テストステロンと自殺企図の関係
2012年04月10日
【 概 要 】
- 自殺企図のある男性はテストステロン値が低い。そうでない報告もあるが、概ね低い報告が多い。
- 脳機能、気分、認知機能、攻撃性にテストステロンは深く関わっており、またこれらは自殺衝動に関わる。
- 他人に対しての攻撃性と自己への攻撃性は、実質的に同じものである。
- 臨床および疫学的観察では、自殺企図者は暴力犯罪者と性格に共通することが示唆される。
- 攻撃性と自殺との間に関連性が観察される。
【 原 著 】
Testosterone and suicidal behavior. [ PDF形式 Full Text ]
Expert Rev Neurother. 2012 Mar;12(3):257-9.
Leo Sher
James J Peters Veterans’Administration Medical Center, 130 West KingsbridgeRoad, Bronx, NY 10468, USA and Mount Sinai School of Medicine, NY, USA
【弊社コメント】
上記の事実を踏まえ、テストステロンが関与する精神状態をテストステロン補充療法で改善すれば、自殺衝動を防ぐ可能性がある、という論説です。ただし、テストステロンの補充による攻撃性の増加が、自殺行動自体の強化につながる懸念もあり、今後の検討が待たれます。(松)
テストステロンが生理的な正常範囲から逸脱し、「低過ぎ」あるいは「高過ぎ」いずれの状態にあっても攻撃性が問題になるのではないでしょうか?
そうであれば、テストステロンの過剰投与は人為的にコントロールできますが、ストレスやLOH症候群で低テストステロン状態にある場合や、大うつ病にある場合も、先ずは低過ぎるテストステロンの血中濃度が生理的な範囲となるように低用量のテストステロン補充をすることで、自殺行動の防止につながることが期待できると考えております。(福)
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