月別アーカイブ:2014月11月
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テストステロン療法は男性に対しては急速に増加しているが、女性におけるテストステロンおよびテストステロン療法に関しては多くの疑問および懸念が残っている。その背景について文献的に解明を行った。
本論は10の通説および誤解について反証し、何が生理学的に妥当かつ科学的に確かであるかをサポートするエビデンスを提示した。
すなわち、テストステロンは
1. 女性で最も豊富な生物学的に活性なホルモンである。
2. 女性の身体的および精神的健康に必須である。
3. 男性化を起こさない。
4. 嗄声を起こさない。
5. 頭髪の成長を促進する。
6. 心臓に防御的である。
7. 非経口投与では肝障害起こさないあるいは凝固因子を増加しない。
8. 気分を安定化する。
9. 乳房に防御的である。
10. テストステロン療法の安全性は検討中であり、確立しつつある。女性におけるテストステロンおよびテストステロン療法につての通説、誤解および事実無根の懸念を棄却する事により医師に対してエビデンスに基づいたリコメンデーションおよび適正な治療法を提供できる。
【原著】
Maturitas. 2013 Mar;74(3):230-4.. Epub 2013 Feb 4.(A-973)
Testosterone therapy in women: myths and misconceptions.
Glaser R, Dimitrakakis C.【弊社コメント】
女性におけるテストステロン療法の問題点、懸念が整理されています。 また、女性の年齢別のテストステロンおよびE2(卵胞ホルモン)レベルが図示されおり貴重です。 原著はフリーです。(野)テストステロンは「男性専用ホルモン」でなく、女性も分泌しており、様々な役割を果たしています。 更年期から閉経を機にテストステロンの分泌が減り、それにともない体調の変化を来すと考えられていますが、元々分泌していた正常域内の補充であれば、リスクを極小化しながら改善することが期待できるのではないでしょうか。(福)
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【目的】
内分泌系の生化学的測定値の正常範囲は一般的にキットの製造メーカーにより提示されたものを用いている。しかしこれは各メーカー独自の正常範囲である。
当施設および一般的に適正な血清TおよびSHBGの正常範囲を測定し、高アンドロゲン血症の判定に及ぼす影響を検討した。
SHBGおよびテストステロンを測定し遊離および生物学的Tは計算により求めた。対象は高アンドロゲン血症ではないことが確認され選ばれた女性30例(a群)、健康女性血液提供者87例(b群)、高アンドロゲン血症の女性53例(c群)およびキットメーカーの正常範囲では生化学的高アンドロゲン血症ではないが高アンドロゲン性の異常を示す女性38例(d群)である。【結果】
・平均SHBGは4群間で有意に異なっていた。
・SHBGは高アンドロゲン血症ではないことが確認され選ばれたa群で有意に高かった。
・新たな正常範囲としてこのa群の値を用いると、明らかなアンドロゲン血症ではないが高アンドロゲン性の異常を示す女性38例中12例(31.6%)が高アンドロゲン血症と判定される。
・同様に健康女性血液提供者(b群)63例中4例が高アンドロゲン血症と判定された。【結論】
高アンドロゲン血症の診断はSHBGの正常範囲に関してメーカーのものではなくカスタマイズされたものを用いることで正確さが改善される。【原著】
Medicina (B Aires). 2014;74(5):359-362.
Female hyperandrogenemia and normal serum levels of testosterone and sex hormone binding globulin.
Danilowicz K, Bruno OD, Mana D, Serra HA, Cross G, Rey JA.【弊社コメント】
女性のテストステロンの男性と異なり正常値は学会等で定められたものがありません。 (野)続きを読む