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脊損成人男性におけるアームクランク運動はテストステロンレベル、筋肉強度および体組成を改善する
■ 目的
慢性脊髄損傷(SCI)成人の生殖ホルモンレベルに対するアームクランク運動の影響を検討した。さらに筋肉強度および体組成に及ぼす影響を調査した。
■ 方法
対象は第5胸椎レベル(T5)あるいはそれ以下の完全SCI成人男性17例である。 コンシールド法により対象を運動負荷群 (n = 9) あるいはコントロール群(n = 8) に無作為に割り付けた。 運動は1週間に3回、12週間のアームクランク運動プログラムで、内容は10~15分のウォーミングアップの後、主要部分としてアームクランク運度~時間は20~30分(3週毎に2分30秒増加)、心拍数予備能(HRR)50~65%の中程度の強度(開始時50%、3週毎に5%アップ~、最後にクーリングダウン5~10分からなる。
FSH、LH、テストステロンおよびE2をELISA法におり測定した。 筋力として握力を、体組成としてウェスト周囲径(WC)を測定した。■ 結果
- トレーニングプログラム終了後、テストステロン・レベルは有意に上昇した(p = 0.0166;d = 1.14)。
- 最大握力およびWCは有意に改善した。
- テストステロンレベルとWCの間に有意な負相関が認められた(r =- 0.35; p = 0.0377)。
■ 結論
アームクランク運動は脊損成人男性のテストステロン・レベルを増加した。さらに筋肉強度および体組成の有意な改善をもたらした。■ 原著
Int Braz J Urol. 2014 May-Jun;40(3):367-72.
A short-term arm-crank exercise program improved testosterone deficiency in adults with chronic spinal cord injury.
Rosety-Rodriguez M, Rosety I, Fornieles G, Rosety JM, Elosegui S, Rosety MA, Ordonez FJ.続きを読む
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■ 目的
これまでの研究により2型糖尿病男性のテストステロン・レベルは低いことが明らかにされているが、1型糖尿病(T1DM)男性におけるデータは少ない。 T1DM男性の低テストステロンの発現率および素因について検討した。■ 方法
EDICにおける泌尿器症状に関する補助的研究であるUroEDIC (n=641)に参加したT1DMを有する男性を対象に断面調査を行った。EDIC:Epidemiology of Diabetes Interventions and Complications
EDIC year 17/18のサンプルを用い総テストステロンを質量分析法にて、SHBGをELISA法にて測定した。 フリー・テストステロンは計算により求めた。 低テストステロンは総テストステロン <300 mg/dLと定義した。 多変量回帰モデルを用いてテストステロン・レベルに対する年齢、BMI、糖尿病治療およびコントロールに関連した因子を比較した。
■ 結果
- 平均年齢は51歳、61例(9.5%)が T <300 mg/dLであった。
- テストステロンの低下は肥満(p<0.01), 高齢(p<0.01) およびSHBG (p<0.001)の低下と有意に関連していた。
- インスリンの用量はフリー・テストステロンと負に関連していた(p=0.02)。
- 高血圧はテストステロンの低下とぎりぎりに有意に関連していた (p=0.05)。
- 低テストステロンは腎症、末梢神経障害および自律神経障害パラメータと有意な関係が認められなかった。
■ 結論
EDICコホートのT1DM男性のアンドロゲン欠乏症発現率は高くなかった。 この集団における低テストステロンと関連したリスク因子は一般集団と同様であった。■ 原著
J Clin Endocrinol Metab. 2014 Jul 11:jc20141317.
PREVALENCE OF LOW TESTOSTERONE AND PREDISPOSING RISK FACTORS IN MEN WITH TYPE 1 DIABETES MELLITUS: FINDINGS FROM THE DCCT/EDIC.
Holt SK, Lopushnyan N, Hotaling J, Sarma AV, Dunn RL, Cleary PA, Braffett BH, Gatcomb P, Martin C, Herman WH, Wessells H; the Diabetes Control and Complications Trial /Epidemiology of Diabetes Interventions and Complications Research Group.続きを読む