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テストステロン補充による高エストロゲンがリビドー(性欲)の低下を招く

2014年07月10日


■ 目的・方法
テストステロン補充はQOLを改善するが、脂肪組織でE2(エストラジオール)に変換される。 高E2は男性の性機能には悪影響があると考えられている。
低テストステロン・センターにおいてスクリーニングされた34,016例の結果を報告する。 このうち約50%が治療を変更している。 テストステロン注射による治療が行われた2009年から2014年のデータを利用した。 米国の35の低テストステロン・センターの電子健康記録(AdvancedMD)よりデータを抽出した。 E2は電子化学蛍光免疫法にて測定した。

■ 結果

  • 全体の34,016例中 7,215例 (20.2%)が≥42.6 pg/mlと定義した高E2であった。
  • 高E2の男性の年齢分布は65歳以上132/989 (13.3%)、45-65歳3,753/16,955 (22.1%) 、25-44歳2,968/15,857 (18.7%) 、25歳以下 7/215 (3.3%) であった。
  • 最高および最低年齢群間(<25 and ≥65)の差異は有意であった(chi-square test  p = .013)。
  • 年齢に対する血清E2の相関係数は.53, SD = 8.21であった。
  • 医師は血清E2レベルに関わりなく高E2の症状に対してアロマターゼ阻害剤および選択的エストロゲン・モデュレーターを用いた。 まれに女性化乳房が処方の理由であった。

■ 結論
高E2は低リビドーの高率発症と関連していなかった。 しかし確認された低リビドーは正常あるいは低E2に比して高率で、その差異は有意であった(p < .05)。

■ 原著
Am J Mens Health. 2014 Jun 13.
High Estrogen in Men After Injectable Testosterone Therapy: The Low T Experience.
Tan RS, Cook KR, Reilly WG

■ コメント
高エストロゲン症によるリビドーの低下は、現在特に注意が払われていません。 米国のandorogelの添付文書を確認しましたが、副作用としてリビドーの記載はありますが、高エストロゲンとの関連性は記載がありません。 (野)

高用量なテストステロンの投与で想定される有害事象と思います。 あくまで生理的な分泌レベルの範囲で、不足分を少しずつ補充すれば、このようなリスクは最小化できると考えています。 思春期の男性の中には、一時的に胸が張り、乳首の辺にしこりが出来た人がいるかと思いますが、男性ホルモンは、体内で一部がアロマターゼという酵素によって女性ホルモン(エストロゲン)へ変換されますので、体内の男性ホルモンが多くなると、変換されたエストロゲンの影響が、人により女性化乳房や性欲低下として現れるのかも知れません。
女性ホルモンの値が高いからといって、必ずしも女性化乳房や性欲低下が起きるとは限りませんが、そうなった人は総じて女性ホルモンのレベルが高めになっているようです。 ホルモン・レベルと影響の出現には個人差がありそうです。 なお、アロマターゼ阻害剤は、文字通り、男性ホルモンから女性ホルモンへ変換する酵素を阻害する薬剤です。(福)

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