月別アーカイブ:2012月04月
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重度の睡眠時無呼吸肥満男性における通常量のテストステロン療法
【 目的 】
高用量の短期テストステロン療法は閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の男性の呼吸を急速に悪化することが見られた。OSAの肥満男性における低用量から通常量近くのテストステロンの影響は長期的に異なると思われるが、系統的に研究されていない。
そこで重度のOSA肥満男性において減量とともに通常量近くのテストステロン療法を行い、睡眠および呼吸への影響を検討した。【 方法 】
デザインは67例の男性を対象とした18週間の無作為、ニ重盲検、プラセボ比較試験である。全例、低カロリーダイエットを行い、同時にテストステロン・アンデカノエイト1000mgまたはプラセボの筋注を0、6、および12週に行った。睡眠および呼吸を0、7および18週後に夜間に睡眠ポリグラフ計にて測定した。【 結果 】
- テストステロンはプラセボに比して、7週後に酸素不飽和指数(ODI)を10.3events/hour (95%CI 0.8 to 19.8 events/hour, p=0.03)、および夜間低酸素症(酸素飽和90%以下の睡眠時間SpO(2) T90%)を6.1%(95%CI 1.5% to 10.6%, p=0.01)悪化した。
- 18週後では、テストステロン療法とプラセボの間にODI (4.5, -5.4 to 14.4 events/h, p=0.36) あるいは SpO(2) T90%(2.9%, -1.9% to 7.7%, p=0.23)に差異がなかった。
- ODI および SpO(2) T90%に対するテストステロン療法の影響は開始時のテストステロン濃度によって差異がなかった。
- 血中テストステロン濃度はODIあるいはSpO(2) T90%と相関しなかった(all p>0.19)。
【 結論 】
重度のOSA肥満男性におけるテストステロン療法は睡眠時呼吸障害を期間限定的に軽度に悪化した。これは最初のテストステロン濃度とは関係がなかった。【 原著 】
Clin Endocrinol (Oxf). 2012 Apr 18.
Effects of testosterone therapy on sleep and breathing in obese men with severe obstructive sleep apnea: a randomised placebo-controlled trial.
Hoyos CM, Killick R, Yee BJ, Grunstein RR, Liu PY.
Endocrine and Cardiometabolic Research Group, University of Sydney, Sydney, NSW, Australia.【 弊社コメント 】
低用量から通常量のテストステロンであれば問題ないのでは?・・・という期待で行われましたが、そうはなりませんでした。(野)男性ホルモンが睡眠時無呼吸症候群の症状を悪化させるという報告があることから、関係学会のガイドラインで使用禁忌と定められており、これに準じて男性ホルモンを配合する弊社製品(トノス、グローミン、ヘヤーグロン)のご使用を控えるようにお願いしています。ただし、これまでの報告は古い論文で症例数も少なく、男性ホルモンによる因果関係が本当にあるのか議論の余地があるため、例えば少量の投与量であれば問題ない事を期待しましたが、本報でも睡眠時無呼吸症候群の症状を悪化させる結果となりました。(福)
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【 概 要 】
- 自殺企図のある男性はテストステロン値が低い。そうでない報告もあるが、概ね低い報告が多い。
- 脳機能、気分、認知機能、攻撃性にテストステロンは深く関わっており、またこれらは自殺衝動に関わる。
- 他人に対しての攻撃性と自己への攻撃性は、実質的に同じものである。
- 臨床および疫学的観察では、自殺企図者は暴力犯罪者と性格に共通することが示唆される。
- 攻撃性と自殺との間に関連性が観察される。
【 原 著 】
Testosterone and suicidal behavior. [ PDF形式 Full Text ]
Expert Rev Neurother. 2012 Mar;12(3):257-9.
Leo Sher
James J Peters Veterans’Administration Medical Center, 130 West KingsbridgeRoad, Bronx, NY 10468, USA and Mount Sinai School of Medicine, NY, USA【弊社コメント】
上記の事実を踏まえ、テストステロンが関与する精神状態をテストステロン補充療法で改善すれば、自殺衝動を防ぐ可能性がある、という論説です。ただし、テストステロンの補充による攻撃性の増加が、自殺行動自体の強化につながる懸念もあり、今後の検討が待たれます。(松)テストステロンが生理的な正常範囲から逸脱し、「低過ぎ」あるいは「高過ぎ」いずれの状態にあっても攻撃性が問題になるのではないでしょうか?
そうであれば、テストステロンの過剰投与は人為的にコントロールできますが、ストレスやLOH症候群で低テストステロン状態にある場合や、大うつ病にある場合も、先ずは低過ぎるテストステロンの血中濃度が生理的な範囲となるように低用量のテストステロン補充をすることで、自殺行動の防止につながることが期待できると考えております。(福)続きを読む