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GSM(閉経関連泌尿性器症候群):有病率と治療に関するシステマティック・レビュー
2021年03月15日
【 目的 】
GSMの有病率とその治療法についての論文を系統的にレビューした。
【 方法 】
PubMed、CENTRAL、EMBASEにて論文検索を2020年10月まで実施した。システマティックレビューの対象は、閉経後の女性または40歳以上の女性において、婦人科検診の有無にかかわらずGSM症状の有無を評価するアンケートや問診によって行われた研究および調査である。
【 結果 】
・事前に定義した対象/除外基準を適用した結果、27件の研究がシステマティックレビューの対象となった。
・膣の乾燥、刺激、かゆみ、性交疼痛症などのGSM関連症状の有病率は13%から87%であった。
・GSMに特化した治療の使用率は、13%から78%であった。
・市販の潤滑剤および保湿剤が最も人気のある治療法であり(24.0%~85.5%)、次いで低用量の膣エストロゲン(4.8%~35.0%)であった。
・膣の健康について診察時に医師と話し合われることは少なく、症状や治療法の選択肢の数についての認知度は低い。
・女性は、ホルモン療法の長期的な安全性と副作用を懸念している。
・泌尿器系症状に悩む女性の大多数は、使用した治療法に不満を持っている。
【 結論 】
GSMは高頻度に見られるが、その原因や治療法についてはあまり知られていない。このレビューの結果は、GSMの診断と治療法に関する患者および医療従事者への教育の必要性を明らかにしている。
【原著】
Genitourinary syndrome of menopause: a systematic review on prevalence and treatment.
Mili N, Paschou SA, Armeni A, Georgopoulos N, Goulis DG, Lambrinoudaki I.
Menopause. 2021 Mar 15;28(6):706-716. doi: 10.1097/GME.0000000000001752.
2nd Department of Obstetrics and Gynecology, Medical School, National and Kapodistrian University of Athens, Athens, Greece.
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2020年10月01日
内分泌系は、ホメオスタシスの元に正または負の刺激に応答して動的に調節されている。テストステロン療法のモダリティは、投与間隔を延長し、持続的な「定常状態」のテストステロンレベルを維持するように進化してきた。長時間作用型テストステロン療法は、視床下部-下垂体-性腺軸を阻害し、下垂体のLHおよびFSH分泌を抑制し、LHおよびFSHの循環レベルおよび内因性テストステロン産生を低下する。
これらの内分泌変化は、精子形成の抑制および不妊、さらに他の副作用をもたらす。これらの長時間作用型テストステロン療法による精子産生への悪影響は、多くの適応外製品の使用につながっている。ゴナドトロピン産生を刺激し、その結果テストステロンレベルを上昇させるクエン酸クロミフェンが性腺機能低下症の治療および同時に生殖能力の維持のために用いられている。
半減期が短いテストステロンを数回投与する短時間作用型テストステロン療法は、視床下部-下垂体-性腺軸の阻害を最小限に抑え、精子形成の障害を軽減する。FDAが承認した、より短時間作用型のテストステロン療法製剤は、正常な生理機能をより厳密に反映する恒常性を維持し、性腺機能低下症の治療に大きな期待をもたらす。これは、長時間作用型製剤よりも利点を有している。
この治療法は、適応外治療製剤の使用ではなく、FDA承認のテストステロン補充を可能にし、治療対象患者の生殖能力を維持する。この仮説の支持には、短時間作用型テストステロンを用いたより長期間の研究が必要である。しかし、これまでに実施された研究は仮説を支持する傾向を示している。長時間作用型テストステロンが視床下部-下垂体-性腺の抑制をもたらし、生理学変化をもたらすという報告は多い。短時間作用型テストステロン療法は、テストステロン欠乏症の治療のパラダイムを変える可能性がある。
Short-Acting Testosterone: More Physiologic?
Affiliations- PMID: 33117287
- PMCID: PMC7561367
- DOI: 10.3389/fendo.2020.572465
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2020年08月12日
<目的>
限局性前立腺がんの根治的治療後のテストステロン補充療法(TRT)の安全性は確認されていない。そこで、限局性前立腺がんの治療後にTRTを受けた男性の生化学的再発および死亡リスクを分析した。
<方法>
全米退役軍人情報およびコンピューティングインフラストラクチャを使用してコホート分析を行た。 2001年から2015年に手術または放射線治療を受けた限局性前立腺がん患者69,984人を特定した。
治療後のTTの処方を時間依存共変量としてコードし、National Death Indexを使用して死因を特定した。生化学的再発は、手術後PSA> 0.2 ng / mLおよび放射線療法後の最低値+ 2 ng / mLと定義した。 累積発生率曲線、Fine-Gray競合リスク回帰、Cox回帰を使用して、再発および死亡率を分析した。
<結果>
・コホートには、手術患者28,651人および放射線患者41,333人が含まれ、うち469人(1.64%)および543人(1.31%)が、TRTを6.95年間(中央値)を受けた。
・TRT群を非TRT群を比較すると、生化学的再発、前立腺癌特異的死亡率、または手術後の全死亡率に差異は認められなかった [生化学的再発ハザード比(HR):1.07; 前立腺癌特異的死亡率HR:0.72(p = 0.43); および手術後の全死亡率HR:1.11(p = 0.43)]。または放射線療法後のHRはそれぞれHR:1.07; HR:1.02(p = 0.95); およびHR:1.02(p = 0.86)であった。
・制限として、TRTの期間とおよび血清T濃度に関する詳細なデータが欠如している。
<結論>
多民族全米コホートにおいて、TRTは、手術および放射線療法後の生化学的再発、あるいは前立腺癌特異的または全体的死亡率のリスクを増加しなかった。これらのデータは、限局性前立腺癌の根治的治療後のTRTが安全であることを示唆している。
Prostate Cancer Prostatic Dis. 2020 Jun 8.
Sarkar RR, Patel SH, Parsons JK, Deka R, Kumar A, Einck JP, Mundt AJ, Kader AK, Kane CJ, Riviere P, McKay R, Murphy JD, Rose BS Department of Radiation Medicine and Applied Sciences, University of California San Diego, La Jolla, CA, 92093, USA
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2020年08月06日
<目的>
内因性の性ホルモンレベルが膵臓、腎臓、および脳の癌の病因に影響を与える可能性が示唆されているが、疫学データが欠けている。<方法>
英国のバイオバンクコホート研究のデータ(総n=425,793;膵臓癌225例、腎臓癌749例、脳癌467例)を用いて、血清TT(総テストステロン)、FT(フリーテストステロン)およびSHBGと膵臓、腎臓、および脳の癌リスク、および総および遊離E2(卵胞ホルモン)と腎臓癌リスクとの関連性を評価した。多変量コックス比例ハザードモデルを使用して、関連性をHRおよび95%CIにて推定した。<結果>
・TおよびSHBGレベルは膵臓癌リスクと関連していなかった。他の2つの部位の関連性も認められなかった。・男性においてはTTと脳の癌の間、およびサンプル全体と女性においてSHBGと腎臓癌リスクの間に逆相関を認めた。
・E2は腎臓がんリスクと関連していなかった。
<結論>
この結果は、性ホルモン/ SHBGと膵臓、腎臓、および脳のがんリスクとの関連を支持しない。より多くの症例を対象とした研究が必要である。【原著】
Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 2020 Jun 24:cebp.0246.2020.
Peila R, Arthur RS, Rohan TE.
Department of Epidemiology and Population Health, Albert Einstein College of Medicine, Bronx, New York続きを読む
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2020年08月05日
<目的>
性腺機能低下症および2型糖尿病(T2DM)合併男性におけるTRTが血糖コントロールおよびインスリン感受性を改善し、T2DMの寛解をもたらすかどうかを調査した。<方法>
総テストステロン(TT)≤12.1 nmol/L(350ng/dL)および性腺機能低下症状を示す計356人の男性を対象に、11年間追跡調査した。全例が標準的な糖尿病治療を受け、うち178人がそれに加えてTRT(テストステロン補充療法)を受けた(テストステロン undecanoate注射 1000 mgを最初に6週間の間隔、その後12週間毎に投与)。対照群は、TRTを受ける事を選択しなかった178人である。<結果>
・TRT群は、治療期間中、空腹時血糖、HbA1c、空腹時インスリンの有意な進展的および持続的な低下を示した。・対照群では、空腹時血糖、HbA1c、空腹時インスリンが上昇した。
・TRT群のうち、34.3%において糖尿病が寛解し、46.6%の患者が正常なグルコース調節に達した。
・TRT群のうち、83.1%がHbA1cの目標値47.5 mmol/mol(6.5%)に達し、90%がHbA1c 53.0 mmol/mol(7%)に達した。
・対照的に、対照群では、糖尿病の寛解またはグルコースまたはHbA1cレベルの低下は認められなかった。
・TRT群では、死亡、心筋梗塞、脳卒中、糖尿病性合併症は少なかった。
<結論>
T2DMおよび性腺機能低下症合併男性における長期TRTは、血糖コントロールおよびインスリン抵抗性を改善する。3分の1の患者が糖尿病の寛解に達した。TRTはT2DMおよび性腺機能低下症合併男性のための新しい追加療法である。【原著】
Diabetes Obes Metab. 2020 Jun 19.
Haider KS, Haider A, Saad F, Doros G, Hanefeld M, Dhindsa S, Dandona P, Traish A.
Private Urology Practice, Bremerhaven, Germany.続きを読む
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2020年07月27日
<目的>
運動および減量が肥満男性の血清テストステロン(T)を改善することが報告されている。しかしながら、低Tレベルとガイドラインベースの運動閾値との関連は分かっていない。そこで、最近更新された身体活動ガイドライン諮問委員会(PAGAC)の推奨を使用して、推奨される活動レベルと低Tレベルの有病率との関係を調査した。
<方法>
2011〜2016年の国民健康および栄養調査(NHANES)を使用して、身体活動質問票に回答し、血清T検査を受けた18〜80歳の男性を特定した。対象をPAGAC活動レベルに基づいて分類した:すなわち、運動量が推奨以下、推奨レベルおよび推奨以上である。多変量ロジスティック回帰を使用して、潜在的な交絡因子で調整し、BMIカテゴリー毎の低T(<300 ng / dL)と活動レベルとの関連を分析した。
<結果>
・選択基準を満たした7372人中、過半数(4372人、59.3%)が推奨活動量を超えていたのに対し、2326人(31.6%)が推奨量以下の運動量であった。
・多変量解析では、推奨量以上の肥満男性は、推奨活動レベルを満たしていない男性と比較して、低Tのオッズ比が低かった(OR 0.523、95%CI 0.409-0.669、P <.001)。
<結論>
全国的に代表的な大規模コホートを使用して、PAGACの推奨値を超える活動をした肥満男性では、T値が低い可能性が低いことを示した。運動には数多くの利点があるため、これらのデータは、運動と低Tの有病率の低下との関連性について肥満患者にカウンセリングするための基礎データとなる。
【原著】
Andrology. 2020 Jul 1.
Fantus RJ, Chang C, C Hehemann M, Bennett NE, Brannigan RE, Helfand BT, Halpern JA.
Section of Urology, Department of Surgery, University of Chicago Medicine, Chicago, IL, USA.続きを読む
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サーチュイン1(SIRT1)発現に対するアンドロゲンおよびエストロゲンの影響
2020年05月10日
<目的>
ヒト大動脈内皮細胞(HAEC)におけるサーチュイン1(SIRT1)発現に対するアンドロゲンおよびエストロゲンの影響を調査した。<方法>
48時間にわたるSIRT-1発現のRT-PCR分析を、各種濃度のDHEA、アンドロステンジオンおよびテストステロン(アンドロゲン)、E1、E2、および E3(エストロゲン)にて処理されたHAECsにおいて時間経過の用量依存性を調査するためを行った。また、アンドロゲンおよびエストロゲンによって誘発されるSIRT1発現に対する高グルコースの影響を調査した。<結果>
・10~20μg/ mlのDHEA、アンドロステンジオン、テストステロンは、SIRT1発現を用量依存的に増加した。・高グルコース(40 mM)培地は、10μg/ mlの DHEA誘発SIRT1発現を有意に抑制した(p = 0.024)。
・10~20μg/ ml のE1およびE2は、SIRT1発現を用量依存的にに著明に増加した(p=0.007, p=0.005)が、E3には増加作用が認められなかった。
・20 mMまたは40 mMグルコース培地での処理は、対照培地に比してE1およびE3誘発SIRT1発現を有意に阻害しなかった。ただし、20 mMまたは40 mMの高グルコース培地での処理は、対照培地に比して、E2誘発SIRT1発現が顕著に高かった(p = 0.007、p = 0.005)。
<結論>
DHEA、アンドロステンジオン、テストステロン、E1、およびE2はHAECのSIRT1発現を明らかに活性化した。高グルコース培地は、基礎的な遺伝子発現を強力に阻害するが、アンドロゲンおよびエストロゲン誘発SIRT1発現を減少しなかった。
Effects of androgens and estrogens on sirtuin 1 gene expression in human aortic endothelial cells
AffiliationsDepartment of Internal Medicine, Dokkyo Medical University, Saitama Medical Center, Koshigaya, Japan.- PMID: 32291422
- DOI: 10.15537/smj.2020.4.25006
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2020年03月17日
【 目的 】
アンドロゲンは、少なくとも部分的にエストロゲンへの変換とは無関係に、膣の生理機能に有益な効果を発揮することが示されている。膣および他の泌尿生殖器組織におけるアンドロゲン欠乏症は、外陰膣萎縮および閉経期のGSM(閉経関連泌尿性器症候群)発症の原因となり、性的興奮および潤滑障害および性交疼痛症をもたらす。
そこで、膣の構造および機能の調節におけるテストステロンの役割を要約した。
【 方法 】
この問題に関する関連文献の定性的レビューを、PubMedデータベースを使用して行った。膣の生理病態におけるテストステロンの関与をサポートする前臨床的および臨床的エビデンスの概要を提示し、女性の性的反応における膣の役割の観点からテストステロンの関与を検討した。
【 結果 】
・アンドロゲンは、アンドロゲン受容体およびアンドロゲン合成に関与するキー酵素の検出により示唆されるように、膣の分化および出生後の栄養および機能的作用の維持に重要である。
・テストステロンは、膣組織構造の完全性(非血管平滑筋の厚さおよび収縮性、コラーゲン線維の緻密性)、および性的興奮および潤滑を制御する複雑な神経血管プロセス(NO / cGMP / PDE5経路による血管平滑筋弛緩、神経線維密度および神経伝達)に不可欠である。
・テストステロンはまた、膣内の侵害受容、炎症、およびムチン分泌を調節すると報告されている。
・外陰膣萎縮/GSM、および性的興奮障害と性交疼痛症につながる他の状態に対する、アンドロゲンベースの治療法を提示した。
【 結論 】
膣はアンドロゲンの標的であり合成器官でもある。前臨床および臨床データは一貫してテストステロンが膣の健康と生殖器の性機能の維持に重要な役割を果たしていることを示唆している。
【 原著 】
Testosterone and Vaginal Function
Elisa Maseroli, Linda Vignozzi
Andrology, Women’s Endocrinology and Gender Incongruence Unit, Department of Experimental and Clinical Biomedical Sciences “Mario Serio”, University of Florence, Florence, Italy
Review Sex Med Rev. 2020 May 17;S2050-0521(20)30033-0. doi: 10.1016/j.sxmr.2020.03.003.
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