トノスは塗った時だけ射精が遅くなる薬なのでしょうか?それとも、トノスを塗り続けているうちに早漏が克服されていく薬なのでしょうか?
また、トノスを性器へ塗った後、女性に舐めてもらっても大丈夫なのでしょうか?(25~34才・男性)
本剤の考え方について
お客様の年齢であれば、基本的に前者(トノスを塗った時だけ射精が遅くなる薬)であるとお考え下さいませ。
射精に影響する要因は大まかに下記があると考えられます。
- ◆亀頭部を中心とするペニスへの性的刺激
- ◆性器以外の体の各所への刺激や視聴覚の刺激、さらには愛情やファンタジーなど精神面を含む周辺の性的刺激
- ◆1.と2. に対する脳内の反応による性的興奮
- ◆精液の射出をコントロールする筋肉の働き
- ◆以上 1.~4. の要素をつなぐ神経系の働き
トノスに配合した局所麻酔成分は、上記の 1. に対して「亀頭部分へ塗布」することで「亀頭部の感度を鈍化」させるため、1. の刺激による入力を抑えた結果、射精潜時を遅延させるものです。
また、トノスに配合されているテストステロン(男性ホルモン)は、加齢や強度の精神的ストレスで男性ホルモンの分泌が衰えている人の場合、3.と4. あるいは5. の機能が衰えて、本来オーガズムを迎えるタイミングよりも先に精液が漏れ出てしまうような状況が考えられます。早漏というよりも遺精に近い状況ですが、このような場合に、本剤を「陰嚢部へ塗布」して「男性ホルモンを補充」することで、ある程度のリカバリーが期待できるものです。
そのような観点から、お客様がご指摘の後者(塗り続けているうちに早漏が克服されていく)の効き方は、男性ホルモンの分泌不足にともなうケースであれば、本剤もあてはまります。ただ、お客様の年齢ですと、一般的に男性ホルモンの分泌は十分にあると思われますので、男性ホルモンが十分に分泌している人で射精潜時を遅延したい人であれば、亀頭部(特に敏感な亀頭冠、いわゆるカリの部分)へ本剤を塗布して、1. の刺激を抑えれば良いわけです。
なお、専門医による医療の対象となる重症の早漏は、3. の要因が非常に強く、極めて過剰に反応して上手くコントロール出来ない場合が多いと思われます。このような場合は、1.と2.の刺激を抑えても、3.の要因が大き過ぎて射精のコントロールが出来ない場合が考えられますので、トノスを用いて1.を抑えても十分に満足するような結果に至らない事が考えられます。
このような場合には、SSRI(選択的セロトニン取り込み阻害剤)と呼ばれる、抗うつ剤の投与で 3.の要因に対処することにより著効な結果を得た、という症例報告がございます。ただし、これもSSRIが効いている間の効果であり、SSRIが直接、早漏を根治させるものではありません。ちなみにSSRIは投薬の管理が難しく、医師の注意深い管理と指導が必要なので、決して自己判断で使用したり、主治医に無断で急に中止しないようにご注意下さいませ。また、副作用の中にはED(勃起障害)の事例もありますので、いずれにせよ注意深い対応が必要と思われます。
いずれにせよ、そのような意味では今のところ薬剤による早漏の根治的な治療法は存じ上げません。
ちなみに現状の根治療法としては、カウンセリングで 2.と3.の要因における強度のストレスや不安など早漏の背景になっている心因性の問題を解決したり、行動療法(「Stop & Start法」 「スクイズ法」 「感覚集中訓練」)でトレーニングすることにより、1.~5.を全般的に解決する、というものになります。
パートナーへの配慮について
トノスを舐めますと先述の局所麻痺剤の成分により苦味がして、同時に舌の感覚が痺れてしまいます。パートナーへ気まずい思いをさせないようにするためにも、塗付後、性行為を始める前にあらかじめ塗付部を良く洗い流して本剤が残らないようにすることをお願いしております。
なお、本剤は塗布後、数分~20分程度で塗布部を麻痺させて効果が生じていますので、塗布部に麻痺感が生じましたら、本剤を洗い流しても効果に問題はございません。
したがいまして、下記の手順であれば万全かと存じます。
① 性行為の前にシャワーか入浴。
② 最初に性器を良く洗い、洗った後にトノスを亀頭冠へ塗布。
③ 他の部位を洗うなど、シャワー(入浴)を続ける。
④ タイミングを見計らい、亀頭冠に触れてみて感覚の鈍化を確認。
⑤ 塗布部を石鹸を用いて良く洗い流す。
⑥ シャワー(入浴)を終える。
⑦ 性行為の開始。
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