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テストステロン補充療法の効果に関するタイムコース

2011年07月28日


【 目 的 】
テストステロンは男性の諸臓器で様々な作用を有している。このレビューはテストステロン補充療法の効果に関するタイムコース、最初の効果の発現から最大効果の到達までを出版されたデータから検討した。

【 方 法 】
タイムコースに関するデータが記載されているテストステロン補充療法の論文をPubMedにて検討した。

【 結 果 】

  • 性的関心に対する効果は3週後より発現し6週後にプラトー(≒最大)に達し、それ以上は上昇しない。
  • 勃起/射精の変化は6ヶ月以上を要する。
  • QOL(生活の質)に対する効果は3~4週より現れ、最大効果は長期間を要する。
  • 抑うつムード(≒気分)に対する効果は3~6週後に現れ、18~30週後に最大となる。
  • 赤血球産生に対する最初の効果は3ヶ月後に現れ、9~12ヶ月後に最大となる。
  • PSAおよび前立腺容積の上昇は僅かであるが、12ヶ月後にプラトー(≒最大)になり、その後の上昇は治療よりも加齢が関連する。
  • 脂質に対する効果は4週後に現れ、6~12ヶ月後に最大となる。
  • インスリン感受性は数日以内に改善すると思われるが、血糖コントロールの改善は3~12ヶ月後でないと認められない。
  • 脂肪容量、非脂肪容量および筋力に対する効果は12~16週後に現れ、6~12ヶ月後に安定化し、1年以上継続しても改善は僅かである。
  • 炎症に対する効果は3~12週以内に現れる。
  • 骨に対する効果は6ヶ月後には認められ、少なくとも3年間は持続する。

【 結 論 】
テストステロンの各種作用のタイムコースは非常にバリエーションがある。これはおそらくテストステロン製剤の薬物動態が関係していると思われる。また遺伝的および非遺伝的アンドロゲン受容体多型および細胞内ステロイド代謝がこのような差異に関連していると推定される。

【 原 著 】
Eur J Endocrinol. 2011 Jul 13.
ONSET OF EFFECTS OF
TESTOSTERONE TREATMENT AND TIME SPAN UNTIL MAXIMUM EFFECTS ARE
ACHIEVED.

Saad F, Aversa A, Isidori AM, Zafalon L, Zitzmann M, Gooren
LJ.
Scientific Affairs Men’s Healthcare, Bayer Schering Pharma, Berlin,
Germany.

PMID:
21753068

【 弊社コメント 】
各種効果の発現時期および最大効果がかなりクリアに示されていますが、そう割り切っていいものか問題もあります。なぜなら、元となる各臨床試験がそういう事を目的にしていないからです。
殆どの臨床試験は3~6カ月の投与で、評価は0時点(開始時)、3ヶ月、および6ヶ月後に行う場合が多いので、そのような前提を踏まる必要があります。(野)

「男性ホルモンの補充を始めてから、どれくらいの期間で効果が出るの?」というご質問は多く、当事者にとって切実な関心事ですが、上記コメントの通り臨床研究では3ヶ月毎に評価を行う場合が多く、日・週単位では正確に把握できないのが現状です。なお、エビデンス・レベルは乏しいのですが、弊社製品「グローミン」と「ヘヤーグロン」のモニター調査で最初の1本分(2週間~1ヶ月程度)までの印象をアンケートで調べた経緯があります。(福)

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