大東製薬工業公式BLOG

更年期や性機能についての学術情報、最新研究などを紹介いたします。更年期や性機能についての学術情報、最新研究などを紹介いたします。

Category

月別アーカイブ

Category:学術資料

  • 食物繊維の摂取と性ホルモンレベルの関係

    2006年10月10日


    【背景】
    乳癌とアルコールおよび繊維の摂取との関係は、乳癌リスクの予測因子である性ホルモンに仲介されたものである。

    【目的】
    閉経前の女性における性ホルモンレベルとアルコールおよび食物繊維摂取の関係を調査した。

    【方法】
    対象は閉経前の女性205例。調査開始時および2年後に摂取食物頻度調査表への回答を得た。同じ時期に、血清性ホルモン濃度の測定を行った。

    【結果】
    ・アルコールは中等度に血清エストロゲンレベルと関連していた。1日1杯以上飲む女性は飲まない女性よりE2が20%高かった(Ptrend=0.07)。

    ・反対に高食物繊維の摂取はアンドロステンジオンの低値と関連し、エストロゲンとの関連はなかった。

    ・同様に、フルーツ、野菜および穀物の摂取はアンドロステンジオン・レベルと逆の関連を示した。

    【結論】
    アルコールと食物繊維の摂取に伴う性ホルモンレベルの差異はこれらの栄養学的因子が性ホルモンレベルに影響を及ぼし、乳がんの原因と予防に一定の役割を果たしている事を示すものである。

    【原著】
    Alcohol and dietary fibre intakes affect circulating sex hormones among premenopausal women.
    Maskarinec G, Public Health Nutr. 2006 Oct;9(7):875-81.

    【参考記事】
    アルコール摂取とホルモン補充療法とが組み合わされば乳癌リスクが上昇する。
    2005-11-08 13:45:30-0400(ロイターヘルス)発

    ニューヨーク(ロイターヘルス)-

    アルコール飲料を摂取した場合、特に閉経後のホルモン補充療法(HRT)を受けている女性では、エストロゲン受容体(ER)陽性の乳癌のリスクが上昇することが、一般集団ベースのSwedish Mammography Cohort から得られたデータにより示されている。

    アルコールを摂取すれば、エストロゲン産生量の増加またはエストラジオールの代謝クリアランス低下のいずれかにより、内因性ホルモンへの女性の曝露が増大すると考えられる。

    ◎アルコールと乳癌に関する42件の研究をまとめたメタアナリシスでは、1日ワイン1 杯(アルコール12g)程度の少量飲酒でも10%のリスク上昇があり、飲酒量が増えればリスク も直線的に上昇するという結果です(Am J Epidemiol 154:740-747、2001)

    ◎野菜と果物で、乳がんリスクの低下なし。ヨーロッパ8カ国の女性28万人を平均5.4年間追跡したところ、野菜や果物を多く食べるグループでも、乳がんの発生率は低くなかった。オランダのグループによるこの研究は、米国医学雑誌2005年1月12日号に報告された。

    出典 van Gils CH, et al. Consumption of vegetables and fruits and risk ofbreast cancer. Journal of American Medical Association 2005;293:183-193

    【弊社コメント】
    一般的に、飲酒が乳がんの危険因子であると言われていますが、毎日飲酒を続けている女性は、エストロゲンのレベルが2割高くなっているようです。
    すなわち、女性が毎日飲酒を続けることが、高いエストロゲンレベルを維持させてしまうことになり、それが乳がんの危険につながっているのでは?という印象を受けます。

    一方、アンドロステンジオンは、高食物繊維をはじめ、フルーツ、野菜、穀物を良く摂取する女性の方が低いという結果だったようです。

    アンドロステンジオンは、エストロゲンの元になる物質ですから、アンドロステンジオンが低くなれば、エストロゲンも低くなるのかな…と思いたいところですが、今回の結果によると、エストロゲンとの関連が無かったようです。他の要因がエストロゲンの値に大きく影響していたのかも知れません。

    毎日お酒を飲んでも、食物繊維や菜食を良く摂取していれば乳がんのリスクを帳消しに出来る…、あるいは、お酒を飲まなくても食物繊維や菜食が乳がんの予防になる…、と言えれば良かったのですが、残念ながら、現状では言えないようです。

    お酒好きの女性の皆様、乳がん予防の観点からは、毎日の飲酒はなさらぬ方が良さそうです。(福)

    続きを読む

  • エストロゲン腟内投与は腟血管、性機能を改善する

    2006年09月08日


    【目的】
    子宮摘出閉経女性の腟血流量及び性機能に対する経口及び腟エストロゲン製剤の効果を比較検討した。

    【方法】
    57例の女性に無作為に経口剤 (0.625 mg of conjugated equine estrogen per tablet; n = 27)又は局所製剤 (0.625 mg conjugated equine estrogen per 1g vaginal cream; n = 30) のエストロゲンを1日1回投与した。投与前および3カ月後に、エストラジオール、尿検査、骨盤の診察、カラードプラー超音波検査及び質問表による性機能調査を行った。

    【結果】
    ・3カ月後の血清エストラジオール濃度は局所投与に比して経口投与で高かった。

    ・両群で腟血管数および腟最小径は有意に増加し、拍動係数(PI)は著明に減少した。収縮ピークに関しては局所投与群で有意に減少した(P<0.05)。

    ・無オーガズム症の頻度は両群で減少したが、他のドメイン-低リビドーおよび性交頻度の変化は有意ではなかった。

    ・局所投与群では、腟乾燥に関する性機能及び性交疼痛症ドメインを有意に改善する(P<0.05)。しかし、経口群ではそうしたケースはなかった。しかしながら、腟乾燥および性交疼痛症に対する経口群の効果は80% 及び 70.6%に達した。

    【結論】
    子宮摘出閉経女性のエストロゲン単独療法は 腟血流量を増加し、性機能の幾つかを改善した。しかし、性欲、性活動度の低下には影響がなかった。
    全身投与に比して局所腟製剤は、血清エストラジオール濃度が低いにもかかわらず、症状の回復に効果的であった。

    【原著】
    A randomized comparative study of the effects of oral and topical estrogen therapy on the vaginal vascularization and sexual function in hysterectomized postmenopausal women.
    Long CY, Menopause, 2006 Aug 28

    【弊社コメント】
    弊社の女性ホルモン軟膏剤(「ヒメロス」「バストミン」)を用いた研究ではありませんが、弊社製剤にも通じる、塗布剤によるホルモン補充療法のメリットを示唆する最新の報告と思われます。(野)
    全身投与にならない程度の、低用量のエストロゲン塗布剤を腟内に局所的に塗布することで、腟の局所的な症状を改善しつつ、エストロゲンの全身投与で指摘される様々なリスクを回避できることが期待されます。(福)

    続きを読む

  • エストロゲンは中心脂肪を減らす

    2006年08月19日


    【目的】
    若い女性の体組成とレプチンに及ぼすエストロゲン欠乏と運動の影響を検討する。

    レプチン: 脂肪細胞から分泌され、食欲の抑制やエネルギー代謝の増大を介して体脂肪量の調節、飢餓への適応をつかさどるホルモン。

    【方法】
    デザイン:横断的臨床研究
    対象:年齢及びBMIがマッチした3群。
    ① 正常体重で運動、無月経の女性
    ② 規則的な月経周期で運動する女性
    ③ 規則的な月経周期で活動的な女性

    介入:採血、体脂肪の測定、二重エネルギーX 線吸収装置による脂肪分布の測定。
    主要なアウトカム:中心脂肪の蓄積(四肢に対する体幹脂肪の比)、血清E2およびレプチン濃度。

    【結果】
    規則的な月経周期の女性では血清E2と四肢に対する体幹脂肪の比の間にマイナスの相関関係を認め、これは年齢、運動、体脂肪、血清テストステロンとは独立していた。しかし、無月経の女性ではこの関係は認められなかった。
    全体で、レプチンに対して、E2はプラスの、運動はマイナスの相関性を示し、これは体脂肪とは独立していた。

    【結論】
    規則的な月経周期をもつ若い女性において、E2は中心脂肪の蓄積と逆の相関性を示す。全体の若い閉経前の女性においては、エストロゲンは体脂肪とは独立してレプチン濃度に影響している。

    【原著】
    Estrogen and exercise may be related to body fat distribution and leptin in young women.
    Puder JJ, Fertil Steril. 2006 Jun 27;

    【弊社コメント】
    E2が高いと中心脂肪が減るのは、レプチンの増加が関係しているかもしれません。そう考えれば閉経後の女性の変化も筋が通ります。(野)
    規則的な月経周期の若い女性が、月経を終えて2週間後のエストロゲンの分泌が旺盛になる頃に、心なしかボディ・シルエットがいつも以上に美しくなるとすれば、中心脂肪が減っているということなのかも知れません。(福)

    続きを読む

  • 超低用量の経皮吸収エストラジオールが骨密度を増加する

    2006年07月18日


    【方法】
    対象:子宮切除のない60~80歳の閉経後の女性、417例。
    投与:無作為に実薬群208例、プラセボー群209例に割付、実薬群にMenostar(17-beta estradiol 14mcg/日)を24ヶ月間投与した。加えて全例に、Ca 800mg及びビタミンD 400IUを投与した。
    調査項目:投与前及び24ヶ月後に腰椎及び全身のBMD、骨回転マーカー及び子宮内膜の厚さ。

    【結果】
    終了時点において、エストラジオール群はプラセボー群に比して腰椎及び全身のBMDが有意に増加し、骨回転マーカーが有意に減少した。有意差は全パラメーターで強度(p<0.001)であった。腰椎のBMDの増加は最初のBMD及び骨粗鬆症リスクファクターの存在とは無関係であった。
    重篤な副作用イベントはエストラジオール群で24例に、プラセボー群で23例に認め、各群で10%の患者が副作用イベントのため中止した。代表的な副作用イベントはエストラジオール群で、上部気道感染、事故による傷害、関節痛、白帯下および適用部位の反応であった。これらはプラセボー群でも同様にみられた。

    【結論】
    この併用療法は腰椎及び全身のBMDを増加できる。

    【原著】
    Ultra-Low Dose Menostar (Estradiol Transdermal System) Increases Bone Mineral Density: Presented at NAMS
    2005年9月29日 16th annual meeting of the North American Menopause Society (NAMS)における Laslo B.Tanko.MD,PhD の発表

    【引用】Doctor’s Guide

    【担当者コメント】
    学会発表であり、抄録ではなく第三者の報告なので不明なところはありますが、Ca及びビタミンD補給下、24ヶ月という長期間の治療ながら、14mcg/日という低用量で経皮的投与によるエストラジオールの効果が確認された、という報告です。(野)

    続きを読む

  • シルデナフィル無効症例に対するアンドロゲンとシルデナフィルの併用

    2006年07月18日


    【目的】
    シルデナフィル単独投与には反応しない低ゴナドトロピン患者に対し、アンドロゲンの効果を検討する。

    【方法】
    対象:シルデナフィル100mgに対し効果が不十分であった、勃起不全を伴う低ゴナドトロピン患者、32例。
    投与方法:テストステロンアンデカノエイト80mgを1日2回または3回、単独経口投与を2カ月間行った。十分な勃起が得られない症例には、その後シルデナフィルとテストステロンの併用投与を行った。
    評価項目:トータルテストステロン(TT)、フリーテストステロン(FT)、IIEF、IPSS及びUFR

    【結果】
    テストステロンへの切り替えにより11例(34.3%)に十分な勃起機能の改善が得られた。効果不十分例では、その後の併用により12例(37.5%)に十分な効果が得られた。
    血清TT及びFTはテストステロン単独投与後及び併用後投与後、ともに有意に上昇した。IIEFスコアも単独投与及び併用投与後、ともに有意に上昇した。
    IPSS或いはUFRには有意な変化が認められなかった。

    【結論】
    シルデナフィル無効例の1/3がテストステロンに反応し、他の1/3がテストステロンの正常化後のシルデナフィルの再投与により改善した。それゆえ、低ゴナドトロピン性の勃起不全患者ではアンドロゲンの補充療法が第一選択である。また各単独投与で改善が得られなかった症例に対しては、併用療法が有効であろう。

    【原著】
    Combined use of androgen and sildenafil for hypogonadal patients unresponsive to sildenafil alone.
    Int J Impot Res. 2006 Jan 5

    【引用】Doctor’s Guide

    【担当者コメント】
    シルデナフィル無効な低ゴナドトロピン患者の約1/3に対して、テストステロン補充療法の併用が有効であったとのことです。(野)

    続きを読む

  • 低テストステロンとメタボリックシンドロームの関連

    2006年07月09日


    【目的】
    高齢者の血清テストステロン、肥満及びメタボリックシンドロームの関係を調査した。

    【方法】
    2つの脂質治療試験に参加している、平均年齢52歳の男性864例について、ベースラインの血清テストステロン、脂質、血糖および身体計測調査を行った。いずれの試験もLDLコレステロール 130 ~ 160 mg/dl、トリグリセリド 350 mg/dl または以下の男性である。

    【結果】
    ・メタボリックシンドロームの有無に関わらず、テストステロンはBMIの上昇と共に減少した(p <0.0001)。

    ・メタボリックシンドロームを有する肥満および強度肥満男性のテストステロンは約150 及び 300ng/dlで、メタボリックシンドロームのないやせた高齢男性より低かった。

    ・糖尿病あるいは空腹時血糖 110mg/dl以上、BMI 30kg/m② 以上、トリグリセリド 150mg/dl 以上が低テストステロン症と関連していた。

    【結論】
    肥満およびメタボリックシンドロームを有する高齢男性の血清テストステロンは高齢の健康男性に比して有意に減少している。この結果はEDと肥満との関係がホルモンと関連している事を示すものである。

    【原著】
    The Age Related Decrease in Testosterone is Significantly Exacerbated in Obese Men With the Metabolic Syndrome. What are the Implications for the Relatively High Incidence of Erectile Dysfunction Observed in These Men?
    Kaplan SA, J Urol. 2006 Oct;176(4):1524-8.

    【弊社コメント】
    肥満→メタボリックシンドローム発症→加齢と相まって低テストステロン症状に?
    血清テストステロンとメタボリックシンドロームの関連が明確になってきました。(野)

    BMI:大人を対象とする体格指数。Body Mass Index の略。
    BMI=[体重(kg)]/[身長(m)]②  (②は二乗)

    普通:19.8~24.2(日本人の標準値は男女共に22)
    肥満:25.0以上

    続きを読む

  • 男性更年期障害患者におけるテストステロン軟膏の有効性の検討

    2005年06月30日


    更年期障害を訴える30歳以上の患者で、血中総テストステロン値(総T)が2.7ng/ml 未満または血中フリーテストステロン値(FT)が10.0pg/ml 未満の50症例に、グローミン軟膏(1本10g中にT 100mg含有)をチューブの先から2cm程度(3mgのT)を目安に指先に取り1日2回朝、夕(1日6mgのT)で12週間、陰嚢皮膚に塗布した。評価方法は、軟膏塗布前、塗布12週間後に総T、FTを測定し、症状スコアとしてAMS調査票、国際勃起機能スコア(IIEF5)質問表、QOL問診票としてSF-36を用いてその有効性を検討した。

    血中総T、FTは、塗布前は各々2.7±1.0ng/ml、7.5±2.5pg/mlであったが、塗布1週間後には、5.5±2.4ng/ml、13.3±6.0pg/ml と、有意な上昇を認めた。AMSでは、治療前は、心理的因子12.4±4.8、身体的因子18.7±4.9, 性機能因子は14.5±4.6 であったものが、治療後はそれぞれ、10.9±5.0、16.4±5.1、13.1±4.4と有意に症状の改善を認めた。SF-36では、体の痛み、社会生活、日常役割機能(精神)、心の健康の各ドメインが改善した。

    副作用は、排尿障害、脂漏性湿疹など軽度のものであり、肝機能障害やPSAの上昇などは認めなかった。男性更年期患者におけるホルモン補充療法の治療薬として、グローミン軟膏は安全かつ有効であると考える。


    テストステロン軟膏研究グループ

    日本性機能学会雑誌:20 (1) 19~24, 2005

     

    続きを読む

  • 健康男性における遊離型テストステロンの日内変動と男性ホルモン軟膏塗布後のプロファイル

    2005年06月30日


    男性更年期障害(PADAM)に対するホルモン補充療法(HRT)は、本邦では注射剤が主に使用されているが、われわれは昭和40年に旧厚生省より製造承認された男性ホルモン軟膏(製品名:グローミン)が、OTCとして使用可能であることを知った。そこで健康男性ボランディア4名に本剤を1日2回陰嚢皮膚に塗布して、血中男性ホルモン値(遊離型テストステロン:FT)を測定し、塗布前の日内変動と比較した。さらに本剤を1週間継続的に経皮的塗布した後にも、同様にFTを測定した。その結果、今回の健康男性においてもFT値は午前中に高値を維持し、午後~夕方夜間にかけて低下する日内変動がみられた。男性ホルモン軟膏を塗布すると、FT値は上昇し、1時間後に最大値を示し、約4時間後には元のレベルに戻った。1週間継続的に塗布した後でも、FT値は塗布約1時間後に上昇し最大値を示したが、経皮的に吸収され、健常者であっても血中FT値の上昇は生理的上限をやや上回る程度の増加で、その作用継続時間は比較的短いものの、PADAMに対するHRTとして使用する場合、FTを持続的に高レベルに保つよりも、日内変動に沿ってFT値レベルを調節するといった投与を行うのに適しているものと考えられた。


    テストステロン軟膏共同研究グループ

    日本性機能学会雑誌:20 (1) 13~18, 2005

    続きを読む

21 / 22« 先頭...1819202122