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更年期や性機能についての学術情報、最新研究などを紹介いたします。更年期や性機能についての学術情報、最新研究などを紹介いたします。

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Tag:テストステロン

  • EDを有する高齢男性のテストステロン欠乏の頻度

    2012年11月08日


    【 目 的 】
    EDの原因の一部はホルモンである。しかし、65歳以上の男性ではテストステロン欠乏が大きな要素となっている。 しかしながら、健康状態が良好ではない65歳以上のポーランド人男性における、EDを合併するテストステロン欠乏症の頻度は分かっていない。

    【 方 法 】
    EDを有する65歳以上の男性286例について勃起機能をIIEF5による調査を行い、テストステロンを測定した。

    【 結 果 】

    • テストステロン欠乏症の発現頻度はTT200,
      250, 300 および 350 ng/dL以下がそれぞれ17, 33, 42 および 57%であった。正常範囲(>350
      ng/dL)の男性は47%に過ぎなかった。
      (訳注: どちらかの数値に誤りがあります)
    • EDの程度はテストステロン最下位群で最も高く、軽度が
      39.5%、軽度~中等度が 26.2%、中等度が18.2% および重度が16%であった。
    • 年齢とTTの間(r = -0.3328, p
      < 0.05)、IIEF-5 スコア と TTの間(r = -0.3149, p < 0.05) およびIIEF-5 スコアと年齢の間(r = -0.3463, p < 0.05)に それぞれ負の相関関係が認められた。
    • 最も多く認められたメタボリックな以上は肥満(68% in
      men with TT >350 ng/dLで68%、 TT <350 ng/dLで91%) および脂質異常(それぞれ54
      および95%)であった。
    • 肥満、年齢および脂質異常はテストステロンの低下と相関していた。
    • 空腹時血糖の異常はテストステロンに影響されなかった。

    【 結 論 】
    テストステロン欠乏症はEDを有するポーランド人男性に高頻度に認められ、年齢、肥満および脂質異常と負相関している。

    【 原 著 】
    Aging Male. 2012 Oct 24.
    The high prevalence of
    testosterone deficiency in population of Polish men over 65 years with
    erectile dysfunctions.

    Rabijewski M, Papierska L, Kozakowski J, Zgliczyński W.
    Department of Endocrinology, Medical Centre for Postgraduate Education ,
    Warsaw , Poland.

    【 弊社コメント 】
    EDを有する高齢男性のテストステロン欠乏の頻度は、ありそうなデータですが、具体的にはなかなか出て来ないので、貴重です。(野)

     

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  • EDに対するテストステロンおよびPDE5阻害剤の併用療法 (レビュー)

    2012年11月08日


    【 要 約 】
    テストステロン欠乏症はED患者のPDE5阻害剤の臨床効果を低下すると思われる。 性腺機能低下患者において、テストステロン補充はシルデナフィルあるいはタダラフィルによる治療に効果の無かった患者の性機能の亢進と関連している。

    そこで、PDE5阻害剤単独療法で効果がなかったEDおよび低~正常下限テストステロンレベルの男性におけるテストステロンとPDE5阻害剤併用療法を検討した臨床試験のレビューを行った。

    調査した臨床試験は幾つかが方法論的欠点があり、様々なものがあった。 全体的にはPDE5阻害剤へのテストステロンの付加は、単独療法に効果がなく、総テストステロン値が 300ng/dL
    未満のED患者に有用と思われる。

    無作為コントロール比較ニ重盲検試験が必要であり、それにより適正な対象、テストステロンのカットオフ値、用量、併用期間を定める必要がある。

    【 原 著 】
    Can Urol Assoc J. 2012 Aug;6(4):269-74
    Synergetic effect of testosterone and
    phophodiesterase-5 inhibitors in hypogonadal men with erectile dysfunction:
    A systematic review.

    Alhathal N, Elshal AM, Carrier S.
    Division of
    Urology, Department of Surgery, McGill University, Montreal, QC.

    【 弊社コメント 】
    テストステロンの分泌が低い人で、PDE5阻害剤(バイアグラ・レビトラ・シアリス)だけではEDが改善できない人の場合に、PDE5阻害剤とテストステロン補充の併用療法が有用と思われます。 ただし、それを言い切るために必要となる厳格な研究は、未だ十分に出来てないようです。(福)

     

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  • テストステロンはTNFによる心筋障害の性差の原因となっている

    2012年05月21日


    【 目的 】
    性による特殊な差異は腫瘍壊死因子(TNF)に接触したときの心筋において観察される。男性の心筋は女性に比してTNFの存在下に機能を大きく低下する。加えて、先に我々は女性の心臓においてTNFによる心機能の異常にエストロゲンが殆ど影響しない事を見出し、男性ホルモン(テストステロン)がTNFによる心筋障害に関与していると示唆された。
    そこで、男性の心臓においてTNFによる心筋障害にテストステロンが有害な働きをしているという仮設を検討した。

    【 方法 】
    年齢がマッチした雄マウス、雌マウス、去勢マウス、およびアンドロゲン受容体拮抗剤フルタミド投与マウスの摘出心臓をランゲンドルフ装置にて45分間、TNFを注入した。左室内圧(LVDF)および心拍数を連続的に測定した。TNF注入後の心筋組織のcaspase-8
    および caspase-3を測定した。

    【 結果 】

    • TNFの注入は雄マウスのLVDFを抑制したが、心拍数には影響しなかった。
    • ダブルプロダクト(RPP:心拍数×最高血圧で表される量で心機能の指標)はTNF暴露後雌マウスにして雄マウスで著明に減少し、TNFにより誘導されるcaspase-8
      および
      caspase-3の高値と関連していた。
    • 去勢による内因性テストステロンの枯渇あるいはフルタミドの投与は雄マウス心臓のTNFによるRPPの低下に拮抗した。
    • 去勢あるいはフルタミド投与はTNF産生およびTNFR1
      およびTNFR2.の心筋発現に影響しなかった。

    【 結論 】
    テストステロンは心筋に対するTNFの有害作用の性差の原因となっていることが示された。TNFによる心筋障害の相対的低閾値はTNFR1
    およびTNFR2の下流シグナルとテストステロンの相互作用によるものと思われる。

    【 原著 】
    Int J Clin Exp Med. 2012;5(2):96-104. Epub 2012 Apr 8.
    Role of endogenous
    testosterone in TNF-induced myocardial injury in males.

    Wang M, Gu H,
    Brewster BD, Huang C.
    The Department of Surgery, Indiana University School of
    Medicine Indianapolis, Indiana.

     

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  • ED合併2型糖尿病患者の糖-代謝プロファイル

    2012年05月21日


    【 目的・方法 】
    ED合併2型糖尿病患者の糖-代謝プロフィルを調査した。2型糖尿病男性88例、平均年齢 62.78±9.26歳について調査を行った。IIEFにて性機能症状を、SAS(self-rating anxiety scale)にて不安症状を、および SDS(self-rating depression
    scale)にてうつ症状を評価した。
    BMI、腹囲、HbA(1c)、空腹時血糖(FPG)、空腹時インスリン(FPI)、 HOMA
    指数、脂質、総テストステロン、遊離テストステロン、DHTおよびSHBGを測定した。

    【 結果 】

    • IIEF調査票にて、50例(56.8%)がEDであり、残る38 例(43.2%)はEDでなかった。
    • ED群の70.0%が喫煙者であり、非ED群の57.9%より有意に多かった(p<0.05)。
    • ED群の38.0%が慢性虚血性疾患の病歴があり、非ED群の23.7%より多かった(p<0.05 between the two
      groups)。
    • ED群はより高齢で、驚くべきことにHbA(1c)が低かった。さらに、ED群はFPIが高く、テストステロンおよびDHTが低かった。

    【 結論 】
    イタリアの2型糖尿病男性、平均年齢62歳のED発症率は56%で、高FPIであるがHbA(1c)は低く、テストステロンおよびDHTの低下とリンクしていた。

    【 原著 】
    Endocr J. 2012 Apr 26.
    Glyco-metabolic profile among
    type 2 diabetic patients with erectile dysfunction.

    Derosa G, Tinelli C,
    D’Angelo A, Ferrara G, Bonaventura A, Bianchi L, Romano D, Fogari E,
    Maffioli P.
    Department of Internal Medicine and Therapeutics, Fondazione
    IRCCS Policlinico S. Matteo, University of Pavia, Pavia , Italy

    【 弊社コメント 】
    対象の選択基準、方法は分かりませんが、ED合併群のHbA(1c)値が注目されます。一般的には糖尿病がより重度で高いのではないかと思いますが・・・。(野)

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