射精頻度と前立腺癌リスクの関連性-2004年以降の追跡調査研究
2016年10月03日
<目的>
エビデンスは射精回数が前立腺がん(PC)リスクと逆向きに比例する事を示し、PCに対するいくつかの修飾リスク因子が明らかになっている。
これまでに報告した射精回数とPCの関連性に関する分析に、その後10年間の追跡調査結果を加え、さらに臨床的に関連する疾患群および他の原因による死亡の影響を加え、総合的に分析した。
<方法>
平均月間射精回数に関する自己報告データが活用できるHealth Professionals Follow-up Studyの参加者にて前向きのコホート研究を行った。
対象は1992年の質問票調査にて射精回数を回答し、その後2010年まで調査した31,925例の男性である。月間射精回数を20~29歳、40~49歳および質問票配布前年の3時点にて算定した。
一次評価項目は総PCの発症および臨床的に関連のある疾患である。ハザード比(HR)および95%CIをコックスモデルにて求めた。
<結果>
・480831 person-yearsのおいて3,839例がPCと診断された。
・40~49歳の射精頻度は年齢標準化BMI、身体活動、離婚、性感染症の病歴、および総カロリーおよびアルコール摂取量とポジティブに関連していた。
・2008年のPSAテストの実施、PSAテスト回数および前立腺生検頻度はいずれの射精頻度においても差異がなかった。
・多変量分析において、射精頻度21回以上のPC発症HRは4~7回の射精頻度に比して20~29歳で0.81 (95% CI 0.72-0.92; p<0.0001 for trend)および40~49歳で0.78 (95% CI 0.69-0.89; p<0.0001 for trend)であった。
<結論>
この結果はPCの病因において成人世代を通じて高頻度の射精は有益な役割をはたしているというエビデンスを加えるものである。
Eur Urol. 2016 Mar 28. pii: S0302-2838(16)00377-8. doi: 10.1016/j.eururo.2016.03.027.
Rider JR, Wilson KM, Sinnott JA, Kelly RS, Mucci LA, Giovannucci EL
【弊社コメント】
月間21回以上の射精をする成人男性は、前立腺癌になりにくい可能性が示唆されます。(福)
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