海外のヨヒンビン製剤における副作用情報について
米国・カナダで医薬品として承認されているヨヒンビン製剤12品目の添付文書を総合しますと、次の副作用が指摘されています。
まれにみられる副作用:
心拍数の上昇、血圧の増大、眩暈(めまい)、頭痛、興奮、神経過敏、情動不安
(「心拍数の上昇」と「血圧の増大」については、医療機関の受診・検査を要す)。
めったにない副作用:
嘔気(はきけ)、嘔吐(おうと)、皮膚の潮紅、発汗、震え
海外のヨヒンビン製剤における注意事項について
米国・カナダで医薬品として承認されているヨヒンビン製剤12品目の添付文書を総合しますと、次の注意事項が記されています。
アレルギー:
ヨヒンビンもしくは他のラウオルフィア・アルカロイド、すなわちデセルピヂン(商品例ハルモニル)、インド蛇木(商品例ラウディキシン)、レセルピン(商品例サーパラン、日本では降圧剤のアポプロンが同一有効成分)などにアレルギー性の反応がある場合、医師に申告すべきである。
他の薬剤との併用:
併用が禁止されている特定の薬剤はないが、何れかの薬剤との間で相互作用が起こらないとも限らない。併用薬がある場合、医師は用量の変更や注意喚起が必要である。このため処方箋薬・市販薬(OTC)に関わらず、専門家(医師・薬剤師)に尋ねるべきである。
注意投与(下記病状のある場合は医師に相談すべき):
狭心症(Angina pectoris)、抑うつ(Depression)、他の精神疾患(Other psychiatric illness)、心臓病(Heart disease)、高血圧(High blood pressure)、腎臓病(Kidney disease)、肝疾患(Liver disease)
米国・カリフォルニア州中毒事故管理センター(CPCS)に報告されたヨヒンビン含有製品が関与する有害事象について
Ann Pharmacother. 2010 Jun;44(6):1022-9. Epub 2010 May 4.
Adverse drug events associated with yohimbine-containing products: a retrospective review of the California Poison Control System reported cases.
Kearney T, Tu N, Haller C.
Managing California Poison Control System, Department of Clinical Pharmacy, School of Pharmacy, University of California at San Francisco, CA 94143, USA.
注釈:
「有害事象」と「副作用」の違いについて
「有害事象」は、因果関係の有無を問わず、医薬品の使用により生じたあらゆる好ましくない医療上の出来事や健康上有害な事象です。薬物との因果関係が想定され、否定できないものを「副作用」と呼んでいます。本報は「有害事象」なので、ヨヒンビンとの因果関係が確定したものではありません。
弊社コメント:
上記の文献において、ヨヒンビン含有製品に関する有害事象の98.7%が、米国で医薬品として管理されていないハーブ(日本では、サプリメントや健康食品として個人輸入や違法に販売されているもの)によるものと報告されています。
医薬品としてヨヒンビン製剤を48年余にわたり製造し、これまで重大な副作用もなく実績を積んで来た弊社の立場からは、医薬品でないヨヒンビン含有の製品(日本国内では違法なサプリメントや健康食品など)に対して、次の違いがあることを強調いたします。
粗悪なヨヒンベ・エキスが配合された、品質管理や服用管理の乏しいサプリメント等の濫用にともなう有害事象とは一線を画したく、何卒ご了承のほどお願い申し上げます。
- 医薬品の原薬として製造・品質管理されたヨヒンビンとの違い
医薬品に使用されるヨヒンビン塩酸塩は、定められた規格に適合する高純度なもので、原薬メーカー、製薬メーカーが共に薬事法の厳格な基準に則り、規格の適合を確認しながら製造しており、品質管理されています。
しかしながら、医薬品でないものは、そのような品質管理を義務づけた法的規制が無いため、精製されていない、純度の低い粗悪なヨヒンベ・エキスを使用しているものと思われます。
自ずと、ヨヒンビンとしての投与量が保証できないうえ、不純物による不測の有害事象が懸念されます。
- 医薬品としての投与量・使用方法・管理の違い
医薬品として承認されたヨヒンビン製剤は、先述の品質管理と併せて、用法・用量を定めているうえ、添付文書や薬剤師の投薬指導を通じて使用禁忌の事前確認や服用方法の注意喚起しています。
サ
プリメントや健康食品は、法的規制が無く販売者の意識と善意に委ねられるため、実態として注意喚起の仕組みが機能しません。その結果、全く注意事項を知ら
ないまま気軽な気持ちで使用して、結果的に過剰投与や品質不良、様々な併用薬にともなう有害事象を引き起こしているものと思われます。
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