低テストステロンは最終糖化反応生成物であるAGEと関連している
2010年10月27日
【 目的 】
Advanced glycation end products
(AGEs)は心血管疾患と関わっている。低テストステロンも同様に心・代謝異常のリスクの上昇と関連している。
しかし、身体計測値およびAGEを含むメタボリックな因子のどちらが、独立してテストステロンと関わっているかは良く知られていない。
非糖尿病男性において高AGEが低テストステロンの独立した決定因子であるか否かを検討した。
【 方法 】
対象は高血圧および脂質異常の治療薬の投与を受けていない非糖尿病男性113例。病歴の聴取および身体計測を行い、AGEおよびテストステロンを含む血液生化学的検査を行った。
【 結果 】
単変量解析の結果テストステロン・レベルはウェスト周囲径、拡張期血圧、平均血圧、HDL-C、空腹時血糖、HOMAによるインスリン抵抗性、AGEおよび尿酸値といずれも逆向きに関連していた。
【 原著 】
Oxid Med Cell Longev. 2010 Jul 1;3(4):262-265.
Tahara N, Imaizumi T, Takeuchi M, Yamagishi SI.
Kurume University
School of Medicine; Kurume, Japan.
【 弊社コメント・注釈 】
テストステロンの不足がAGEという悪玉物質を産生し、AGEが心血管疾患や糖尿病の悪化につながる、という機序が示唆されたと思われます。いずれにせよ、テストステロンが低くなり過ぎないようにすることが心血管疾患の予防につながるものと期待されます。(福)
AGE (advanced glycation
endproducts)
糖尿病における高血糖状態は生体内の種々の蛋白の非酵素的な糖化(グリケーション)を引き起こします。その結果生じた糖化蛋白は、さらに一連の複雑な反応を経て最終糖化反応生成物であるAGE(advanced
glycation endproducts)を産生します。糖尿病の血糖のコントロールの指標となるHbA1c(ヘモグロビン
エーワンシー、グリコヘモグロビン)も糖化蛋白の一種です。血糖が高い状態が続くとHbA1cは高くなります。
高血糖状態では、このようなAGEを産生する過程で悪玉のフリーラジカルである活性酸素が産生され酸化ストレスも増加します。
AGEは生体内の大切な蛋白の機能を障害するだけでなく、生体内のさまざまな生理活性物質に影響を与え、糖尿病性合併症の発症や進展に深く関わっています。(野)
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