グローミンの使用で精巣が委縮する可能性はあるか?
Q. グローミンの使用で精巣が委縮する可能性はありますか?
また、陰嚢へ塗ることをおススメされておりますが、陰嚢への長期使用は避けたほうがいいという意見も目にしました。どのようなご見解かお教えください。
A.
医療用の高用量な男性ホルモン剤を前提にしたとき、十分な量の男性ホルモンを投与しますと、精巣を機能させる役割を果たす性腺刺激ホルモンの分泌が停まります。これにともない精巣機能が停まるため、現時点の医学的な一般論としては、投与期間が何カ月も続いて長期化するほど、精巣の萎縮があると言われています。
そのため、自然妊娠を希望する男性の場合は、精巣での精子産生が停まり男性不妊に陥るリスクを避けるため、男性ホルモン剤を投与しない方針をとる医師が一般的です。
一方、グローミンを2cm/回ずつ、朝晩2回/日の塗布で男性ホルモンを補充しても、塗布後の男性ホルモンの血中濃度は約8時間以内に元のレベルへ戻りますので、性腺刺激ホルモンの分泌を低下させる影響は限定的です。そのため、注射による高用量な男性ホルモン剤と比べますと、精巣機能が常時停まることにならないものと考えており、これまで精巣の萎縮が顕在化した事例を経験していません。
ただし、グローミンについて以上のことを言い切るための直接的な検討結果は今のところ揃っておらず、今後の課題として検討中です。そのため、現状ではグローミンで精巣が萎縮する可能性が絶対に無いとは言い切れません。
そのため、万全を期すため朝晩2回の塗布で効果がありましたら、1日1回、朝の塗布だけにすることや、休薬期間を設けて症状が再発したら改めて使用を再開する、といった使い方をお勧め致しております。
ここで、朝に絞る理由は、健常成人男性の日内変動は早朝にピークを迎えるため、本来のサーカディアンリズムに沿わせる意図によるものです。
なお、グローミンを睾丸に塗るのは、精巣へ男性ホルモンを直接的に投与する意図ではなく、皮膚からの吸収が良い場所へ塗ることで、少量でも効率的に吸収させることが目的です。
陰嚢への長期投与が問題というご指摘ですが、陰嚢でなければ長期投与しても問題がないとは考えておらず、本来の日内変動を無視した高いテストステロン・レベルが長期間にわたり続く状況が問題になる、というのが私どもの考えです。
そのような考えを踏まえ、「少しずつ、間隔を空ける投与」により懸念されるリスクを回避し、その上で少量の天然型テストステロンを効率的に投与する方法として、吸収のよい陰嚢部をお勧め致しております。