Category:男性ホルモン(アンドロゲン・ テストステロン)
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2010年12月06日
【 背景 】
テストステロン濃度と血圧の関係については一致した研究結果が得られていない。
そこで、年齢20-79歳の男性1484例を対象に高血圧の発症リスクおよび血圧変化と総テストステロン(TT)濃度との前向きの関連性を調査した。【 方法 】
ドイツ、ポメラニアの地域住民を対象とした健康調査研究のデータを用いた。TT濃度を蛍光酵素免疫法により測定し、年齢により4分位群に分けた。
年齢、ウェスト周囲径、身体活動度、喫煙およびアルコール摂取量で調整したGEEモデルにより関係を明らかにした。一般化推定方程式(Generalised Estimating Equation: GEE)モデル
経時データを扱うときに,様々なしがらみから離れて平均構造の推測に特化させた方法。【 結果 】
- 平均フォローアップ期間5.0年の間に高血圧の頻度は50.6%から57.1%に増加した。
- TT濃度は高血圧を発症した男性のベースラインで有意に低かった。
- ベースラインのTTが最下位4分位群の男性はより高い男性に比して高血圧発症リスクが上昇していた
(OR= 1.19 95% CI
1.10-1.28))。 - TT濃度と血圧の間には逆相関がみられた。
【 結論 】
男性の低総テストステロン濃度は高血圧の予測因子であり、心血管リスク上昇のバイオマーカーとなりうるであろう。【 原著 】
Aging Male. 2010 Nov 19.
Inverse association between
total testosterone concentrations, incident hypertension and blood
pressure.
Torkler S, Wallaschofski H, Baumeister SE, Volzke H, Dorr M, Felix
S, Rettig R, Nauck M, Haring R.
Institute of Clinical Chemistry and
Laboratory Medicine, University of Greifswald, Germany.続きを読む
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NHKためしてガッテン「600万人を襲う!謎の不元気症候群」
2010年11月17日
平成22年11月17日にNHKで放送予定の「ためしてガッテン」で、LOH症候群(ロー症候群)が取り上げられます。
これまで男性更年期障害が様々なメディアで取り上げられ、話題にされて来ましたが、専門医の間では不定愁訴の中にある「うつ症状」が「うつ病」と混同され、切り分けが難しいという問題があったことから、男性ホルモン(テストステロン)の分泌低下にともなう症状として「ロー症候群」が定義されました。
ロー症候群の診療については、「LOH症候群・診療の手引き」が発行されています。
なお、上記ガイドライン(手引き)にグローミンが収載されていますが、泌尿器科医を中心とするLOH症候群の治療に対応している専門医の間では、グローミンによる低用量な男性ホルモンの補充療法が臨床応用されており、生理的範囲内の補充による高い安全性とマイルドな補充効果について、高いご評価をいただいております。
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筋肉強度および身体機能を改善するに必要なテストステロンレベル
2010年11月17日
【 背景 】
HORMA試験 (Hormonal Regulators of Muscle and Metabolism in
Aging)において、テストステロンおよび遺伝子組み換えヒト成長ホルモン(rhGH)の補充は非脂肪体マス、体肢骨格筋マス、筋肉能力および身体機能を増強した。しかしアウトカムにはかなりの個人間のバラツキがあった。【 方法 】
年齢65~90歳の男性120例にテストステロン・ゲル(5
g/d vs 10 g/d via Leydig cell clamp)およびrhGH (0 vs 3 vs 5
μg/kg/d)を16週間、二重盲検の2 × 3要因デザインにて投与した。アウトカムはDEXAによる非脂肪マス、one-repetition maximum
strength, Margaria stair powerおよび活動度質問票調査である。ホルモンレベル、筋肉量、強度および機能の変化の関連性を分析した。【 結果 】
- 非脂肪マス1.5kgを増やすために総テストステロン(TT)
1046 ng/dL (95% CI = 1040-1051)、体肢骨格筋マス0.8kgを増やすTT898 ng/dL (95% CI =
892-904)の各上昇が必要であった。 - rhGHの併用は、非脂肪を増やすために必要なテストステロンレベルを下げた。
- one-repetition
maximum strengthの変化は階段登坂力の上昇と関連していた (r =.26, p =
.01)。 - 経路解析の結果は、テストステロンおよびインスリン様成長因子1の変化が筋肉能力および身体機能の増強に必要な非脂肪マスの変化と関連している事を示した。
- 身体活動度に対するテストステロンの影響は、Physical
Activity Score of the Elderly (PACE)に対する直接的影響が見られる事から、様々な経路を介するものである。
【 結論 】
身体強度および身体機能を増強するためには一定の非脂肪体および筋肉量の増加が必要であり、そのためにはテストステロンレベルの目的値まで上げる事が必要である。RhGHは、テストステロンの作用を増強する。【 原著 】
J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2010 Nov 8.Sattler F, Bhasin S, He J,
Chou CP, Castaneda-Sceppa C, Yarasheski K, Binder E, Schroeder ET, Kawakubo
M, Zhang A, Roubenoff R, Azen S.
Department of Medicine, University of
Southern California, Los Angeles【 弊社コメント 】
短期間(16週)で筋肉強度、身体機能を増強するためには、非常に高いテストステロンレベルが必要です。一方、長期間をかければ、低用量のテストステロン補充と運動療法により筋肉強度、身体機能の改善が可能ではないかと期待しています。
(野)アンチエイジングとしてのテストステロン補充は、アスリートで問題となるドーピングとは一線を画すものです。高齢になっても自立した生活と良好なQOLを維持するだけの身体機能を維持・向上させることは重要な意義があると考えますが、あくまで青年・壮年健常者の生理的レベルの範囲内で低用量のテストステロンを補充することが、日常的な運動療法を安全かつ効果的に補完するものと考えます。(福)
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- 非脂肪マス1.5kgを増やすために総テストステロン(TT)
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2010年11月15日
【 目的 】
環境汚染物質は男性の生殖能力に影響すると考えられる。交通警察官は毎日交通機関による汚染物質にさらされている。都会のストレスへの職業的暴露が遊離テストステロンレベルに影響するか否か、イタリアの大都会の市警察の男性交通警察官と行政職員を比較した。【 方法 】
交通警察官とコントロールの遊離テストステロンに対する年齢の影響を排除するため、両群ともに2つのサブグループに分けた(1群:年齢30~40歳、2群:41~50歳)。
交通警察官への汚染物質の暴露は一定の駅における汚染物質の濃度をモニターする事によって評価した。
重要な交絡因子をもったものを除いた後、対象となったのは交通警察官110例およびコントロール110例である。【 結果 】
- 平均遊離テストステロンは交通警察官がコントロール群より有意に低かった(P
< 0.001)。 - この低下は年齢で層別化しても有意であった(30-40 :P < 0.001、41-50:P <
0.001)。
【 結論 】
遊離テストステロンは生殖障害の発現の職業上の測定すべきマーカーと考えることができる。【 原著 】
Int Arch Occup Environ Health. 2010 Nov 11.Exposure to
urban stressors and free testosterone plasma values.Sancini A, Tomei F,
Tomei G, Ciarrocca M, Palermo P, Gioffre PA, Tasciotti Z, Fiaschetti M,
Cetica C, Caciari T.
Department of Occuptional Medicine, Universita’ di Roma
“Sapienza”, Viale Regina Elena ,Rome, Italy.【 弊社コメント 】
ストレス要因が汚染物質だけなのか、議論は尽きないと思いますが、いずれにせよストレスがテストステロンの低下をもたらすようです。ストレスが多い職場で働く男性ほど、テストステロンの分泌低下が起きているのかも知れません。興味深い結果を話題としてご案内致します。(福)続きを読む
- 平均遊離テストステロンは交通警察官がコントロール群より有意に低かった(P
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低い総テストステロンは男性の2型糖尿病の発症リスクと関連している
2010年11月11日
【 目的 】
低総テストステロンが男性の2型糖尿病(T2DM)の発症と関連しているというエビデンスが増加している。大規模地域住民集団におけるT2DMt総テストステロンの関連性について調査を行った。【 方法 】
開始時2117例の男性のうち1589例について5年以上のフォローを行った。開始時、10パーセンタイル以下の低総テストステロンをT2DMのリスク因子として用いた【 結果 】
- 解析に適格な1339例中68例(5.1%)がT2DMを発症した。
- 低テストステロン男性はT2DM発症リスクが上昇していた(odds ratio [OR] 3.4, 95% CI 1.9-6.1)。 年齢、ウェスト周囲径および喫煙で調整後もORは3.0; (95% CI
1.6-5.7)であった。
【 考察 】
この結果は低総テストステロンが男性のT2DMの発症と関連し、T2DMのリスクに原因的に関与するバイオマーカーであると推定される事を示している。【 原著 】
Aging Male. 2010 Nov 2.Schipf S, Haring R,
Friedrich N, Nauck M, Lau K, Alte D, Stang A, Volzke H, Wallaschofski
H.
Institute of Clinical Chemistry and Laboratory Medicine.【 弊社コメント 】
多くの男性は加齢にともなうテストステロンの分泌減少が避けられず、自ずと2型糖尿病になりやすくなる中で、少なくとも健康的な生活習慣(バランスの取れた食生活・適度な運動・規則正しい生活リズム・ストレスの適切な解消等)によってメタボリックシンドロームを予防・解消し、テストステロンの分泌が低くなり過ぎないようにすれば、2型糖尿病の予防につながるものと期待されます。
さらには、テストステロンの分泌が減少し始めたら、その不足分を補充することにより、男性の2型糖尿病を予防できるのかも知れません。(福)続きを読む
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2010年11月10日
【 目的 】
テストステロン欠乏症候群(TDS)と勃起不全の関係およびその診断および治療について分析した。【 方法 】
PUBMEDデータベースを検索し文献的レビューを行った。【 結果 】
- テストステロンのどの成分(総、遊離あるいは生物学的)を測定すべきか、診断価値がなんであるかという一定の基準が欠如しているため、真のTDSは知られていない。
- こうした事実にも関わらず、勃起不全男性の5~15%がテストステロンレベルの低下を示す。
- テストステロンが中枢および末梢の両レベルで勃起の生理に関わっている事を示す確かな研究がある。にも関わらず、ヒトで得られるエビデンスは、主にTDSの高齢患者ではあるが、強固なものではない。
- 幾つかのメタ解析はテストステロン補充が勃起および性欲を改善する事を示している。
- しかしながら、TDSの全ての患者にテストステロン補充は有用ではない。それは多分、勃起不全の原因が多元的であるためであろう。
- テストステロン単独あるいはPDE5阻害剤単独で無効な勃起不全と性腺機能低下症を合併する患者には、PDE5阻害剤とテストステロンの併用療法が有用と思われる。
【 結論 】
勃起不全を訴える患者にはテストステロンの測定が強く勧められる。なぜならば、テストステロン補充は多くの患者で勃起および性欲を改善できる。さらにテストステロン補充はTDSの他の症状も改善するであろうし、PDE5阻害剤単独療法で効果が得られなかった時、併用により効果を高めるであろう。【 原著 】
Arch Esp Urol. 2010 Oct;63(8):663-670.TESTOSTERONE DEFICIT SYNDROME AND
ERECTILE DYSFUNCTION.Gil Salom M, Martinez Jabaloyas JM.
Servicio de
Urologia. Hospital Universitario Doctor Peset. Valencia. Espana. Departamento Universitario de Cirugia. Universidad de Valencia.
Espana.【弊社コメント】
EDとテストステロンの関係について世界中で発表された論文を通じて、PDE5阻害剤(バイアグラ・レビトラ・シアリス)とテストステロンの併用の有用性が示唆されています。テストステロンの分泌低下がEDの一因になると考えられますが、テストステロンを投与すればEDが治るかというと、必ずしも全ては救えません。EDの原因は多岐に及ぶため、テストステロン以外にもEDの原因があれば、自ずとテストステロンの効果が不十分になります。
何よりも、EDになってから時間が経つほど、勃起に必要な筋肉が萎えてしまうので、重症化の悪循環に陥ります。骨折してギブスで固定した所の筋肉が使わずに萎えてしまえば、ギブスが取れてから元のように運動できず、リハビリが必要になるのと同じかも知れません。
ちなみに性交の機会が無い健常男性が勃起機能を維持できるのは、マスターベーションだけでなく、夜間勃起や早朝勃起を通じて勃起に必要な筋肉を維持させているためと考えられます。
かといって、PDE5阻害剤も万能でなく、十分に効果が得られない場合もあるようです。
そのような時、PDE5阻害剤とテストステロンの併用が有用になると考えられています。(福)
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2010年11月04日
【 目的 】
冠動脈疾患を有する男性の生存率に及ぼす血清テストステロン・レベルの影響およびテストステロン欠乏症の発症率を調査した。【 方法 】
デザイン: 長期追跡研究。対象: 2000年6月から2002年6月の間にリクルートされた冠動脈疾患を有する男性の連続症例930例。平均追跡期間は
6.9±2.1年。調査項目: 全原因死亡、血管死、テストステロン欠乏症の発現頻度。
【 結果 】
- 冠動脈疾患集団の生化学的テストステロン欠乏症の発現率はバイオアベイラブル・テストステロン<2.6nmol/lでは20.9%、総テストステロン<8.1nmol/l
では16.9%、両者では24%であった。 - アンドロゲン欠乏群では正常群に比して死亡率が高かった(41 (21%) vs 88 (12%), p=0.002)。
- 全原因死亡および血管死に影響するパラメータは心室機能不全(HR:3.85; 1.72 to 8.33), アスピリン療法 (0.63; 0.38 to
1.0), β-ブロッカー療法(0.45; 0.31 to 0.67) および低bio-T (2.27; 1.45 to 3.6)であった。
【 結論 】
冠動脈疾患を有する男性においてはテストステロン欠乏症が高頻度に認められ、生存率に悪影響を及ぼしていた。生存率に対する治療効果を検討するためのテストステロン補充の前向き試験が必要である。【 原著 】
Heart. 2010 Nov;96(22):1821-5. Epub 2010 Oct 19.Low serum testosterone and
increased mortality in men with coronary heart
disease.Malkin CJ, Pugh
PJ, Morris PD, Asif S, Jones TH, Channer KS.
Department of Cardiology, Royal
Hallamshire Hospital, Glossop Road, Sheffield, UK【 弊社コメント 】
テストステロンの不足が冠動脈疾患の一因なのかも知れません。
冠動脈疾患の患者にテストステロンを補充することで死亡率が改善できるか検証すべきとの結論ですが、そもそもテストステロンが不足しないように分泌が衰え始めた頃から、テストステロンを生理的範囲内で少しずつ補充することで、冠動脈疾患の予防になることを期待しています。(福)続きを読む
- 冠動脈疾患集団の生化学的テストステロン欠乏症の発現率はバイオアベイラブル・テストステロン<2.6nmol/lでは20.9%、総テストステロン<8.1nmol/l
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2010年10月28日
【 目的 】
幾つかの研究は2型糖尿病(T2DM)が男性の性腺機能低下症と関連している事を示している。よく知られている関連にも関わらず、T2DMにおけるテストステロン補充療法(TRT)の役割は完全には明らかにされていない。
この研究の目的は、公表されているプロスペクティブおよび断面的研究のメタ解析によりアンドロゲン・レベルとT2DMの関係を総合的に解析する事である。加えて公表されている無作為臨床試験(RCT)におけるTRTのメタボリックな効果をメタ解析した。【 方法 】
「testosterone」、「type 2 diabetes mellitus」 および 「males」 というキーワードによるMedlne調査を行った。742の論文が該当し、このうち37が研究論文であった。28は断面的研究、5は長期的研究そして3は介入試験であった。さらに未公表のRCTが http://www.clinicaltrials.govより得られた。【 結果 】
- T2DM患者は非糖尿病者より有意に低い血清テストステロン・レベルを示した。勃起不全のある患者、ない患者に分けて分析した場合も同様の結果であった。
- メタ回帰分析ではテストステロンを加齢は上昇し、肥満は下降した。
- しかし、多変量回帰モデルにおいて年齢およびBMIで調整後もT2DMは已然として低総テストステロンと関連していた(adjusted r = -0.568; p<0.0001)。
- 長期的研究の分析では、糖尿病を発症した患者群のベースラインの総テストステロンはコントロール群に比して有意に低かった
(HR= -2.08[-3.57;-0.59]; p < 0.001)。 - RCTの結果を総合するとTRTは空腹時血糖、HbA1c、脂肪マスおよびトリグリセリドを有意に減少した。総コレステロール、HDL-C、血圧およびBMIには有意な差異が認められなかった。
【 結論 】
断面的研究のメタ解析はT2DMが独立して男性性腺機能低下と関連している事を示している。RCTは少ないがTRTはT2DM患者の糖代謝のコントロールを脂肪マスと同様に改善すると思われる。【 原著 】
Int J Androl. 2011 Dec;34(6 Pt 1):528-40. doi: 10.1111/j.1365-2605.2010.01117.x. Epub 2010 Oct 24.Type 2 diabetes mellitus and testosterone: a meta-analysis study.
Corona G, Monami M, Rastrelli G, Aversa A, Sforza A,
Lenzi A, Forti G, Mannucci E, Maggi M.
Andrology Unit and Endocrinology,
Department of Clinical Physiopathology, University of Florence, Italy.続きを読む