。
【結論】
遊離テストステロンは内皮機能の指標であるVCAM-1およびIMTと逆相関した。【原著】
Relationship between testosterone and indexes indicating endothelial function in male coronary heart disease patients.
Fu L, Asian J Androl. 2007 Dec 20
the First Affiliated Hospital of Harbin Medical University, China.【弊社コメント】
テストステロンの低下と冠動脈疾患との関連が、内皮機能の指標であるVCAM-1およびIMTから明らかにされました。(野)
【血管細胞接着分子(VCAM)-1 とは?】
冠動脈疾患をきたした患者における予後マーカーとして、接着分子の血中濃度が有用という、Blankenbergらフランスとドイツの共同研究グループの発表。それによると、いずれも可溶性(s)の血管細胞接着分子(VCAM)-1、細胞間接着分子(ICAM)-1、およびE-セレクチンの血中濃度が高いほど、その後の心血管死のリスクが高いという相関性が認められ、特にsVCAM-1値は古典的危険因子やCRP値と併せて用いると生命予後予測に有用という。
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45歳以上の男性に、より早朝と遅い朝の採血がテストステロン濃度に影響するか?
2007年08月15日
【目的・方法】
The Hypogonadism In Males studyは、45歳以上の男性の性腺機能低下症の発病率を推定した。テストステロン療法を受けていない患者のサブ解析を試みた。
採血は08:00~10:00 時および 10:00~12:00時に行われた。【結果】
- 総テストステロン(TT)はいずれの年代でも採血時間の影響がなかった。しかし、遊離テストステロン(FT)および生物学的テストステロン(BAT)は全体的に、より早い時間に採血したほうが高かった。
- SHBGは45~64歳でより早い時間に採血したほうが有意に低かった。
- 75歳以上では採血時間によるTT、FT、BAT、あるいはSHBGの差異は認められなかった。
【結論】
45歳以上のTTの測定に、より早朝の採血は重要ではないであろう。
しかし、75歳以下の男性におけるFTあるいはBATの測定時は、より早朝の採血が望ましい。【原著】
International Journal of Impotence Research advance online publication, 19
July 2007; doi:10.1038/sj.ijir.3901580.【弊社コメント】
「大規模スクリーニング集団におけるテストステロンに対する測定時間の影響」
という報告では、採血時間を6~10時をT1(632例)、
10~12時をT2(812例)、
12~14時をT3(388例)、
14~18時をT4(1174例)、の4つの時間帯に分けて比較した結果、T4で低かったが、T1、T2およびT3では差がなかったとしています。また、上記の報告で測定されたのは総テストステロンのみです。
上記の報告に対して、本報はは時間帯、測定項目がやや異なります。結果はTTに関しては同様という事ですが、FT、BAT、あるいはSHBGで差が出てくる、それも年齢によって異なるという興味あるものでした。さらにデータの蓄積が必要かと思われます。(野)
海外では、総テストステロン値(TT)で議論するケースが多いので、これらの報告にもとづきますと、午前中の採血ならいつでもOK、ということになります。
一方、日本ではフリー・テストステロン値(FT)で基準を設けて議論していますので、本報にもとづいてFT値を神経質に評価するのであれば、なるべく早朝(本報にもとづけば、10時以前)に採血した方が良いのかも知れません。
何故、海外ではTTを中心に評価しているのに、日本ではFTなのでしょうか?
血中のテストステロンの多くはSHBGという物質と結合しているため生理活性を失っており、実際に活性があるのはSHBGに結合していないFTだけ、と言われています。そのため、臨床症状に結びつけて検討するためには、FTの方が直接的で良い、という考え方と思われます。
これに対して海外ではFT測定の正確性を指摘する声があるようで、BATの方が妥当である、という主張が根強いようです。ただし、少なくとも日本国内の技術では、FTについて十分に精度良く妥当な測定が出来ているようです。
もちろん学術的には、TTとFT、BATの全てを測定・算出しておけば無難ですが、全ての測定を何度も行うと保険適応にならない恐れがありますので、患者様の費用負担を抑えるため、FTに絞って測定しよう、という現実的な判断もあるようです。(福)
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2007年08月15日
【目的】
男性のテストステロンおよび他のホルモンの季節変動に関するこれまでの研究は、最高値および最低値の回数および時期、および季節性があるかどうかに関して様々な結果を報告している。研究デザイン、サンプル数、分析方法、対象集団の多様性がこのような異なった結果を生み出していると考えられる。
男性における、総、遊離および生物学的テストステロン、DHT、SHBG、LH、DHEA、DHEAS、エストロン、エストラジオールおよびコルチゾールの季節変動を検討した。【方法】
エントリー時、1~3日間に別の日に2回採血を行い、3ヶ月及び6ヶ月後に再度同様に採血を行った(最大1人6回)。
1~3日間に別の日のホルモンレベルは短期間の個体の変動を少なくするために平均した。
対象はボストンの地域住民で、地域健康調査に応じてランダムに選ばれた30~79歳の男性、134例である。うち121例が6回の採血を完了した。【結果】
- コルチゾールは別として、ホルモンレベルに季節変動は見られなかった。
- 季節変動の程度は個人内の変動より小さかった。
【結論】
季節変動は、ホルモンレベルの臨床および疫学的研究における変動の重要な要素ではない。
【原著】
Lack of Seasonal Variation in Serum Sex Hormone Levels in Middle-Aged to Older Men in the Boston Area.
Brambilla DJ, J Clin Endocrinol Metab. 2007 Aug 7
New England Research Institutes, Watertown, MA, USA【弊社コメント】
ヒトには生殖シーズンというのはないので、年間を通じて性ホルモンは変わらないものと考えられていますが、季節的変動の存在を報告する論文もあります。例えば、北緯60~70度という極北の地域では、季節的変動が認められました。
気候条件によって異なる可能性もあり、ボストンのデータが全地域に当てはまるとは限りません。(野)
ヒトのホルモン分泌に関する季節性を考えるとき、気象の変化だけでなく、ライフスタイルや様々なイベントなどの社会的要因の影響も受けるなら、ライフスタイルが多様化している国や地域、大都市ほど、季節性の関連が薄くなってしまうのかも知れません。(福)
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