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2020年03月17日
【 目的 】
アンドロゲンは、少なくとも部分的にエストロゲンへの変換とは無関係に、膣の生理機能に有益な効果を発揮することが示されている。膣および他の泌尿生殖器組織におけるアンドロゲン欠乏症は、外陰膣萎縮および閉経期のGSM(閉経関連泌尿性器症候群)発症の原因となり、性的興奮および潤滑障害および性交疼痛症をもたらす。
そこで、膣の構造および機能の調節におけるテストステロンの役割を要約した。
【 方法 】
この問題に関する関連文献の定性的レビューを、PubMedデータベースを使用して行った。膣の生理病態におけるテストステロンの関与をサポートする前臨床的および臨床的エビデンスの概要を提示し、女性の性的反応における膣の役割の観点からテストステロンの関与を検討した。
【 結果 】
・アンドロゲンは、アンドロゲン受容体およびアンドロゲン合成に関与するキー酵素の検出により示唆されるように、膣の分化および出生後の栄養および機能的作用の維持に重要である。
・テストステロンは、膣組織構造の完全性(非血管平滑筋の厚さおよび収縮性、コラーゲン線維の緻密性)、および性的興奮および潤滑を制御する複雑な神経血管プロセス(NO / cGMP / PDE5経路による血管平滑筋弛緩、神経線維密度および神経伝達)に不可欠である。
・テストステロンはまた、膣内の侵害受容、炎症、およびムチン分泌を調節すると報告されている。
・外陰膣萎縮/GSM、および性的興奮障害と性交疼痛症につながる他の状態に対する、アンドロゲンベースの治療法を提示した。
【 結論 】
膣はアンドロゲンの標的であり合成器官でもある。前臨床および臨床データは一貫してテストステロンが膣の健康と生殖器の性機能の維持に重要な役割を果たしていることを示唆している。
【 原著 】
Testosterone and Vaginal Function
Elisa Maseroli, Linda Vignozzi
Andrology, Women’s Endocrinology and Gender Incongruence Unit, Department of Experimental and Clinical Biomedical Sciences “Mario Serio”, University of Florence, Florence, Italy
Review Sex Med Rev. 2020 May 17;S2050-0521(20)30033-0. doi: 10.1016/j.sxmr.2020.03.003.
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心筋梗塞既往男性の死亡率および再発とテストステロン正常化の関係
2019年09月30日
<目的>
心筋梗塞(MI)の既往がある患者におけるTRT(テストステロン補充療法)による血清T(テストステロン)レベルの正常化の効果は不明である。MIの病歴があり、TRTの有無にかかわらず低TT(総テストステロン)の患者における再発性MIおよび全死因死亡の発生率を検討した。<方法>
低TTレベルおよびMIの病歴のある1,470人の男性を対象に遡及的調査を行い、以下の3群に分けた。すなわち、
1群:TRTによりTTレベル正常化(n = 755)、
2群:TRTによりTTレベル正常化せず(n = 542)、および
3群:TRT非実施(n = 173)の3群である。
TRTと全死因死亡率および再発MIとの関連を、傾向スコア加重Cox比例ハザードモデルを使用して比較した。<結果>
・全死因死亡率は1群が2群(HR 0.76、CI 0.64〜0.90、p = 0.002)、3群(HR 0.76、CI 0.60〜0.98、p = 0.031)と比して低かった。・2群と3群の間で死亡リスクに有意差はなかった(HR 0.97、CI 0.76-1.24、p = 0.81)。
・調整回帰分析では、グループ間で再発MIのリスクに有意差は認められなかった(1群 vs3群、HR 0.79、CI 0.12‐5.27、p = 0.8; 1群 vs 2群 HR 1.10、CI 0.25-.77、p = 0.90、2群 vs 3群 HR 0.58、CI 0.08-4.06、p = 0.58)。
<結論>
MIの病歴のある退役軍人の大規模観察コホートでは、TRTによるTTレベルの正常化は、TRTによりTTが正常化しないおよび未治療群と比較して、全死因死亡率の減少と関連していた。さらに、この高リスク集団では、TRTは再発性MIのリスク増加と関連していなかった。【原著】
Am J Cardiol. 2019 Oct 15;124(8):1171-1178. doi: 10.1016/j.amjcard.2019.07.019. Epub 2019 Jul 25.
Oni OA, Dehkordi SHH, Jazayeri MA, Sharma R, Sharma M, Masoomi R, Sharma R, Gupta K, Barua RS Division of Cardiovascular Research, Kansas City VA Medical Center, Kansas City, Missouri
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2019年06月18日
上芝 元 (東邦大学健康推進センター)
【目的】
テストステロンがインスリン抵抗性を改善するという報告や糖尿病症例において低テストステロン血症を伴う報告がある。 今回、中高年男性の肥満及び低テストステロン血症を伴う2型糖尿病症例において、テストステロン軟膏製剤による補充を行い、糖尿病状態の改善がみられた症例を2例経験したので報告する。
【方法】
症例1は54歳男性、推定罹病期間13年、BMI 31.3、8年前にインスリン導入となり、現在強化療法中である。 最近1年間の随時血糖150~259mg/dl、HbA1c 9.2~10.4%であり、血中遊離テストステロン1.9~3.2pg/mlと低値であった。
症例2は67歳男性、糖尿病の推定罹病期間18年、BMI 37.2、3年前にインスリン導入となり、現在経口薬とインスリン療法(超即効型と持効型)の併用治療中である。最近1年間の随時血糖190~277mg/dl、HbA1c 8.5~9.0%であり、血中遊離テストステロン2.9~3.8pg/mlと低値であった。 両症例ともに倫理委員会の承認を得て、インフォームドコンセントを行い、テストステロン軟膏(グローミン)を使用して、補充を行い、糖尿病状態の改善を試みた。
【結果】
両症例ともグローミン0.6g/日(0.3g×2回、腹部塗布)を6か月継続したところ、症例1では随時血糖109~173mg/dl、Hba1c 7.9~8.2%と糖尿病における血糖コントロールの改善がみられた。 また症例2でも随時血糖121~175mg/dl、HbA1c 7.2~7.8%と糖尿病における血糖コントロールの改善がみられた。 両症例とも血中PSAの変化や他の副次反応については、臨床上大きな問題となるものはみられなかった。
【結論】
テストステロン軟膏(グローミン)は、中高年男性で肥満及び低テストステロン血症を伴う2型糖尿病症例において、血糖コントロール改善に寄与する可能性が示唆された。 2症例から考えるとテストステロン低値、肥満、インスリン抵抗性状態を呈している2型糖尿病男性の治療にテストステロン軟膏が補助的手段になる可能性が示唆された。
2019(令和元)年6月14日(金)
第19回日本抗加齢医学会総会(於:パシフィコ横浜)
一般口演7 男性医療-1 (於:第6会場)
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テストステロン投与は低テストステロン血症の中高年男性において血清終末糖化産物(AGEs)を低下する
2019年06月18日
角野 博之 (1, 2)、 市川 秀一 (1)
(1)北関東循環器病院内科、 (2)宏愛会第一病院内科
【目的】
終末糖化産物(AGEs)は、酸化ストレスや炎症反応を惹起させ、動脈硬化症を進展させる。 男性は加齢に伴い、血中テストステロン値が低下し、加齢男性性腺機能低下症候群及び生活習慣病、動脈硬化症発症が増加する。 最近、加齢に伴うテストステロン低下により血中AGEs値が増加することが報告されており、テストステロン低下に伴う動脈硬化形成機序に血中AGEs値の増加が一部関与している可能性がある。 今回我々は男性の加齢に伴う動脈硬化形成機序に対するテストステロン及び血中AGEsの関与を解明するため、低テストステロン血症の中高年男性に対してテストステロンを投与し、血中AGEs及び脂質、血糖、血管炎症性マーカーを測定した。
【方法】
本研究は倫理委員会の承認を得た。同意を得た低テストステロン血症の中高年男性全30例(mean±SD:61±6歳;46~72歳)を無作為に21例のテストステロン投与群(T群)及び9例のプラセボ投与群(P群)の2群に分類し、顎下部にそれぞれグローミン軟膏0.3g及びプラセボ軟膏0.3g 1日2回塗布を12ヶ月間行い、投与前及び12ヶ月後の早朝空腹時に採血し、同時に身体、血圧測定を行った。採血により血清AGEs及び動脈硬化関連因子である血漿血糖(FPG)、HbA1c、血清低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)、高比重リポ蛋白コレステロール(HDL-C)、トリグリセライド(TG)、遊離テストステロン(FT)、高感度C反応性蛋白(hsCRP)を測定した。
【結果】
T群において、血清AGEsは前値に比べ12ヶ月後に有意(p<0.05)に減少したが、体重、血圧、FPG、HbA1c、LDL-C、HDL-C、TG、hsCRPは有意な変化を示さなかった。FTは前値に比べ12ヶ月後に有意(p<0.05)に増加しており、テストステロン投与のアドヒランスは良好であった。コントロール群では全ての項目は有意な変化を示さなかった。
【結論】
テストステロン投与は低テストステロン血症の中高年男性の血清AGEsを低下させた。よって、テストステロン投与は動脈硬化の進展を促進するAGEsを低下させることから、動脈硬化症発症を抑制する可能性が示唆された。
2019(令和元)年6月14日(金)
第19回日本抗加齢医学会総会(於:パシフィコ横浜)
一般口演7 男性医療-1 (於:第6会場)
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2018年08月06日
<目的>
アンドロゲンおよびコルチゾール等のステロイドホルモンのレベルは日内変動を示し、その変動は睡眠‐覚醒サイクルと関係している。現在、ステロイドホルモンの分泌における睡眠の各ステージの機能的役割は不明のままである。
そこで、コルチゾールおよびアンドロゲンの早朝レベルに対する徐波睡眠(SWS)抑制の影響を調査した。
<方法>
12名の健康男性ボランティアが2つの実験セッションに参加した。すなわち、夜間睡眠中の選択的SWS抑制セッションおよび通常夜間睡眠セッション(コントロール)である。
SWS抑制は音響トーンを用いた刺激により行った。起床直後および40分後に唾液を採取した。LCタンデム質量分析計により採取した唾液中のテストステロン(T)、アンドロスタンジオン(Ad)、DHEA 、17α-hydroxyprogesterone (17-OHP)およびコルチゾールを測定した。
<結果>
・SWS抑制は総睡眠時間および睡眠効率に影響することなく全体のSWS時間を54.2%減少した。
・選択的SWS抑制セッションにおいて、早朝Tの平均レベルはコントロールセッションより低かった(p = 0.017)。
・同様に、17-OHPはSWS抑制において低かった(p = 0.011)、ところがDHEA/Ad比は高かった(p = 0.025).。
・コルチゾール、Ad、あるいはDHEA濃度にはセッション間で有意な差異が無かった。
<結論>
Tおよび17-OHPの早朝レベルに対する選択的SWS抑制の影響はアンドロゲンの合成および分泌に対するSWSの重要性を示している。
この結果は、SWSの減少による慢性的睡眠障害は長期的にアンドロゲン欠乏のリスク増加を示唆している。
徐波睡眠(slow wave sleep:SWS):2Hz以下の徐波が連続する睡眠状態。 急速眼球運動を伴わない睡眠。ノンレム睡眠。
【原著】
Sleep Med. 2018 May 12;48:117-126. doi: 10.1016/j.sleep.2018.04.012.
Ukraintseva YV, Liaukovich KM, Polishchuk АA, Martynova ОV, Belov DA, Simenel ES, Meira E Cruz М, Nizhnik АN.
【弊社コメント】
良質の健康な睡眠は、いわゆる「深い眠り(ノンレム睡眠)」と「浅い眠り(レム睡眠)」を約90分のサイクルで繰り返していると言われていますが、深い眠りを減少させると、男性ホルモンの不足に陥るリスクがあるとのことです。
男性ホルモンの不足がもたらす健康リスクが明らかになるなか、男性ホルモンの分泌を維持し、ひいては様々な健康リスクを避けるためにも、質の良い睡眠をとる生活をお勧めします。(福)
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2018年06月27日
<目的>
20歳以上の男性における低テストステロン(T)(TT≤3 ng/mL)と腎結石(KS)の関連性、およびこの関連性が合併症、人種/民族および年齢により異なるか否かを調査した。
<方法>
NHANES 2011~2012のデータを断面的に調査した。
<結果>
・多変量調整後、低T男性は非低T男性に比してKSのオッズ比が41%低かった(OR: 0.59, 95% CI 0.40-0.86)。
・肥満により層別化すると、低Tの肥満男性はKSのオッズ比が59%低かった。
・HDLにより層別化すると、 HDL ≥ 40 mg/dLで低Tの男性はKSのオッズ比が40%低かった。
・糖尿病により層別化すると、糖尿病がなく低Tの男性はKSのオッズ比が39%低かったが、低Tと他の合併症を有する糖尿病男性ではこの関連性が有意ではなかった。
・人種/民族により層別化しても有意な関連性が存在した。
・年齢により層別化すると、低Tで年齢≥40-<60 の男性のみがKSのオッズ比が68%低かった(OR: 0.32, 95% CI: 0.16-0.67)。
<結論>
低TとKSの関連性は正反対であった。肥満、糖尿病、脂質異常、人種/民族及び年齢で層別化しても同様の関連性が認められた。
【原著】
Prev Med Rep. 2018 Apr 6;10:248-253. doi: 10.1016/j.pmedr.2018.04.002. eCollection 2018 Jun.
Yucel E, DeSantis S, Smith MA, Lopez DS
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2017年08月08日
<目的>
性腺刺激ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニストが1980年代に導入されたとき、Tフレアと言われる最初の一過性のテストステロン(以下、T)上昇が前立腺癌(PC)の成長、および疾患の進展、合併症および死亡を招くと一般的に信じられた。これらのリスクを防御するため抗アンドロゲン剤を併用する事がルーチンとなった。しかしながら、近10年間、アンドロゲンはPC成長の刺激に限定的に作用することが認識されるようになり、Tフレアのリスクに対して理論的検証がなされている。そこでTフレアと関連したリスクをレビューした。
<方法>
LHRHアゴニストに関連したTフレア、疾患フレアに関係する論文をMEDLINEにてサーチした。1980年5月1日から2016年5月1日の間、luteinizing hormone-releasing hormone, gonadotropin-releasing hormone, および antiandrogensのタームにて検索した。
<結果>・最初のLHRHアゴニストの投与は一様に2-3日間の血清Tを40~100%上昇し、その後Tレベルは7~8日目にベースラインレベルに戻り、約2~3週間去勢レベルに低下した。
・Tフレアの間にPSAを測定した6つのLHRHアゴニストの研究のうち5つは、ベースラインのPSAが≥500ng/ml の進行がんが存在するにも関わらずPSAに有意な上昇を認めなかった。
・疾患フレアのエビデンスはLHRHアゴニスト単独投与とLHRHアゴニスト+抗アンドロゲン剤併用を比較した骨疼痛に関する1報告に限られた。他の3つのRCTは疾患フレアを報告していない。
・脊髄圧迫の割合は去勢あるいはエストロゲン療法に比してLHRHアゴニスト単独で多くなかった。
・LHRHアゴニストの影響を進行性PCの自然経過と比較するためLHRHアゴニスト対プラセボ/無治療の比較試験はなかった。
<結論>
30年間、Tフレアはリスキーであると考えられてきたが、1980~1990年に収集したエビデンスのレビューはこの見解を支持しなかった。特に、Tフレアは広範な転移性疾患の男性においてさえ有意なPSA上昇、疾患の進展あるいは有害作用と関連しなかった。これらの結果は2006年に最初に紹介された飽和モデルと一致する。LHRHアゴニストに抗アンドロゲン剤を併用する価値は、広範囲な脊髄転移があり血清Tが飽和ポイント約250ng/dl以下である男性を除いて殆どない。
【原著】
Eur Urol Focus. 2017 Jul 1. pii: S2405-4569(17)30159-1. doi: 10.1016/j.euf.2017.06.008.
Risk of Testosterone Flare in the Era of the Saturation Model: One More Historical Myth.
Krakowsky Y, Morgentaler A
Men’s Health Boston, Beth Israel Deaconess Medical Center, Harvard Medical School, Chestnut Hill, MA, USA.【弊社コメント】
飽和モデルは高いテストステロンが前立腺癌や肥大を促進しない事を理論づけたものです。今回の報告はTフレアという急激なテストステロンの上昇が有害作用を及ぼさす、飽和モデルと一致したものです。TRTが前立腺に対して危険なものではない事を示す典拠になることが期待されます。今後、関連学会において、ガイドラインや指針にこの考え方が取り入れられるか、注目しています。(野)
高濃度のテストステロンが前立腺癌のリスクを高めるというのは、Huggins医師が前立腺癌と男性ホルモンの関連性を公表(1941年)して以来、75年以上にわたり信じられて来た医学知識ですが、高濃度のテストステロンが前立腺癌発症のリスク上昇に関係があるという考えを支持する科学的データは実は多くありません。例えて言えば、テストステロンの濃度が高い人ほど前立腺癌になり易く、低い人ほど前立腺がんになりにくいというはっきりとしたデータがないのが現状です。
逆に、重度の性腺機能低下症(LOH 症候群)の男性において、前立腺癌の発症率が有意に高かったという報告もあり、このようなパラドックスは、現在、議論の対象になっています。
前立腺の疾患と男性ホルモンの関係は複雑でよくわかっていない点が多く残っていますが、このような中、米国ハーバード大学のMorgentaler医師は、「前立腺飽和モデル」という新しい概念を提唱しています。 このモデルでは、飽和ポイントよりもテストステロン濃度が高ければ、血清テストステロン濃度に変化が起きても前立腺の成⻑は悪性または良性問わず、ほとんど影響を与えないというモデルです。 なぜテストステロン濃度を生理範囲よりも数回上昇させても、癌のない男性ではPSAレベルや前立腺の大きさに変化がないのかこのモデルで説明できるとしています。このモデルの正否はいまだ議論の真っ最中ですが、将来的には男性ホルモン補充療法の安全性に対する見方が変わり、LOH症候群の男性には前立腺疾患を防ぐ目的で男性ホルモンのコントロールが行われるようになるかもしれません。 そのような背景から、本報を踏まえた今後の動向に注目しています。 (福)
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IVF/ICSI(体外受精・顕微授精)のプア・レスポンダーに対する経皮テストステロ前処置療法のメタ解析
2014年06月26日
■ 目的
IVF/ICSIにおける卵巣反応低下患者に対する経皮T前処置の有効性についてメタ解析を行った。■ 方法
MEDLINE, EMBASE, コクランライブラリーおよび中国の生化学データベースを用いて無作為化コントロール試験(RCT)の調査を行った。
IVF/ICSI(体外受精・顕微授精)の前に経皮T投与を行いコントロール群と転帰を比較した3つのRCTについてメタ解析を行った。■ 結果
- 3つのRCTの症例数は221例であった。
- メタ解析の結果、IVF/ICSIの前処置に経皮T投与を受けた患者は生存児誕生率[RR=2.01, 95% CI 1.03-3.91],および臨床的妊娠率(RR=2.09, 95% CI 1.14-3.81)が2倍高く、卵子回収率が有意に高かった[mean difference (MD)=1.36, 95% CI 0.82-1.90]。
■ 結論
現況の知見は、経皮Tの前投与がIVF/ICSIに対する卵巣反応低下患者の臨床的転帰を改善する可能性を示している。しかし、研究の対象数が少なく、一様でない事に注意しなければならない。正確な結論に達するためにはより質の高いRCTが必要である。■ 原著
Exp Ther Med. 2014 Jul;8(1):187-194. Epub 2014 Apr 14.(A-935)
Effect of pretreatment with transdermal testosterone on poor ovarian responders undergoing IVF/ICSI: A meta-analysis.
Luo S, Li S, Li X, Qin L, Jin S.続きを読む