月別アーカイブ:2007月08月
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45歳以上の男性に、より早朝と遅い朝の採血がテストステロン濃度に影響するか?
【目的・方法】
The Hypogonadism In Males studyは、45歳以上の男性の性腺機能低下症の発病率を推定した。テストステロン療法を受けていない患者のサブ解析を試みた。
採血は08:00~10:00 時および 10:00~12:00時に行われた。【結果】
- 総テストステロン(TT)はいずれの年代でも採血時間の影響がなかった。しかし、遊離テストステロン(FT)および生物学的テストステロン(BAT)は全体的に、より早い時間に採血したほうが高かった。
- SHBGは45~64歳でより早い時間に採血したほうが有意に低かった。
- 75歳以上では採血時間によるTT、FT、BAT、あるいはSHBGの差異は認められなかった。
【結論】
45歳以上のTTの測定に、より早朝の採血は重要ではないであろう。
しかし、75歳以下の男性におけるFTあるいはBATの測定時は、より早朝の採血が望ましい。【原著】
International Journal of Impotence Research advance online publication, 19
July 2007; doi:10.1038/sj.ijir.3901580.【弊社コメント】
「大規模スクリーニング集団におけるテストステロンに対する測定時間の影響」
という報告では、採血時間を6~10時をT1(632例)、
10~12時をT2(812例)、
12~14時をT3(388例)、
14~18時をT4(1174例)、の4つの時間帯に分けて比較した結果、T4で低かったが、T1、T2およびT3では差がなかったとしています。また、上記の報告で測定されたのは総テストステロンのみです。
上記の報告に対して、本報はは時間帯、測定項目がやや異なります。結果はTTに関しては同様という事ですが、FT、BAT、あるいはSHBGで差が出てくる、それも年齢によって異なるという興味あるものでした。さらにデータの蓄積が必要かと思われます。(野)
海外では、総テストステロン値(TT)で議論するケースが多いので、これらの報告にもとづきますと、午前中の採血ならいつでもOK、ということになります。
一方、日本ではフリー・テストステロン値(FT)で基準を設けて議論していますので、本報にもとづいてFT値を神経質に評価するのであれば、なるべく早朝(本報にもとづけば、10時以前)に採血した方が良いのかも知れません。
何故、海外ではTTを中心に評価しているのに、日本ではFTなのでしょうか?
血中のテストステロンの多くはSHBGという物質と結合しているため生理活性を失っており、実際に活性があるのはSHBGに結合していないFTだけ、と言われています。そのため、臨床症状に結びつけて検討するためには、FTの方が直接的で良い、という考え方と思われます。
これに対して海外ではFT測定の正確性を指摘する声があるようで、BATの方が妥当である、という主張が根強いようです。ただし、少なくとも日本国内の技術では、FTについて十分に精度良く妥当な測定が出来ているようです。
もちろん学術的には、TTとFT、BATの全てを測定・算出しておけば無難ですが、全ての測定を何度も行うと保険適応にならない恐れがありますので、患者様の費用負担を抑えるため、FTに絞って測定しよう、という現実的な判断もあるようです。(福)
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【目的】
男性のテストステロンおよび他のホルモンの季節変動に関するこれまでの研究は、最高値および最低値の回数および時期、および季節性があるかどうかに関して様々な結果を報告している。研究デザイン、サンプル数、分析方法、対象集団の多様性がこのような異なった結果を生み出していると考えられる。
男性における、総、遊離および生物学的テストステロン、DHT、SHBG、LH、DHEA、DHEAS、エストロン、エストラジオールおよびコルチゾールの季節変動を検討した。【方法】
エントリー時、1~3日間に別の日に2回採血を行い、3ヶ月及び6ヶ月後に再度同様に採血を行った(最大1人6回)。
1~3日間に別の日のホルモンレベルは短期間の個体の変動を少なくするために平均した。
対象はボストンの地域住民で、地域健康調査に応じてランダムに選ばれた30~79歳の男性、134例である。うち121例が6回の採血を完了した。【結果】
- コルチゾールは別として、ホルモンレベルに季節変動は見られなかった。
- 季節変動の程度は個人内の変動より小さかった。
【結論】
季節変動は、ホルモンレベルの臨床および疫学的研究における変動の重要な要素ではない。
【原著】
Lack of Seasonal Variation in Serum Sex Hormone Levels in Middle-Aged to Older Men in the Boston Area.
Brambilla DJ, J Clin Endocrinol Metab. 2007 Aug 7
New England Research Institutes, Watertown, MA, USA【弊社コメント】
ヒトには生殖シーズンというのはないので、年間を通じて性ホルモンは変わらないものと考えられていますが、季節的変動の存在を報告する論文もあります。例えば、北緯60~70度という極北の地域では、季節的変動が認められました。
気候条件によって異なる可能性もあり、ボストンのデータが全地域に当てはまるとは限りません。(野)
ヒトのホルモン分泌に関する季節性を考えるとき、気象の変化だけでなく、ライフスタイルや様々なイベントなどの社会的要因の影響も受けるなら、ライフスタイルが多様化している国や地域、大都市ほど、季節性の関連が薄くなってしまうのかも知れません。(福)
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