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中高年男性における冠動脈疾患重症度のマーカーとしてのテストステロン

2017年02月01日


<目的>
歴史的に、高レベルの血清テストステロン(以下、T)は心血管系に有害であると推定されてきた。近20年間の研究は低Tが脂質異常および糖尿病を含む心血管疾患のリスク因子の発現を増加する事を示している。
そこで、血清Tレベルと冠動脈疾患(CAD)の冠動脈造影による重度との間の関係について断面調査研究を行った。

<方法>
症状よりCADが疑われ冠動脈造影(CAG)のため入院した年齢40~60歳の男性の連続症例を対象とした。対象とした92例中32例がCAG上正常な冠動脈であり、60例が CADであった。CADの重度はGensini 冠動脈スコアにより決定した。また、内皮機能の指標である上腕動脈血流依存血管拡張(BAFMD)を測定した。

<結果>
・CAD群は正常群と比較して、総テストステロン(以下、TT)(363±147.1 vs 532.09±150.5ng/dl, p<0.001), フリー・テストステロン(以下、FT) (7.1215±3.012 vs 10.4419±2.75ng/dl, p<0.001)およびバイオアベイラブルT(166.17±64.810 vs 247.94±62.504ng/dl, p<0.001) が有意に低かった。

・CADの伝統的リスク因子で調整した重回帰分析の結果、低Tは重度CADの独立した予測因子であった(β=-0.007, p<0.001)。

・TT、FTおよびバイオアベイラブルTはBAFMD %.と正相関した。

【原著】
Indian Heart J. 2016 Dec;68 Suppl 3:S16-S20. doi: 10.1016/j.ihj.2016.07.002. Epub 2016 Aug 8.
Testosterone as a marker of coronary artery disease severity in middle aged males.
Gururani K, Jose J, George PV

【弊社コメント】
テストステロンは漠然と心臓に良くないというイメージが信じられて来ました。 往年のドーピング問題にともなうアナボリック・ステロイドの過剰投与にともなうイメージがついて回りますが、実際は皮肉なことにテストステロンの分泌レベルが低すぎると冠動脈疾患のリスクが高いという結果のようです。 要は、テストステロンのレベルが多過ぎても、少な過ぎてもリスクがあるわけで、正常域を維持するように、加齢やストレスにともなう分泌の衰えを多過ぎない程度に補充するのが最も安全で合理的だと考えます。(福)

 

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