大東製薬工業株式会社

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月別アーカイブ:2007月04月

  • テストステロンが白血球数を増やしますか?

    2007年04月16日

    グローミンの使用期間中に健康診断があり、先日結果が届きました。注意箇所として白血球が多少多く、通常3,500~8,500のようですが、私は9,700でした。
    グローミンの使用によりホルモンの関係で白血球値が上がると言う報告はありますか?
    (35~44歳・男性)

     


     

    ご指摘を踏まえ、改めてグローミンに限らず世界中のテストステロン製剤について過去に遡り検索調査致しましたが、ご指摘のような臨床報告は見つかりませんでした。

     

    ちなみに、お客様が採血測定した頃に、喉を痛めたり風邪を召される、あるいは怪我などで、何らかの炎症を起こしていませんでしたでしょうか。

    一般論で申しますと、白血球は体内に侵入してきた細菌やウィルスと戦い、病原体から体を守るもので、どこかに炎症が生じると、正常は反応として白血球数が普段よりも多くなると言われています(メルク・マニュアル参照)。なお、検査キットや検査会社の違いなどによるものかも知れませんが、正常範囲につきましては、メルク・マニュアルにありますように、4,000~11,000 個/µL を正常値としている場合もあるようです。

     

    また、こちらの記事を参照しますと、炎症がある場合の白血球数は2万近くになることから、白血球数で炎症の有無を判断することがあるようで、さらに、重篤な病気が疑われる場合の白血球数は3万以上になるようです。

    以上を踏まえますと、テストステロンは細菌やウィルスではありませんし、またテストステロン自身が炎症を引き起こす事も考えにくいことから、白血球を増加させる事は無いと考えております。

     

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  • 幼児へのテストステロン投与による低身長のリスクについて

    2007年04月16日

    2歳の息子が尿道下裂です。手術をする際に、今のペニスサイズのままだとやや危険が伴うとのことで、親の同意があればテストステロンを3回(一回2cc)打ってから一時的にサイズを大きくして手術することになるとのことです。
    気になるのは、テストステロンが時として低身長を招くおそれも否定できないと聞いたことです。実際のところ低身長を招くおそれはありますか。

     


     

    ご子息様の切実なご事情について私どもにお問合せ下さり、ご高配まことに有難うございます。
    ただ、私どもは医師でないため、倫理面のみならず関係法令上からも、診断や処置、あるいはセカンド・オピニオンとして責任のあるコメントが出来ません。あくまで、一般論として申し上げますことを、あらかじめご容赦下さいませ。

     

    神奈川県立こども医療センター泌尿器科のHPによりますと、

    > 亀頭部が小さい場合は手術の前に男性ホルモンを少量投与する
    > ことで亀頭の発育を促す場合があります。当科では1~3回注射
    > (1ヵ月間隔)で投与します。このような短期間のホルモン投与は
    > 長期的に副作用がないと考えられています。

     

    また、東京女子医科大学腎臓病総合医療センター泌尿器科のHPでも、下記のような記述がございます。

    > おちんちんがとても小さい場合は手術の前に男性ホルモンを少量
    > 投与することで手術をやりやすくする場合があります。当科では
    > 1~3回注射(1ヵ月間隔)で投与しますが現時点でこのような幼児期
    > の少量のホルモン投与はきわめて安全と考えられており、長期的に
    > 副作用を生じたという報告はありません。

     

    以上の記述から察するに、ご子息様の治療戦略は一般的なもので、このようなケースでのテストステロン投与は安全とされているようです。
    また、私どもが知る限り、ご子息様と同様のケースで低身長を招いたという事例は存じ上げません。

     

    一般に、成人に向けて身長が伸びる時期は第二次性徴の頃(小学校高学年~中学校にかけて)かと存じますが、この時期に過剰な男性ホルモンの投与を行いますと、脳が「もう十分にホルモンが分泌された」と判断して成長を止めてしまうため、自ずと低身長のリスクが高まるようです。

     

    あくまで私見であることをお許し戴きたいのですが、上記のリスクを逆に申しますと、先述の第二次性徴の時期から十分に離れた生後間もない時期であれば、自ずとリスクが低くなるだろう、ということではないでしょうか。そうは申しましても、絶対に大丈夫とは言い切れないのだろうと思います。

     

    「おそれも否定できない」という表現は、「実態として懸念のケースを経験していないが、かといって絶対に有り得ないと言い切るだけの理論的根拠が無いので、今後、症例数が増えれば、中にはそのようなケースが生じるかも知れない…」というニュアンスかと存じます。

     

    現代の医学の倫理には「EBM」と呼ばれる、「客観的な根拠にもとづいた医療」が前提とされていますので、専門家の間であらゆる角度から客観的に評価して認められた根拠が無い中では、たとえ担当医に確信があり、患者様の不安をやわらげ安心していただきたくても、「絶対に大丈夫」と歯切れ良く言い切れない時代です。
    そのため、たとえ極めてまれなケースでも、想定される最悪の事態も含めた事前説明をして、あらかじめ患者様の了解をとりつけなくてはなりません。

     

    以上、歯切れ良くお答え出来ず、誠に申し訳ございません。大変心苦しい気持ちでございますが、状況ご賢察のうえ、保護者の責任でご判断下さいますよう、何とぞ宜しくお願い申し上げます。

     

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