肥満手術によるテストステロンおよびSHBGの変化
2016年10月20日
<目的>
肥満は男性の性腺機能低下症のリスク因子であり、体重減少は肥満男性の性腺機能低下症を改善する。そこで、肥満手術後の性ホルモンの早期の変化を調査した。
<方法>
29例の病的肥満男性を対象に前向きの研究を行った。主要評価項目は術後1およぼ6ヶ月後のTT(総テストステロン)、FT(フリー・テストステロン)、SHBG、E2、アディポネクチンおよびレプチンの変化である。
<結果>
・対象の平均年齢は31 ± 8 歳、および平均BMIは56.8 ± 11.7 kg/㎡であった。
・15例が.ルーワイ胃バイパス術を、14 例がスリーブ状胃切除術を行った。.
・術前、22例(75.9%)が低 TT (<10.4 nmol/L) 、あるいは低FT (<225 pmol/L)のいずれかであった。
・手術1ヶ月後TTおよびSHBGは有意に上昇した(p ≤ 0.001)。
・6カ月後、TT およびFT は有意に上昇し(p ≤ 0.001)、 22 例 (75.9%)は TT およびFTが正常化した。
・E2レベルは1および6ヶ月後ともに変化がなかった。
<結論>
肥満手術1ヶ月後にTTおよびSHBGは上昇した。一方、FTは6ヶ月後に改善が見られた。
<原著>
Int J Endocrinol. 2016;2016:1416503. Epub 2016 Sep 20.
Boonchaya-Anant P, Laichuthai N, Suwannasrisuk P, Houngngam N, Udomsawaengsup S, Snabboon T
【コメント】
男性が肥満になると、テストステロン(男性ホルモン)の分泌が衰えて、低テストステロンにともなう諸症状の悪循環に陥るようです。かといって、肥満男性がテストステロンを補充するだけで肥満を解消して、低テストステロンの諸症状を改善するかと言うと、必ずしもクリアな結果は報告されていません。
ただ、本報のように32歳前後(23~39歳)の比較的、若い男性なら、肥満を改善することでテストステロンの分泌も改善するようです。やはり、先ずは肥満の改善に向き合うことが重要なようです。(福)
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