【ヘルスケア情報】テストステロンについて加齢にともなうテストステロン分泌の衰えについて
下図のように、テストステロンの分泌は20歳代をピークに、その後加齢とともに低下していきます。普通は徐々に衰えますので、何となく「歳をとって来たかな?」とお感じになる男性が多いと思いますが、40歳代~60歳代にかけては、男性の社会的責任とストレスが公私共々高まる時期です。
20歳代 | 30歳代 | 40歳代 | 50歳代 | 60歳代 | 70歳代 | |
---|---|---|---|---|---|---|
n | 294 | 287 | 235 | 169 | 120 | 38 |
Xbar+2SD | 27.9 | 23.1 | 21.6 | 18.4 | 16.7 | 13.8 |
Xbar | 16.8 | 14.3 | 13.7 | 12.0 | 10.3 | 8.5 |
Xbar-2SD | 8.5 | 7.6 | 7.7 | 6.9 | 5.4 | 4.5 |
人によっては、ある日突然テストステロンの分泌が急激に減ってしまうために、自律神経失調のような不定愁訴を生じてしまうことがあります。これが、男性更年期にありがちな症状です。
多くの女性の場合、更年期は閉経を前に比較的わかりやすいのですが、男性の場合は閉経のような目に見える出来事がありませんし、さまざまな偏見や社会通念により、なかなか認識されませんでした。
そのような社会的背景の中で「男性にも更年期がある」という説は、欧米では1940年代から様々な提唱と多くの検討がされていましたが、なかなか認知が広まらず、異端視されていたようです。
しかしながら、社会の成熟化や高齢化にともなう認識の変化が起こり、この10年余の間にAUA(米国泌尿器科学会)をはじめ各国の泌尿器科医による世界的な検討が行われました(AUA News: October 2008)。
日本においても、TVや新聞、雑誌などマスメディアに大きく取り上げられ社会的関心が高まり、関連学会で検討された結果、2007年1月に「LOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)診療の手引き」が発刊され、医学的に定義されました。
近年は、QOLや抗加齢医学への関心が高まり、2010年12月には日本医師会雑誌(139巻9号)でも男性更年期障害とLOH症候群が特集され、泌尿器科のみならず内科、心療内科など科目を超えた認知になりつつあります。
そして、不足した男性ホルモンを補充して、テストステロンの分泌不足にともなう不定愁訴を改善させる治療法が「男性ホルモン補充療法」です。
弊社製品では「グローミン」を塗擦することで天然型テストステロン(体内で産生するテストステロンと同じもの)を低用量で少しずつ経皮吸収させることにより、生理的範囲で必要最小限に抑えたマイルドで安全な補充が期待できます。
「テストステロンの正常値は?」というご質問をいただくことがあります。日本では、日本人男性の場合、遊離型テストステロン(フリーテストステロン)で基準値が定められています。これは、総テストステロンよりも遊離型テストステロンの方が加齢とともに有意な減少を示すためです。
また、総テストステロンと遊離型テストステロンを同時に測定すると保険診療ができなくなるため、項目を一つに絞る必要がある、という保険制度上の背景もあります。
20歳代 | 30歳代 | 40歳代 | 50歳代 | 60歳代 | 70歳代 | |
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n | 294 | 287 | 235 | 169 | 120 | 38 |
Xbar+2SD | 27.9 | 23.1 | 21.6 | 18.4 | 16.7 | 13.8 |
Xbar | 16.8 | 14.3 | 13.7 | 12.0 | 10.3 | 8.5 |
Xbar-2SD | 8.5正常値の下限 | 7.6 | 7.7 | 6.9 | 5.4 | 4.5 |
出典:岩本晃明ほか:日泌会誌 95 : 751, 2004)
ちなみに男性のテストステロン分泌には日内変動があり、通常は早朝が高いことから、なるべく午前中の早い時間帯に採血した結果で判断されます。健常な日本人男性における遊離型テストステロンの検討結果(上図データ参照)を踏まえ、20歳代の平均値-2SDである8.5pg/mLが、正常値の下限とされています(「LOH症候群診療ガイドライン」検討ワーキング委員会)。
-
健常な日本人男性における
遊離テストステロン正常値の下限
8.5pg/mL -
健常な日本人男性における
遊離テストステロン正常値のボーダーライン
11.8pg/mL
日本人女性における遊離型テストステロンの基準値は、臨床検査会社によると下表の通りです。
- 20~29歳
0.4~2.3pg/mL - 30~39歳
0.6~2.5pg/mL - 40~49歳
0.3~1.8pg/mL - 50歳以上
0.8~1.7pg/mL
-
30歳代女性の
遊離型テストステロンの正常範囲
1.2~6.4pg/mL※1 -
20~80歳全体の
遊離型テストステロンの正常範囲
0.72~7.3pg/mL※2
月経にともなう変動は少なく月経周期のいずれの日にも適用できます。一方、加齢にともなうテストステロン値の減少が報告されています。
女性の場合はこれまでテストステロンが悪玉のように扱われ、「多過ぎる」のが異常とされて「少な過ぎる」のは問題にされて来なかったようです。しかしながら、女性においてもテストステロンの意義が指摘されています。少なくとも、正常範囲に収まるような、生理的範囲でのテストステロン補充であれば限りなく安全で、むしろ低過ぎるために心血管イベントで死亡するリスクを避けるという観点から、女性にも意義があるのではないでしょうか。性機能のみならず更年期障害のQOL、エイジングケアの観点から今後の研究が期待されます。
※1 J Sex Med. 2011 Jul 19.
Testosterone Reference Ranges in Normally Cycling Healthy Premenopausal Women.
Braunstein GD, Reitz RE, Buch A, Schnell D, Caulfield MP.
Cedars-Sinai Medical Center, Los Angeles, CA, USA
※2 J Clin Endocrinol Metab. 2011 Dec 7.
Age-Specific Reference Ranges for Serum Testosterone and Androstenedione Concentrations in Women Measured by Liquid Chromatography-Tandem Mass Spectrometry.
Haring R, Hannemann A, John U, Radke D, Nauck M, Wallaschofski H, Owen L, Adaway J, Keevil BG, Brabant G.
Institute of Clinical Chemistry and Laboratory Medicine, University Hospital South Manchester, United Kingdom.
- ●血清テストステロン(総テストステロン)
(男性:1.92~8.84ng/mL、女性:閉経前 0.15~0.44ng/mL、閉経後 0.12~0.31ng/mL) - ●DHT(ジハイドロテストステロン)
(男性: 0.20~1.00ng/mL、女性: 0.05~0.30ng/mL) - ●アンドロステンジオン
- ●アンドロステロン
(男性: 0.18~0.91ng/mL、女性: 0.14~1.03ng/mL) - ●LH(性腺刺激ホルモン・黄体形成ホルモン)
- ●FSH(卵胞刺激ホルモン)
- ●プロラクチン(PRL)
(男性: 3.58~12.78ng/mL、女性: 6.12~30.54ng/mL) - ●エストラジオール(卵胞ホルモン・E2)
- ●エストリオール(E3)
- ●黄体ホルモン(プロゲステロン)
- ●コルチゾール
(3.7~19.4㎍/dL、午前10時以前) - ●遊離コルチゾール
(11.2~80.3㎍/day) - ●DHEA-S(デハイドロエピアンドロステロンサルフェート)
- ●ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)
「加齢にともなうテストステロン分泌の衰えについて」を含め「男性ホルモン」に関連する情報は弊社公式ブログでも詳しくご紹介しています。
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