-
2012年12月04日
【 目的 】
慢性心不全(CHF)に低テストステロンを伴う男性患者における12週間運動プログラムとテストステロン(筋注)補充および非補充の有用性を検討した。【 方法 】
男性CHF患者41例、平均年齢67.2歳( 51~84歳 )、総テストステロン10.7 ± 2.6 nmol/L (309 ± 76 ng/dL) を運動+テストステロン(T)または+プラセボ群に無作為に割り付けた。評価項目は往復歩行テストおyび筋力の増分、心エコー検査、N末端プロBNP、うつ症状(Beck Depression Inventory)、および健康関連QOL (Minnesota Living with Heart Failure Questionnaire and Medical Outcomes Study Short-Form)。【 結果 】
- 試験脱落率は30%であったが、試験を完了した患者における運動および注射のコンプライアンスは100%であった。
- T併用および非併用群間に往復歩行テスト (18% vs 19%)、身体容量(-1.3 kg vs -1.0 kg), および握力(2.1 kg vs 2.5 kg) の変化に差異はなかった。
- T+運動併用群は開始時から最大酸素摂取量(P < .01), うつ症状(P < .05), 足の強度 (P < .05), および Medical Outcomes Study Short-Form quality of life の数ドメイン(P < .05)が有意に改善した。 これらはプラセボ+運動群では変化見られなかった。
- 心エコー検査、N末端プロBNPおよび炎症マーカーには殆ど変化がなかった。
【 結論 】
この報告は、低テストステロンの慢性心不全患者における運動療法中のテストステロン補充が可能であり、健康アウトカムに好影響を及ぼす事を示す最初のものである。【 原著 】
Am Heart J. 2012 Dec;164(6):893-901.. Epub 2012 Oct 30.
Testosterone
therapy during exercise rehabilitation in male patients with chronic
heart failure who have low testosterone status: A double-blind
randomized controlled feasibility study.
Stout M, Tew GA, Doll H, Zwierska I, Woodroofe N, Channer KS, Saxton JM.
Department of Cardiology, University Hospital of South Manchester, Manchester, United Kingdom.続きを読む
-
2010年05月02日
【 要旨 】
男性という性は冠動脈血管死の主なリスク因子であるが、関連性は未だ説明しきれていない。男性の低テストステロンはメタボリック・シンドロームおよび2型糖尿病のリスク因子であり、個々のメタボリック・シンドローム成分、内臓肥満、インスリン抵抗性、高血糖、高血圧および脂質異常と独立して関連している。
疫学的研究は低テストステロン男性の死亡率の上昇を報告している。
短期間のテストステロン補充療法はウェスト周囲径、コレステロールおよび炎症性サイトカインを下げ、糖尿病患者のインスリン抵抗性および血糖コントロールを改善する。
テストステロンはまた、心筋虚血、狭心症および慢性心不全に有用である。
この論文は低テストステロンと心血管疾患の関連を支持する現在のエビデンスをレビューしたものであり、大規模、長期的研究の必要性が明らかにされている。
【 原著 】
Trends Endocrinol Metab. 2010 Apr 6.Testosterone deficiency: a risk factor for cardiovascular disease?
Jones TH.
Robert Hague Centre for Diabetes and Endocrinology, Barnsley Hospital NHS Foundation Trust, Barnsley, UK; Academic Unit of Diabetes, Endocrinology and Metabolism, University of Sheffield, Sheffield, UK.【 弊社コメント 】
全容は未だ解明されていませんが、男性のテストステロン不足が死亡率を上昇させていることは明らかになっています。
具体的には、メタボリックシンドロームをはじめとする生活習慣病、2型糖尿病・高血圧、そして心不全に関係していて、短期間のテストステロン補充については有用であることが報告されています。
ただし、長期的にテストステロンの補充を続けた場合や、大規模で広範囲な人での検証結果は未だありません。(福)続きを読む