聞いたことがありますか?GSM 基礎知識編 聞いたことがありますか?GSM 基礎知識編

GSM(閉経関連泌尿性器症候群)基礎知識 編

はじめに~萎縮性腟炎とGSM

GSMという病気は比較的新しい名称です。
2014年に国際女性性機能学会と北米閉経学会という女性の健康を研究・調査する団体は、GSM(「ジー、エス、エム」と読みます)という病気の名前を新しくつけることを決めました。
GSMは正式にはGenitourinary syndrome of menopauseと言い、日本語では『閉経関連泌尿性器症候群』と訳されることがあります。
しかし、日本の女性医学に関する学会団体がすべて賛成している正式な名前はまだありません。ですので、この解説書ではGSM という呼び方で統一することにします。新しい名称と言いましたが、GSMの考えの元になった病気があります。それは「萎縮性腟炎」という病気でご存知の方も多いかと思います。
この解説書では右の目次に従い「萎縮性腟炎」の説明から始め、GSMの原因、症状、治療方法について解説していきます。

著者:NINOMIYA LADIES CLINIC
院長 二宮 典子 先生

GSMという病気の成り立ち~萎縮性腟炎とGSM~

萎縮性腟炎について

「はじめに」で述べましたように『萎縮性腟炎(いしゅくせいちつえん)』という病気はGSMの考え方のもとになった病気です。
人は年とともにだんだん身体の機能が衰えていきますが、腟もその例外ではありません。腟は主にエストロゲンという物質によって、健康的な状態が維持されています。しかし、平均的に50歳ごろからエストロゲンの分泌が低下しはじめ、腟の細胞が衰えてしまい、腟に炎症が生じることがあります。こういった症状を『萎縮性腟炎』または『老人性腟炎』と呼び、GSM という病気の考え方がでてくるずっと昔から、産婦人科の先生が治療を行っていました。

萎縮性腟炎からGSM

しかし、『萎縮性腟炎』はエストロゲン低下による身体の変化のほんの一部です。そのため、萎縮して炎症を起こしている腟を一時的に治しても、その周辺にある性器や尿路の変化や症状は治療できておらず、不快な症状に悩まされている女性が多くいました。
腟以外の性器や尿路も含めて、診断・治療が必要であるという考えのもとに発展してきた病気の捉え方が『GSM』です。

エストロゲンレベルの変化に伴う身体症状・疾患

ホルモンのお話

ホルモンの働きと産生部位

『ホルモン』っていったいどういうものでしょうか?
『ホルモン』というのは全身のさまざまな場所で作られている物質です。『ホルモン』は、身体が正常に機能するために細胞に働きかけ、身体全体を調整する働きを持っています。
ホルモンを分泌する細胞を内分泌腺と呼び、自分の細胞に情報を送ったり、そばにある細胞に情報を送ったり、また血管や神経を通って遠くの細胞に働きかけたりします。ホルモンが作用する細胞を標的細胞と呼びます。『ホルモン』をつくっている内分泌腺の場所は、脳下垂体・甲状腺・副甲状腺・腎臓・副腎・膵臓・胃腸・血管・性腺(男性では精巣、女性では卵巣)・脂肪・筋肉などです。それぞれの場所で作られたホルモンはそれぞれ違った作用をもち、複雑に関係しながら身体の正常な働きを維持しています。この中でGSMの主な病因になっているのが性腺、副腎で作られるエストロゲンとテストステロンです。

エストロゲンとテストステロン

性腺で作られるホルモンを『性腺ホルモン』とよび、『テストステロン』『エストロゲン』などがあります。『テストステロン』は主に男性の精巣で作られるホルモンです。身体の筋肉や骨を強くし脂肪をつきにくくさせゴツゴツした身体になるような働きがあります。一方『エストロゲン』は、主に女性の卵巣で作られるホルモンです。皮下脂肪をつけ、血管を柔らかくし、ふっくらとした身体になるような働きがあります。
『テストステロン』は別名『男性ホルモン』と呼ばれることがありますが、女性の体の中でもテストステロンは分泌されています。同様に、『エストロゲン』は『女性ホルモン』として知られていますが、男性の身体の中でも分泌されています。しかし、どちらのホルモンも年齢とともに分泌量が低下していきます。
この『テストステロン』と『エストロゲン』の標的細胞は性器や尿路にもあるため、この2つのホルモンは、GSMにおいて非常に重要な治療のひとつとなります。

性ホルモンの働きとGSM

GSM解説動画:二宮典子先生「ココシカ診療所×骨盤底祭り」


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