【ヘルスケア情報】早漏早漏について
早漏に関する近年の医学情報です。医師が治療の対象とする早漏につきましては、最新の国際的な定義を別ページでご案内しています。(2008年発表・ISSMの定義) (早漏の定義:エビデンス)
早漏の有病率については、日本国内では今のところ正確な疫学データがありません。また、国や地域、さらには人種により有病率や原因となる背景が異なる指摘もあり、全容が正確に把握できていないのが現状のようです。
下表のように様々な原因が提唱されていますが、個々の因果関係を特定する質の高い研究が十分でなく、学術的には未だ仮説の域にあるようです。
さらに、多くの場合は複数の原因が重なっていると考えられるため、原因を正確に特定するのは困難です。
-
心因性の原因・不安
・早い性体験
・性交の頻度
・射精コントロールのテクニック
・進化的な原因
・精神力学的理論 -
器質性の原因・ペニスの過敏
・射精反射の過剰な興奮
・(射精の)誘発性
・内分泌障害
・遺伝的原因
・5-HT(hydroxytryptamine)レセプター機能障害
現在、神経系でセロトニンと5HTレセプターが射精のプロセスに関与していることが分かっているようです。5HTレセプターの過敏さが早漏の原因では?という仮説があり、早漏に対するSSRIの効果の作用機序と考えられていますが、メカニズムの詳細は未だ明らかになっていません。
- 1次の確認。
「主訴」
「射精潜時」
「射精をどの程度コントロール出来ているか」
「本人とパートナーがどの程度苦しんでいるか」
「発症してからの経過期間」「心理的・社会的な病歴」
「一般的な病歴」
「身体的所見」 - 2ED、その他の性機能障害によるものかを見極める。
そうであるなら、主原因となる性機能障害を治療する。
- 32でなければ、カウンセリングと共に治療方針を患者と議論。
治療の選択肢は、
①行動療法「Stop & Start法」「スクイズ法」「感覚集中訓練」
②対人関係のカウンセリング
③薬物療法「SSRI 注」「局所麻酔剤(トノス)」
④①~③の併用療法注:SSRI(選択的セロトニン取り込み阻害剤)は早漏の適応症が未だ認められていないうえ、効果と副作用をコントロールするための投薬管理が難しく、医師の厳重な管理が必要です。近年は、国内外で重大な刑事事件に発展するような暴行をふるう、といった攻撃性が高まる異常行動の報告事例があり、厚労省は因果関係を調査中です。そのため決して自己判断で使用しないでください。
- 4薬物療法の場合は、結果を見ながら投薬を徐々に中止して行く。
Disorders of Orgasm and Ejaculation in Men
Chris G. McMahon, Carmita Abdo, Luca Incrocci, Michael Perelman, David Rowland, Marcel Waldinger, Zhong Cheng XinThe Journal of Sexual Medicine: Volume 1 Page 58 - July 2004
Premature Ejaculation—Does Country of Origin Tell Us Anything about Etiology?
Daniel Richardson MRCP, David Goldmeier MDFRCP
The Journal of Sexual Medicine: Volume 2, Issue 4, Page 508-512, Jul 2005
Prevalence of Premature Ejaculation: A Global and Regional Perspective
Francesco Montorsi MD
The Journal of Sexual Medicine: Volume 2, Issue s2, Page 96-102, May 2005