高齢者のうつ症状に対するアンドロゲン療法(システマティック・レビュー)
2006年10月10日
【目的】
高齢者のうつ症状に対するアンドロゲン(男性ホルモン)療法の実行可能性と効果について検討した。
【方法】
MEDLINE, PsycINFO, Eric, HealthStar, および Cochrane Database の調査により17の報告(オープン試験 8.無作為試験 12、論説 3)について検討を行った。
【結果】
・殆どの報告が方法論的に限界があった。
・実行可能性に関しては、少数が副作用による中止を報告した。
・効果に関してオープン試験では8試験中6試験が有効、無作為試験では12試験中5試験が有効、1試験が不明であった。有効であった無作為試験の3試験ではテストステロンに抗うつ薬が併用されていた。
・対象が60歳以上であったのは2オープン試験のみで、1試験が有効、1試験が無効であった。
【結論】
アンドロゲン療法は短期間ならば可能であろう、しかし高齢者のうつ症状に対し有効性を示すエビデンスはわずかである。
【原著】
Can J Psychiatry. 2006 Apr;51(5):295-9. Links
Androgen treatment of depressive symptoms in older men: a systematic review of feasibility and effectiveness.
Shamlian NT, Can J Psychiatry. 2006 Apr;51(5):295-9.
【弊社コメント】
高齢者のうつ症状に対して、厳格に見て男性ホルモンの投与が有効だったと言い切れる論文は未だ少ない、というのが実情のようです。しかしながら、あくまで男性ホルモンの補充効果が無いという話ではなく、厳格な検討の蓄積が待たれる、という状況と思われます。(野)
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