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2010年11月04日
【 目的 】
冠動脈疾患を有する男性の生存率に及ぼす血清テストステロン・レベルの影響およびテストステロン欠乏症の発症率を調査した。【 方法 】
デザイン: 長期追跡研究。対象: 2000年6月から2002年6月の間にリクルートされた冠動脈疾患を有する男性の連続症例930例。平均追跡期間は
6.9±2.1年。調査項目: 全原因死亡、血管死、テストステロン欠乏症の発現頻度。
【 結果 】
- 冠動脈疾患集団の生化学的テストステロン欠乏症の発現率はバイオアベイラブル・テストステロン<2.6nmol/lでは20.9%、総テストステロン<8.1nmol/l
では16.9%、両者では24%であった。 - アンドロゲン欠乏群では正常群に比して死亡率が高かった(41 (21%) vs 88 (12%), p=0.002)。
- 全原因死亡および血管死に影響するパラメータは心室機能不全(HR:3.85; 1.72 to 8.33), アスピリン療法 (0.63; 0.38 to
1.0), β-ブロッカー療法(0.45; 0.31 to 0.67) および低bio-T (2.27; 1.45 to 3.6)であった。
【 結論 】
冠動脈疾患を有する男性においてはテストステロン欠乏症が高頻度に認められ、生存率に悪影響を及ぼしていた。生存率に対する治療効果を検討するためのテストステロン補充の前向き試験が必要である。【 原著 】
Heart. 2010 Nov;96(22):1821-5. Epub 2010 Oct 19.Low serum testosterone and
increased mortality in men with coronary heart
disease.Malkin CJ, Pugh
PJ, Morris PD, Asif S, Jones TH, Channer KS.
Department of Cardiology, Royal
Hallamshire Hospital, Glossop Road, Sheffield, UK【 弊社コメント 】
テストステロンの不足が冠動脈疾患の一因なのかも知れません。
冠動脈疾患の患者にテストステロンを補充することで死亡率が改善できるか検証すべきとの結論ですが、そもそもテストステロンが不足しないように分泌が衰え始めた頃から、テストステロンを生理的範囲内で少しずつ補充することで、冠動脈疾患の予防になることを期待しています。(福)続きを読む
- 冠動脈疾患集団の生化学的テストステロン欠乏症の発現率はバイオアベイラブル・テストステロン<2.6nmol/lでは20.9%、総テストステロン<8.1nmol/l
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低テストステロンは最終糖化反応生成物であるAGEと関連している
2010年10月27日
【 目的 】
Advanced glycation end products
(AGEs)は心血管疾患と関わっている。低テストステロンも同様に心・代謝異常のリスクの上昇と関連している。
しかし、身体計測値およびAGEを含むメタボリックな因子のどちらが、独立してテストステロンと関わっているかは良く知られていない。
非糖尿病男性において高AGEが低テストステロンの独立した決定因子であるか否かを検討した。【 方法 】
対象は高血圧および脂質異常の治療薬の投与を受けていない非糖尿病男性113例。病歴の聴取および身体計測を行い、AGEおよびテストステロンを含む血液生化学的検査を行った。【 結果 】
単変量解析の結果テストステロン・レベルはウェスト周囲径、拡張期血圧、平均血圧、HDL-C、空腹時血糖、HOMAによるインスリン抵抗性、AGEおよび尿酸値といずれも逆向きに関連していた。【 原著 】
Oxid Med Cell Longev. 2010 Jul 1;3(4):262-265.Tahara N, Imaizumi T, Takeuchi M, Yamagishi SI.
Kurume University
School of Medicine; Kurume, Japan.【 弊社コメント・注釈 】
テストステロンの不足がAGEという悪玉物質を産生し、AGEが心血管疾患や糖尿病の悪化につながる、という機序が示唆されたと思われます。いずれにせよ、テストステロンが低くなり過ぎないようにすることが心血管疾患の予防につながるものと期待されます。(福)AGE (advanced glycation
endproducts)糖尿病における高血糖状態は生体内の種々の蛋白の非酵素的な糖化(グリケーション)を引き起こします。その結果生じた糖化蛋白は、さらに一連の複雑な反応を経て最終糖化反応生成物であるAGE(advanced
glycation endproducts)を産生します。糖尿病の血糖のコントロールの指標となるHbA1c(ヘモグロビン
エーワンシー、グリコヘモグロビン)も糖化蛋白の一種です。血糖が高い状態が続くとHbA1cは高くなります。
高血糖状態では、このようなAGEを産生する過程で悪玉のフリーラジカルである活性酸素が産生され酸化ストレスも増加します。
AGEは生体内の大切な蛋白の機能を障害するだけでなく、生体内のさまざまな生理活性物質に影響を与え、糖尿病性合併症の発症や進展に深く関わっています。(野)続きを読む