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筋肉強度および身体機能を改善するに必要なテストステロンレベル

2010年11月17日


【 背景 】
HORMA試験 (Hormonal Regulators of Muscle and Metabolism in
Aging)において、テストステロンおよび遺伝子組み換えヒト成長ホルモン(rhGH)の補充は非脂肪体マス、体肢骨格筋マス、筋肉能力および身体機能を増強した。しかしアウトカムにはかなりの個人間のバラツキがあった。

【 方法 】
年齢65~90歳の男性120例にテストステロン・ゲル(5
g/d vs 10 g/d via Leydig cell clamp)およびrhGH (0 vs 3 vs 5
μg/kg/d)を16週間、二重盲検の2 × 3要因デザインにて投与した。アウトカムはDEXAによる非脂肪マス、one-repetition maximum
strength, Margaria stair powerおよび活動度質問票調査である。ホルモンレベル、筋肉量、強度および機能の変化の関連性を分析した。

【 結果 】

  • 非脂肪マス1.5kgを増やすために総テストステロン(TT)
    1046 ng/dL (95% CI = 1040-1051)、体肢骨格筋マス0.8kgを増やすTT898 ng/dL (95% CI =
    892-904)の各上昇が必要であった。
  • rhGHの併用は、非脂肪を増やすために必要なテストステロンレベルを下げた。
  • one-repetition
    maximum strengthの変化は階段登坂力の上昇と関連していた (r =.26, p =
    .01)。
  • 経路解析の結果は、テストステロンおよびインスリン様成長因子1の変化が筋肉能力および身体機能の増強に必要な非脂肪マスの変化と関連している事を示した。
  • 身体活動度に対するテストステロンの影響は、Physical
    Activity Score of the Elderly (PACE)に対する直接的影響が見られる事から、様々な経路を介するものである。

【 結論 】
身体強度および身体機能を増強するためには一定の非脂肪体および筋肉量の増加が必要であり、そのためにはテストステロンレベルの目的値まで上げる事が必要である。RhGHは、テストステロンの作用を増強する。

【 原著 】
J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2010 Nov 8.

Testosterone
Threshold Levels and Lean Tissue Mass Targets Needed to Enhance
Skeletal
Muscle Strength and Function: The HORMA Trial.

Sattler F, Bhasin S, He J,
Chou CP, Castaneda-Sceppa C, Yarasheski K, Binder E, Schroeder ET, Kawakubo
M, Zhang A, Roubenoff R, Azen S.
Department of Medicine, University of
Southern California, Los Angeles

【 弊社コメント 】
短期間(16週)で筋肉強度、身体機能を増強するためには、非常に高いテストステロンレベルが必要です。一方、長期間をかければ、低用量のテストステロン補充と運動療法により筋肉強度、身体機能の改善が可能ではないかと期待しています。
(野)

アンチエイジングとしてのテストステロン補充は、アスリートで問題となるドーピングとは一線を画すものです。高齢になっても自立した生活と良好なQOLを維持するだけの身体機能を維持・向上させることは重要な意義があると考えますが、あくまで青年・壮年健常者の生理的レベルの範囲内で低用量のテストステロンを補充することが、日常的な運動療法を安全かつ効果的に補完するものと考えます。(福)

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