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更年期や性機能についての学術情報、最新研究などを紹介いたします。更年期や性機能についての学術情報、最新研究などを紹介いたします。

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Category:メタボリック・シンドローム

  • 12カ月のテストステロン補充療法は性腺機能低下男性のメタボリック・シンドロームを改善する

    2011年11月10日


    【 背景・目的 】
    性腺機能低下男性の大規模集団におけるメタボリック・シンドローム(MetS)に対する12カ月のテストステロン補充療法(TRT)の影響を検討した。

    【 方 法 】
    性腺機能低下男性849例にTestim
    1% testosterone gel (5-10 g/day)を投与した12カ月間の多施設前向き研究TRiUS (Testim(R) Registry in
    the United
    States)のデータを用いた。
    年齢、総テストステロン(TT)、遊離テストステロン(FT)、SHBGおよびMetS成分、ウェスト周囲径、血圧、空腹時血糖、血清トリグリセリドおよびHDLコレステロールを解析した。

    【 結 果 】

    • 開始時の評価症例
      (581/849)の37% がMetS+ (n=213) および63%がMetS- (n=368)であった。
    • MetS+ 症例は有意にTT
      (p<0.0001) およびSHBG (p=0.01) が低かった。
    • TT最下位4分位群(<206 ng/dL)は最上位
      4分位群(>331 ng/dL)に比してMetS+のリスクが有意に高かった(odds ratio 2.66; 95% CI, 1.60 to
      4.43)。
    • 12カ月のTRT後、全症例でTTは上昇した(p<0.005)。
    • TTレベルは同様であるにもかかわらず、MetS+
      群ではウェスト周囲径、空腹時血糖および血圧が有意に低下し、TT最下位4分位群はウェスト周囲径および空腹時血糖が有意に低下した。
    • トリグリセリドおよびHDLコレステロールはいすれの群でも有意な変化がなかった。

    【 結 論 】
    MetS+の性腺機能低下患者はMetS-患者に比して、開始時のTTが低かった。 MetS+
    およびTT最下位4分位の患者群は12カ月のTRTにより幾つかのMetS成分が改善した。

    【 原 著 】
    BMC Endocr Disord. 2011 Nov 1;11(1):18.
    Effect of 12
    months of testosterone replacement therapy on metabolic syndrome components
    in hypogonadal men: data from the Testim Registry in the US
    (TRiUS).

    Bhattacharya RK, Khera M, Blick G, Kushner H, Nguyen D, Miner
    MM.

    【 弊社コメント 】
    本報は弊社製品「グローミン」にも期待される副効用ですが、今のところグローミンでの臨床研究結果は未発表です。ちなみにテストステロン値が低く、メタボリック・シンドロームを自覚する筆者ですが、グローミンの使用経験から若干改善した実感があります。しかしながら、大幅な改善をするには、やはりダイエットや運動などの生活改善を併せて行う必要があると感じています。(福)

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  • NHKためしてガッテン「600万人を襲う!謎の不元気症候群」

    2010年11月17日


    平成22年11月17日にNHKで放送予定の「ためしてガッテン」で、LOH症候群(ロー症候群)が取り上げられます。

    これまで男性更年期障害が様々なメディアで取り上げられ、話題にされて来ましたが、専門医の間では不定愁訴の中にある「うつ症状」が「うつ病」と混同され、切り分けが難しいという問題があったことから、男性ホルモンテストステロン)の分泌低下にともなう症状として「ロー症候群」が定義されました。

    ロー症候群の診療については、「LOH症候群・診療の手引き」が発行されています。

    なお、上記ガイドライン(手引き)にグローミンが収載されていますが、泌尿器科医を中心とするLOH症候群の治療に対応している専門医の間では、グローミンによる低用量な男性ホルモンの補充療法が臨床応用されており、生理的範囲内の補充による高い安全性とマイルドな補充効果について、高いご評価をいただいております

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  • テストステロンの不足は心血管疾患のリスク要因か?

    2010年05月02日


    【 要旨 】
    男性という性は冠動脈血管死の主なリスク因子であるが、関連性は未だ説明しきれていない。

    男性の低テストステロンはメタボリック・シンドロームおよび2型糖尿病のリスク因子であり、個々のメタボリック・シンドローム成分、内臓肥満、インスリン抵抗性、高血糖、高血圧および脂質異常と独立して関連している。

    疫学的研究は低テストステロン男性の死亡率の上昇を報告している。

    短期間のテストステロン補充療法はウェスト周囲径、コレステロールおよび炎症性サイトカインを下げ、糖尿病患者のインスリン抵抗性および血糖コントロールを改善する。

    テストステロンはまた、心筋虚血、狭心症および慢性心不全に有用である。

    この論文は低テストステロンと心血管疾患の関連を支持する現在のエビデンスをレビューしたものであり、大規模、長期的研究の必要性が明らかにされている。

    【 原著 】
    Trends Endocrinol Metab. 2010 Apr 6.

    Testosterone deficiency: a risk factor for cardiovascular disease?

    Jones TH.
    Robert Hague Centre for Diabetes and Endocrinology, Barnsley Hospital NHS Foundation Trust, Barnsley, UK; Academic Unit of Diabetes, Endocrinology and Metabolism, University of Sheffield, Sheffield, UK.

    【 弊社コメント 】
    全容は未だ解明されていませんが、男性のテストステロン不足が死亡率を上昇させていることは明らかになっています。
    具体的には、メタボリックシンドロームをはじめとする生活習慣病、2型糖尿病・高血圧、そして心不全に関係していて、短期間のテストステロン補充については有用であることが報告されています。
    ただし、長期的にテストステロンの補充を続けた場合や、大規模で広範囲な人での検証結果は未だありません。(福)

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  • 肥満と勃起不全の関連にはアンドロゲン欠乏と内皮障害が関与する

    2009年09月24日


    肥満は勃起不全の発現と高く関連しているが、両者の病態生理学的リンクに関してはよく分かっていない。このミニレビューにおいて、共通する病態生理学的リンクが存在するかどうかを調査するため、肥満の勃起不全に関する文献の評価を行った。

    内臓肥満は炎症反応を高め、内皮障害の原因となる。さらに、肥満はテストステロン・レベルを下げ、性腺機能低下症の原因となり、血管病変のリスクを高める。

    内皮機能不全とアンドロゲン欠乏症は既に、勃起不全の病態生理学的メカニズムに関連している事が知られている。

    内皮機能不全とテストステロン欠乏症の病態生理学的メカニズムには陰茎血管不全が関与し、NO合成酵素発現及び活性の低下、組織コンプライアンスのロスを招き、血管動態の低下を引き起こす。

    性治療の分野の最近の進歩は勃起不全患者の治療に対して血管疾患および性腺機能低下の影響を認めている。

    内臓肥満はメタボリックシンドロームの成分であり、内皮機能及びテストステロン・レベルに悪影響し、性腺機能低下及び勃起不全の原因となる。

    このように、肥満患者の勃起不全のリスクの臨床的スクリーニングにはウェスト周囲径、テストステロン・レベル、BMIおよび身体活動量の検査を行うべきである。

    【 原著 】
    FEBS J. 2009 Sep 15.
    Mechanisms of obesity and
    related pathologies: Androgen deficiency and endothelial dysfunction may be
    the link between obesity and erectile dysfunction.

    Traish AM, Feeley RJ,
    Guay A.
    Department of Biochemistry and Urology, Boston University School of
    Medicine, MA, USA.

    PMID:
    19754871

     

    【 弊社コメント 】本報では、次の図式が簡明にまとめられています。(野)肥満 → 炎症反応の上昇 → 内皮機能障害 → 血管障害 → 勃起不全
    肥満 → テストステロン低下 → 内皮機能障害 → 血管障害 → 勃起不全

    メタボリックシンドロームが血栓や動脈硬化といった血管障害につながる事は既にご存知の通りですが、血管障害はED(勃起不全)につながるものですから、すなわちメタボはEDの危険因子です。血管性EDは特効薬とされるPDE-5阻害剤をもってしても治りにくいEDなので、予防が大切です。
    肥満の予防、血栓や動脈硬化のような血管障害を防ぐ生活習慣(食生活・適度な運動・適切な生活リズム・禁煙・・・等々)が適度なテストステロン(男性ホルモン)分泌の維持につながり、EDの予防にもつながる・・・、という好循環になると思われます。(福)

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  • 内皮前駆細胞に対するPDE5阻害剤の影響はテストステロン・レベルにより変化する

    2008年12月22日


    【 背 景 】
    内皮前駆細胞(EPCs)は内皮の修復に必要な骨髄由来細胞である。血中EPCsは内皮障害のある状態では低く、その数はPDE5阻害剤による治療によって増加する。EPCsは性腺機能低下患者においては減少しており、テストステロン療法により回復する。

    【 目 的 】
    EPCsに対するPDE5阻害剤とテストステロンの影響の関係を調査するため、低ゴナドトロピン性の性腺機能低下(HH)患者において、バルデナフィルのEPCsに及ぼす急性効果をテストステロン療法前後で分析した。

    【 方 法 】
    デザイン: 大学のアンドロロジー・センターにおける症例対照研究。
    対象: HH患者15例およびそれと年齢のマッチした対照25例。
    メイン・アウトカム: HH患者において血中EPCs数および前駆細胞(PCs)数に及ぼすバルデナフィル急性効果をテストステロン補充量前および6カ月後に測定した。

    【 結 果 】

    • ベースラインにおいてHH男性は対照群に比してPCs および EPCsが有意に低く、バルデナフィルの投与はこれらの細胞数に影響しなかった。
    • テストステロン療法6カ月後、全HH患者は正常化し、ベースラインに比してPCs および EPCsは有意に高く、対照群のレベルに達していた。
    • テストステロン療法終了時のバルデナフィルの投与は対照群と同様にPCs およびEPCsを有意に増加した。

    【 結 論 】
    この結果はPDE5阻害剤によるEPCsの反応性の回復には正常なテストステロン・レベルが必要である事を示し、テストステロンが骨髄におけるPDE5をポジティブに調整している事を示唆している。

    【 原 著 】
    Clin Endocrinol (Oxf). 2008 Dec 15.
    Effect of Vardenafil on endothelial progenitor cells in hypogonadotropic hypogonadal patients: role of testosterone treatment.
    Foresta C, Di Mambro A, Caretta N, De Toni L, Zuccarello D, Ferlin A.
    Department of Histology, Microbiology and Medical Biotechnologies Section of Clinical Pathology and Centre for Male Gamete Cryopreservation, University of Padova, Padova, Italy

    (さらに…)

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