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更年期や性機能についての学術情報、最新研究などを紹介いたします。更年期や性機能についての学術情報、最新研究などを紹介いたします。

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Category:テストステロンと心血管

  • 心血管疾患の性差は男性の低テストステロンが影響している

    2012年11月30日


    【 背景 】
    世界の先進国において、男性は女性よりも早期に心血管疾患(CVD)を発症し、寿命が5~10年短い。 男性において低総テストステロン(TT)が新たなCVDリスク因子として提示されているが、その影響の性差については研究が非常に少ない。

    【 方法 】
    縦断的研究 Study of Health in Pomerania, Germany. のコホートから年齢20~79歳の4152例(男性2113例および女性2039例)のデータを用いた。
    多変量ポアソンおよびCox比例ハザードモデルを用い、心血管疾患(フォローアップ期間5年間)、全原因死亡およびCVD死亡(フォローアップ期間10年間)リスクを解析した。加えて、男性において低TT(<10th percentile)に起因するリスクを評価した。

    【 結果 】

    • 男性は女性に比して、過体重、高血圧、脂質異常、メタボリック・シンドロームおよび2型糖尿病を含め血管疾患のリスクが一様に高かった。
    • 男性は女性に比して全原因死亡(hazard ratio = 2.05; 95% CI, 1.61-2.60)および10年CVDリスクが上昇していた。
    • サブグループ解析において、低TTの男性は残りの高TTの男性および女性に比して10年CVDおよび死亡リスクが高かった。
    • TTはフラミンガム・リスク・スコアによる心血管リスクとネガティブに関連していた(P < 0.001)。

    【 結論 】
    大規模集団の解析において、男性は全般的に心血管疾患罹患および死亡のリスクが高かった。さらに低TTの男性は10年CVDおよび死亡リスクが高かった。

    【 原著 】
    Gend Med. 2012 Nov 19. pii: S1550-8579(12)00189-1.
    Low Testosterone Concentrations in Men Contribute to the Gender Gap in Cardiovascular Morbidity and Mortality.
    Haring R, John U, Völzke H, Nauck M, Dörr M, Felix SB, Wallaschofski H.
    Institute of Clinical Chemistry and Laboratory Medicine, University Medicine Greifswald, Greifswald, Germany

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  • 男が40を過ぎてなんとなく不調を感じ始めたら読む本

    2012年08月06日


    男が40を過ぎてなんとなく不調を感じ始めたら読む本

    秋下 雅弘 著
    東京大学大学院医学系研究科 加齢医学講座 准教授 ・ 東京大学医学部附属病院 老年病科

    出版社: メディカルトリビューン
    ISBN-10: 4895893820
    ISBN-13: 978-4895893824

    本著P.151の表に、「LOH症候群で処方される主な男性ホルモン剤」として、「グローミン」が紹介されました。

    本著の内容:
    男にとって40代、50代は人生の踏ん張りどきです。しかし若いときのように無理は利きません。疲労感、不安、イライラ、めまい、肩こり、性欲減退などの不調を感じることも。踏ん張りどきだからこそ、自分の心身についての知識を深め、自分を使いこなす知恵が必要なのです。不調を感じたときに”効く”一冊です。

    目次:
    第1章 男の健康のカギを握るアンドロゲン
    第2章 こんな人が一番危ない
    第3章 アンドロゲンで男の未来が見える
    第4章 男も女性ホルモンを分泌する
    第5章 アンドロゲンを増加させる生活の知恵
    第6章 困ったときの医者頼み
    症例1 ホルモン補充療法でEDも改善
    症例2 「地獄から生還したようだ」と喜ぶ

    otoko40.jpg

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  • テストステロンはTNFによる心筋障害の性差の原因となっている

    2012年05月21日


    【 目的 】
    性による特殊な差異は腫瘍壊死因子(TNF)に接触したときの心筋において観察される。男性の心筋は女性に比してTNFの存在下に機能を大きく低下する。加えて、先に我々は女性の心臓においてTNFによる心機能の異常にエストロゲンが殆ど影響しない事を見出し、男性ホルモン(テストステロン)がTNFによる心筋障害に関与していると示唆された。
    そこで、男性の心臓においてTNFによる心筋障害にテストステロンが有害な働きをしているという仮設を検討した。

    【 方法 】
    年齢がマッチした雄マウス、雌マウス、去勢マウス、およびアンドロゲン受容体拮抗剤フルタミド投与マウスの摘出心臓をランゲンドルフ装置にて45分間、TNFを注入した。左室内圧(LVDF)および心拍数を連続的に測定した。TNF注入後の心筋組織のcaspase-8
    および caspase-3を測定した。

    【 結果 】

    • TNFの注入は雄マウスのLVDFを抑制したが、心拍数には影響しなかった。
    • ダブルプロダクト(RPP:心拍数×最高血圧で表される量で心機能の指標)はTNF暴露後雌マウスにして雄マウスで著明に減少し、TNFにより誘導されるcaspase-8
      および
      caspase-3の高値と関連していた。
    • 去勢による内因性テストステロンの枯渇あるいはフルタミドの投与は雄マウス心臓のTNFによるRPPの低下に拮抗した。
    • 去勢あるいはフルタミド投与はTNF産生およびTNFR1
      およびTNFR2.の心筋発現に影響しなかった。

    【 結論 】
    テストステロンは心筋に対するTNFの有害作用の性差の原因となっていることが示された。TNFによる心筋障害の相対的低閾値はTNFR1
    およびTNFR2の下流シグナルとテストステロンの相互作用によるものと思われる。

    【 原著 】
    Int J Clin Exp Med. 2012;5(2):96-104. Epub 2012 Apr 8.
    Role of endogenous
    testosterone in TNF-induced myocardial injury in males.

    Wang M, Gu H,
    Brewster BD, Huang C.
    The Department of Surgery, Indiana University School of
    Medicine Indianapolis, Indiana.

     

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  • 遊離テストステロンおよびビタミンD両者の低下が致死的なイベントと関連する

    2012年02月29日


    【 目的 】
    ビタミンD
    (25(OH)D)および遊離テストステロン(FT)の低値は共に死亡率の上昇と関連している。実験的研究は、ビタミンDおよびアンドロゲン代謝の複雑な相互作用が臨床的予後の悪化と関連する事を明らかにしている。
    高齢男性の大規模コホートにおけるFTおよび(25(OH)D)、両者の欠乏の影響を調査した。

    【 方法 】
    対象はルーチン検査にて冠動脈造影(1997~2000)を行った男性2069例で、総テストステロン(TT)、SHBG および (25(OH)D)を測定した。

    【 結果 】

    • 多変量調整分析の結果、全原因死亡、心血管疾患死亡および非血管疾患死亡のリスクは低FTおよび(25(OH)D)群で上昇していた。すなわち、4分位の最低群と最高位群のハザードリスク比は、FTで各々HR
      1.26 [1.03-1.54], 1.24 [0.96-1.60], および 1.39 [1.00-1.93]、25(OH)Dで各々HR 1.77
      [1.47-2.13], 1.65 [1.29-2.10], および 1.89 [1.38-2.60]
      であった。
    • TTと死亡率の間に独立した関連性はなかった。
    • 多変量調整HRはホルモンの欠乏数とともに上昇した。すなわち最低位4分位のホルモン数0
      vs 2のHRは全原因死亡2.11 [1.60-2.79、心血管死亡1.77 [1.23-2.55] および非心血管疾患死亡2.33
      [1.45-3.47]
      であった。

    【 結論 】
    冠動脈造影を行った高齢男性において、遊離テストステロンおよびビタミンD両者の低下が致死的なイベントと関連していた。

    【 原著 】
    Clin Endocrinol (Oxf). 2012 Feb 22.
    Combination of
    low free testosterone and low vitamin D predicts mortality in older men
    referred for coronary angiography.

    Lerchbaum E, Pilz S, Boehm BO, Grammer TB,
    Obermayer-Pietsch B, Marz W.
    Department of Internal Medicine, Division of
    Endocrinology and Metabolism, Medical University of Graz, Graz, Austria.

    【 弊社コメント 】
    「バランスの取れた食生活」「適度な運動・適度な日光浴」「規則正しい生活リズム」「ストレスの発散」という、健康的な生活習慣が、テストステロンやビタミンDの不足を防ぐ養生訓になりそうです。

    テストステロンもビタミンDも、体内で産生する時の出発物質(原料)は、コレステロールですが、あくまで偏食や過剰なダイエットによってコレステロール不足に陥るのが問題であって、コレステロールを過剰に摂取しても弊害があることは皆様ご存知の通りです。善玉と言われるHDLなら摂りすぎても良いのでしょうが、肉食・洋食・ファーストフードで育った現代人にとって、低カロリーな和食メニューだけの日々・・・というのも、味気なくてストレスになるかも知れません。
    ちなみにビタミンDは魚類の肝臓に多く含まれるとのことで、しらす干し、焼いた紅鮭、いわし、さんま、さば、など、これも和食の焼き魚メニューを連想します。まさに和食は健康的なメニューです。

    なお、ビタミンDは日照不足・日光浴不足で欠乏症状に陥ることも良く知られていますが、これも極端な不足が問題なのであって、過剰な日光浴は皮膚に弊害がありますし、十分に日光を浴びている人はビタミンDが多いかと言えば、必ずしもそうではないようです。

    何事も偏らずにバランス良く、ほどほどに・・・というのが、養生訓の真髄なのかも知れません。(福)

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  • 生理学的レベルのテストステロン投与は心筋の酸化ストレスを抑制する

    2011年08月17日


    【 目 的 】
    酸化ストレスが心臓疾患の病態に有意な影響を及ぼすことは、これまでの研究で明らかである。一方、アンドロゲン(男性ホルモン)が心機能、心筋傷害および心臓の酸化還元状態の調整に生理学的役割を果たしている事から哺乳類の心筋にはアンドロゲン受容体(AR)が存在すると考えられる。本研究は心筋細胞の酸化ストレスに及ぼすテストステロン欠乏、生理学的レベルのテストステロン療法およびARの影響を睾丸女性化(Tfm)および去勢マウスにて検討した。

    【 方 法 】
    Tfmマウスは非機能的ARを有し血清テストステロンが低下していた。雄性同腹子およびTfmマウスを5群に分けた。即ち、コントロールとして非去勢同腹子、去勢同腹子、偽手術Tfm、テストステロン投与去勢同腹子、およびテストステロン投与偽手術Tfmである。
    左室より分離した心筋細胞を用い、superoxide
    dismutase (SOD), glutathione peroxidase (GSH-Px)酵素活性、およびmalondialdehyde (MDA) レベルを測定した。加えてミトコンドリアDNA (mtDNA)の欠失変異をnested
    PCR.により検出した。

    【 結 果 】

    • 去勢および偽手術Tfm群ではコントロール群に比して心筋のSODおよびGSH-Px酵素活性が低下し、MDAレベルおよびmtDNA変異が増加していた。
    • テストステロン投与群ではSODおよびGSH-Px酵素活性が上昇し、MDAレベルおよびmtDNA変異が減少していた。
    • これらの変化はテストステロン投与の去勢および偽手術Tfm群で統計学的に同様であった。

    【 結 論 】
    心筋の酸化ストレスを誘導するのはテストステロン欠乏である。生理学的レベルのテストステロン投与はアンドロゲン受容体を介して酸化ストレスを抑制する。

    【 原 著 】
    Mol Med Report. 2011 Jul 22. doi: 10.3892/mmr.2011.539.
    Testosterone suppresses oxidative stress via androgen
    receptor-independent pathway in murine cardiomyocytes.

    Zhang L, Wu S,
    Ruan Y, Hong L, Xing X, Lai W.
    Department of Cardiology, Nanfang Hospital,
    Southern Medical University, Guangzhou, China.

    【 弊社注釈 】

    superoxide dismutase
    (SOD)

    Superoxide(O2-)は、白血球の一つである顆粒球や単球が外来性の感染に対しての貪食作用や殺菌作用に不可欠なfree
    radicalの一つですが、一方では様々な生物反応や外的ストレスで過剰に産生されたsuperoxideはDNAに障害を与えるため、生体内では速やかに消去する機構が必要とされています。生体に備わった唯一のsuperoxideを消去する機構として考えられているのがSuperoxide
    dismutase (SOD)です。(野)

    malondialdehyde
    (MDA)

    MDAは脂質過酸化分解生成物の一つであり、脂質過酸化の主要なマーカーとしてよく用いられます。 (野)

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  • アンドロゲンレベルは自律神経活性と相関する

    2011年01月13日


    【 目 的 】
    性ステロイド・レベルと心拍数変動(HRV)の関係を調査した。

    【 方 法 】
    対象は心機能検査のため受診した男性114例(平均年齢(46.6±11.3)。 LH、総テストステロン(TT)、遊離テストステロン、エストラジオール(E2)およびDHEA-Sの測定を行った。 HRVは24時間ホルター心電計により測定した。 性ステロイド・レベルとHRVの関連性を3段階の年齢群別(20-39
    ; 40-59 ; >60 )に解析した。

    【 結 果 】

    • 被験者全員が正常な生化学的検査値あであり、3年齢群は同様な身体計測値であった。
    • 性ステロイドは、DHEA-Sのみが年齢群間で有意な差があり(p=0.026)、
      加齢とともに低下していた。
    • HRVの解析において、全副交感神経活性は年齢とともに低下したが ( HFn, pNN50, および rMSDD:
      p=0.001, p=0.000, and p=0.000 )、交感神経活性の中でLF/HFのみは年齢と共に上昇した(p=0.000)。
    • 年齢およびウェスト周囲径をコントロールした部分相関分析において、TTおよびDHEA-SはHFn(副交感神経因子)とポジティブに相関し、交感神経パラメータであるLF/HF24時間および総交感神経指数(GSI)とネガティブに相関した。
    • 血清E2は副交感神経パラメータrMSSDとネガティブに相関し、LF/HF24時間および総交感神経指数とポジティブに相関した。
    • 性ステロイドの中でDHEA-Sが最も自律神経機能パラメータと相関していた。

    【 結 論 】
    男性において、身体計測値とは独立して、アンドロゲンと副交感神経活性およびエストラジオールと交感神経活性はポジティブに相関していた。

    【 原 著 】
    Turk Kardiyol Dern Ars. 2010 Oct;38(7):459-65.
    The relationship between serum sex steroid levels and heart rate variability parameters in males and the effect of age.
    Doğru MT, Başar MM, Yuvanç E, Simşek V, Sahin O.
    Department of Cardiology, Medicine Faculty of Kırıkkale University, Kırıkkale, Turkey.

    【 弊社注釈 】
    心拍数変動
    糖尿病では自律神経の障害がよくみられることが知られており、下痢や便秘を繰り返す、立ちくらみが起きる、といったことが見られます。
    心臓は規則正しく脈を打っていますが、この心拍には健康な方でもゆらぎがあり、心拍数変動と呼びます。
    心拍数変動は自律神経の障害があると少なくなるため、心電図の検査を利用してこの心拍数変動を測定し自律神経の機能の障害を調べることが出来ます。 この検査がR-R間隔検査(心拍数変動検査)です。

    • MeanNN (NN間隔平均)

    テスト期間中の全拍動間隔値を平均したもの。 NN平均値は、1/1000秒単位で測定される。

    • SDNN (NN間隔標準偏差値)

    NN間の標準偏差であり、NN間隔の分散の平方根である。

    • RMS-SD (隣接NN間隔標準偏差)

    連続して隣接するNN間隔の標準偏差で、隣接NN間隔の分散の平均の平方根である。
    これは、短時間NN間隔記録における心拍の高周波帯における変動、つまり副交感神経系による心臓の調節機能を判断するものである。

    • pNN50 (隣接するNN間隔の差が50msを超える比率)
    • LF(低周波)

    0.004~0.15Hzの周波数帯のパワースペクトル。 この値は、交感神経と副交感神経の両方の活動を反映する。 これは、一般的に長時間記録における交感神経活動を示す強力な指標である。
    この周波数帯に対する副交感神経の影響は、呼吸数が1分間に9回(周波数0.15Hz)以下の深呼吸をしている間LFに現れる。

    • HF(高周波)

    0.15~0.4Hzの周波帯のパワースペクトル。 この値は、副交感神経(迷走神経)の活動を反映する。

    • LF/HF比

    LF(低周波)とHF(高周波)のパワーの比率。 この値は、交感神経と副交感神経の全体のバランスを表す。 数値が高いと交感神経優位を、低い場合は副交感神経優位を示す。

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