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2007年03月06日
医学情報関連のデータベース「Bio Today」の記事によりますと、
・ 体温よりも高い温度の風呂
・ 30分/週以上
・ それが3回/月以上で定義された「湿性温熱(wet heat)」の男性11人を対象に、このようなお風呂の入り方を3~6ヶ月やめると、運動性の精子の数が平均で491%上昇したという話です。
精子は精巣の中にある精細管で作られますが、古来より「陰嚢を冷やせ」という「金冷法」の養生訓があるように、精子の産生機能は高温に弱く、体温よりも低くないとうまく進まないと言われていますし、そのために陰嚢は冷却しやすい形(タマとして薄皮の袋に入った状態で股間にぶら下がっている)になっているのでしょうから、調査結果を精子の産生メカニズムに照らして考えれば、確かにそうなのかも知れません。
本報は海外の学術雑誌(International Braz J Urol誌)によるものですから、じっくりお風呂に浸からずにシャワーで済ませる欧米人の習慣がベースなのだろうと思いますが、それにしても上記の湿性温熱の定義であれば、日本的な入浴習慣で言えば大多数の日本人は入浴習慣のせいで精子が少なくなっている…という話になってしまいます。しかも、お風呂上りで性行為を行う日本人は多いでしょうから、本報は日本の入浴習慣が日本男性の精子にとって過酷な環境である事を示唆します。
何はともあれ「イキの良い」精子が少なくて男性不妊、とお悩みの人は、半年ほどお風呂に浸かるのをやめてシャワーだけで済ませるようにした後に、精子検査をしてみる事も考慮すべきなのかも知れませんし、子作りを視野に入れた性行為の前はシャワーだけで済ませて、ゆっくりお風呂につかるのは性行為の後にする方が良さそうです。
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シルデナフィル無効症例に対するアンドロゲンとシルデナフィルの併用
2006年07月18日
【目的】
シルデナフィル単独投与には反応しない低ゴナドトロピン患者に対し、アンドロゲンの効果を検討する。【方法】
対象:シルデナフィル100mgに対し効果が不十分であった、勃起不全を伴う低ゴナドトロピン患者、32例。
投与方法:テストステロンアンデカノエイト80mgを1日2回または3回、単独経口投与を2カ月間行った。十分な勃起が得られない症例には、その後シルデナフィルとテストステロンの併用投与を行った。
評価項目:トータルテストステロン(TT)、フリーテストステロン(FT)、IIEF、IPSS及びUFR【結果】
テストステロンへの切り替えにより11例(34.3%)に十分な勃起機能の改善が得られた。効果不十分例では、その後の併用により12例(37.5%)に十分な効果が得られた。
血清TT及びFTはテストステロン単独投与後及び併用後投与後、ともに有意に上昇した。IIEFスコアも単独投与及び併用投与後、ともに有意に上昇した。
IPSS或いはUFRには有意な変化が認められなかった。【結論】
シルデナフィル無効例の1/3がテストステロンに反応し、他の1/3がテストステロンの正常化後のシルデナフィルの再投与により改善した。それゆえ、低ゴナドトロピン性の勃起不全患者ではアンドロゲンの補充療法が第一選択である。また各単独投与で改善が得られなかった症例に対しては、併用療法が有効であろう。【原著】
Combined use of androgen and sildenafil for hypogonadal patients unresponsive to sildenafil alone.
Int J Impot Res. 2006 Jan 5【引用】Doctor’s Guide
【担当者コメント】
シルデナフィル無効な低ゴナドトロピン患者の約1/3に対して、テストステロン補充療法の併用が有効であったとのことです。(野)続きを読む