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Category:男性ホルモン(アンドロゲン・ テストステロン)

  • 加齢男性性腺機能低下症候群 – LOH症候群 – 診療の手引き

    2007年02月24日


    【タイトル】
    加齢男性性腺機能低下症候群 -LOH症候群- 診療の手引き

    日本泌尿器科学会 公認
    日本Men’s Health医学会 公認

    [ 男性ホルモン低下による 男性更年期障害、ED、心身症などの診療マニュアル ]

    LOH症候群診療の手引き.jpg【編集】
    日本泌尿器科学会/日本Men’s Health医学会
    「LOH症候群診療ガイドライン」検討ワーキング委員会

    【ISBN】
    ISBN978-4-8407-3664-0

     

     

    【弊社コメント】

    男性にも女性と同様に更年期があり、男性の中には様々な不定愁訴に襲われる人がいます。
    以前は医師の間で認識が広まっておらず、診断と治療のガイドラインも無い中で医療の受け皿が乏しく、ごく一部の有志の医師によって取り組まれて来ましたが、近年は様々なメディアが「男性更年期障害」という表現で取り上げた事により、一般的な認知が広がりました。

    しかしながら、診療マニュアルも無く対応が整う前に急に一般の認知が広まったものですから、男性更年期障害を主訴とする患者さんが続々と受診するなか、医療現場では様々な戸惑いがあったようです。

    例えば、うつ病のように直ちに精神科を受診すべき人をいかに見分けるべきか、男性ホルモンの補充を行うための判断基準をどうするか、患者様にメリットとリスクをいかに説明すべきか…と、直面する問題と課題は多岐に及びますし、それぞれに学術的な根拠をもって対処しようとすれば、自ずと研究・調査すべき仕事は膨大になります。

    定義や表現ひとつ取っても様々な議論があったようですが、「PADAM」という表現を経て、最終的に「LOH(late-onset hypogonadism:ロー/加齢男性性腺機能低下症候群)」と名づけられ、このほど根拠にもとづく最も合理的な「診療マニュアル」にまとめられました。それが本著になると思われます。

    なお、本著の中で弊社製品のテストステロン軟膏「グローミン」がART(男性ホルモン補充療法)の選択肢の一つに採用されました。

    loh_text.jpg

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  • テストステロンの心血管リスクに対するメタ解析

    2007年02月19日


    【目的】
    アンドロゲン低下男性における心血管イベントとリスク因子に対するテストステロン使用の影響について、無作為試験のシステマチック・レビューおよびメタ解析を行った。

    【方法】
    収集データベース:
    MEDLINE (1966 to October 2004), EMBASE (1988 to October 2004), および Cochrane CENTRAL (inception to October 2004)

    対象としたトライアル:
    テストステロンと対照としてプラセボーを用いた無作為試験で、心血管リスク因子(脂質分画、血圧、血糖)、心血管イベント(心血管死、非致死的心筋梗塞、狭心症、跛行、血管再開通術、卒中)および心血管の代理エンドポイント(心あるいは血管疾患を示す臨床検査値)の評価を行ったもの。

    【結果】
    ・解析対象となったのは30トライアル、1642例。うち808例がテストステロン投与。

    ・低テストステロン男性に対するテストステロンの使用は血圧、血糖および脂質に影響を殆ど影響しなかった。低-正常および正常テストステロン男性でも同様の結果であった。

    ・テストステロン使用と全心血管イベント(n=6)の間のORは1.82 (95% CI, 0.78 to 4.23)であった。

    【結論】
    現在のエビデンスでは、「男性におけるテストステロン使用は重要な効果を心血管に及ぼさない」という推測がわずかに支持される。
    テストステロンの長期使用に関する安全性を確立するためには、心血管疾患のリスクに対する大規模な無作為試験が必要である。

    【原著】
    Testosterone and cardiovascular risk in men: a systematic review and meta-analysis of randomized placebo-controlled trials.
    Haddad RM, Mayo Clin Proc. 2007 Jan;82(1):29-39. Links
    Knowledge and Encounter Research Unit, Mayo Clinic College of Medicine, Rochester, Minn 55905, USA.

     

    【弊社コメント】
    LOH男性の治療法やアンチ・エイジングに対するテストステロン補充療法の将来に向け、リスクとメリットの検証が世界的なトレンドになっているようです。

    そのような中で、先ずはこれまでの様々な研究発表を振り返って再解析する試みがなされているようで、本報のメタ解析はこのような背景によるものと思われます。
    本報の結果からは、悪い効果も良い効果のいずれも認められておらず、少なくとも、現状ではテストステロンの補充が心血管に悪い影響を及ぼす事は認められていません。

    これまでの研究結果では、試験の規模とバラツキ等から明確な結論が出せない、というのが現状のようです。(野)

    粗く解釈して表現すれば、「テストステロンが心血管に及ぼす影響は良くも悪くもハッキリしない。厳格に白黒ハッキリさせるためには改めて大規模な研究を行うべきである。」ということなのかも知れません。(福)

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  • テストステロンおよびナンドロロンの心機能に及ぼす影響

    2007年02月03日


    【目的】
    アンドロゲンは骨格筋に対して強い作用を有しているが、人の心筋に対する作用、あるいはテストステロンの代謝がどのような役割を果たしているかはよく分かっていない。
    健康若年男性において、テストステロンと代謝を受けない純粋なアンドロゲンであるナンドロロンの心筋機能に対する影響を検討した。

    【方法】
    デザイン:3群の二重盲検、無作為プラセボー比較試験。
    セッティング:Ambulatory care research centre.
    被験者:各群10名の健康若年男性を無作為に割り付けた。
    インターベンション;テストステロンエステル200mg、ナンドロロン・デカノエイト200mg、またはプラセボー製剤を1週間に1回筋肉内投与した。
    測定項目:心筋組織の運動速度、最大収縮張力および速度、心拍出のバイオインピーダンスおよび全身血管抵抗を含む心筋機能を総合的に評価した。

    【結果】
    ・左室機能(左室の駆出率、TEI係数)、右室機能(駆出エリア、三尖弁の平面運動、TEI係数)、心後負荷(平均血圧、全身血管抵抗)および心収縮力(1回拍出量、心拍出量)は年齢および性に対応した標準的範囲にあり、アンドロゲン剤あるいはプラセボーの4週間投与により変化しなかった。
    ・テストステロン群でのみ、左室収縮末期径および右室収縮末期範囲の増加、左室拡張期中隔速度の減少、左室充満圧の増加およびECGのPR間隔の短縮が、正常範囲内で軽度の変化として認められた。

    【結論】
    4週間のテストステロンあるいはナンドロロンの投与は若年男性の心機能に悪影響も好影響も与えなかった。

    【原著】
    Effects of testosterone and nandrolone on cardiac function: a randomized, placebo-controlled study.
    Chung T, Clin Endocrinol (Oxf). 2007 Feb;66(2):235-45. Links
    Department of Cardiology, Concord Hospital and ANZAC Research Institute, University of Sydney

     

    【弊社注釈】
    Tei index
    収縮能低下も拡張能低下も反映する総合的な心機能の指標である.
    Tei indexは, 僧帽弁流入血流の終了から再開始迄をa時間とし, 大動脈駆出血流持続時間をb時間とすると, (a−b)/bとして計算される.
    予後: 心不全例でTei indexが大きいと予後は悪い. 急性前壁中隔心筋梗塞例において合併症のある例はTei indexが増大している.

    【弊社コメント】
    心機能に対する影響を見るには、4週間は短すぎるように感じます。1年、あるいは半年、せめて3か月位かけなければ、と思います。
    テストステロン群で僅かな変化があり、これをとらえればテストステロンが直接ではなく代謝物の作用によると言えるのかもしれません。(野)

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    カテゴリマーク男性ホルモン
    (アンドロゲン・テストステロン)

    男性ホルモン(アンドロゲン・ テストステロン)

    テストステロン・ゲルの単回投与で女性の性活動を改善できる

    2007年02月03日


    【目的】
    これまでに、いくつかの研究が卵巣摘出あるいは閉経後の女性において、血中テストステロンの上昇が性機能および性欲を改善する事を示してきた。しかしながら、毎日のテストステロンの上昇による副作用が、この治療法の一般化に疑問を投げかけている。
    テストステロンの舌下投与は15分後にテストステロン濃度がピークに達し、90分以内に基の値に戻る。
    テストステロンのピーク到達3-4時間後に、性的感覚および性欲の上昇が報告されている。
    そこで、低活動性性欲異常症(HSDD)の女性において性交を行う4-8時間前にテストステロンの単回投与を行い、慢性投与で見られる副作用なしで性欲の上昇が得られるかを検討した。

    【方法】
    デザイン:無作為二重盲検クロスオーバー試験。
    対象:HSDDの閉経前の女性。
    投与方法:1カ月の間、週2回、性交前に供与されたテストステロンゲルまたは同様のプラセボーの投与を行った。次の月に実薬またはプラセボーを交換した。
    調査:患者が評価を行う”Arizona Sexual Experiences Scale”および医師が評価を行う”Sexual Function Questionnaire (SFQ-V1)”を用いた。

    【結果】
    ・10例の患者が試験を完了した。
    ・自己診断のアリゾナの5項目に関して、”How easily are you aroused?” がテストステロン・ゲルでプラセボーに比して有意に改善した( P = 0.03)。
    ・医師評価の SFQ-V1の “arousal-sensation” でも同様の傾向が認められた。

    【結論】
    性交前、必要に応じたテストステロン・ゲルの投与は性欲に関して効果が認められた。用量、投与のタイムスケジュールに関してさらに研究が必要である。

    【原著】
    J Sex Med. 2007 Jan;4(1):204-8.
    Transdermal Testosterone Gel prn Application for Hypoactive Sexual Desire Disorder in Premenopausal Women: A Controlled Pilot Study of the Effects on the Arizona Sexual Experiences Scale for Females and Sexual Function Questionnaire.
    Chudakov B, J Sex Med. 2007 Jan;4(1):204-8.
    Faculty of Health Sciences, Ben Gurion University of the Negev, Beer-Sheba, Israel.

     

    【弊社コメント】
    女性の性機能障害(性欲障害)に対するテストステロンの単回投与により、「テストステロンのピーク到達3~4時間後に、性的感覚および性欲の上昇が報告」とのことですが、女性の性機能障害に対して単回投与であれば連続使用にともなうリスクを最少化しながら望ましい効果が得られる事が期待されるため、弊社のテストステロン・クリーム「グローミン」でも同様の有用性が期待できると考えられます。
    グローミン塗布後の健常男性での血中プロファイルによれば、塗布後1~2時間でピークを迎えますので、女性も同様の動態であれば、塗布後4~6時間後に性的感覚および性欲の上昇が認められるのかも知れません。
    また、女性に対するテストステロンの連続的な投与については様々なリスクが指摘されており、全般的に消極的な雰囲気を感じておりますが、頓用の単回投与でも有効であるなら、積極的にご利用いただける事が期待されます。
    現状では「グローミン」をこのような目的でご使用いただく事をお勧めできませんが、今後の臨床研究を通じて根拠(エビデンス)を整備したいと考えています。

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    カテゴリマーク学術資料

    学術資料

    男性更年期障害の重症度分類による男性ホルモン軟膏の治療効果

    2007年01月30日


    THE EFFICACY OF TESTOSTERONE OINTMENT (GLOWMIN) TREATMENT FOR LATE-ONSET-HYPOGONADISM (LOH) PATIENTS ACCORDING TO LOH SEVERITY

     

    The most basic treatment for late-onset hypogonadism (LOH) is hormone replacement therapy (HRT). In Japan, intra-muscular injection of testosterone (T) has been used for LOH treatment as HRT.  Testosterone ointment (Glowmin) has been available for HRT from 1965 as an over-the-counter drug, and the profile of serum T levels and efficacy testosterone ointment for LOH patients has been reported.  In this study, we analyzed the relationship between the efficacy of testosterone ointment and LOH severity.  Fifty LOH patients were treated with 6 mg of testosterone ointment per day.  After 12 weeks of treatment, they were divided into 2 groups according to the severity of their LOH, serum total T and free T levels, measured by such means as total aging males’ symptoms (AMS) score.  The improvements of total AMS score, international index of erectile function 5 score and MOS 36-Item Short-Form Health Survey (SF-36) score were observed and analysis of variation was performed.  Results showed that the symptoms in the more severe patients had a total AMS score improvement in 4 domains, AMS (psychological), SF-36 body pain (BP), social function (SF), role-emotion, compared to patients with slight LOH.  While patients with nomal serum T levels felt BP improvement as opposed to patients with low serum T levels, there was no significant difference in the other domains.  In conclusion, testosterone ointment is considered to be effective in improving several elements of AMS and SF-36 in patients with a high AMS score.


    テストステロン軟膏共同研究グループ

    泌尿器科紀要 53:25-29, 2007

    平成19年度・稲田賞(第25回 研究部門)受賞論文

     

     

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  • テストステロンと恋愛の関係について

    2007年01月11日


    【目的】
    女性と男性の恋愛状態とテストステロンの関係を調査する。
    この関係は、男女の恋愛状態がテストステロンの差異をもたらす、あるいはテストステロンが恋愛志向(恋愛関係に入る傾向)に影響するという二つの効果について論じられてきた。

    【方法】
    パートナーの有無がテストステロンレベルに影響するか否かを検討するため、独身者、長距離恋愛あるいは、同じ町で恋愛関係の男女(女性72名、男性49名)についてテストステロンレベルを検討した。
    対象には避妊薬を含むホルモン剤を使用しているものはない。試験の参加者は唾液を提出し、恋愛関係の状態についての質問表に答えた。

    【結果】
    ・ 独身男性のテストステロンは、長距離恋愛あるいは同じ町で恋愛関係にある男性よりも高く、これは恋愛志向を示すものである。
    ・ 反対に、同じ町で恋愛関係にある女性のテストステロンは、独身女性および長距離恋愛の女性より低く、恋愛状態がテストステロンに影響していると解釈される。

    【結論】
    肉体関係にあるパートナーの存在は男性におけるホルモンと恋愛状況との関連には影響がない(長距離恋愛の男性と同じ町で恋愛関係にある男性のテストステロンは同様であった)が、女性では影響が見られた。

    【原著】
    Testosterone levels in women and men who are single, in long-distance relationships, or same-city relationships.
    van Anders SM, Horm Behav. 2006 Dec 28;

     

    【弊社コメント】
    「テストステロンが男女の関係にどう影響しているのか?」
    「男女の関係がテストステロンにどう影響しているのか?」
    という興味深いテーマを検討したものですが、いずれも影響がみられるというものでした。(野)

    女性の中には、彼氏がいる頃は、彼氏に会えないと無性に寂しく性欲が高まっていたのに、彼氏と別れて恋愛の相手がいない時期が続くと、性欲も忘れてしまう、といった経験のある人が多いのかも知れません。もし、このような経験がありましたら、それはテストステロンの仕業かも知れません。
    男女いずれも恋愛関係の異性がいない人のテストステロンが高いというのは、テストステロンがまさに「愛の狩人」ということなのでしょう。
    男女の違いで微妙なのは長距離恋愛の場合です。長距離恋愛の女性は男性と異なりテストステロンが高いようで、長距離恋愛をめぐる男女の意識に違いがあるとすれば、このような生理的な性差が背景にあるのかも知れません。
    長距離恋愛のカップルの皆様が、お互いの性差を理解し合い、違いを受け容れて、お互いを尊重しながら、長距離恋愛にありがちなスレ違いを乗り越えて愛情を深められるように祈っております。(福)

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  • 「グローミン」を扱う病院のご案内

    2006年11月01日


    男性ホルモン軟膏「グローミン」を、「低用量な経皮吸収のテストステロン補充療法」としてご賛同下さり、臨床でご使用いただいている医療機関を弊社HPでご案内しております。

    男性ホルモン軟膏「グローミン」取扱薬局・病院のご案内

    お客様のお体と症状に対してグローミンが適切かどうか、グローミン以外のより良い治療方法など、お客様がお困りの状況に応えて下さる安心の医療機関として、ぜひご利用下さいませ。

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  • 高齢男性では低テストステロンが転倒リスクを上げる

    2006年10月29日


    【背景】
    低テストステロンが高齢者の身体機能、転倒などにどのように影響するか不明である。

    【方法】
    5995名のボランティア集団から無作為階層的に選ばれた65~99歳の男性2587名について、長期的、観察的追跡調査を行った。
    スタート時に、活性型テストステロン(bioT)、エストラジオール、身体能力の測定を行った。 転倒頻度は4年間、4カ月毎に確認を行った。一般化推定方程式により性ホルモンの転倒に対するリスク比を推定した。

    【結果】
    ・56%が最低1回の転倒を報告し、多くはしばしば転倒した。

    ・bioTは転倒リスクの上昇と関連していた。テストステロンレベル下位1/4の男性の転倒リスクは上位1/4の男性より40%高かった。

    ・低テストステロンの影響は65~69歳の男性で最も顕著であり (RR:1.8;95%CI,1.2-2.7)、80歳以上の男性では影響が認められなかった。

    ・低テストステロンは身体能力の低下と関連していた。しかしながら、身体能力で調整を行っても低テストステロンと転倒リスクの関連性は維持された。

    【結論】
    転倒は高齢男性で日常的にみられる。転倒リスクは、低活性型テストステロン男性で高い。テストステロンレベルの影響は身体能力とは独立したものであり、転倒リスクに対するテストステロンの影響が他のアンドロゲン作用による事が示唆される。

    【原著】
    Endogenous testosterone levels, physical performance, and fall risk in older men.
    Orwoll E, Arch Intern Med. 2006 Oct 23;166(19):2124-31.

     

     

    【弊社コメント】
    高齢男性におけるテストステロンの重要性を示した、非常にクリアな報告です。同じ身体能力でもテストステロンが低いと転倒リスクが高いという事が重要と思います。
    しかし、また高齢になりすぎるとテストステロンの影響がなくなるということに注意が必要ですし、今後、多くのデータで確認して行くべきと思います。(野)

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